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【第一章】旅立ち
【第三話】楽観
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【オールテア・ストーリー】というゲームには、大きな特徴がある。
それは、王道で単純なシナリオ、世界観、そしてシステムでありながら、敵が弱いという点だった。
それゆえに【オールテア・ストーリー】は、「サクサク進めるRPG」として有名だった。
ヘビーゲーマーにとってみれば、やりごたえが足らないと捉えられるかもしれない。
しかし、意外にも人気は高く、売り上げは好調で、動画配信サイトなどでも多くの実況プレイが存在していた。
俺も、プレイヤーの一人だったのだ。
そんなゲームの世界通りなら、きっと楽して生きていく事が可能だろう。
ゲームの事前知識もあるし、異世界転移もののテンプレートもある程度は知っている。
無双するも良し、スローライフを送るも良し、美少女達とハーレムを築くのも良し。
どうするかは、全て俺次第なのだ。
そう想像すると、しばらく震えは止まらなかった。
とは言え、何をするにもまずは仕事を探さなければならない。
ただの居候としてここの宿屋にお世話になるのは忍びないからだ。
どうにかしてお金を稼ぎ、少なくともここの宿代を払えるようにならなければ。
(まあ、就く仕事はもう決まっているんだけどね)
異世界に来たら、就く仕事はこれしかないだろう。
「サーランさん、この街にも、【冒険者ギルド】はありますか?」
「勿論さね、新聞にも載ってるだろ?」
言われて新聞を見返すと、確かに求人欄に冒険者ギルドの記事があった。
「ユキト、冒険者になるのかい?」
サーランが、厨房から顔を出した。
「はい、手っ取り早く稼げそうなので」
サーランの顔には、かすかに不安が写っていた。
「確かに稼げるけれど、危ないんじゃないのかい? とても腕に自信があるとは思えないけど・・・」
確かに俺は魔物と戦った経験は無い。
地球に住んでいたのだから、それは当然だろう。
しかし、ゲーム通りなら心配は要らない。
敵の魔物は弱いだろうから、死ぬことはまず無い。
怪我くらいはするかもしれないが、この世界には魔法がある。
多少の怪我なら、回復魔法で一発だ。
「多分、大丈夫だと思います」
「そうかい・・・? 無理はしないでおくれよ」
俺は早速、この街の冒険者ギルドに行ってみることにした。
「新聞、ありがとうございました」
新聞を返そうとサーランに声を掛けると、彼女は洗い物をしている最中だった。
「あいよ! そこらに置いといてくれな!」
示された通りにカウンターに新聞を置くと、サーランが何かを思い出したように呼び止めた。
「そんな格好じゃ目立っちゃうでしょ? これ着てきな!」
俺は、この世界で一般的に着られている衣服を受け取った。
それは、王道で単純なシナリオ、世界観、そしてシステムでありながら、敵が弱いという点だった。
それゆえに【オールテア・ストーリー】は、「サクサク進めるRPG」として有名だった。
ヘビーゲーマーにとってみれば、やりごたえが足らないと捉えられるかもしれない。
しかし、意外にも人気は高く、売り上げは好調で、動画配信サイトなどでも多くの実況プレイが存在していた。
俺も、プレイヤーの一人だったのだ。
そんなゲームの世界通りなら、きっと楽して生きていく事が可能だろう。
ゲームの事前知識もあるし、異世界転移もののテンプレートもある程度は知っている。
無双するも良し、スローライフを送るも良し、美少女達とハーレムを築くのも良し。
どうするかは、全て俺次第なのだ。
そう想像すると、しばらく震えは止まらなかった。
とは言え、何をするにもまずは仕事を探さなければならない。
ただの居候としてここの宿屋にお世話になるのは忍びないからだ。
どうにかしてお金を稼ぎ、少なくともここの宿代を払えるようにならなければ。
(まあ、就く仕事はもう決まっているんだけどね)
異世界に来たら、就く仕事はこれしかないだろう。
「サーランさん、この街にも、【冒険者ギルド】はありますか?」
「勿論さね、新聞にも載ってるだろ?」
言われて新聞を見返すと、確かに求人欄に冒険者ギルドの記事があった。
「ユキト、冒険者になるのかい?」
サーランが、厨房から顔を出した。
「はい、手っ取り早く稼げそうなので」
サーランの顔には、かすかに不安が写っていた。
「確かに稼げるけれど、危ないんじゃないのかい? とても腕に自信があるとは思えないけど・・・」
確かに俺は魔物と戦った経験は無い。
地球に住んでいたのだから、それは当然だろう。
しかし、ゲーム通りなら心配は要らない。
敵の魔物は弱いだろうから、死ぬことはまず無い。
怪我くらいはするかもしれないが、この世界には魔法がある。
多少の怪我なら、回復魔法で一発だ。
「多分、大丈夫だと思います」
「そうかい・・・? 無理はしないでおくれよ」
俺は早速、この街の冒険者ギルドに行ってみることにした。
「新聞、ありがとうございました」
新聞を返そうとサーランに声を掛けると、彼女は洗い物をしている最中だった。
「あいよ! そこらに置いといてくれな!」
示された通りにカウンターに新聞を置くと、サーランが何かを思い出したように呼び止めた。
「そんな格好じゃ目立っちゃうでしょ? これ着てきな!」
俺は、この世界で一般的に着られている衣服を受け取った。
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