8 / 10
期限4
しおりを挟む
* * *
土地神様のところに戻ると彼は、青白い顔をして横になっていた。
「誰かを、呼びますね!!」
思わず叫んでしまう僕を土地神様はとめた。
「大丈夫だよ。俺が神様じゃなくなってもちゃんと世界が代わりを据えてくれるから」
青白い顔のまま土地神様は僕にそういう。
「だけど、もう俺は美しくないな」
自分の腕を確認するようにして土地神様が言う。
話し方もぶっきらぼうでまるで人間のような声でそう言われる。
何かがおかしいことに気がつく。
だけど、こんな時でも美しさを気にするこの人が不思議に思う。
「美しければ、君は帰らないでいてくれたのかなあ」
金色の文様がなくなった手が、駆け寄った僕頭を撫でるように触れる。
なぜ僕にそんなことを言うのかがわからない。
喉の奥の方が締め付けられるような錯覚がする。
叫び出したいような、泣きたいような、不思議な気持ちになる。
気を紛らわさないと、変な言葉が口から漏れてしまうかもしれない。
帰りたくないなんて、言えやしないのにそんなことを言ってしまいたくなる。
その代わりに土地神様に言う。
「あなたは充分美しいですよ。
その青い瞳はそれだけで神々しいです」
土地神様はこちらを見る。
「それは、うれしいな。
ツバメにも美しいと思ってもらえてたとは思っていなかった」
土地神様は僕の髪の毛をなで続けながら言う。
「でも、駄目なんだ」
この瞳ももうなくなる。
彼はそう言って目を細めて笑った。
「この瞳がなくなれば、残念だけど俺はもう土地神じゃなくなるだろう」
その青い瞳と目が合う。
何を言っているのだろう。
僕のことを試しているようには思えなかった。
それに、もう瞳を失うことは確定事項の様に彼は言うのだ。
「そうしたら、僕の地元に一緒にいきませんか。
温暖でいいところですよ」
みんな気のいい人で、穏やかで楽しい。
わがままばかり言っていた人だったけれど、この一年とても楽しかったのだ。
彼が神様でなくなってしまうのは多分、自分の一部を差し出しすぎた所為だ。
それが優しさなのだと僕は思う。
だから、この優しい神様の願いは叶えたいと思った。
柄にも無いと思いながら「それはどこに持っていけばいいんですか?」と聞いた。
土地神様のところに戻ると彼は、青白い顔をして横になっていた。
「誰かを、呼びますね!!」
思わず叫んでしまう僕を土地神様はとめた。
「大丈夫だよ。俺が神様じゃなくなってもちゃんと世界が代わりを据えてくれるから」
青白い顔のまま土地神様は僕にそういう。
「だけど、もう俺は美しくないな」
自分の腕を確認するようにして土地神様が言う。
話し方もぶっきらぼうでまるで人間のような声でそう言われる。
何かがおかしいことに気がつく。
だけど、こんな時でも美しさを気にするこの人が不思議に思う。
「美しければ、君は帰らないでいてくれたのかなあ」
金色の文様がなくなった手が、駆け寄った僕頭を撫でるように触れる。
なぜ僕にそんなことを言うのかがわからない。
喉の奥の方が締め付けられるような錯覚がする。
叫び出したいような、泣きたいような、不思議な気持ちになる。
気を紛らわさないと、変な言葉が口から漏れてしまうかもしれない。
帰りたくないなんて、言えやしないのにそんなことを言ってしまいたくなる。
その代わりに土地神様に言う。
「あなたは充分美しいですよ。
その青い瞳はそれだけで神々しいです」
土地神様はこちらを見る。
「それは、うれしいな。
ツバメにも美しいと思ってもらえてたとは思っていなかった」
土地神様は僕の髪の毛をなで続けながら言う。
「でも、駄目なんだ」
この瞳ももうなくなる。
彼はそう言って目を細めて笑った。
「この瞳がなくなれば、残念だけど俺はもう土地神じゃなくなるだろう」
その青い瞳と目が合う。
何を言っているのだろう。
僕のことを試しているようには思えなかった。
それに、もう瞳を失うことは確定事項の様に彼は言うのだ。
「そうしたら、僕の地元に一緒にいきませんか。
温暖でいいところですよ」
みんな気のいい人で、穏やかで楽しい。
わがままばかり言っていた人だったけれど、この一年とても楽しかったのだ。
彼が神様でなくなってしまうのは多分、自分の一部を差し出しすぎた所為だ。
それが優しさなのだと僕は思う。
だから、この優しい神様の願いは叶えたいと思った。
柄にも無いと思いながら「それはどこに持っていけばいいんですか?」と聞いた。
0
あなたにおすすめの小説
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
転生したら最強辺境伯に拾われました
マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。
死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
【完結】第三王子、ただいま輸送中。理由は多分、大臣です
ナポ
BL
ラクス王子、目覚めたら馬車の中。
理由は不明、手紙一通とパン一個。
どうやら「王宮の空気を乱したため、左遷」だそうです。
そんな理由でいいのか!?
でもなぜか辺境での暮らしが思いのほか快適!
自由だし、食事は美味しいし、うるさい兄たちもいない!
……と思いきや、襲撃事件に巻き込まれたり、何かの教祖にされたり、ドタバタと騒がしい!!
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる