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内定の理由
「お父様、私が選ばれた理由をお聞かせください」
侯爵曰く、あの日婚約破棄された公爵令嬢と第一王子の婚約者は同派閥の幼馴染だったそうだ。
王子妃教育で小さなころから王宮で一緒になることが多かった二人は親友というか、姉妹に近い間柄だったそうだ。
実際、遠いとはいえ縁戚関係はあったらしい。
今回の婚約破棄騒動で王族に見切りをつけた公爵令嬢は留学という名目で即時にこの国を出ることにした。
今更という話になるが恐らくこの時点で隣国から公爵家へ何らかの打診があったのかもしれない。
公爵令嬢は、その留学に第一王子の婚約者を誘った。
何故誘ったのか、何故そこで第一王子の婚約者も婚約を解消できてしまったのか。については現在確認中だそうだが、第一王子の婚約者はあの公爵令嬢と一緒に隣国に行った。
そこまでならば再び婚約しなおせばいい。
けれどそういう訳にはいかなかった。
公式な発表によると、第一王子の婚約者は隣国の王族に見初められて婚約を結んだそうだ。
取り戻そうとすれば国際問題になる。
侯爵は眉間にしわを寄せながらそう説明してくれた。
ヴィオラは大きくため息をついた。
それが淑女として褒められたものでない事はしっていたけれど、彼女にとってはどうでもよかった。
ヴィオラは貴族の家に生まれた令嬢として整えられながら暮らしていたけれど、その実、自分が令嬢であるという事に無頓着だった。
「お父様私が聞きたいのは、何故第一王子の婚約者がいなくなったか、ではなく、何故新しい婚約者として私が選ばれたかです」
ヴィオラがはっきりと言うと侯爵は「上級貴族でまだ婚約が整っていない令嬢自体がそもそも少ない」と答えた。
それからこう付け加えた。
「婚約は円満に解消し、隣国に婚約者を盗られたという印象を払拭するためにも、直ちに新しい婚約者をたてる必要があった。
やがて王子妃となる令嬢には王子妃としての教育が必要だ。
今から教育をしたとして到底間に合うものではない」
ヴィオラは父親である侯爵を見た。
王子妃教育のための本は見たことが無い。
だから、詳しく何を学んでいるのかは知らないが、基本的には外交ルールや各国の歴史、公の場でのふるまいや我が国について。それが多岐にわたるだろう事は想像できる。
「そこでヴィオラの名前があがった」
「え?」
「お前のその本好きがこんなところで役に立ってしまうとは思わなかった」
困惑した表情を向けられてヴィオラ自身が困惑してしまう。
「王子妃教育のほとんどの部分について、ヴィオラはすでに読んだ本の知識として知っているだろうという事になった」
事前調査はすでに行われたらしい。
言われた内容の言葉の意味は理解できるけれど状況が納得いかずヴィオラは聞き返す。
「私以外の令嬢でも学力の高い方は――」
「必要な条件を満たす令嬢はお前だけだそうだ」
侯爵がため息をつく。
「これは、婚約の打診ではない。
王命に近いものだと思って王子に尽くして欲しい」
そう貴族の顔をして父親に言われてしまえば返せる反論は何も無い。
「謹んで、お受けいたします」
ただ、それだけヴィオラは絞り出す様に言った。
これからの生活は本を好きなだけ読める生活からほど遠いのだろうという事だけはヴィオラにもよく理解できた。
侯爵曰く、あの日婚約破棄された公爵令嬢と第一王子の婚約者は同派閥の幼馴染だったそうだ。
王子妃教育で小さなころから王宮で一緒になることが多かった二人は親友というか、姉妹に近い間柄だったそうだ。
実際、遠いとはいえ縁戚関係はあったらしい。
今回の婚約破棄騒動で王族に見切りをつけた公爵令嬢は留学という名目で即時にこの国を出ることにした。
今更という話になるが恐らくこの時点で隣国から公爵家へ何らかの打診があったのかもしれない。
公爵令嬢は、その留学に第一王子の婚約者を誘った。
何故誘ったのか、何故そこで第一王子の婚約者も婚約を解消できてしまったのか。については現在確認中だそうだが、第一王子の婚約者はあの公爵令嬢と一緒に隣国に行った。
そこまでならば再び婚約しなおせばいい。
けれどそういう訳にはいかなかった。
公式な発表によると、第一王子の婚約者は隣国の王族に見初められて婚約を結んだそうだ。
取り戻そうとすれば国際問題になる。
侯爵は眉間にしわを寄せながらそう説明してくれた。
ヴィオラは大きくため息をついた。
それが淑女として褒められたものでない事はしっていたけれど、彼女にとってはどうでもよかった。
ヴィオラは貴族の家に生まれた令嬢として整えられながら暮らしていたけれど、その実、自分が令嬢であるという事に無頓着だった。
「お父様私が聞きたいのは、何故第一王子の婚約者がいなくなったか、ではなく、何故新しい婚約者として私が選ばれたかです」
ヴィオラがはっきりと言うと侯爵は「上級貴族でまだ婚約が整っていない令嬢自体がそもそも少ない」と答えた。
それからこう付け加えた。
「婚約は円満に解消し、隣国に婚約者を盗られたという印象を払拭するためにも、直ちに新しい婚約者をたてる必要があった。
やがて王子妃となる令嬢には王子妃としての教育が必要だ。
今から教育をしたとして到底間に合うものではない」
ヴィオラは父親である侯爵を見た。
王子妃教育のための本は見たことが無い。
だから、詳しく何を学んでいるのかは知らないが、基本的には外交ルールや各国の歴史、公の場でのふるまいや我が国について。それが多岐にわたるだろう事は想像できる。
「そこでヴィオラの名前があがった」
「え?」
「お前のその本好きがこんなところで役に立ってしまうとは思わなかった」
困惑した表情を向けられてヴィオラ自身が困惑してしまう。
「王子妃教育のほとんどの部分について、ヴィオラはすでに読んだ本の知識として知っているだろうという事になった」
事前調査はすでに行われたらしい。
言われた内容の言葉の意味は理解できるけれど状況が納得いかずヴィオラは聞き返す。
「私以外の令嬢でも学力の高い方は――」
「必要な条件を満たす令嬢はお前だけだそうだ」
侯爵がため息をつく。
「これは、婚約の打診ではない。
王命に近いものだと思って王子に尽くして欲しい」
そう貴族の顔をして父親に言われてしまえば返せる反論は何も無い。
「謹んで、お受けいたします」
ただ、それだけヴィオラは絞り出す様に言った。
これからの生活は本を好きなだけ読める生活からほど遠いのだろうという事だけはヴィオラにもよく理解できた。
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