魔物成長記録〜最強の魔物を作るために〜

Leiren Storathijs

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スケルトンの章

1.意志の宿りし怪物

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『これより命ずる。我が部下スケルトンよ、我が力を持って人間を殺してこい。方法は任せる。世界で多くを学習するも良し、無数の肉を喰らうも良し、人間の生態を学ぶも良し。
 お前の自由に世界を回り、最後は勇者を制せよ』

「カタカタ!(仰せのままに)」

『それと、お前には我が力の一部を授ける。超覚醒。これを持ってお前の様々な経験を持って、我が部下に相応しい成長をせよ』

──────────────────

 スケルトンは魔王に召喚されると、魔王軍領地ニグルド平原のど真ん中にて目を覚ました。
 硬い土を掘り起こし、骨の眠りから地上へ這い上がり、目覚めの雄叫びを上げる。

「ア"ア"ア"ア"アアアアァァァ!!!」

 化け物の雄叫び。スケルトンの場合は死から這い上がった哀しき魂の叫びである。

 魔王軍領地ニグルド平原とは、世界『アオローラ』の南東に位置する『人間領』とは離れた『魔大陸』の半分を占める、超巨大の平原のこと。
 元は人間領の一部で辺境の地とされた大陸だが、魔王はここを最初に征服し、完全に魔物の大陸とした。

 ただここには多少の人間が暮らしている村があり、言わば人間に対する人質の状態で住まわせている。
 しかし、魔王はこれをスケルトンの成長に与えた。

 村の名はコロニア。澄んだ空気と長閑な風景が特徴の人口僅か五十人の小さな村。現人間領から遠く離れ、国や政府の目からも離れた老若男女が暮らす村である。
 村の誰もが農業や仕事に励み、疫病や不安の種も無い平和な村である。
 たが、すぐ近くに魔物が蔓延っていることは当然のように知っていること。
 そして魔物がいつか自分らを殺しに来ることなど見え透いて分かっていた。

 コロニア村はニグルド平原北部に位置し、本来はニグルド平原の全域を占めるほどに、多くの施設や港までが作られていたが、人間が魔物より力を持たないように、不必要な物は全て魔王が破壊した。

 そしてスケルトンは最初の襲撃としてコロニア村を選んだ。

「ア"ア"ア"アァァァッッ!」

 これは魔物の叫び。自分は魔物であり、人間を殺す存在だと威嚇する。これによって大半の人間は恐れ慄く。

「ま、魔物だああ! に、逃げろおおお!」

「くそ! こんな所でやられてたまるか! 魔王め、いつまでも貴様の思い通りにはさせないぞ!」

 対して魔物に立ち向かうのはコロニア村の若者。戦闘経験も訓練もしたことがない人間。
 しかし実戦経験は無いものの、腕っぷしや喧嘩には自信がある若者たちがスケルトンの前に寄せ集めの武器を持って立ち塞がる。

「来るなッ!! ここは俺たちの村なんだよ! ぜってえに壊させたりはしねぇ!」

「うおおおおお!」

 若い村人はスケルトンの威嚇に対し、鍬や鎌を持って同じく威嚇する。
 たが、人間の威嚇など殺すことが目的のスケルトンには通用しない。
 スケルトンは、その人間の威嚇に反応する様に思いっきり飛びついた。

「このやろおおおぉ!」

 だがこれも当然か。スケルトンが立ち向かったのは五十人の村。対し、魔物のスケルトンは一体であった。
 村人は飛びついてきたスケルトンを鍬で薙ぎ払い、止めに頭蓋骨を金槌で砕いた。

「やった! 俺たちは出来るんだ! 魔物を倒せるぞ!」

 スケルトンの撃破に歓喜する村人。
 魔物は人間の脅威であり、大群で来られれば弱き人間は為す術なく全滅するのが弱者の決まり。
 だが、"一匹"なら大丈夫。この油断はこの村を地獄へと変えるとは、この者達は知る由も無かった。
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