クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第1章 解放

勇者視点・その3

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 光輝、伊吹、鬼堂、玲香、康太郎。勇者一行。かげり はくより借金をしてから一日半が経った。影から10万オロ借りて、一週間以内に馬車の往復分を含めたお金を返さなくてはならない。
 しかし、勇者一行はまだ影の元から馬車で帰ってきてから装備を整えるだけでなにも稼ぎは出来ていなかった。

 ギルドから稼ぎの良い依頼を受けようとするが、期日が一週間と短くそれを過ぎれば影が回収しにくるという。その時に影から逃げるという選択も考えるが、そんなことをすれば影は決して許さないだろう。
 あまり時間はかけていられず、勇者達は速く、多く稼げる依頼を探していた。

「期日は一瞬間。それまでに約束の最低10万オロと、できれば一週間分の馬車料金をケチらずに17万5,000オロをまとめて返せば、影くんと良い関係を持てるかもしれない」

「クソッ、この俺がアイツに負けさえしなければ!」

「鬼堂。すまないが元から影くんから借りるしか無かったんだ。俺は勇者だから、お金を国民から借りることなんてしたく無いんだ。だから同じ転移者である影くんから借りるのが良いと思って……」

「そもそもよぉ、こんな金欠生活していたら魔王を倒すのも無理じゃね? どうせアイツに金返したらまたすっからかんになるんだろう?」

「なら、約束の倍稼げば良いだけだ」

「ったく簡単に言うんじゃねぇよ。そんなの出来たら借りる必要も無かっただろ! もういい、速く依頼を探すぞ!」

 勇者は冒険者ギルドへ行き、稼ぎのいい依頼が無いかしらみ潰しに探す。

「金策、金策……んーなかなか見つからないなぁ」

 そう悩んでいる光輝の元に康太郎が割り込んで来る。

「んー困っているようですなぁ。光輝くん。この前は情報料に多く使ってしまいましたが、今度こそ僕を頼るべきでは無いですかな? 僕は皆さんが休憩や人々から話を聞いている間に今度は無料で手に入る情報だけをかき集めたんですよねぇ。
 いやー大変でしたよ。情報屋と違って信憑性の薄い噂だったり、過去に金欠から脱出した人の身の上話とかとか。
 どうです? 聞きたいでしょう?」

 康太郎の態度に鬼堂はキレる。

「ふざけてんじゃねぇ! 誰のせいで金が無ぇと思ってんだおい? マジで殺すぞ」

「ひぃっ!? 僕は君達とは違うのだよ! ろくに情報収集もしない、駄目だと分かれば諦める、金にもならないものを無駄にかき集めようとする! その行動が気に入らないにも程がある! 
 ぼ、僕は君達のおかげでほぼ戦わずに済んでるけどねぇ、君達より頭は誰より使ってるんだよぉ!」

「テメェなぁ! 今すぐ俺の前から消えろ。てめえが情報通とかどうでも良いんだよ。その顔を見ると殴りたくなってくる」

「お、おい鬼堂! そこまで言う必要は無いだろう! な、なぁ分かった。康太郎、その情報とやらを教えてくれないか?」

 光輝は鬼堂を宥め、康太郎から情報を聞き出そうとするが、完全に空気が悪くなったところで康太郎も遂には完全に黙り込む。
 その光景に伊吹や玲香は眺めることしか出来なかった。

「情報とやらだって? 情報は情報だ。光輝くんは僕に優しくしているようだがその態度もそろそろうんざりだ。まぁ、僕は転移前こそ君達とは深く関わったことは無い人種だ。今さら仲良くしようたってやっぱりそう上手くはいかないか。
 良いだろう。僕は鬼堂君と言う通り消えるとするよ。でも、ただのゲームオタクじゃない僕を捨てたことは、これから大きな失敗になるだろう」

 康太郎は暗い表情でへらへらと笑いながら背中を向けると、康太郎の手元からどっさりと金袋が投げられた。
 一体どこでいつ稼いだのか。その袋の中には、光輝が目指すと言っていた約束の金額の倍額。55万オロが入っていた。

「それは君達にあげよう。僕はこれを手に入れるのに戦闘なんて一切していない。僕は頭を使ってるからねぇ。それでは……さらばだ! はーっはっはっは!」

 康太郎は何もかも吹っ切れた様子で大笑いしながら光輝の元から去って行った。

「へ、どうせあいつはこっそり金を持っていたんだ。空気が悪くなったから自棄になって返したんだろ」

「鬼堂。お前……はぁ。もういい。とりあえず明日は国王様に会いに行こう」

 そうして康太郎は勇者一行のメンバーから消えた。戦わずして情報で金を稼ぐ。これが金欠の原因となった康太郎のやっていることだと全員はどうしても信じられなかった。

◆◇◆◇翌日◆◇◆◇

 借金をしてから二日目、康太郎のおかげで目標額の倍を手に入れてしまった勇者一行は、影の頼みごとである、国王に影の生存と活躍を伝えようと、王の間に来ていた。

「ほう。勇者、光輝達じゃないか。あれから魔王討伐の進捗はどうかな?」

「すみません。どうも仲間との馬が合わず、あまり進んではいません。それはともかく、一つご報告したいことがありまして。
 国外追放された勇者。影 白の生存を確認しました」

「へぇ、生きてんだ……」

「そこで、影は無能だと判断した王様ですが……本人のお願いで見直して欲しいとのことでして。活躍を聞いては頂けないでしょうか?」

 光輝は王の前で跪くと、追放されたはずの影 白の生存と、先日起きた低難易度の依頼が尽くキャンセルされていた原因が影にあり、影はお金を稼ぐために狼の縄張りを多数制圧後、ボスの撃破も果たしたことを報告した。

「へぇ、一人で? それは面白い。良いことを聞いた。ありがとう。もう下がっていいよ」

「影を見直してくれるんですか!」

「うん。見直したよ。罪人のくせになかなかやるじゃないか。所で彼は今どこに済んでいるんだい?」

「えっと、ノルデン帝国の外れに家を建てているそうで」

「なるほど。では今度会いに行こうじゃないか」

「おお、ありがとうございます!!」

 光輝は王の言う事に目を輝かせて、これなら影と和解できると確信するが、王は影の生存に表は満面の笑顔だったが、光輝が王の間から去ると不敵な笑みを浮かばせていた。
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