クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

文字の大きさ
28 / 74
第1章 解放

第24話 信頼獲得

しおりを挟む
 僕とグレイブは冒険者にてブロンズランクに昇格し、更に多様な依頼を受けられるようになった。ただ途中で指名手配に指定されるという予想外な出来事があったが、今は他の国に移動する予定が無い僕にとってはあまり意味のないことだった。

 ただし全く意味がないという訳もなく、王国の反逆者だという悪名は勿論帝国中にも広まっており、グレイブが折角手に入れたほんの少しの信頼も一瞬にして失ってしまった。これはどうしたものかと考えながら、僕はグレイブと一緒に依頼を選ぶ。
 王国の反逆者で指名手配といっても、そんな罪人さえ集まる冒険者ギルドでは特にこれといった対応の変化は無く、さらにグレイブがブロンズランクになったことで、これからは僕も依頼を手助けができるようになった。

 そうして僕とグレイブが選んだ依頼はより速い昇格を目指してブロンズが引き受けられる最高の難易度Cを受注した。

 難易度C 魔物討伐
 エンシェントゴーレムの破壊
『依頼を引き受けてくださりありがとうございます。私はガレオン魔導都市魔物研究会の研究員でございます。
 今回依頼させて頂くのは、古代の魔導ゴーレムのサンプルを収集したく、その名のエンシェントゴーレムの破壊・討伐を依頼します。
 しかし、今回の魔物は古代と言われるほどに未だに未知な存在であり、生息場所だけ把握しているものの、それ以外の情報が一切無いのです。一応、どんなゴーレムかと言いますと、巨大でとてつもなく硬い。ゴールドランク冒険者でも苦戦するほどでして。
 つきましては、本来なら破壊が目的ですがこちらの依頼を難易度Cと下げているのは、こちらのリストにあげたゴーレムの体部位さえ持ってきてくれれば、下記通りの報酬をお渡しします』
報酬:
・指定部位一つに付き、50万オロ。全ての部位で、100万オロ。
・破壊成功時は200万オロ。
・高値で売れる『ゴーレムの瓦礫』

 エンシェントゴーレムの討伐。文字を見ただけでも、大変そうなことが分かる。例えグレイブのレベルがいくら高くても今回は本当に苦戦するかもしれない。気を引き締めて挑まないと。

「エンシェントゴーレム。グレイブは知ってる?」

『あぁ、知ってるよ。まさか破壊対象になっているなんて。きっと処理できなかったんだろうなぁ』

「処理? 何かに使われていたのかい?」

『あぁ、僕がまだ物心が付いた頃にね、とある国との大戦争があったんだよ。戦争の理由は確か軍事力の拡大で、こちらは相手国に対する防衛戦だった。
 帝国も勿論軍事力はあったけどね。当時の皇帝、僕の父親が行方不明で軍の指揮も上手くいかず、ボロボロだったんだ。そこで帝国は何としても自国を守るために急ピッチで兵器開発を始め、利便性も性能も無視して、ただ重くて硬い防衛用ゴーレムを作り上げたんだ。
 そして帝国敗北寸前にそのゴーレムは大活躍した。圧倒的な絶壁ともいえる防御力は一切の敵国の侵攻を防ぎ、帝国は余る戦力で一網打尽だ。
 でも問題は終戦後だったんだ。ゴーレムは魔物の意思っていう自我を入れていて、破壊処理をしようも破壊を拒むゴーレムは手が負えない状態になってしまい、帝国はそのゴーレムをとある大昔にあった遺跡に閉じ込めたんだ。それが今のエンシェントゴーレムの顛末かな』

 つまりエンシェントゴーレムって過去に帝国を戦争から守った防衛用の兵器ってことだよね? いやいや、難易度Cでも高いよ。部位を取ってきてくれなんてそれすらも心配になってきた。

「僕達本当に倒せるかな?」

『どうだろうな。私もこの話は母から聞いたことであって本物を間近で見るのは今回の依頼で初めてになるよ』

「まぁ、これも信頼を獲得するためのものなんだよな。なら全力でやろう」

『あぁ』

 こうして僕は依頼書に書いてあった場所、カルデオン遺跡へ向かう。

◆◇◆◇カルデオン遺跡前◆◇◆◇

 カルデオン遺跡はノルデン帝国よりずっと西へ行った先で、馬車で片道5万オロも掛かってしまった。更に、いつの間にノルデン帝国の国境を超えていたらしい。
 遺跡の姿はそこで英雄でも祀られていたのか。派手な鎧を全身に纏って巨大な剣を地面に突き立てた姿勢の石の巨像が置かれていた。遺跡自体は砂岩で作られた、良く映画で見るような形の恐らく三階建ての建物だった。
 また、遺跡の入り口の床には見たこともない紋章が菱形の枠の中に四つ並べられており、この遺跡にとって重要なマークなのだろう考えさせられる。

「一体なんの為に作られた遺跡なんだろうねぇ?」

『すまないが私にも分からない。この遺跡は母に大英雄の墓だと教えられ、何度か連れてきてもらったことがあるが、どんな墓なのか……あまりに昔過ぎて覚えていないな』

 大英雄の墓、かぁ。まぁ、単純に考えるにその大英雄様ってのは、入り口の巨像のことなんだろうけど。うーん、分からないことはいくら考えても分かんないや。とりあえず先に進もう。

 遺跡の中へ入れば、すぐに下りの階段がずっと地下深くへ伸びており、三階建てに見えた遺跡の形は飾りなのだろうと考えた。本当はずっと地下に何かがあるんだろうね。

 階段を降りればその先は以外と狭かった。たった一つの円形の部屋。その中央に使い捨てられたような錆び切った鉄のゴーレムが居座っていた。もしかしてこれがエンシェントゴーレム?

『これが魔導ゴーレムか?』

「たぶん。いや、これでしょ。研究員の人が此処にいるって言ってたんだし、こんなあからさまに置かれてちゃこれしかいないと考える方が自然だと思うけど。
 それに他に部屋も、隠し部屋らしき仕掛けも見当たらないしね」

 僕はエンシェントゴーレムだろうその周囲をぐるぐる回り続けるが一切動く気配が無かった。もしかして長年の放置され過ぎて故障してるんじゃないか?
 なら先へ進もう。この部屋の奥にはもう一つの円形の部屋が見える。

 そうして僕は奥の部屋へ入ろうとした瞬間、背後でごろりと音がした。

『ハク! ゴーレムが!』

「え?」

 エンシェントゴーレムが動き出した。先程の鉄錆もいつのまにか剥がれ、ギラギラと光沢を放つ黒金色の体に青い光の線が全身に伸びていた。

「ヴウウウン」

 ゴーレムといえば真っ先に思いつくのは石で作られた形だが、エンシェントゴーレムは鉄製。こんなのはゴーレムではない。単なる侵入者撃退用の機械兵だ。
 僕は冷や汗をかいた。本当にこんな化け物と戦わなくちゃいけないのかと。

 でもそれは本当だった。なんと僕が入ってきた入り口が閉まってしまった。どうやら部位破壊なんて生ぬるい。エンシェントゴーレムを倒さなくちゃここから生きて帰れないようだ。

「ゴゴゴゴゴ……!」

『ハク、来るぞ!』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...