クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第2章 エリクシア

第42話 ガレオン魔導都市

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 僕は本来僕を襲撃し殺そうとしていたであろうガルムラルクの元精鋭部隊と名乗る集団を買収することに成功した。丁度他の国へ出かけようとしていた僕は、挨拶として今や皇帝となったグレイブの元を訪れ、ついでにガルムラルクについて聞いた。
 ガルムラルクとは300年前に実在した国家らしく、かつ要塞だった。聞いておいて正解だった。グレイブに警戒しておいて損はないと念を押された。

 という訳で目的地はガレオン魔導都市に決め、今までみた冒険者とはかけ離れるほどに強いガルムラルクの集団を護衛にしてガレオン魔導都市へ向かった。

 ガレオン魔導都市に到着。すると僕の目に映ったのは……僕が転移する前の世界に酷似する程に文明が発展した都市だった。
 何故ここだけこんなにも文明の違いがあるんだろう。高く立ち並ぶ高層ビルに、アスファルトの地面、電光板が都市全体を照らしているのか昼間は少し薄暗く、最早ハイファンタジーというよりSFの近かった。
 現代と近未来が融合した都市。

「ほえー……」

「驚いたか?」

「いや、すごく見覚えがあるなって」

「見覚え? お前シュトラール王国とノルデン帝国しか行ったことねぇんだろ?」

「はは、何を言っているんだい? 僕は追放された元勇者パーティーだよ? 僕を殺しに来たのならそれくらいは知っているだろ?」

「いや……?」

 え……この人達まさか金の為に動くって本当だったのかな。何も聞かされずに僕を殺しに来た……? んー王国も実は必死だったんだねぇ。僕ってそんなに悪いことしたっけなぁ……? まさかノルデンと王国がグル……な訳無いか!

「まぁ良いや。別に隠すつもりもない。僕はシュトラール王国から召喚された転移者だ。勇者として召喚されたはずなんだけど、初っ端から役立たずって言われちゃってさ。国外追放を受けたんだ。実は処刑するとも言われてたんだけどね」

「この俺を一撃で気絶させておいて役立たずか。王国こいつのことを見誤ったな……。話してくれてありがとな! 事情がよーく分かったぜ! むしろテメェを殺すつもりは無くなったわ!」

「う、うん……今のさっきまでは殺すか迷ってたんだね……?」

「ははは! いくら金で買収されようが、ぶっ殺す時はぶっ殺すぜ!」

 警戒しておいて正解だった。王国に雇われる前はゲリラ集団とか言ってたからなぁ。やる時はやるって本当だったんだ。

 さて、僕たちは都市に到着すると、早速正面の入り口から入る。特に門番などはおらず、見張りとは言えない白衣の人が挨拶だけしてくれた。
 真っ赤な鎧を全身に纏ったどう見ても怪しい集団なのに、この都市大丈夫かな?

「ようこそガレオンへ。通行証の更新は役所にてお願いします」

 通行証とは僕の首に掛けてある透明なプレートの事だ。帝国に初めて入る時以来だったから存在をすっかり忘れていたよ。
 僕の現在のレベルは27。全ステータスが1から始まり、レベルアップごとに全ステータス+1で魔力はやっと15を超えている。

 通行証の更新は音の魔式を用いてやらなくてはならない。その際に必要な魔力は最低15だったはず。本来ならレベル3~5あるだけで使えるらしいけど、ほんとここまで苦労したなぁ……。

 それで都市に入った後役所で通行証を更新するんだけど……どうやるんだろうか?

「ハク! 更新は終わったか?」

「んーと、どうやるんだっけ?」

「え……おいおいマジかよ。あー、魔力を声に乗せて……って分からんか。ったくしょうがねぇなぁ。通行証貸せ」

 あれぇ? 魔力15あるだけじゃ出来ないのかー。魔式って難しいなぁ……。
 ということで僕はレオンに通行証の更新をしてもらい、ようやく都市の観光を始めることができるようになった。

◆◇◆◇◆◇

 高層ビル群の大通りを少し歩くと全く見知らぬ男の人に声を掛けられた。どうやら相手は僕のことを知っているようだけど……

「君は……! もしかしてカゲリ・ハク君かい!? 報道で見たよ。あーごめん私はヴィヴリオ。ここの魔物研究会で研究員を努めているんだ。エンシェントゴーレムの残骸、本当に助かったよ!」

 あ~、あの人か。そういや顔は一度も合わせたことが無かったね。
 しかし、報道かぁ。この都市は電波まで発展してるのかな?

「あの時の人か。僕も追加報酬でうはうはだったよ。それで? 僕に何か用かい?」

「そうだな。エンシェントゴーレムの研究の成果を見てもらおうかな。渡したい物があるんだ」

 まさか此処で出会うとは。いや、ここで暮らして研究者として働いているんだからあたりまえなんだろうけど、予想もしてなかったな。

 それで僕はヴィヴリオの研究を見に行くのだが、ここでレオンが声をかけてきた。

「ハク、エンシェントゴーレムを倒したのか?」

「え? あぁ、うん。グレイブと一緒にね。あーそうか。確かあの遺跡ってガルムラルクのだっけ?」

「ははは! まさかテメェだったとはな! 実は前まで暫くあの遺跡を拠点していたんだが……警備に設置されたアレを破壊されたと見た時は度肝を抜かれたぜ! 
 いや、別に良いんだ。あそこに厳重保管されている鎧は今はもう開けられない所だからな」

「そうなんだ。じゃあ、行こうか」

 もう開けられないなら僕には関係ない。開けられたとしても開けようとは思わないけどね。
 そんなこんなで僕はヴィヴリオの後について、魔物研究会の研究所に入った。

 研究所は研究者個人が持つキーカードにパスコード、指紋認証といったセキュリティが厳重で、ヴィヴリオの研究室に入るまでそこそこの時間が掛かった。

「ここが私の研究室だ」

 研究室に入って一番先に目に入ったのは、かつて倒したエンシェントゴーレムの残骸が大きなガラスの部屋に置かれている所だった。
 部屋は壁も床も天井も真っ白な鉄壁てつかべで、多くモニターや研究道具が散らばっているだけでなんとなく殺風景だった。

「さてさて、私の研究成果だけど……これだコレ。まだまだ改良の余地があるんだけど、このゴーレムが頭部に持っていた魔晶石と呼んでいる魔力の塊を使って、高濃度の魔力をレーザーとして発射出来る武器を作ってみた。
 破壊力は大岩程度なら木っ端微塵に出来る程だ」

「ふーん。これを僕にくれるのかい?」

「あぁ、お礼の品とでも思ってくれ」

  うーん正直言っていまいちかな。別に武器を頼りにするつもりは無いし……それならビームソードとか作ってほしかったなぁ。

「済まない。僕は要らないかな。これならビームソードとか作れるかな?」

「ビームソードとは?」

「こう、なんというか、レーザーが常に剣の形を作ってくれるというか。そう、ガスバーナーソードだ!」

「なるほど! それはいいね。分かった。ハク君はいつまでガレオンに滞在するつもりだい? それまでに大急ぎで作って見せよう」

「え、ほんとに? なら頼もうかな。とりあえず一週間くらいは滞在しようかと思ってるよ」

「任せられた! よぉし張り切るぞー! あーそういや今日一日は暇を取ろうかと思っていた所だったんだ。良かったらガレオンを案内するよ? 何か聞きたいことがあるならいくらでも質問してくれ」

「それは良いねぇ。ありがとう。なら案内してもらおうかな」

 ガレオン魔導都市。見た目としては僕のいた世界によく似ている。ここまで近未来ではないけどね。案内してくれるならぜひお願いしたいところだ。
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