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1.そのままの君が好きだよ
3.遭遇(1)
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午前の授業を終え、なんとかお昼休みを迎えた。サムエレ殿下のお陰で陰口は止んだけれど、教室にも、学園の皆が集まるテラスにも居たくはなくて。人少なだろうと向かった裏庭で、わたくしは目を見張った。
(ジャンルカ殿下……)
そこには、昨日迄わたくしの婚約者だったジャンルカ殿下と、新しく聖女になったロサリア様がいた。二人は穏やかに微笑み合い、ゆったりとした歩調で歩いている。
(殿下はあんな風に笑えるのね)
眺めながら、わたくしの胸がかつて無い程に痛む。
わたくしは、殿下に歩調を合わせて貰ったことも、肩を抱かれたことも無い。まるで腫れ物を扱うかのように、殿下はわたくしとの距離を取るようにしていたし、必要以上に言葉を交わさないようにしていた。
(殿下はずっとずっと、わたくしとの婚約を破棄したかったんだ……)
昨日今日の思い付きではない。彼はいつかわたくしとの婚約を破棄をするために、必要以上にわたくしと関わらないようにしていたのだと、今更ながら思い知った。
(どうして気づかなかったんだろう)
気づいていたら、こんなにもショックを受けなかっただろうに。自分がふがいなくて、情けなくて、堪らない。胃の辺りがキリキリと痛み、喉の辺りに何かが迫り上がってくる。
(今すぐここから逃げ出したいのに)
そう思うのに、瞳はジャンルカ殿下とロサリア様に釘付けになっているし、身体が一歩も動かない。
(どうしよう)
半ばパニック状態に陥ったそのとき「ディアーナ」
と誰かがわたくしの名前を呼んだ。後から肩をポンと叩かれ、止まっていた時間が動き出したような心地がする。
振り返れば、そこにはサムエレ殿下がいた。殿下は息を切らし、額の汗をそっと拭う。それから困ったような表情でわたくしを見つめながら、ふぅとため息を吐いた。
「探したよ。昼休みになったら声を掛けようと思っていたのに、いつの間にか居なくなってるんだもん。
ディアーナは相変わらず足が速いね」
そう言って殿下は目を細める。その途端、唐突に涙が溢れてきた。心の中の蟠りが、涙と一緒に溶け出すような心地がする。
殿下は「触れても良い?」って伺いを立てつつ、わたくしの頭をポンポンと撫でた。
(ジャンルカ殿下……)
そこには、昨日迄わたくしの婚約者だったジャンルカ殿下と、新しく聖女になったロサリア様がいた。二人は穏やかに微笑み合い、ゆったりとした歩調で歩いている。
(殿下はあんな風に笑えるのね)
眺めながら、わたくしの胸がかつて無い程に痛む。
わたくしは、殿下に歩調を合わせて貰ったことも、肩を抱かれたことも無い。まるで腫れ物を扱うかのように、殿下はわたくしとの距離を取るようにしていたし、必要以上に言葉を交わさないようにしていた。
(殿下はずっとずっと、わたくしとの婚約を破棄したかったんだ……)
昨日今日の思い付きではない。彼はいつかわたくしとの婚約を破棄をするために、必要以上にわたくしと関わらないようにしていたのだと、今更ながら思い知った。
(どうして気づかなかったんだろう)
気づいていたら、こんなにもショックを受けなかっただろうに。自分がふがいなくて、情けなくて、堪らない。胃の辺りがキリキリと痛み、喉の辺りに何かが迫り上がってくる。
(今すぐここから逃げ出したいのに)
そう思うのに、瞳はジャンルカ殿下とロサリア様に釘付けになっているし、身体が一歩も動かない。
(どうしよう)
半ばパニック状態に陥ったそのとき「ディアーナ」
と誰かがわたくしの名前を呼んだ。後から肩をポンと叩かれ、止まっていた時間が動き出したような心地がする。
振り返れば、そこにはサムエレ殿下がいた。殿下は息を切らし、額の汗をそっと拭う。それから困ったような表情でわたくしを見つめながら、ふぅとため息を吐いた。
「探したよ。昼休みになったら声を掛けようと思っていたのに、いつの間にか居なくなってるんだもん。
ディアーナは相変わらず足が速いね」
そう言って殿下は目を細める。その途端、唐突に涙が溢れてきた。心の中の蟠りが、涙と一緒に溶け出すような心地がする。
殿下は「触れても良い?」って伺いを立てつつ、わたくしの頭をポンポンと撫でた。
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