弾キ魔【GLOW】

クリスティーナ破れカブレラ

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嵐。

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警報が発令されていて、何でも、この場所が避難地域に指定され、実家も避難地域に指定されているから、一刻も早く帰宅しなければ難民化してしまうらしい。雨宿り、と云うか、嵐宿りをさせてくれと申し出たのだが、明らか面倒臭を漂わせられ、余りにもしつこく捲し立てるものだから、さっきまで素敵にオヤジどもとあんなに楽しく、この尋常ならざる状況に対して畏怖を心に留めつつ陰鬱なる昂奮を擁しながら、或る種、カーニバル的な喧騒を楽しみつつ盛り上がっていたのに、その表情は一変。例の、靴!靴!靴!で、お馴染み、長靴履き違え事件。慌ただしく勃発していて、何か、奇跡的に同サイズ同デザインの長靴が下駄箱にあり、それを履き違え、緊急 BACK TO THE 現在地。そして、邂逅。ではなく、再会。いやいや、いい人で良かった良かった。いえいえ、こちらこそこちらこそ。ってんで、大団円。そうでなければ、大変なことに。こんなこと初めてですよ。とか何とか言っちゃって、そんな記念すべき日にオレはブザマナイキザマ。受付嬢、しまいには相槌すら消え失せて、うんともすんとも言わない。あたしはその専門外漢、あたしの受け持つ勤務内容じゃ御座いませんよ。と言わんばかり一歩下がって顎をしゃくり、おもいっきりオレの言霊をスルーして、それはあちらの方にお訊きくださいませ!とダンマリキメ込まれたのだけれども、挙げ句の果てには、胎教の為に良くないからと吐き捨て、出産間近の肥立ちを燦然と産前に輝かしく受け入れた  魂  を連れ去り、忘れ形見代わりに、「何か変な人がいますよ?」的なノリで身分の高い人にバトンタッチ、通報されて、「…ん、何か?」って、何かじゃねぇよ!ボケ!明らか不審者扱い。永遠の不審TEENこと通り魔KILLERファッション不審者ルックスのカリスマのこのオレの、不本意に妨げられた、俺の生きる道。昨日晴れて、今日降って。帰途、立ち寄った公衆便所の水洗トイレは、水洗部分が完全に干上がっていた。本当に困った時に誰にも助けられない。これがオレの人徳ってやつか!へっ!嵐に打たれながら、オレは水も滴る醜イイ男。追い風だったからいいようなもの、向かい風だったら難儀したことだろう。少しジャンプしただけで宙に浮いたので、そのまんま空中浮遊して進みながら彷徨っていると、最早、何を目的として歩いていたのかすら忘れ掛けていた。敷かれた道路は、例え、道路標識の正確さを誇り、地盤の固さは安全でも何処に到達するかについては、厳密に言って何処に通ずるものでもないことを悟っている。すると(「すると」って、何が「すると」なのか?判然としないのだけれども…)、いつも行くコンビニの、いつもの店員が、いつものコンビネーションで、前から歩いて来たから、商売にならず、もう店じまいしたたのだろう。ここへ来て、剥奪された、オレの生き残る為の避難地。眼玉を大きく見開いているつもりだったが、気がつくと、嵐の中で道に迷い彷徨っていた。真昼にこのような助けの必要を感じることは稀だ。大抵の人間は、物がはっきり見えると云う健全なる自負を持つこの真昼に。自力歩行による帰巣本能を喪失したオレは、不法侵入しようとしていたのかすらもう判然としないのだけれども、朽ち果てる寸前の廃屋前にい、中をうかがっていた。表札は北野。外れた玄関戸にはセールスマンお断りの如く、オラオラ無用と書かれていた。雑草が生い茂る玄関付近。長屋作りで、玄関戸が外れているので一間しかない家内が丸見えで、中に向かって風が吹き荒んでいる。本当に人が住んでいるのか?疑いを抱くレベルの壁とか床とか腐り具合なのだけれども、生活感剥き出し、家事をしていたものの急に用事を思い出しそのまんま家を飛び出したような状態で、暗闇にアイロン台だけがかろうじて見え、桐箪笥とかも一応、在る様子。廃屋だからと言って勝手に人んちに這入るのは気が引けたので、その家を離れ、Going To The D.O.K.O.K.A... しかし、やっぱり気が変わり、曲がった角の目印として消火栓の位置だとか確認しながら、再びさっきの廃屋に戻って来ると、急に嵐はビタァッ!と止んだ。そして、眼前、シャワーを浴びた直後なのか?(そもそも、シャワーなどあるのだろうか?)泡まみれになりながらも小汚さは払拭出来ないでいる腐り掛けの子宮世代を代表するような、全裸ババァが中からちろちろやって来て、よちよちとババァオレの周りを四つん這いで歩いていた。そして、次第に明るみになる、廃屋事情。今現在、暁の魂が地平面上に漂う、荒れ果てた庭先にいるのだけれども、ストーンズのステッカーを指差し、「あの、あれ、ストーンズっすよねぇ?」「そうそう。」とかなんとか言ったり言われたりして打ち解けているオレと全裸ババァ。ミックジャガーつながりで意気投合し、「浮浪者が一時的に不法占拠してるような感じッスよ!いや、マジで!それにしてもひどいッス!(中略)…じゃァ、つまり、表通りに面した外階段から客がやって来て、つながっている、この廃屋寸前の棲み家には人が来ないっつぅか、バレないっつぅか、商売に支障はないんスね?」「うん、そうそう!」とかっつって、っつわれて、更に、込み入った話をしたらば、アンチエイジングの先をゆく、幼児退行ブーム。一世を風靡した、ババァがガキのような口の利き方をして加齢現象を喰い止める流行であったが、それも最早、今は昔。更にその先をゆく、BACK TO THE 原初形態。退化型エイジレス美貌KEEPINGの極意。進化することは罪であると言わんばかりに退化することで時の流れに対抗し、加齢に対して華麗に逆行しようと云う思想の元、有史以前の原初形態に遡った、四足歩行式アンチエイジングとでも言ったらいいのだろうか?それを且つ全裸美容法と併行して実践しているらしく、オレは、何も言えなかった。矢張り、強ち嘘ではないようだ、「何処発信だよ、その情報?」なんて思っていたんだけれども、白痴ナイズされた我が國の現実状況、即ち現況は。そして、「二足歩行。美しい日本語を話す。」只、それだけのものを異性に求めるオレのSTRIKE ZONEを逸脱してしまったババァ。このことが示す通り、オレが如何にファニーボーイだったか?と云うことが伺える。そして、思い出したように、「そうそう、あの冷蔵庫、助かります!気配り、私の願望そのものドンズバで…!」なんつわれるのだけれども、何を勘違いしてるか?知らんが、オレがこのうちに冷蔵庫を置いてったともってるババァによるオレに対する感謝率は異常。そんなオレは可愛いあの娘ズ安全日に危険な遊戯をする予定。










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