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第一章「由希姉って東京から来たの!?」
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部屋につくや否や、由希は足元から崩れ落ちた。
長い1日だった。
「さすがに奴らの仲間が家まで追いかけてきたりはしないと思うけど。由希姉、色々あって疲れてると思うから今夜は莉愛達が一緒にいてあげる」
由希はこくりとうなずく。
こういう時、誰かが近くにいてくれるだけでも心強いものだ。
「由希さんはゆっくりしていてください。ご飯は私たちが作りますね」と紗南。
少女達が台所へと行ったら、由希はため息をついた。
(これは夢・・・だよね)
自室に戻っても、脳がぐらついたような感覚が残ったままだ。
視覚や聴覚、触覚の全てが幻のように感じる。
男を思い出し、思わず身震いをしてしまった。
(あいつ以外にもまだ他に超能力者がいるってわけ・・・? 現実にそんなことってあり得るの・・・?)
すると寝室テーブルの上に、ぬいぐるみがおいてあるのに気がついた。
ぬいぐるみはウサギのようにも見えるが、リスのような大きい尻尾も付いている。それでいて毛の模様はハムスターのようだ。隣に置いてあるマグカップとほぼ同じくらいの大きさで、目をつぶって眠っているように見える。
(莉愛ちゃんのかな、これ。っていうか、なんか妙に毛並みがリアルで気持ち悪いな・・・。最近子供の間ではこういうのが流行ってるのかな)
由希はそれを手に取り、まじまじと見つめた。大きさの割にずっしりと重量感がある。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
絶叫が由希の部屋から聞こえ、莉愛と紗南は調理の手を止めて、急いで由紀の部屋に入った。
「どうしたの由希姉! またあいつらが来たの!?」
「あっ、由希さん失神してる!」
由希は口から泡を吹き、気を失ってしまっている。
莉愛と紗南は部屋中を見回すが、特に何の変化もない。
「・・・たく、でけー声出すんでね」
莉愛が足元を見ると、ぬいぐるみが頭を抱え、二足で立っている。
「あ、アルちゃん!」と莉愛。
「アルちゃんじゃねえって。アルメルス様って呼べって何回言わせんのよお前」
「今は何があったの?」と紗南。
「あーこのオナゴがよ、オラがぐっすり寝てたらペタペタ触りやがって。目ぇ開けた瞬間叫んで気絶してんだわ」
「それはアルちゃんが悪いよ。早く起こそう」
紗南はそういうと、人差し指を由希の額に当てた。治癒魔法の一つで、失神程度ならばすぐに回復させられる。
すると間もなく、由希はゆっくり目を開けた。
「ううん・・・ウサギが・・・」
「大丈夫ですか? 気を失ってましたよ」
「あ、うん。ごめんね。なんかぬいぐるみが突然目を開けて・・・」
「オラの事かい」
ぬいぐるみのようなそれ、はテーブルに腰掛け、由紀にキザっぽくウインクした。
「ひぃっ・・・!!」由希の顔から血の気が引く。
「落ち着いて由希姉。この子は敵じゃないから。あたしたちの仲間」
由希はその言葉に少しだけほっとしつつも、怪訝そうに見つめる。
「オラの名前はアルメルス15世だ。おめー名前は」
「わ、私は茂上って言います」
「下の名前はなんてーの」
「由希・・・です」
「まあ由希ちゃん聞いてぐれ。おめーがオラの事を不審に思うのもしゃーないわな。だけどオラは一切の敵意はねーから安心してくれ」
「はあ・・・」
「普段オラ、このアパートの地下室の物置にこっそり住んでんだけどよ。ま、今後ともよろしく頼んますわ」
「どこから入ったんですか・・・」
「ん?オラは物体をすり抜ける事ができるんだあ。おめーたちが何やらいろいろあったらしいから様子を見に来たわけ」
「アルちゃん最低! 女性の部屋に無断で入るなんて!」と莉愛。
「はいはい悪かったって。今後は二度とやんねーから安心すれ」
アルメルスはその後、一部始終を説明してくれた。
莉愛と紗南は今まで由希が見てきた通り、魔法を使うことができ、その能力を全て与えたのもアルメルスだという。
「二人こいつらにはちょっとした義理があんだわ。んでもってオラが礼として特別に能力を与えたわけ」
「これで変身するんだよ」と、莉愛は得意げに由希に説明し始めた。手には赤い瓶を持っている。
「それは・・・香水?」
「うん。これをね、ちょっと付けるだけでいいんだ」
「匂いが香っている間だけ、自由に変身できるんです」
紗南も手に青白い瓶を持っていて、指を鳴らすと光に包まれ、由希がさっき見た白いドレス姿に変身した。
「それ使えば、私も変身できるの?」と由希。
「使えね。これを使って能力が発揮されるのは子供だけだで。それも選ばれたごく一部の子供だけだあ」
由希の錯綜している脳は理解が追いつかない。
「まあ、おいおい詳しく説明していくわ」
とアルメルスは肩をすくめた。
「由希さん、このことは誰にも言わないでくださいね。私たちの秘密ですから」と紗南。
「うん・・・ 多分誰も信じてくれないはずだから大丈夫だと思うよ・・・」
その後、普段着に戻った莉愛と紗南が、オムライスと味噌汁を作ってくれた。
オムライスの上にはケチャップで「ゆきねえ❤︎」と書かれている。
「はい、由希姉」
「ありがとう。何から何まで」
「由希さんにはいつもお世話になってますから。このくらいは当然です」と紗南。
オムライスと味噌汁はやや味付けが濃く塩っぱかったが、それがかえって由希の疲れた体に染みた。
その後、少女たちは食後に風呂を沸かしてくれた。
脱衣所で汚れた服を脱ぎ、下着姿になると、莉愛と紗南がじっと見つめているのに気がついた。
「ど、どうしたの・・・」
「由希姉、莉愛たちも一緒に入ろうか?」
(私下手したら警察行きだよ)
謎の男の恐怖がまだ残っていたこともあり一人でいるのは心細かったので、結局、由希は二人と風呂に入ることにした。
アパートの浴室は大人一人ならば丁度いい大きさだが、そこに子供二人が入ればさすがに窮屈になってしまう。
(大丈夫。犯罪じゃない犯罪じゃない。私はロリコンじゃないロリコンじゃない・・・)由希は自分に言い聞かせる。
「由希姉。莉愛たちの事、嫌いにならない?」
「ん?なんで?」
「だってさ、変身して魔法が使えるようになる女の子って普通じゃないでしょ?もしかしたら由希姉、莉愛たちのこと気持ち悪く思っちゃってるかなって、心配だったんだ」
「ううん。そんな事ないよ。確かに最初は驚きの連続だったけど・・・」
「本当ですか?」と紗南。
「うん。嘘じゃないよ。そんなの命の恩人の二人に悪いもんね」
「よかったあ・・・莉愛ちゃんよかったね!」
「うん!」
紗南と莉愛は浴槽の中で満面の笑みを浮かべて両手を繋いだ。
その姿を見て、由希の疲れた顔にも笑みが灯る。
心の奥底がくすぐったい気がして、優しい気持ちになった。
「っていうか、由希姉って意外と胸大きいんだね。何カップ?」
莉愛の何気ない一言に、ほんわかした雰囲気は一転して気まずくなってしまった。
由希は洗面所で少女たちの髪を乾かしてあげた後、丁寧に結んであげた。
(なんか母親になった気分)
莉愛はショートヘアなので手入れが簡単だが、紗南の髪は腰まで届くほどの長さなので手間取ってしまう。
二人の少女と由希はパジャマに着替え、居間に戻った。
昼の事件のことは忘れてしまったかのように少女たちははしゃぐ。
「へへへ。由希姉の部屋で初めてのお泊まり会だー!。紗南、枕投げしよっか!」
「うん!やろやろ!」
「こらこらこらこら。ここをどこだと思ってんの」
寝るまでにはまだ時間があったので、三人はゲームをして過ごした。
「拳銃」を持って戦うシューティングゲームだったので由希は気乗りしなかったが、少女たちはお構いなしで熱中している。ゲームは三人協力プレイができた。
「このっ!こいつしぶとい!!うわっ!やられたあ」
莉愛は何かあるごとに声を出すが、大抵最初に残機がなくなりやられてしまう。
「だがら言ったべ。ダメだってそっちさ行ったら。弾数とダメージ考えて行かねーと」
アルメルスはその横で寝転がり観戦している。その姿はさながら野球中継を見ている中年のようだ。
「莉愛ちゃんは無理に突撃しすぎだよ。もうちょっと装備選んで様子を見てから行かないと」
意外にも紗南のゲームプレイが上手く、由希は関心した。
「あっ、由希さん危ない!」
「え? あっ!」
由希の操作キャラが背後から襲われそうになったため、紗南がタッチの差で敵を倒した。
「危なかった・・・ ありがとうね」
「由希さん、私たちが絶対に守りますね」
「そう。だから安心していいよ? 莉愛たちより強い奴らなんていないんだから」
その言葉の響きには子供だけが持つことができる力強さと、少女らしい優しさが込められていた。
明日は月曜日なので、三人は早々に寝ることにした。
由希と少女たちはベッドの上で川の字になって横たわる。
両脇に子供二人の上に、厚手の羽毛布団をかぶると流石に暑いくらいだったが、由希は不思議と心地よかった。温もりが氷のような不安を溶かしていく。
秋穂には莉愛を10時には必ず寝かしつけるように、と仰せ使っているが、10時をまわっても莉愛は一向に眠る様子を見せずに喋りまくる。紗南は本を読みながら寝落ちしてしまった。
「ねー由希姉ってさ、彼氏いんの?」と莉愛。
「・・・今はいないかな」
今は、と見栄を張ったが由希はこの年になっても恋愛経験がなかった。
子供の頃から興味は読書とラクロスしかなく、高校大学は女子高・女子大。大学時代もずっと神保町での古書あさりに明け暮れ、会社員時代はデスマーチの連続でそれどころではなかったため、恋愛が付け入る余地がなかったのだ。
「莉愛ちゃんは好きな人いるの?」
いたずら心で由希は莉愛に問う。すると莉愛は、
「・・・内緒」
とだけ言って、顔を枕に埋めた。
長い1日だった。
「さすがに奴らの仲間が家まで追いかけてきたりはしないと思うけど。由希姉、色々あって疲れてると思うから今夜は莉愛達が一緒にいてあげる」
由希はこくりとうなずく。
こういう時、誰かが近くにいてくれるだけでも心強いものだ。
「由希さんはゆっくりしていてください。ご飯は私たちが作りますね」と紗南。
少女達が台所へと行ったら、由希はため息をついた。
(これは夢・・・だよね)
自室に戻っても、脳がぐらついたような感覚が残ったままだ。
視覚や聴覚、触覚の全てが幻のように感じる。
男を思い出し、思わず身震いをしてしまった。
(あいつ以外にもまだ他に超能力者がいるってわけ・・・? 現実にそんなことってあり得るの・・・?)
すると寝室テーブルの上に、ぬいぐるみがおいてあるのに気がついた。
ぬいぐるみはウサギのようにも見えるが、リスのような大きい尻尾も付いている。それでいて毛の模様はハムスターのようだ。隣に置いてあるマグカップとほぼ同じくらいの大きさで、目をつぶって眠っているように見える。
(莉愛ちゃんのかな、これ。っていうか、なんか妙に毛並みがリアルで気持ち悪いな・・・。最近子供の間ではこういうのが流行ってるのかな)
由希はそれを手に取り、まじまじと見つめた。大きさの割にずっしりと重量感がある。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
絶叫が由希の部屋から聞こえ、莉愛と紗南は調理の手を止めて、急いで由紀の部屋に入った。
「どうしたの由希姉! またあいつらが来たの!?」
「あっ、由希さん失神してる!」
由希は口から泡を吹き、気を失ってしまっている。
莉愛と紗南は部屋中を見回すが、特に何の変化もない。
「・・・たく、でけー声出すんでね」
莉愛が足元を見ると、ぬいぐるみが頭を抱え、二足で立っている。
「あ、アルちゃん!」と莉愛。
「アルちゃんじゃねえって。アルメルス様って呼べって何回言わせんのよお前」
「今は何があったの?」と紗南。
「あーこのオナゴがよ、オラがぐっすり寝てたらペタペタ触りやがって。目ぇ開けた瞬間叫んで気絶してんだわ」
「それはアルちゃんが悪いよ。早く起こそう」
紗南はそういうと、人差し指を由希の額に当てた。治癒魔法の一つで、失神程度ならばすぐに回復させられる。
すると間もなく、由希はゆっくり目を開けた。
「ううん・・・ウサギが・・・」
「大丈夫ですか? 気を失ってましたよ」
「あ、うん。ごめんね。なんかぬいぐるみが突然目を開けて・・・」
「オラの事かい」
ぬいぐるみのようなそれ、はテーブルに腰掛け、由紀にキザっぽくウインクした。
「ひぃっ・・・!!」由希の顔から血の気が引く。
「落ち着いて由希姉。この子は敵じゃないから。あたしたちの仲間」
由希はその言葉に少しだけほっとしつつも、怪訝そうに見つめる。
「オラの名前はアルメルス15世だ。おめー名前は」
「わ、私は茂上って言います」
「下の名前はなんてーの」
「由希・・・です」
「まあ由希ちゃん聞いてぐれ。おめーがオラの事を不審に思うのもしゃーないわな。だけどオラは一切の敵意はねーから安心してくれ」
「はあ・・・」
「普段オラ、このアパートの地下室の物置にこっそり住んでんだけどよ。ま、今後ともよろしく頼んますわ」
「どこから入ったんですか・・・」
「ん?オラは物体をすり抜ける事ができるんだあ。おめーたちが何やらいろいろあったらしいから様子を見に来たわけ」
「アルちゃん最低! 女性の部屋に無断で入るなんて!」と莉愛。
「はいはい悪かったって。今後は二度とやんねーから安心すれ」
アルメルスはその後、一部始終を説明してくれた。
莉愛と紗南は今まで由希が見てきた通り、魔法を使うことができ、その能力を全て与えたのもアルメルスだという。
「二人こいつらにはちょっとした義理があんだわ。んでもってオラが礼として特別に能力を与えたわけ」
「これで変身するんだよ」と、莉愛は得意げに由希に説明し始めた。手には赤い瓶を持っている。
「それは・・・香水?」
「うん。これをね、ちょっと付けるだけでいいんだ」
「匂いが香っている間だけ、自由に変身できるんです」
紗南も手に青白い瓶を持っていて、指を鳴らすと光に包まれ、由希がさっき見た白いドレス姿に変身した。
「それ使えば、私も変身できるの?」と由希。
「使えね。これを使って能力が発揮されるのは子供だけだで。それも選ばれたごく一部の子供だけだあ」
由希の錯綜している脳は理解が追いつかない。
「まあ、おいおい詳しく説明していくわ」
とアルメルスは肩をすくめた。
「由希さん、このことは誰にも言わないでくださいね。私たちの秘密ですから」と紗南。
「うん・・・ 多分誰も信じてくれないはずだから大丈夫だと思うよ・・・」
その後、普段着に戻った莉愛と紗南が、オムライスと味噌汁を作ってくれた。
オムライスの上にはケチャップで「ゆきねえ❤︎」と書かれている。
「はい、由希姉」
「ありがとう。何から何まで」
「由希さんにはいつもお世話になってますから。このくらいは当然です」と紗南。
オムライスと味噌汁はやや味付けが濃く塩っぱかったが、それがかえって由希の疲れた体に染みた。
その後、少女たちは食後に風呂を沸かしてくれた。
脱衣所で汚れた服を脱ぎ、下着姿になると、莉愛と紗南がじっと見つめているのに気がついた。
「ど、どうしたの・・・」
「由希姉、莉愛たちも一緒に入ろうか?」
(私下手したら警察行きだよ)
謎の男の恐怖がまだ残っていたこともあり一人でいるのは心細かったので、結局、由希は二人と風呂に入ることにした。
アパートの浴室は大人一人ならば丁度いい大きさだが、そこに子供二人が入ればさすがに窮屈になってしまう。
(大丈夫。犯罪じゃない犯罪じゃない。私はロリコンじゃないロリコンじゃない・・・)由希は自分に言い聞かせる。
「由希姉。莉愛たちの事、嫌いにならない?」
「ん?なんで?」
「だってさ、変身して魔法が使えるようになる女の子って普通じゃないでしょ?もしかしたら由希姉、莉愛たちのこと気持ち悪く思っちゃってるかなって、心配だったんだ」
「ううん。そんな事ないよ。確かに最初は驚きの連続だったけど・・・」
「本当ですか?」と紗南。
「うん。嘘じゃないよ。そんなの命の恩人の二人に悪いもんね」
「よかったあ・・・莉愛ちゃんよかったね!」
「うん!」
紗南と莉愛は浴槽の中で満面の笑みを浮かべて両手を繋いだ。
その姿を見て、由希の疲れた顔にも笑みが灯る。
心の奥底がくすぐったい気がして、優しい気持ちになった。
「っていうか、由希姉って意外と胸大きいんだね。何カップ?」
莉愛の何気ない一言に、ほんわかした雰囲気は一転して気まずくなってしまった。
由希は洗面所で少女たちの髪を乾かしてあげた後、丁寧に結んであげた。
(なんか母親になった気分)
莉愛はショートヘアなので手入れが簡単だが、紗南の髪は腰まで届くほどの長さなので手間取ってしまう。
二人の少女と由希はパジャマに着替え、居間に戻った。
昼の事件のことは忘れてしまったかのように少女たちははしゃぐ。
「へへへ。由希姉の部屋で初めてのお泊まり会だー!。紗南、枕投げしよっか!」
「うん!やろやろ!」
「こらこらこらこら。ここをどこだと思ってんの」
寝るまでにはまだ時間があったので、三人はゲームをして過ごした。
「拳銃」を持って戦うシューティングゲームだったので由希は気乗りしなかったが、少女たちはお構いなしで熱中している。ゲームは三人協力プレイができた。
「このっ!こいつしぶとい!!うわっ!やられたあ」
莉愛は何かあるごとに声を出すが、大抵最初に残機がなくなりやられてしまう。
「だがら言ったべ。ダメだってそっちさ行ったら。弾数とダメージ考えて行かねーと」
アルメルスはその横で寝転がり観戦している。その姿はさながら野球中継を見ている中年のようだ。
「莉愛ちゃんは無理に突撃しすぎだよ。もうちょっと装備選んで様子を見てから行かないと」
意外にも紗南のゲームプレイが上手く、由希は関心した。
「あっ、由希さん危ない!」
「え? あっ!」
由希の操作キャラが背後から襲われそうになったため、紗南がタッチの差で敵を倒した。
「危なかった・・・ ありがとうね」
「由希さん、私たちが絶対に守りますね」
「そう。だから安心していいよ? 莉愛たちより強い奴らなんていないんだから」
その言葉の響きには子供だけが持つことができる力強さと、少女らしい優しさが込められていた。
明日は月曜日なので、三人は早々に寝ることにした。
由希と少女たちはベッドの上で川の字になって横たわる。
両脇に子供二人の上に、厚手の羽毛布団をかぶると流石に暑いくらいだったが、由希は不思議と心地よかった。温もりが氷のような不安を溶かしていく。
秋穂には莉愛を10時には必ず寝かしつけるように、と仰せ使っているが、10時をまわっても莉愛は一向に眠る様子を見せずに喋りまくる。紗南は本を読みながら寝落ちしてしまった。
「ねー由希姉ってさ、彼氏いんの?」と莉愛。
「・・・今はいないかな」
今は、と見栄を張ったが由希はこの年になっても恋愛経験がなかった。
子供の頃から興味は読書とラクロスしかなく、高校大学は女子高・女子大。大学時代もずっと神保町での古書あさりに明け暮れ、会社員時代はデスマーチの連続でそれどころではなかったため、恋愛が付け入る余地がなかったのだ。
「莉愛ちゃんは好きな人いるの?」
いたずら心で由希は莉愛に問う。すると莉愛は、
「・・・内緒」
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