まじかる⭐︎ふれぐらんす -魔法少女と3LDK-

むくみん

文字の大きさ
6 / 13
第一章「由希姉って東京から来たの!?」

05

しおりを挟む
翌日、由希が目覚めると少女たちはすでにいそいそと朝食の準備をしていた。甘く香ばしい匂いが有希の鼻腔をくすぐり、空腹を煽る。
 「ううん・・・ 二人ともおはよう」
 「あ、由希姉おはよう!」
 「おはようございます。よく寝れましたか?」
窓から入る午前6時の眩い日光が爽やかで、昨日の事件が遠い過去に見た夢のように由希には感じられたが、
 「オッス、由希ちゃん」
テーブルの上に座っているアルメルスの存在が、由希の不安を呼び戻してしまった。

朝食は莉愛特製のフレンチトーストだ。
朝早くにわざわざ近所のパン屋にまで行って、食パンを買ってきたという。
 「あそこのパン屋さんの食パン、すごく美味しいんですよ」と紗南。
 「それに莉愛の手が加われば、まさに鬼に金棒ってわけ」
 「莉愛ちゃんにしては難しい諺知ってるね」
 「ちょっ・・・!! 紗南、バカにしないでよ! 国語と体育の成績はいいんだから!」
 (あ・・・ これ、ホントに美味しい)
と由希はフレンチトーストのとろけるような旨さに思わず感動し、舌鼓を打った。
そんな由希を不安そうな顔つきで、莉愛は見つめる。
 「由希姉、本当に大丈夫? 莉愛、今日学校休んで一緒にいてあげようか?」
 「ううん。平気だよ。心配してくれてありがとう」
 「オラがいるから安心しろって」
テーブルの上に座っているアルメルスが、食パンの耳をかじりながらそう言った。
 「アルちゃんがいれば心配ないね」と紗南。

それから由希は少女たちをアパートの入り口まで送り届けた。
 「行ってきまーす!」と莉愛はいつもの調子で大きく手を振った。
 「帰ってきたらすぐに様子を見にきますねー!」と紗南も叫び、少女達は別れてお互いの通学路を歩き始めた。

不安で執筆が手につかず、そわそわしながら午前中が過ぎていった。
少女たちがいなくなった部屋が、由希にはどこか広く感じられる。
アムレムスは居間でテーブルに腰掛けたまま、11時のワイドショーを見て笑っている。
 「アホだね~ 不倫なんて絶対バレるに決まってっしょ」
由希はそれを横目で見てため息をつく。
 (こんなちっこいウサギもどきが役に立つのかなあ・・・ でもあの子たちに魔法を使えるようにしたのなら、こいつだって使えるだろうし・・・)
するとアルメルスは、由希のそんな心配を見透かしたように、
 「お?由希ちゃんなんだその目は。オラを疑ってるのか?」
 「うん。疑ってた」
 「おいおいおい。オラがいると百人力だぞ?言っとくけどな、オラが本気になればこの世界ぐれーは一瞬で消し去ることができるんだぞ」
 「・・・どうだか」
 「ま、論より証拠。いいもの見せたるからちょっと屋上に連れてけや」

そう言われ、由希はアルメルスを肩に乗せ、渋々屋上まで連れていった。
屋上はアパートの住人の憩いの場として解放されており、ちょっとしたベンチやテーブル、バスケットゴールなどが置かれている。
丸伐町の景色が一望できるこの場所は、晴れた日など遠くの海が見えたりもしたが、今は曇り空の下で春先の風が冷たいだけだった。

 「よっ、と」
アルメルスは肩から飛び降り、由希はベンチに座って退屈そうに彼を見やる。
 「さてさて・・・じゃあおっ始めるか」

アルメルスは目を閉じ、手を合わせ、そしてブツブツと小声で何かの呪文を詠唱し始めた。
すると突然、アルメルスの足元に何かが光を放ちながら浮かび上がってきた。
幾何学模様の円陣だ。その中には古代語と思われる未知の文字がいくつも記されている。
 「え・・・これって、魔法陣!?」
 「はああああっ!!」
アルメルスが二本の腕を空中に高くかざすと、その先端から眩い閃光が一瞬だけ放たれ、空にへと消えて言った。

 「・・・あれ? もう終わり?」
 「んだ。もう終わったよ」
 「今のも魔法みたいだったけど・・・」
 「この宇宙で使うことのできる魔法の中で、最強の破壊魔法だぁ。今アンドロメダ星雲あたりの惑星を5,6個ぶっ壊したで」
 「どうやって私がそれを確認するのよ」
 「・・・盲点だったな」
 「あんた意外と間抜けだね」

とにかくアルメルスが攻撃能力を持っていることを確認でき、由希は安堵した。
 「はあ、久しぶりに力使ったら腹が減ったわ。由希ちゃん、なんか食わせろ」
 「な、なんて図々しいウサギなの。そんな言い方しなくてもいいじゃない。まあカップ麺あったからそれでいい?」
 「グルメのオラがそんなもん食えっか。一階コンビニで酒ば買ってピザ頼んでけれ。あ、酒は大吟醸な」
 「日本酒にピザって・・・」
 「知らねーのか?意外といけるど」

買い物袋にアルメルスが隠れ、由希は何度もため息を着きながら重い足取りで一階に降りた。
 「コンビニでお酒買うと高上がりなんだよ・・・」小声で由希は呟く。
 「ボディガード代だと思えば安いって」とアルメルス。
タイミング悪くコンビニのレジには秋穂がいて(秋穂はコンビニの副店長だ)、由希の買い物を見るなり、
 「由希ちゃんまだ午前中だよ。朝酒は身上潰すよ~?」
と、笑われてしまい、由希は居心地が悪かった。

 「あんたのせいで恥かいたわ! ほら、さっさと呑みなさいこれ」
部屋で、由希が大吟醸を刺身用の小皿に注ぎアルメルスに渡すと、彼はそれを音を立ててひどくうまそうに飲み干した。
 「ぷは~っ! 五臓六腑に染み渡るで~!」
 (ゴクリ)
ウサギらしかぬ爽快な飲みっぷりに、由希は思わず喉を鳴らし、酒など久しく飲んでいないことに気がついた。
 「由希ちゃんも一杯どうだ」
 「何言ってんの。私はまだ仕事中なんだけど」
 「固え事言うんでね。一杯だけだ。ほれ」
 「・・・一杯だけだからね」



それから二時間後・・・

 「それでねぇ、あたしゃそのハゲ課長にガツンと言ってやったんらよぉ」
 「そうだそりゃ言ったほうがいい!」

読者諸君の想像通り、由希は酩酊しアルメルスとクダを巻いていた。一升瓶は底をついてしまい、午後の日差しを所在なげに受け、瓶を透かした影をテーブルの上に作っている。
 「でへへ、あんた見た目はキモいけど中々話が分かるウサギじゃん」
 「おめーこそ昨今の若者にしちゃあ気骨のあるオナゴだぁ」
 「今日から私たち連盟結成ね。握手しよ握手」
アルメルスは右手を差し出し、由希はそれに人差し指を合わせてお互いに握手をした。

 「あーあ。こんなに酔った情けない姿、あの子たちに見られたくないなあ」
 「あいつら生意気だけどめんこいべ?」
 「そーそー。ホント可愛いよあの子たちは。おねーさん昨日泣きそうになっちゃったもんね」
と、昨晩ゲームをやっている際に聞いた少女たちの言葉が脳裏をよぎった。

 (守ってあげる、か。今までの人生でそんなセリフ言われた事あったっけな)


すると突然、玄関のインターホンが鳴った。
 「あれ、誰だろ」
 「オラが見てこようか? ふあああ・・・」とアルメルスはあくびをして言った。
 「ああ^~大丈夫。知らない人があんたを見たら腰抜かすって」
由希はそう言って壁を伝いながら千鳥足で玄関まで向かい、そしてドアスコープを覗いた。
殺風景な廊下の景色が目の前に広がる。
 「誰もいない。今時ピンポンダッシュかな・・・」
一応確認のためにドアを開け、廊下を見回した。
西日が由希の顔を照らした、その瞬間だった。

高音波特有のキンとした音が一瞬だけ鳴り響いた。
由希は突然強い眠気を覚え、足元から力が抜けていく。
 (あ・・・飲みすぎたかな)
アルメルスを呼ぼうとしたが、弱々しい声しか出ない。
目の前の風景がどんどん歪んで暗くなっていき、そしてとうとうその場に倒れ込んでしまった。
意識がどんどん遠ざかっていく中、自分が何者かに持ち上げられたのだけが由希には分かった。


午後4時を回った頃だった。
バスを降りた紗南は、急いで由希の部屋にへと向かった。一日中、由希が心配で仕方なかった。
すると偶然、アパートの入り口に莉愛が入ろうとしていた。
 「あ、紗南」
 「おかえり。由希さん大丈夫かな」
 「アルちゃんがいるから大丈夫だとは思うけど・・・」

急いでインターホンを鳴らすが、一向に反応が帰ってこない。
二人はすぐに嫌な予感がした。ドアノブをひねると鍵が空いていたので、部屋の中に入ると、子供には嗅ぎ慣れない酒の匂いがしてふと鼻を抑える。
テーブルの上では、空の一升瓶とピザの空き箱と共に、アルメルスが呑気に赤ら顔でいびきを描いて寝ていた。
 「アルちゃん!由希さんはどうしたの!?」
紗南はアルメルスを揺さぶり、無理やりに起こす。
目にはすでに涙が浮かんでいる。
 「む・・・頭が割れる・・・」とアルメルス。
 「アルちゃんのバカ! アルちゃんのまぬけ! アルちゃんの****(自主規制)!」
 「お、おめー 小学生が言っていい単語じゃねーぞそれ・・・ って、おい!由希ちゃんはどこさ行った!?」
 「ううう・・・ どうしよう」
 「他の部屋にもいないよ!?」と莉愛。 

するとテーブルの上に置いてあった由希のスマートフォンが突然鳴り出した。画面に表示されている発信先は田之上からだ。昨日の事情聴取の際、今後のこともあり由希は彼女と連絡先を交換していたのだった。
 「もしもし! 田之上さんですか!?」紗南は思わず電話に出た。
 「え、紗南ちゃん!? 莉愛ちゃんもそこにいる!?」
 「はい、ひっく・・・ 由希さんが・・・ ううう」
紗南は嗚咽が止まらず、莉愛が通話を変わった。
 「田之上さん! 莉愛だけど! 由希姉について何か知ってる?」
 「たった今、駐屯地に犯行予告が届いたんだ! まさか由希ちゃん、もう・・・」
 「その犯行予告には何て書いてるの?」
 「《人質を取った。返して欲しければ丸伐山の麓にある△□採石所跡に、少女ふたりのみで来られたし》・・・ってだけ。今すぐ特殊部隊を送るから!」
 「田之上さん、大丈夫だよ。ここは莉愛たちに任せて。それよりも由希姉に何かあってからじゃ遅いから、救急車とか、色々お願いね」
こういう時、莉愛は意外にも冷静だ。
田之上は何か言いかけたが、莉愛はそのまま電話を切った。
目元には動揺の涙が浮かびあげたが、口元をきっと結んで我慢した。

二人はアルメルスを連れ屋上に走った。西の空には太陽が沈みかけている。
二人は当たりを見回して誰もいないことを確認すると、ランドセルの奥に忍ばせてあった香水を首元にかけ、変身した。

 「由希さんごめんなさい。守ってあげられなくて・・・うわあああん」
紗南はその場にいない由希に謝ると、大粒の涙を流し始めた。
 「紗南。もう3年生でしょ。泣かないの」と、莉愛は紗南の肩を強く掴むと、そう言って励ました。
 「グスッ・・・そうだよね。取り乱してごめん」
 「由希姉、今頃不安で心細いと思う。急いで助けよう!」
 「うん!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...