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第二章:動き出す終末の歯車
第四話:因縁
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俺はローガンに抱きしめられ、後方へ押しやられる。
声のした方へ視線を向けると、塀の上に一人の男が立っていた。
この暑い中、男は黒いロングコートに黒いズボン、顎下まで覆う黒のタートルネックを着込み、鍔の広い黒い帽子を被っている。
金糸のように美しい長髪が、女性的な顔を引き立てていた。
一見すれば、季節はずれな風体の美青年だ。しかし、ルビーをはめ込んだように輝く瞳が、彼が何者なのかを物語っていた。
「ヴァンパイア!?」
こんな真っ昼間に現れるとは、まさかこの男もエルヴィス同様強力な相手かもしれない。
迷わず銃を掴んで身構えると、それよりも早く、ローガンが飛びかかっていた。
「やっぱりお前かあああ!」
「おっと」
ヴァンパイアは塀を蹴ると、舞い落ちる羽のように、ふわりと地面へ降りた。
「危ないですねえ。久々の再会なのに、ずいぶんなご挨拶じゃないですか、人狼くん?」
「うるせえ!」
ヴァンパイアが降り立つ場所、全ての敷石を拳で破壊しながら、ローガンは吠えた。
見たことがないほど、彼は頭に血を上らせている。
それをからかうように、ヴァンパイアはひらりひらりと攻撃をよけ続けた。
俺は飛び散る破片を避けながらローガンに近づくと、ひとまず落ち着くよう呼びかける。もはや半分狼へと変貌していて、荒く呼吸しながらヴァンパイアをにらみつけた。
「ローガン、あのヴァンパイアを知っているのか?」
「あいつが・・・・・・あいつが俺の妹を殺したんだ・・・・・・!」
相手を呪うように低くうなるローガン。
ヴァンパイアは、服に付いた砂埃を払いながら、ため息を付いていた。
「まったく、まだ怒っているんですか? 私があなたの妹を吸い殺したこと」
「忘れるわけがねえだろ! お前のせいでリサは・・・・・・っ」
悲しみに呼応するように、ローガンの体を白毛が覆っていく。
俺は、ローガンの背中を撫でながら、ヴァンパイアに片方の銃口を向けた。
「こんな真っ昼間に、なぜ地上にいる?」
中性的な面立ちをしたヴァンパイアは、優しい表情を浮かべたまま、俺をひたと見つめた。
俺がにらみ返すと、ヴァンパイアは一瞬さみしそうに瞳を揺らす。だが、すぐにもとの柔和な表情を浮かべた。
「さて、なぜでしょうね?」
「今度はローガンを殺す気なら、許さないぞ」
「ああ、それはご安心を。人狼の血はまずいですから」
ローガンの周囲に、殺気が渦巻く。彼の反応を楽しむように、ヴァンパイアは続けた。
「ほら、すぐに怒る。だからあなたは弱いんですよ。自分の激情に任せて行動した結果妹も失い、そこにいる黒髪のお兄さんにも自分の考えばかり押しつけている。ーー滑稽ですね」
「黙れ!」
ついに我慢の限界がきたのか、ローガンは完全な狼形態へ変化し、ヴァンパイアへ飛びかかった。
重力を感じさせない俊敏さで、ヴァンパイアとの距離を積める。
「おやおや、これだから発情期のきた人狼は嫌です。ーーそう思いませんか?」
俺の背後に回り込み、ヴァンパイアは笑った。
驚くべきスピードだった。
狼へと変わったローガンのスピードは、そうそう逃げられる物ではない。並のヴァンパイアであれば瞬殺できてしまうほどだ。
それを、この男は軽々と避けている。場所は太陽の下という、ヴァンパイアにとって辛い環境であるにも関わらず、奴には余裕すら垣間見えた。
ローガンですら追いついていない動きに、俺が反応できるわけがない。
後ろを向いたときには奴の姿はなく、一陣の風が渦巻いているだけだった。
声のした方へ視線を向けると、塀の上に一人の男が立っていた。
この暑い中、男は黒いロングコートに黒いズボン、顎下まで覆う黒のタートルネックを着込み、鍔の広い黒い帽子を被っている。
金糸のように美しい長髪が、女性的な顔を引き立てていた。
一見すれば、季節はずれな風体の美青年だ。しかし、ルビーをはめ込んだように輝く瞳が、彼が何者なのかを物語っていた。
「ヴァンパイア!?」
こんな真っ昼間に現れるとは、まさかこの男もエルヴィス同様強力な相手かもしれない。
迷わず銃を掴んで身構えると、それよりも早く、ローガンが飛びかかっていた。
「やっぱりお前かあああ!」
「おっと」
ヴァンパイアは塀を蹴ると、舞い落ちる羽のように、ふわりと地面へ降りた。
「危ないですねえ。久々の再会なのに、ずいぶんなご挨拶じゃないですか、人狼くん?」
「うるせえ!」
ヴァンパイアが降り立つ場所、全ての敷石を拳で破壊しながら、ローガンは吠えた。
見たことがないほど、彼は頭に血を上らせている。
それをからかうように、ヴァンパイアはひらりひらりと攻撃をよけ続けた。
俺は飛び散る破片を避けながらローガンに近づくと、ひとまず落ち着くよう呼びかける。もはや半分狼へと変貌していて、荒く呼吸しながらヴァンパイアをにらみつけた。
「ローガン、あのヴァンパイアを知っているのか?」
「あいつが・・・・・・あいつが俺の妹を殺したんだ・・・・・・!」
相手を呪うように低くうなるローガン。
ヴァンパイアは、服に付いた砂埃を払いながら、ため息を付いていた。
「まったく、まだ怒っているんですか? 私があなたの妹を吸い殺したこと」
「忘れるわけがねえだろ! お前のせいでリサは・・・・・・っ」
悲しみに呼応するように、ローガンの体を白毛が覆っていく。
俺は、ローガンの背中を撫でながら、ヴァンパイアに片方の銃口を向けた。
「こんな真っ昼間に、なぜ地上にいる?」
中性的な面立ちをしたヴァンパイアは、優しい表情を浮かべたまま、俺をひたと見つめた。
俺がにらみ返すと、ヴァンパイアは一瞬さみしそうに瞳を揺らす。だが、すぐにもとの柔和な表情を浮かべた。
「さて、なぜでしょうね?」
「今度はローガンを殺す気なら、許さないぞ」
「ああ、それはご安心を。人狼の血はまずいですから」
ローガンの周囲に、殺気が渦巻く。彼の反応を楽しむように、ヴァンパイアは続けた。
「ほら、すぐに怒る。だからあなたは弱いんですよ。自分の激情に任せて行動した結果妹も失い、そこにいる黒髪のお兄さんにも自分の考えばかり押しつけている。ーー滑稽ですね」
「黙れ!」
ついに我慢の限界がきたのか、ローガンは完全な狼形態へ変化し、ヴァンパイアへ飛びかかった。
重力を感じさせない俊敏さで、ヴァンパイアとの距離を積める。
「おやおや、これだから発情期のきた人狼は嫌です。ーーそう思いませんか?」
俺の背後に回り込み、ヴァンパイアは笑った。
驚くべきスピードだった。
狼へと変わったローガンのスピードは、そうそう逃げられる物ではない。並のヴァンパイアであれば瞬殺できてしまうほどだ。
それを、この男は軽々と避けている。場所は太陽の下という、ヴァンパイアにとって辛い環境であるにも関わらず、奴には余裕すら垣間見えた。
ローガンですら追いついていない動きに、俺が反応できるわけがない。
後ろを向いたときには奴の姿はなく、一陣の風が渦巻いているだけだった。
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