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エピローグ
アイシテル
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木々の隙間を縫い、太陽光が地面を照らす。
鬱蒼とした、苔むした地面が、朝露に濡れて輝いていた。
鼻先に落ちてきた滴を指先でそっと払うと、背後で衣擦れの音がした。
見なくても、気配とにおいで誰か分かる。
「おはよう、エルヴィス」
「ライアン、一人で地上に出るな」
「地下の入り口を隠してる術式が大丈夫か確認してたんだよ」
この森一帯には、俺が施した術式で結界が張られている。
入り口にもヴァンパイア以外のものを弾く術式をかけていたため、俺は毎日周囲を見回っていた。
地下王国が出来上がって数ヶ月経。すでに多くのヴァンパイアが移り住み、王国の規模も日々拡大していた。
「エルヴィスこそ、穴の表面がきちんと氷で補強されてるか確かめておいてね」
「心配ない。俺よりお前の術式の方が強力だ。それより・・・・・・」
エルヴィスはその場に片膝を付くと、俺の腹に額を当てた。
「お前は今大切な命を宿している。できるかぎり屋敷から出ないで欲しいのだが・・・・・・」
「でも、適度な運動が必要だって、デズモンドも言ってたよ」
「毎日歩き回るな。イザークも泣きながらお前を捜してるぞ」
「えっ、それじゃあ帰らないと・・・・・・」
泣き叫びながら王国を駆け回るイザークの姿が、容易に想像できる。
俺はお腹に手を当て、苦笑した。
まだお腹は膨らんでおらず、子供の存在すら感じ取れない。だが、ここには確かに、俺とエルヴィスの子が宿っている。
早く会いたい。顔を見せて欲しい。
王族の懐妊は実に千百年ぶりで、誰もが王子の誕生を待ち望んでいる。
「この子には、争いのない世界で育って欲しいなあ・・・・・・」
「それには、俺たちが早く片を付けないと」
「・・・・・・ん、そうだね」
「本当に、戦争を始めてもいいのか?」
エルヴィスは瞳を揺らしながら、俺の肩に手を置いた。
「お前は、まだーー」
「マースとはいずれ決着をつけなきゃいけない。聖騎士団は、俺たちやこの子の障害になる」
先日、王国全体の集会で、俺は開戦を宣言した。
この先ヴァンパイアが安心して暮らすため、聖騎士団との全面戦争を開始する。
できれば避けて通りたい道だったが、この数ヶ月の間にも、仲間が大勢殺された。
俺はもう一国を背負う王だ。
王ならば、自分の配下たちを死んでも守らなくては。
「もともと俺がマースと始めたこと。俺の命と引き替えにしても、奴をーー」
「そんな事言うな!」
強く抱き寄せられ、俺はエルヴィスの腕の中にすっぽりと収まる。
従兄の・・・・・・伴侶の体が震えていた。
「もう二度と、お前を失いたくない。お前も、この子も、俺が必ず守る」
「ーーうん。ありがとう、エルヴィス」
この先なにが待ちかまえているか分からない。
俺たちも聖騎士団も、互いに無傷での勝利はあり得ない。
もし、俺の大切な人たちが傷つくのであれば、たとえエルヴィスが止めようとも、俺はーー。
「ライアン?」
「なんでもないよ」
不安げに見下ろしてくるエルヴィスの頬に手を添え、俺は目を細めた。
ちょうど、エルヴィスの後ろで太陽が顔を出したのだ。
まるで後光のように、エルヴィスを背後から照らしている。
「エルヴィス、愛してるよ」
「ああ、俺もお前を愛してる。ーー永遠に」
俺たちは互いを掻き抱き、愛を確かめるように、深く甘いキスを交わしたーー。
to be continue…
鬱蒼とした、苔むした地面が、朝露に濡れて輝いていた。
鼻先に落ちてきた滴を指先でそっと払うと、背後で衣擦れの音がした。
見なくても、気配とにおいで誰か分かる。
「おはよう、エルヴィス」
「ライアン、一人で地上に出るな」
「地下の入り口を隠してる術式が大丈夫か確認してたんだよ」
この森一帯には、俺が施した術式で結界が張られている。
入り口にもヴァンパイア以外のものを弾く術式をかけていたため、俺は毎日周囲を見回っていた。
地下王国が出来上がって数ヶ月経。すでに多くのヴァンパイアが移り住み、王国の規模も日々拡大していた。
「エルヴィスこそ、穴の表面がきちんと氷で補強されてるか確かめておいてね」
「心配ない。俺よりお前の術式の方が強力だ。それより・・・・・・」
エルヴィスはその場に片膝を付くと、俺の腹に額を当てた。
「お前は今大切な命を宿している。できるかぎり屋敷から出ないで欲しいのだが・・・・・・」
「でも、適度な運動が必要だって、デズモンドも言ってたよ」
「毎日歩き回るな。イザークも泣きながらお前を捜してるぞ」
「えっ、それじゃあ帰らないと・・・・・・」
泣き叫びながら王国を駆け回るイザークの姿が、容易に想像できる。
俺はお腹に手を当て、苦笑した。
まだお腹は膨らんでおらず、子供の存在すら感じ取れない。だが、ここには確かに、俺とエルヴィスの子が宿っている。
早く会いたい。顔を見せて欲しい。
王族の懐妊は実に千百年ぶりで、誰もが王子の誕生を待ち望んでいる。
「この子には、争いのない世界で育って欲しいなあ・・・・・・」
「それには、俺たちが早く片を付けないと」
「・・・・・・ん、そうだね」
「本当に、戦争を始めてもいいのか?」
エルヴィスは瞳を揺らしながら、俺の肩に手を置いた。
「お前は、まだーー」
「マースとはいずれ決着をつけなきゃいけない。聖騎士団は、俺たちやこの子の障害になる」
先日、王国全体の集会で、俺は開戦を宣言した。
この先ヴァンパイアが安心して暮らすため、聖騎士団との全面戦争を開始する。
できれば避けて通りたい道だったが、この数ヶ月の間にも、仲間が大勢殺された。
俺はもう一国を背負う王だ。
王ならば、自分の配下たちを死んでも守らなくては。
「もともと俺がマースと始めたこと。俺の命と引き替えにしても、奴をーー」
「そんな事言うな!」
強く抱き寄せられ、俺はエルヴィスの腕の中にすっぽりと収まる。
従兄の・・・・・・伴侶の体が震えていた。
「もう二度と、お前を失いたくない。お前も、この子も、俺が必ず守る」
「ーーうん。ありがとう、エルヴィス」
この先なにが待ちかまえているか分からない。
俺たちも聖騎士団も、互いに無傷での勝利はあり得ない。
もし、俺の大切な人たちが傷つくのであれば、たとえエルヴィスが止めようとも、俺はーー。
「ライアン?」
「なんでもないよ」
不安げに見下ろしてくるエルヴィスの頬に手を添え、俺は目を細めた。
ちょうど、エルヴィスの後ろで太陽が顔を出したのだ。
まるで後光のように、エルヴィスを背後から照らしている。
「エルヴィス、愛してるよ」
「ああ、俺もお前を愛してる。ーー永遠に」
俺たちは互いを掻き抱き、愛を確かめるように、深く甘いキスを交わしたーー。
to be continue…
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