白露の蜘蛛はあなたを愛しましょう ~転生者以上にチート過ぎませんか~ (仮)

志位斗 茂家波

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出会いましょう、新しい世界と共に

閑話 ちょっとだけの下見

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…与えられた、王家直轄領地ローシア領の一角。
 将来的に済みやすい家としての邸宅が建築される予定であり、その費用は王家が担うので、希望道理のモノを立てても構わないとのこと。

 とはいえ、流石にすぐにそんな建物が建築できるわけでもなく、きちんとした業者に要望を通して依頼を行い、地道に待つことになる。

 その間はその地に住むわけでもないので、別に問題はないのだが…


【それでも一度、下見したほうが良いと思いましたけど…流石、王家直轄領地。綺麗な景色ですね】
「結構な距離をまた走ってきたけど…大丈夫なの、ハクロ?」
【問題ありませんよ、旦那様。この間は馬車も馬も人も大量に無茶して引っ張ったから滅茶苦茶疲れましたけれども、今回は旦那様だけを背中に背負って走ってきただけなので、十分余裕ですよ。夕方ごろに帰路についても、走って帰れますからね!】

 ぐっとこぶしを握り、自信満々に胸をたゆんっと震わせて張ってそう告げるハクロ。

 先日の怪物騒動と比較して体力の消費は少ないらしく、姿も大きく転じて身軽になったのもあってなのか、行動するにあたって支障はないらしい。
 本来なら馬車で時間をかけて向かう場所なのだか、彼女の手にかかればものの十数分もかかることなく、走り抜けて到達してしまった。

 絶対に、前よりもパワーアップしているというかなんというか…しいて言うならば、あの蜘蛛の背中が大きくあった時ならばまだ動物の背中に乗っている気分だっただろうに…落ちないように尻尾サイズレベルまで縮小した蜘蛛部分があってまだよかったのだが、密着するのはちょっと心臓に悪い。



 とにもかくにも、こうやって休日を利用してやってきたわけだが、王家直轄領地というだけあってか綺麗な景色が広がっている。
 主に広大な草原が…一応一部では耕作物もあるようで、穏やかな村も形成しているようだ。

 そのうち家が出来たらしっかりとあいさつ回りをする必要もあるが、まだ先のこと。
 ここは軽く見物する程度で良いだろう。


 季節としても夏季が終わったことで少しずつ風も冷え始めており、夕暮れごろには寒さが静かにやってくるから、その前に暖かい寮室へ戻ったほうが気持ち的には良い。


【それにしても、予定場所をみるとこういう感じの邸のほうが似合いますね…ふむ、部屋はここに食堂と、夫婦の寝室と…】
「いつのまに、さらさらっと家の設計図を書いているんだよ」
【ふふふ、しっかりと将来を見越して旦那様と過ごす巣で、最適なものをデザインできるように学んでいましたからね!!学園での建築科の授業も覗きましたし、他建築関係の職業の方々に聞いたりして、万全のものを用意できるようにしました!!…流石に設計だけで、本格的な建築は業者に任せますけれどね】
「あ、設計だけか」
【やろうと思えばできますが…私としては糸で作ったほうが得意なので、糸以外の素材を使用するならば専門職のほうが良いのですよ】

 できなくはないが、やるならばしっかりとした本職の方のほうが良いらしい。
 もちろん、怪しい業者でなく王家のほうでしっかりと御用達レベルの方々を選定するようで、どのような出来になるのかは、失敗する方面への不安はないが別の意味での不安のほうが大きい。
 それ、本当に邸宅レベルで済むよね?設計図がちょっとのぞけるけど、明らかに普通のレベルで収まるように見えないよ。

「あとさらっと、変な部屋も入っているような」
【これですか?えっと…ええ、何でもないですよ、旦那様】
「何で目をそらすの」

 ツッコミを入れると、嘘くさい口笛を吹きながら目をそらすハクロ。
 何を作り、何をやらかす気だろうか。

 全部不安しかないなぁ…まともな家にはなるだろうけれども、何かこう、もっと凄まじいやらかしが未来に見えるような…うん、王家直轄領内だから、多少は自重してね。

【…大丈夫ですよ、旦那様。今はまだですけれども、将来のためにしっかり、準備はしておくものなのです】
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