拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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一難去ってもなぜこうも来るのか

#155 世間は案外狭いらしいのデス

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SIDEシアン

……朝方、ハクロがいつの間にかベッドにもぐりこんでいたことは良いだろう。

 だがしかし、ひとつこれだけは言わせてもらいたい。

「ハクロ、次にやらかしたら今度は命がどうなるかわからないよ」
はひはい……】
「具体的に言うと、ワゼが今度はこの間うっかり作ったらしい爆竹を突っ込むらしいからね」
【どこにですか!?というか、ワゼさんがうっかり作ったってどう考えてもわざとらしいんですけれど!?】

 まぁ、それは同意しよう。ワゼの事だから、うっかりではなく別の目的が会ったのだろうけれども‥‥‥気にしないほうが良いか。
 


  朝、起床したらやけに息苦しくて、目の前に何かが押しつけられていた。

 それが彼女の胸であることに気が付き、慌てて逃れるようにしたが、時すでに遅くて……ちょっとばかり、あの世を体験してきたかもしれない。

 まぁ、ワゼが寝ているハクロの口を開けて、何かを投入し、それで彼女が目覚めてくれなかったら本気で死にかけたからね…‥‥魔王らしいとこの間言われたばかりなのに、その魔王の死因がこんな情けないもので良いわけないだろう。

 それにしても、あの投入したやつ、ハクロの双丘で見にくかったけど、何処かで見たことがあるような色合いだったような……。


 何にしても、十分反省したようなので、今後の対応策を練りつつ、今日は僕らは首都内の観光をすることにした。

 前のギルドでの依頼からしばらく経っていたが、首都内は相も変わらず人が多い。

 にぎやかであり、なおかつ明日に控える親善試合の話題で盛り上がっているせいか、祭りごとのように人々は活き活きとしていた。


「うわぁ、前にも観光したけど、今日はそれ以上の賑わいだなぁ‥‥‥」
【色々とありますし、珍しいものもありますよね。あ、露店も結構出ているようです】
「既に今年の親善試合に参加する騎士団についてのリストもあるようデス。戦力的面が気になりますし、いくつか確認のためにもらいまショウ」


 ヴェールヌイ騎士王国の騎士団と、このボラーン王国の騎士団との、親善試合。

 どちらの国の騎士も強豪ぞろいのようで、試合での健闘が楽しみである。

「うーん、でもなんか情報が意図的に隠されているよね。これとかシルエットじゃん」

 騎士に関しての情報であったが、一応国に所属する者たちゆえか、機密的な意味合いもあるせいなのかはわからないが、その姿絵が描かれたパンフなどでは、一部の騎士たちが黒く塗りつぶされていたのである。

「どうやら、シルエットの騎士がどの様な人物なのか、予想するゲームでもあるようですネ。賭けの対象にもなっているようデス」

 そう言ってワゼが指さした先には、賭け事専用の店らしき露天に群がる人々。

 何処の世界でも娯楽に飢える人はいるようで、かなり盛況しているようである。


「せっかくだし、僕らも賭けてみようか?」
【それも良いですね。でしたら、フィーアが出るようですし、彼女に賭けましょう】
「あ、シルエット扱いのようデス」

 何にしても、たまにはこういう娯楽に金を投じて見ても良いかもと思っていた、その時であった。



どかっ!!
「きゃあああああ!!ひったくりよぉぉぉぉ!!」

 突然あがる悲鳴の方角を見れば、倒れた女性から鞄をぶちっと奪い去る男がいた。

 言われるまでもなくひったくりの現行犯のようで、衛兵たちが来る前に逃走を始める。


 
「ワゼ、速攻で取り返しに‥‥‥‥」

 せっかくにぎわっている中で、水を差されたのが気に喰わない。

 取りあえず、フンフがいたほうが良かったかと思いつつ、ワゼに命じてひったくりを追わせようとした…‥‥その瞬間。



【でっせぇぇぇい!!】
「ぐわあああああああああああああああ!?」

「‥‥へ?」

 ひったくり犯が、何者かの掛け声とともに、宙を舞った。

 そのままぐるぐると見事にきりもみ回転しつつ、地面に叩きつけられる。

「がふゎっ!?」
【…‥ふん、か弱き者から物を奪うとは、何たる情けない奴か!!】

 だぁんっと蹄を男の横に叩きつけ、そう叫ぶのは‥‥‥‥

「け、ケンタウロス……?」


 下半身が馬、上半身が騎士鎧に包まれたその者は、まさにモンスターの話でよく出るような代表格、ケンタウロスというモンスターそのものである。

 なぜその者がいるのかはともかく、ひったくり犯は地面を濡らして気絶していたのであった。


【全く、せっかくの親善試合前の散策だというのに、嫌なものに出くわしたな‥‥‥】

 騒ぎを聞きつけた衛兵たちにひったくり犯を引き渡しつつ、そのケンタウロスの人はそう声に出す。

「あ、あの、ありがとうございました!」
【ん?ああ、別に礼はいいぞ。私はただ、あのような不埒者を許せなかっただけだからな】

 女性からお礼を貰いつつ、礼儀正しく答えるケンタウロス。

 モンスターとは言え、その威風堂々、正義感溢れるその様は、着ている騎士鎧に恥じぬ騎士そのものであり、声が高いところを聞くとおそらく女性なのだろう。


【…‥‥あれ?】
 
 そこでふと、ハクロが首をかしげてつぶやいた。

「どうしたの、ハクロ?」
【いえ、なんか今の声に聞き覚えがあるような‥‥?】

 気になったのか、その騎士ケンタウロスの側へ行くハクロ。

 相手の方もハクロのことに気が付いたようで、彼女の方へ向いた。


【ん?なぜここにアラクネが…‥‥んん?】

 相手の方も何やら疑問の声を上げ、首をかしげる。

【ん?んん?】
【ん~?】

 互いに首を傾げつつ、近づき、そしてケンタウロスの方が動いた。

【…‥‥あれ?もしかして…‥‥白チビアラクネ?】
【‥‥‥その呼び方ってことはもしかして……え?】

 ケンタウロスの方が兜を抜き、その素顔をさらす。

 ポニーテルにまとめ上げられた赤い髪に、真紅の瞳。

 ハクロも美女だが、そちらのケンタウロスもなかなかの美人とも言えるだろう。


 その素顔を見て、ハクロは目を見開く。

【え…‥‥嘘、もしかして……ケンタウロスの姉さん?】
【その言い方……やっぱり、白チビアラクネか】
【やっぱり、あのケンタウロスの姉さんじゃないですかぁ!!】

 そう叫び、ハクロが駆け寄ってケンタウロスにがしっと抱き着く。

【やっぱりです、やっぱりですよ!!あのケンタウロスの姉さんなんですね!!】
【そっちもやっぱり、あのアラクネの群れの箱入り娘のような白チビアラクネ!!久しぶりだなぁ!!】

 互にガシッと抱き着き、喜び合う彼女達。

……どうやらあのケンタウロスの女性は、前にハクロが話していたケンタウロスの姉のような人だったらしい。いや、人じゃなくてモンスターだが…‥‥。


 とにもかくにも、この再会劇に、周囲の人達もあっけにとられつつ、どちらも美女のせいかぶっ倒れる人がでたりと、少しだけカオスな状態になるのであった‥‥‥‥




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