拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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一難去ってもなぜこうも来るのか

#157 前夜のそれぞれの動きなのデス

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SIDEワゼ

……親善試合の前夜。

 ワゼは持ってきた箱の工房内で、フィーア及び残りのミニワゼシスターズの最終メンテナンスを行っていた。

 ミスティアの方の護衛には、今日はツヴァイ&フンフを出向かせており、全員同時と言う訳ではないが、それでもこれで100%完璧にするつもりであった。

「しかし、合体回路部分の改修もしておきたいですしネ。おっと、この部分ももう少し削ったほうが良いデスネ」

 カチャカチャと内部の部品などを分解・再構築・交換しつつ、明日に備えて完璧に仕上げていく。

 全員バラバラになっているので知らない人が見れば、凄惨な殺人現場に見えてしまうであろう。

 何にしても、ある程度済んだところで、ふとワゼは気が付いた。


「…‥‥案の定というか馬鹿もいるようですネ」

 自身の探知した範囲内の敵を確認しつつ、そっと箱からワゼは出る。

 ベッドの方を見て見れば、彼女のご主人様でるシアンが熟睡しており、ハクロは天井のハンモックからずり落ちている。

 

「全員のメンテナンスを完璧にしたいので、こういう事に時間はとられたくないですが…‥‥仕方がないデス」

 はぁっと溜息を吐きつつ、ワゼは宿の外に出た。

 がしゃんっと腕を変形させ、武器を取り出す。

「フィーアの合体用のために、いくつか試作した武器もありますし、せっかくですから試し切りと行きましょウ‥‥‥‥」

 人が集まる首都だけに、普段以上に頭のよろしくない方々もそろっているらしい。

 そう言ったところから来る輩も、出来るだけ排除しておくのだが、それでもどうしても漏れ出してくる馬鹿者たちが出るのは仕方がない。

 こういう者たちがいる事をシアンに知られると、機嫌を悪くするだろうし、ご主人様の気分をいい方へもっていくためにも、人知れずお掃除したほうが良い。

「さてと、ではかかってきてくださいネ」

 月明りに照らされるワゼの笑顔。

 だが、その目の奥は笑っておらず、かかって来る者たちをただの実験台として見るのであった…‥‥



――――――――――――――――――――――――――――
SIDEヴェールヌイ騎士王国の女性騎士団第3小隊宿泊施設

【んー……もう少しだけ、武器のメンテナンスをしたほうが良いな】

 明日の親善試合を控える中、騎士団が宿泊している部屋の中で、ルルは己の持つ武器や鎧の手入れをしていた。

 日々の鍛錬もあるが、こういう大事な試合前にはなんとなく目が冴えるので、ゆっくり眠るためにも己の武器のメンテナンスを行うのである。

【にしても、昼間にあの白チビに会えるとはな】

 かつてのアラクネの群れにいた、心労をかけさせられまくりつつも、妹のように想えたハクロとの再会を思い出し、ルルは笑みを浮かべる。




……ヴェールヌイ騎士王国の騎士として所属している中で、その働きの中にはモンスターの討伐がある。

 その討伐情報の中で、ある時ルルはとあるアラクネの群れが討伐された情報を聞き、嫌な予感がしたのだ。

 討伐情報のあった場所に、休暇を取って赴いて見れば…‥‥そこは、昔であったあの白チビ……ハクロがいた群れである事が確認できた。

 モンスターとして討伐される危険性も思えていたが、習性などを考えると仕方がない事でもある。

 それでもやはり、かつて出会ったことのある者たちが討伐されたと聞くと、心が痛むのだ。



 念のために、探してみたが‥‥‥‥あの白チビだけは、討伐された形跡はなかった。

 情報を集めて見たところ、その白チビと思わしきアラクネをめぐっての冒険者同士のいざこざがあり、その隙に逃げだしたのだろう。

 無事に逃げ出せたのかと思う反面、その行方に不安を抱いていたが…‥‥今日の再会のおかげでその心配はなくなった。

 むしろ、つがいとなる相手が出来ていたことに驚愕したが…‥‥まぁ、あの白チビとて流石にもういい大人のような者だし、問題はないだろう。


【…‥‥あれ?そう考えると私の方はどうなのだろうか?】

 そこでふと、その事実にルルは気が付いた。

 妹のようなアラクネの方にはつがいが出来たのに、自分には浮くような話は無い。

 もしかすると、人生の負け組に入るのではないかと一瞬思ったが、どうしようもないだろう。

【うん、考えないようにしたほうが良いか…‥‥】
【何を考えないようにするんや?】
【うわっ!?】

 突然、後ろから聞こえてきた声に、思わずルルはびくっと体を振るえさせた。

【な、なんだ副団長か…‥‥驚かせないでくれ】
【悪い悪い。明日の親善試合でどういう戦法をすべきか、相談しに来ただけなんや】

 くしししっと、全然反省していないように喋る副団長。

 彼女はこの騎士団の副団長であり、ルルと同じモンスター‥‥‥デュラハンのララ。

 大剣を背中に背負いながら、よっこいせっと腰を下ろす。



【相談しに来たところで、何やらぶつぶつとつぶやいているようやったし、声をかけたんやけど‥‥‥何かあったかいな?】
【ん?ああ、あったな】

 ララに対して、ルルは昼間の出来事を手短に話した。

【ふーん、妹分が無事に生きておったのか。そりゃ朗報やな】
【生きていたのは嬉しいけれど……まぁ、なんというか人生の勝ち組に乗られたような気がしてな】
【なんとも言えない耳の痛い話しやな…‥‥】

 ルルの言葉に、ララは苦笑して答える。

【まぁ、うちはデュラハンやし、アンデッド系だから気にしないほうが良いんやろうなぁ…‥‥気にしてしまうのは、やっぱし生前の問題やったのやろうか?】
【生前かぁ】

……アンデッドのモンスターの中でも割と有名なモンスター、デュラハン。

 生前の記憶はほとんどの者は持っていないらしいが、それでもそれなりに名を残すような騎士がなりやすいと言われているらしい。

【ま、そんなことは覚えてないし、どうでもいいんやけどな。死体になってしまえば、もう結婚なんて気にしなくても良いから気楽やで】
【そういうものなのか?】
【そういうものや】

 互にあはははっと笑いつつも、やはり何となく気にしてしまう、女性騎士としての問題。

【あ、でもしいて結婚に関しての願望をあげるのであれば、うちとしては希望したい事もあるで】
【というと?】
【出来るだけ強そうな相手が良いんやよなぁ。できれば、数百年前に出た魔王クラスがちょうどいいかもしれへん】
【‥‥‥流石にいない様な】

 ケンタウロスのルルに比べると、デュラハンのララはアンデッドという事だけあって相当長く生きているらしい。

 自称心は永遠の20代らしいが…‥‥その年月の中で、魔王にも会ったことがあるらしい。

 何にしても、その魔王とやらも超える強さを持つ者はなかなかいないような気がするので、当分は互に浮ついた話は出ないだろうと二人で笑いあい、納得するのであった。

・・・ある意味悲しいが、それでも彼女達は騎士であるので、結婚は二の次三の次なのであった。



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