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春間近、でも頭春は来ないで欲しい
#270 都合の悪い者はたま~に都合がいいのデス
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SIDEシアン
色々ありつつ、ミスティアの即位式の時が来てしまった。
前国王の退位式は超・シンプルに済んだというのに‥‥‥‥‥
ゴォ~ン、ゴォ~ン、ゴォ~ン
大きな鐘の音がどこかで鳴らされ、退位した国王の前まで着飾らされてしまったミスティアが、真っ赤なじゅうたんを敷かれた道をゆっくりと歩かされる。
王城内、修復の済んだ旧選挙会場は今、即位式会場へと改装がなされており、出席者たちを見ると他国の王族とか、特別に入る事を許可された民衆など大勢いる。
そして前国王の側にいるのは他の王子王女たちなのだが、心なしか本心から喜んでいるようにも見えた。
「‥‥‥盛大というか、色々派手だなぁ。紙吹雪とか、壮大なバックミュージックようの楽団とか、豪華な立食形式とか‥‥‥ただ単に、『退位する』でおわった退位式よりも金をかけているような」
「かけているような、ではなく、相当かけていマス。予算は元々退位・即位式で1つにまとめられていたようですが、1:9の割合で使われたようデス」
どれだけの予算をこっちに回したのだろうか…‥‥というか、5:5ならまだしも1:9って、そりゃ差が出るよね。
【ふみゅ~ふみゅ~】
「みー、みー」
即位式の中、周囲の人々が拍手を送る中で、ヒルドとオルトリンデも、その空気に流されてか小さな手でぱちぱちと拍手を送る。
【あらあら、二人とも祝いたいのでしょうか?】
【ふみゅ】
「みー」
ハクロの言葉に二人は頷き、ミスティアの方を見た。
彼女達にとっても、ミスティアはハクロに次ぐ第2の母親であり、何かおめでたそうであれば祝いたいと思ったのだろうか?
まだ幼いとはいえ、周囲の状況を読むとは…‥‥何と言うか、ちょっと成長したのかも。
「まぁ、ミスティアが女王になったところで、僕等の生活は‥‥‥そう変わらないよね?」
「ちょっと変わりマス。ですが、そう心配することはないでしょウ」
現状、ミスティアは僕の元へ嫁いでいるので、女王となっても魔王の嫁みたいなもの。
だが、流石に国の女王が国を空けるわけにもいかず、住居としては王城の方へ移ることになる。
そのついでにというか‥‥‥立場的にも、僕等も王城の方に居を変える事が出来るのだ。まぁ、あの家が惜しいと言えば惜しいが‥‥
「一応、何時でも行き来できるように現在地下道を掘削・建設中デス」
「そこを使えば、あんまり生活も変えることがない・・・・・か」
僕らの住みかはハルディアの森。
でも、あの森は元々ポチたちフェンリル一家の縄張りのようなものであり、僕らはそこに紛れてしまったに過ぎない。
隣人のように過ごしていたとはいえ、行き来などを考えると少し不便なところもあったからなぁ‥‥‥ポチにもポチなりの生活があるだろうし、いつまでもポチ馬車で行き来できるような生活もそろそろ脱却したほうがいいのかもしれない。
この機会に、この王城の方へ住んでも良いのかもしれないな。
「なお、引っ越し作業などに関しては通路が完成してからデス。さほど時間はかかりませんし、そこを利用すれば短時間で行き来できマス」
何にしても、即位式はそろそろ大詰めを迎える。
こういう即位の時だけに出される、次期国王への王冠。
それが前国王が運び、跪いて待つミスティアの頭に、被せられた。
「‥‥‥では、これより第2王女ミスティア・ザ・ボラーンは、この国の女王として戴冠したことをここで宣言する!!」
前国王の言葉が響き渡り、わっと歓声が上がった。
反対するような者たちもないようだし、受け入れられたという感じはするだろう。
というか、一部から凄く祝われているような…‥‥なんかテンション高いな。
「あ、あれはどうやら課題中の監査官とか味見役とかされていた人たちのようデス」
「‥‥‥なるほど」
考えてみれば、選挙の間の課題をこなす王子王女たちに、しっかりと監視する人などがいただろう。
でもあの課題結果を見る限り、見ていた人たちもいろいろ苦労していただろうし‥‥‥ミスティアが女王になったことで、その苦労から解放されたのだろう。
‥‥‥あの様子から見るに、それはもう、物凄い感じだったんだろうなぁ。
何にしても、この後は即位した女王を祝ってのパーティである。
王配でもあり魔王でもある僕自身も、一応夫としてでなければいけないようだが‥‥‥
「なんか、気が抜けないな」
こういう会場だからこそ、人が多く、その分何かをしでかす人がでそうである。
いや、ワゼ情報だと既にやらかす気満々の者たちもいるようだけど…‥‥それはそれで、実は都合がいいかもしれない。
嫁いできたミスティアとは言え、もう仲も深まっているし、僕らの家族。
それを狙うようなもので、まだいい方向ならまだしも、悪意あるような輩がいれば…‥‥どうなるのか、その回答を見せつけるための生贄になってもらおうか。
【シアン、それなんか悪い笑顔になってますよ】
「え?本当?」
とにもかくにも、この場を乗り切ってしまえば良いだけの話。
普段ならば先に排除を願うが、今回ばかりは黒い虫ホイホイのごとく、出てきてくれれば‥‥‥後が楽になるからね。
ちょっとばかり、邪魔者排除よりも見せしめにするための考えは、魔王らしくなったのかもしれないと思う自分がいるのであった‥‥‥‥まぁ、立場的に中立であり、悪の魔王じゃないけどね。悪だったらまずすべて滅ぼしていたかも。
色々ありつつ、ミスティアの即位式の時が来てしまった。
前国王の退位式は超・シンプルに済んだというのに‥‥‥‥‥
ゴォ~ン、ゴォ~ン、ゴォ~ン
大きな鐘の音がどこかで鳴らされ、退位した国王の前まで着飾らされてしまったミスティアが、真っ赤なじゅうたんを敷かれた道をゆっくりと歩かされる。
王城内、修復の済んだ旧選挙会場は今、即位式会場へと改装がなされており、出席者たちを見ると他国の王族とか、特別に入る事を許可された民衆など大勢いる。
そして前国王の側にいるのは他の王子王女たちなのだが、心なしか本心から喜んでいるようにも見えた。
「‥‥‥盛大というか、色々派手だなぁ。紙吹雪とか、壮大なバックミュージックようの楽団とか、豪華な立食形式とか‥‥‥ただ単に、『退位する』でおわった退位式よりも金をかけているような」
「かけているような、ではなく、相当かけていマス。予算は元々退位・即位式で1つにまとめられていたようですが、1:9の割合で使われたようデス」
どれだけの予算をこっちに回したのだろうか…‥‥というか、5:5ならまだしも1:9って、そりゃ差が出るよね。
【ふみゅ~ふみゅ~】
「みー、みー」
即位式の中、周囲の人々が拍手を送る中で、ヒルドとオルトリンデも、その空気に流されてか小さな手でぱちぱちと拍手を送る。
【あらあら、二人とも祝いたいのでしょうか?】
【ふみゅ】
「みー」
ハクロの言葉に二人は頷き、ミスティアの方を見た。
彼女達にとっても、ミスティアはハクロに次ぐ第2の母親であり、何かおめでたそうであれば祝いたいと思ったのだろうか?
まだ幼いとはいえ、周囲の状況を読むとは…‥‥何と言うか、ちょっと成長したのかも。
「まぁ、ミスティアが女王になったところで、僕等の生活は‥‥‥そう変わらないよね?」
「ちょっと変わりマス。ですが、そう心配することはないでしょウ」
現状、ミスティアは僕の元へ嫁いでいるので、女王となっても魔王の嫁みたいなもの。
だが、流石に国の女王が国を空けるわけにもいかず、住居としては王城の方へ移ることになる。
そのついでにというか‥‥‥立場的にも、僕等も王城の方に居を変える事が出来るのだ。まぁ、あの家が惜しいと言えば惜しいが‥‥
「一応、何時でも行き来できるように現在地下道を掘削・建設中デス」
「そこを使えば、あんまり生活も変えることがない・・・・・か」
僕らの住みかはハルディアの森。
でも、あの森は元々ポチたちフェンリル一家の縄張りのようなものであり、僕らはそこに紛れてしまったに過ぎない。
隣人のように過ごしていたとはいえ、行き来などを考えると少し不便なところもあったからなぁ‥‥‥ポチにもポチなりの生活があるだろうし、いつまでもポチ馬車で行き来できるような生活もそろそろ脱却したほうがいいのかもしれない。
この機会に、この王城の方へ住んでも良いのかもしれないな。
「なお、引っ越し作業などに関しては通路が完成してからデス。さほど時間はかかりませんし、そこを利用すれば短時間で行き来できマス」
何にしても、即位式はそろそろ大詰めを迎える。
こういう即位の時だけに出される、次期国王への王冠。
それが前国王が運び、跪いて待つミスティアの頭に、被せられた。
「‥‥‥では、これより第2王女ミスティア・ザ・ボラーンは、この国の女王として戴冠したことをここで宣言する!!」
前国王の言葉が響き渡り、わっと歓声が上がった。
反対するような者たちもないようだし、受け入れられたという感じはするだろう。
というか、一部から凄く祝われているような…‥‥なんかテンション高いな。
「あ、あれはどうやら課題中の監査官とか味見役とかされていた人たちのようデス」
「‥‥‥なるほど」
考えてみれば、選挙の間の課題をこなす王子王女たちに、しっかりと監視する人などがいただろう。
でもあの課題結果を見る限り、見ていた人たちもいろいろ苦労していただろうし‥‥‥ミスティアが女王になったことで、その苦労から解放されたのだろう。
‥‥‥あの様子から見るに、それはもう、物凄い感じだったんだろうなぁ。
何にしても、この後は即位した女王を祝ってのパーティである。
王配でもあり魔王でもある僕自身も、一応夫としてでなければいけないようだが‥‥‥
「なんか、気が抜けないな」
こういう会場だからこそ、人が多く、その分何かをしでかす人がでそうである。
いや、ワゼ情報だと既にやらかす気満々の者たちもいるようだけど…‥‥それはそれで、実は都合がいいかもしれない。
嫁いできたミスティアとは言え、もう仲も深まっているし、僕らの家族。
それを狙うようなもので、まだいい方向ならまだしも、悪意あるような輩がいれば…‥‥どうなるのか、その回答を見せつけるための生贄になってもらおうか。
【シアン、それなんか悪い笑顔になってますよ】
「え?本当?」
とにもかくにも、この場を乗り切ってしまえば良いだけの話。
普段ならば先に排除を願うが、今回ばかりは黒い虫ホイホイのごとく、出てきてくれれば‥‥‥後が楽になるからね。
ちょっとばかり、邪魔者排除よりも見せしめにするための考えは、魔王らしくなったのかもしれないと思う自分がいるのであった‥‥‥‥まぁ、立場的に中立であり、悪の魔王じゃないけどね。悪だったらまずすべて滅ぼしていたかも。
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