拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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清算する時も新しく生み出す時も

#390 殲滅・全滅の違いとは何デス

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SIDEバンブードゥ

―――それは、探し回っていた。

 死のあふれる国から出ることができたからこそ、死とは真逆の存在である命を。

 自身の糧にすべく、ただそれだけのために動き回る。

 一つの国に植えられ、そこにいる者どもを喰らいつくし、滅ぼした。

 けれども、それは満たされることがない。

 何故ならば、死者の国にいたからこそ保たれていた均衡が、それの中で失われ、より多くの命を喰らいつくさなければ満たされなくなったからだ。

 いや、そもそも満たすことができるのだろうか?この虚無感を、空腹感を、穴の開いたバケツのように流れ出す命を。


 そしてそれは動き回り、ふと、一つの大きな命に目を付けた。

 その命は非常に大きく、それでいて禍々しくも神々しくもある、どっちつかずの存在とも言えたが‥‥‥何であれ、自身の求める命であることは間違いない。

 しかも、非常に強大であるのであれば、自身を満たせるのかもしれない。

 喰らいつくし、最後の一片も残さなければ、手に入れられるかもしれない。



 その命の輝きに目を付け、求めて動き出す。

 地中を掘り抜き、時折体を出して確認していき、得るために周囲を喰らいつくしていく…‥‥




―――――――――――――――――――――――――
SIDEシアン

「…‥‥うわぁ、本当に来たよ」
「距離計測、おおよそ3キロ」

 魔力で出来た衣を思いっきり広げ、作られた櫓の上でワゼお手製の双眼鏡で見ていると、物凄い勢いでタケノコらしい植物が地面から顔を出しては引っ込み、その繰り返しで接近してきていた。

「ご主人様の全力状態を感知したようデス。全力を出せる状態の時こそ、生命感あふれていますシネ」
「全力というか、普段出さないような力を出しているだけというか…‥‥それでもこうやって釣れたのはすごいな」

 土煙も上がっているようだけど、ここまで勢いよく来られると何とも言えない。

 うん、というか囮役・・なんだよな‥‥‥今回。戦う訳でもないのに、全力を出す状態にならされるとはこれいかに。




 とはいえ、文句を言っても仕方がないだろう。下手すれば世界の滅亡危機なのだから。

 相手がタケノコっぽい外見だが、冥界の植物バンブードゥであり、命を狙われているのだから。


「とりあえず、作戦の第1段階は終了。これより第2段階へ移行しマス」
「ああ、予定地点・・・・まで、誘導ってか」



‥‥‥冥界の植物は、普通の攻撃は全然聞かない。

 魔法に物理攻撃など、何かと攻撃手段があったとしても、寿命という概念を持つ様なものであれば、無効化してしまうのだ。

 とはいえ、衝撃波とか大気の変動とか、ちょっとは影響受けるだろうし‥‥‥軽く抵抗して、ある程度の軌道修正および、自ら移動することで、引き寄せることぐらいはできる。

「さてと、それじゃこれを使おうかな」

 櫓からばっと飛び降りて乗ったのは、ゲームに出るカートのような乗り物。

 とはいえ、前世にあるようなバイクとかでもないし、そもそも免許自体がないが‥‥‥うん、そこは考えないで起こう。

 普通に自分で走ったり飛んだりするよりも、こっちの方が早いらしいからね。

「じゃ、頼むよ。『試作型魔導カート002』!!」

 ぎゅっとハンドルを握り締め、アクセルを思いっきり踏みしめると、ヴオォォォンっとうなりを上げ、タイヤが回りだす。

 ハンドルを介して、魔力を伝達し、その力でエンジンを動かす魔導カート。

 あの自走可能な馬車のシステムを改造し、安定性や運転のしやすさなどを考慮してワゼが開発した玩具の車でもあるのだ。

…‥‥うん、これ、玩具なんだよなぁ。本当は、娘たちがクロと走り抜けたいとか言って、その頼みを聞いてあげるために、使えそうな手段として考案していた奴なんだよ。

 で、安全装置なんかも色々はずし、全速力でも可能なブースターやら車体の強度アップを色々施した特別製だが‥‥‥こんな時に使うとは、世の中分からないものだ。

 なお、001は今回の作戦決行前に練習用として使い潰しました。何があったのかはともかく、現在修理中である。

 

 とにもかくにも、運転のしやすさゆえに、使っても特に違和感はない。

 練習をあらかじめしておいたし、速度がかなり出ていても対応できるだろう。



ズドンズドンズドン!!

 後方から音が聞こえてきたので、付けていたサイドミラーを見れば、タケノコのようなバンブードゥが地面から出たり潜ったりを繰り返し、こちらの誘導されていた。

 速度計を見れば時速150キロは出ているのだが‥‥‥‥余裕をもって距離を詰められている感じがする。

「なら、速度上昇っと」

 予定地点まで距離があり、できればその間に疲労させる目的もあったが、この調子ならばうまくいきそうである。

 そのため、更にアクセルを踏み込んで加速させる。






…‥‥時速700キロほど出てきた当たりで、そろそろ予定地点到達だ。

 後方からはバンブードゥが追いかけてきているが、出入りする速度が落ちており、疲労している感じが眼に見て取れる。

 そしてそろそろ、見えてくるのは…‥‥

「アレか」

 速度はすさまじいが、予定地点には空から赤い光が一直線に降り注いでいるので、根性を出せばよく見えるだろう。

 その光の下までもう少しというところで‥‥‥‥


ドッバァァアアン!!
「うわっと!?」

 流石に無茶をし過ぎたのか、カートのエンジンから爆発音が響き、火を噴き始めた。

 うん、魔力を流し込み過ぎたというか、無理な運転をさせ過ぎたというか、001と同じ運命を辿らせてしまったというか‥‥‥けれども、距離的には後少しだ。

「この程度ならば、問題ない!!」

 スピードが落ちる前に、その勢いを利用して衣を変形させ、爆発する魔法を放ち、その反動で一気に俺の体を前へ吹っ飛ばす。

 炎上するカートを粉砕し、バンブードゥが迫って来るが、もうここまでくれば予定通りだ。



 後方を見れば、勢いよく迫りくるバンブードゥ。

 だが、ココならばあと数メートルほど。


「5‥‥‥4‥‥3‥‥」

 分かりやすく地面に敷かれた文字を読みつつ、その体が入るのを待つ。


「2‥1、0!!」

 目印である赤い光の下にバンブードゥが入ったその瞬間、周囲の地面から壁が立ち上がる。

 それは強力な遮光シールドであり、巻き添えになったら僕自身が死亡しかねないので、用意しておいたトラップだ。



 相手はすぐに地面に潜り込んで逃げようとするが、もう遅い。

ズドォォォォォォォォォン!!


 強烈な光がそのまま瞬時に上から降り注ぎ、バンブードゥの全体を貫いていく。

 神々しい光でありつつ、遮光されているとはいえ、ちょっと肌にびりびり来るというか、衣が少しじゅわっと溶けたけれども‥‥‥タイミングよくできた。





 しゅいいいんっとシールドが引っ込み、後には何も残っていない。

 大穴が開いているが、その周囲には何かが逃げた痕跡もなく、完全にこの世から滅したのは間違いないだろう。


「…‥‥というか、シャレにならないな‥‥‥ピンポイント射撃」

 この一点のみを狙って撃てたとのは良いが、いかんせん場所を絞ったせいで威力を増加させたようである。

「対象の存在消滅を確認いたしまシタ」

 っと、この状況の中で、いつの間にか傍にワゼが立って、そう告げてくれた。

 相当な速度をぶっ放して、結構な距離があったはずだが‥‥‥このメイド、本当に神出鬼没なところがある。

「うまくいったのか?」
「エエ。その代わり、使用していた聖剣も消滅を確認いたしまシタ。…‥‥衛星型の魔導砲ですが、やはりまだ改良点はあるようですネ」





‥‥‥そう、今回使用したのは、ワゼが新しく建造した衛星兵器とも呼べる代物。

 正確に言えば、衛星とは違って軌道を周回していないというか、そもそもここが星なのかどうか明確な事を聞いていないのだが…‥‥まぁ、それはどうでもいいとして、僕のための防衛手段の一つとして考え出されたトンデモ兵器なのだ。
 
 かなりの高さに常に存在しており、何時でもピンポイントで強烈なエネルギー光線を発射し、どんなものであろうとも貫いたり焼き尽くしたりと色々な機能を持って敵を殲滅するのだ。

 そして今回は、相手が冥界の植物という事もあり、聖剣を接続し、その魔王特攻ともいえるエネルギーを最大限までに増幅して照射しただけなのだが…‥‥いかんせん、精度がまだ不安定なところもあり、誘導光線を先に出すことによって撃つ位置を決めておいたのである。

 結果としては、あまりにも膨大な熱量が発生したことで、照射と同時に聖剣がぶっ壊れたらしいが、今のところは問題ないだろう。

 今後、僕以外の魔王が出た時とかに困りそうな気がするが…‥‥聖剣って言う位だし、そう言う時は都合よく復活してほしいものである。




 とにもかくにも、なんとか冥界の植物はこれで駆除できたといえるだろう。

 建造したてな代物だったので、できる限りの不安要素を取り除いての囮作戦で狙いを付けさせてもらいつつ、最大威力で出来るようにしていたが、ちょっとやり過ぎたかもしれない。

「というか、奥底の方でごぼごぼ言っているなぁ…‥」
「うーん、地下50キロほどですカネ…‥‥周囲の岩盤が溶け、溶岩を形成したようデス」

 ピンポイント射撃で威力を集中させてこれだから、ワゼが今後付ける予定とか言う拡散版とかだとどれだけのものになってしまうのかは想像したくない。

 守るためというが、過剰防衛という言葉も彼女は学んでもらう必要があるような‥‥‥‥うん、今後の課題か。

 ひとまずは冥界の植物は消し飛ばされ、悪魔グズゥエルゼ等まだ残る多くの大問題に対して、直ぐに対策会議を開くために帰還するのであった‥‥‥‥

「帰りはこちらの、003をドウゾ」
「サイドカー付きのバイクみたいになっているけど‥‥‥」

‥‥‥交通事情が発展すれば、国も発展するからいいか。色々とツッコんだら負けというべきか、兵器ではなくこういう便利な方をやらせたい。

「あと、悪魔ゼリアスより入電。今回の件は流石に色々あり過ぎる上に、神界封鎖などもされたので、超強力な戦力となりうる、知り合いたちを投入するそうデス」
「出来れば悪魔グズゥエルゼだけに被害を出してほしいな‥‥‥周辺の地形が変わるとかは怖いんだけど」

 強力な戦力と言っている時点で、不安しかないような…‥‥知り合いが多いのはいいけれども、烏合の衆とかにはならないよね?



 
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