拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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さて、間もなく閉幕の時も近くなってくるようで

#426 時間は流れ、日々は過ぎゆきデス

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SIDEシアン

…‥‥ハルディアの森内に再び戻り、隠居生活。

 とはいえ、僕とハクロにとっては最初に住んでいた住まいに戻るようなものだし、隠居というような感じはない。

 しいて言うのであれば、だんだん世間から離れているような気がしつつも、魔法屋としての仕事のために時々魔法屋のギルドへ赴いたりするので、そこまで生活が激変することはなかった。



 けれども、月日は流れるもので、何回も季節が繰り返し移り変わってくる。



「そして今年に限っては、とんでもない大雪だからなぁ…‥‥ワゼ、別荘地のアルカディアに行く用意をしてくれないかな?流石に、この雪だとちょっと寒いし、しばらく暖かい地域の方に移っておきたい」
「了解デス」

 何度も何度も雪の降る季節を経験したが、今年はかなり凄いようだ。

 あちこちで豪雪の知らせがりつつも、事前に各国にその予報が伝えられており、対策がされているので被害はほとんどないらしい。

 けれども、見ている分には寒いので、こういう時は温かい所へ行きたくなるものだ。

 前世で言うと、芸能人が冬にハワイに行くようなものだろうか‥‥‥いや、これかなり古いのかな?


 何にしても、感覚的にはかなり大昔のようだが、間違ってもないだろう。

 容姿があまり変わらないとはいえ、それでも歳月はそれなりに流れているからね。



 そう思いつつ、別荘へ向かうために家の中を動いていると、ふと庭の方に目が向いた。

 見れば雪の中で、ポチの子供のクロの孫の、そのまたひ孫の…‥‥何代目かになる子フェンリルたちが、雪の中で遊んでいた。

 犬は駆けまわり、とか言うが…‥‥フェンリルって容姿的にオオカミに近いんだけどなぁ…‥‥まぁ、可愛いから良いか。

 でもその前に、ドーラとその子供たちが遊ぶ光景も混ざっているせいで、ちょっとした人外大戦になってないかアレ?

「なんというか、雪の季節で元気だなぁ…‥‥」
【そうですよねぇ。この時期、暖かい場所を求める人が多いのに、あの子たちは変わりませんもの。あ、でっかい雪玉同士がぶつかり合いましたね】

 僕のつぶやきに対して、傍にいたハクロが見ながらそう返答する。

 なんというか、雪合戦を越えた領域の争いだが…‥‥それでもどこか微笑ましいような気がするのは、感覚がずれているせいなのか?最近、自分の常識という感覚が消えたような気がする。

「まぁ、何にしても楽しく遊んでいるならいいだろう。ただ、やり過ぎて老犬のポチが雪だるまになっているんだけど‥‥‥」
【あれはあれで、いつもの光景ですよね?】

…‥‥納得してしまう自分がいるが、多分これは普通の感覚だとは思う。というか、新しい地で子育てをしていたはずのフェンリル一家が、年月を経てここへ戻って来たのは良いけど、ポチの扱いが相変わらずなのもどうかとは思う。

 というか、もうかなりの老犬となっているようで、よぼよぼなんだけどなぁ‥‥‥皆お構いなしにやらかしているのも慣れた光景だろうか。





 ポチの姿がよぼよぼの老犬となっているが、こうしてみると本当に月日が流れているのを実感できるだろう。

 子供たちも全員巣立っており、他国へ嫁いでいたり、アラクネの群れを新たに起こして全国巡りをしていたり、はたまたは違う種族と混ざりあって新しい種族を生み出すなど、何かと好き勝手しているからね。

 ハクロとの子自体は、もう10年ほど前から恵まれなくはなったが…‥‥それも一応、年相応だというのだ。

 容姿だけは若いままでも、老化はしている。

 見た目があまり変わらずとも、年月とは非情になって流れゆくものだ。

「っと、それはそれでそうだけど…‥‥年月を経て、人間を辞めてわざわざ帰ってくる人がいるってのもどうなのかとは思うけれどね」
【いいじゃないですの。こういうのも面白いですからね】

 僕のつぶやきに答えるかのように、ひょっこり天井から降りてきたのはミスティア。

 ただしその体はすでに人間を辞めており、透き通っている。



‥‥‥うん、年月って残酷というか寿命を実感させられる。

 魔王という立場の僕の場合はその寿命自体は長いようだが、人間であったミスティアは、数十年前に他界していた。

 なのに、他界して数日ほどで幽霊になって帰ってきたからねぇ…‥‥死者がこの形で蘇るのは問題ないのかと思ったが、ワゼいわく彼女は守護霊の形になっているようで、問題はないそうだ。

 ついでに死者系統なら冥界の方にも問い合わせれば良いという事で問い合わせたところ、そちらからも許可は得ていたらしい。

【大体、わたくしだって羽目を外して遊びたいのに…‥‥隠居してかなり長い事遊んですごせても、まだまだ足りなかったですものねぇ…‥‥】
「仕事にまじめにしていた反動で、結構はじけ飛んでいるとは思うけどね」
【国の方も、それなりにやらかしてますものね…‥‥】

 色々あったが、ボラーン王国の方の、彼女達との子の子孫もうまくやっている。

 既にかなりの年月を経ており、ご先祖様扱いされるようになってきたけどね…‥‥国としてはまだまだ続いているが、それでも徐々に国力が下がっているような感じもする。

「それは仕方が無いのデス。シスターズが裏で動いても、私たちはご主人様のためにであり、国に尽くしまくるわけでもありませんし…‥‥国民自身が動くことが必要なのデス」

 栄枯盛衰という言葉があるが、これが多分当てはまっている状態。

 国自体が今丁度、衰えの時期らしいが…‥‥これを乗り越えれば、また栄えるそうだ。

 子孫に頑張ってほしいが、そこまで僕らが手出しする必要もないし、今は様子見するだけである。




 何にしても、別荘地へ向かう用意が出来たので、僕らは別荘へ向かう。

 といっても、乗り物に経由していくのではなく、その別荘地とは違うワゼ製の移動拠点怪鳥カロジックに乗っていくんだけどね。

「それにしても、娯楽施設多めな怪鳥拠点だけど…‥‥また何かと、増えてないかな?」
「神々や悪魔の方々も、苦労しているそうですからネ。ここで遊び惚けて、疲れを癒すそうデス」

 聞けば他の世界を司るような大物ばかりらしいが、こんなところで遊び惚けてていいのかと思ってしまう。

 それでも、楽しんで羽目を外している様子は、本当に心から楽しんでいるようだ。

「とはいえ、羽目を外し過ぎて迷惑を被られるお方には、もれなく最近結成された迷惑人外撃退シスターズでふっ飛ばすようにしましたけれどネ」
「ストレートすぎる名前じゃないかな?」

…‥‥なお、別荘地に到着前に、5、6名ほどが撃退されました。

 全部同じような撃退法じゃなくて、それぞれに合わせていたのでそれはそれで面白い光景だったけどね。

「でも、なんか偉そうな人でも奥さんを呼ばれた途端に逃げようとして捕まって、あやうく殺神現場が産まれそうだったのは改善してほしい」
「…‥何とか改善したいと思いマス」
【うわぁ、あそこまで夫をぼっこぼこにする人ってすごいですね。私だと、シアンにやっても無理ですよ】
「そもそもハクロは僕にああいうことしないもんね」
【まず、あそこまで馬鹿をしませんものね】

 それもそうであった。あ、でも似たようなのだとポチがいるか。なんか既視感があると思ったら、ロイヤルさんとのやり取りってああいう感じだった‥‥‥かな?





―――――――――――――――
SIDEワゼ

「…‥‥っと、システム異常は無いようデス。ご主人様方が楽しめるように、用意いたしましょウ」

 別荘地にシスターズと共に荷物を運びつつ、過ごす用意をしながらワゼはそうつぶやいた。

 それなりに長い年月の稼働はしてきたが、定期点検を行ってもまだまだ自分は稼働可能。

 一部領域は自己進化も経ており、自身のブラックボックスで修復できなかった故障個所も、流石に解析が進み、あと数日もあれば完全に修復が完了して100%の力が出せる。

 

 とはいえ、流石に時間を掛け過ぎたせいか、100%の力が出せるようになってももう意味はないだろう。

 あちこちにあったご主人様であるシアンに対しての脅威は取り除いており、そうそう使うことはない。

 シスターズの方も、色々とアップデートを繰り返し、ほぼ生身の人間に近くなって自ら稼働を終え、次世代に託す頃が来ていたりするのだ。



‥‥‥そして、新しいシスターズが誕生し、他の世界に飛び出してデータを収集していたりするが‥‥‥それもそろそろ、やらなくても良いかもしれない。

 これ以上、ありとあらゆる手を尽くしても、もう脅威はないのだから。

 そしてそれと同時に、人脈を作り過ぎて情報を得たがゆえに、彼女は知ってしまったのだから。



「…‥‥」
「ん?どうしたのワゼ、ちょっと考え込むような顔になって」
「いえ、何もないのデス」

 ふと立ち止まって考えこんでいると、どうやらシアンに心配されたらしい。

 主人を不安がらせるような真似はしないようにと思い、何もない風に彼女はごまかすが‥‥‥それで良いのかと思う自分がいないわけでもない。


(…でも、それは私が口だしできるようなことではないのデス)

 本心を言えば、もっともっと長く、メイドとして尽くしたいという想いはあるだろう。

 けれども、どうしてもそれは限度がある。

 例えどうにかするすべがあったとしても、それは一時的な物。

 永遠にする方法があったとしても、それは永遠の苦しみを与えるのも同じもの。


 なので、それらを持つ様な人たちに相談はしたが…‥‥結果としては、進めることができないそうだ。


(…‥‥それに、ご主人様もおそらくは望まないでしょう。不死というのものは、求める人はいますけれども…‥‥ご主人様は欲しがるような人ではないですからネ)




 例え、どれだけ強大な力を持っている者がいたとしても、寿命は来る。

 不老不死を求める者もいるだろうが、その手法があったとしても求めない者もいる。

 そして、彼女にとってのご主人様であるシアンも、その求めない者の類なのだろうが…‥‥そう考えると、こうやってメイドとして過ごせる期間は、もう間もなく終わりを告げる事を理解させられるのだ。


 苦しいような、悲しいような。けれども、いつかは必ず来ると分かっている離別の時。

 そしてその時に、もっと長く生きて欲しいと願ってもそれは自分のエゴでしかないというのも分かっているし、これだけ長い月日を共に過ごせばそれを望むことはなく、穏やかに終える事を願うのも分かっている。

「…‥‥とは言え、それでももっとこの日々が続けばいいと思ってしまうジレンマはどうしたものでしょうかネ」



 そうつぶやきつつも、彼女はメイドとしての仕事ができる今を、一生懸命こなせるように動いていく。

 いつか来る別れを理解しているのであれば、その最後の時まで彼のメイドとして尽くしたいという心があるのだ。


「何にしても、考えずに仕事に打ち込みましょう!!」

 ぱんっと珍しく気合いを入れるかのように自身のほほに手を打ちつつ、シアンへメイドとして彼女は尽くす。

 その日々は近い将来に終わりを告げるだろうが‥‥‥‥それでもいいのかもしれない。

 別れがあれば出会いもあり、いざとなれば色々と介入する手段もあるのだから。


「おーい、ワゼ!!こっちに来てー!!」
「了解デス!!」

 とりあえず、今はシアンの命令があるようなので、きちんと受けるために彼女は向かうのであった…‥‥


「池の方になんかネ〇シーみたいなでかい生き物がいるんだけど!?この間いなかったよね!?」
「エ?ああ、あれは先週ここに新たに住まわれた、神獣の子供のようデス」
「50メートルぐらいありそうなあのサイズで子供なの!?」

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