憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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74 流されていくのは何故なのか

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…‥‥海での臨海合宿も終わり、ディーたちは学園へ帰還した。

 道中、神聖国を通過する際にゼネがまたあの奇声を発する謎多き妹やらが待ち伏せていないかとびくびく震えていたが、結局遭遇することは無かった。

 未だに巻いた地点で迷っているのか、あるいは今は静観に徹しているのか‥‥‥その理由は分からない。


「まぁ、合宿も終わって、ようやく夏季休暇‥‥‥時間にして、約一か月半ほどの休暇を得たけど‥‥‥どうしたものか」
「ン?ご主人様、何か問題でもあるのでしょうカ?」
「問題と言えば、問題なんだよなぁ‥‥‥」

 休暇中は当然生徒たちは学園から出て帰郷し、俺も悪友のバルンと共に田舎の実家へ帰郷しようとしていたのだが…‥‥グラディに休暇明けぐらいに王城へ呼ばれる可能性を聞きつつ、その原因について考えたところで、俺はふと気が付いたのだ。

 ノインたちの説明、実家にしてなかった。すっかり忘れていた。

 学園で過ごす中で手紙を出すこともできたけど、ノインを初召喚した時の衝撃で忘れていて、今までずっと近況報告をサボっていたんだった。

「というわけで、この面子で帰郷して騒ぎにならないのか聞きたい」
「‥‥‥言われてみれば、そうだよな」

 夏季休暇前の退出用意をしている中で、バルンの部屋に俺は訪れそう問いかけた。

 
「小さい田舎の村だし、この美女共を連れて帰ったら、騒ぎにならないほうがおかしい」
「やっぱりか?」
「ああ、間違いない」

 問いかけに対してそう答えるバルン。ちょっと慣れのせいでツッコミ力が弱体化してしまった俺に比べて、その影響がない分的確な指摘を受けられる。

 第1王女ミウの方もかなり凄いツッコミ力があったが‥‥‥残念ながら、あちらは王族だし、グラディたちと共に王城の方へ一足先に帰って行ったのでツッコミ指摘をしてもらえなかった。


「とりあえず閉鎖的でもないし、他者に冷たくもない。温かい村ではあるが…‥‥」
「が?」
「‥‥村の男たちに殺される可能性だけは考えておいた方が良い」
「…‥‥」

‥‥‥例えばの話をするとしよう。

 村の何の変哲もない人たちが、ある日突然美女たちを連れて帰り、独占しているような状態を見せられたらどうなるのか?

 その答えは既に、学園での男子生徒たち(一部女子)の視線が物語っていた。

「大丈夫デス。ご主人様に害を及ぼすような輩を近づけさせまセン」
「何かあれば、埋めて差し上げますわ」
「大空へかっ飛ばすのも良いでござるな」
「丁寧に、悪夢で葬る事もできるのぅ」
「グゲゲ!」

「…‥‥少なくとも、返り討ちに会う可能性の方が大きくないか?」
「村の人口が減らされるのは、困るんだが」

 何にしても、今回の帰郷は問題が起きそうな気がしなくもないなぁ…‥‥できれば、村が焦土に変わらないことを祈ろうか。良い例がゲイザーだしな。







‥‥‥ディー自ら村の危機を招かないようにと心に決めている丁度その頃。



「‥‥‥お母さん、兄ちゃんからの連絡まだー?」
「まだのようね。あの子、色々抜けていることもあるし‥‥‥案外、手紙を出すのを忘れているんじゃないかしら?」
「そうなのー?」

 ディーの故郷にある一軒家‥‥‥彼の実家では、一組の親子の会話があった。


「召喚士になるって言っていたけど、適性検査で何が出たのかしらねぇ?」
「兄ちゃんなら、絶対にかっこいい奴を召喚しているはずだよね!」
「それは分からないわね」

 ぐつぐつと鍋を煮込みつつ、娘の期待する言葉に笑いながら母親はそう答える。

 適正学園で受ける検査で、どの様な職業が出るのかはその受けた時までわからない。

 大体は昔から夢見る職業になる事もありつつも、なれないこともあるので、彼女の息子がその夢見た職業になれたかどうかまでは分からないのだ。

 ただ、母親としては子供たちの夢がかなってほしいと願うばかりである。

「ああ、それに都市の方はここよりも人が多いし、案外彼女でも連れてくるんじゃないかしらね♪」
「‥‥‥それはダメ!!」

 っと、期待するように口にした途端、娘がそう強く声に出した。

「兄ちゃんは確かに優しいし、かっこいいけど、ダメなものはダメなのー!!兄ちゃんは私の兄ちゃんであるし、絶対に女にモテないバルンもいるからセットでモテずに済んでいるはずよー!!」
「あらあら、そうかしらね?」

…‥‥さらりと、息子の友人が軽く馬鹿にされているような気がしたが、事実なので何も言えないし、どうでもいいので別にいう事もない。

 ただ、妹にモテない断言されるような兄というのはどうなのだろうかと、子どものその言葉に苦笑いを浮かべる。

「兄ちゃんがもし、女を連れこんで来たら、その相手がどんな人なのか確かめるけど、絶対にないと想うのーーーー!!」

 ぐっとこぶしを握り締め、彼女は‥‥‥ディーの妹はそう叫ぶのであった。
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