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89 息抜き空気抜き
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…‥‥森林国騒動を終え、村に戻って三日目。
ルナティアは家族がいる様なので、王城の方で家族探しをするために残り、ディーたちは村で過ごしていた。
夏季休暇はまだ長いが、騒動で無駄にした部分もあったので勿体ない。
まぁ、これから遊べばいいやと思う一方で…‥‥
「‥‥‥ついでに実験というけど、これ本当に大丈夫なものだよな?」
「ええ、大丈夫なはずデス」
不安げにノインに問いかけると、彼女はそう答えた。
現在、俺たちがいるのは誰にも特に迷惑のかからなさそうな場所もとい、面積不明、そこはあるっぽいけどどこなのかと言えるような場所…‥‥リリスの箱の中。。
そこで、ノインからある物を俺は受け取り、テストしていた。
「『試作型ホバーブーツ』‥‥‥連続稼働時間は3分ほどですが、これを利用すれば、ご主人様もいざという時に空へ避難できるはずなのデス」
「空へか…‥」
‥‥‥ついこの間あった、ゲイザーによる捕食。
あの時に、もし自分が飛べていたら、何か守れる手段があれば、喰われることは無かったと思う時はあった。
結果として、内部でリリスを見つけたし、悪い事は特になかったとはいえ、ノインたちに心配させてしまったという申し訳なさがあったのだ。
召喚士は基本的に召喚獣を使役するが、召喚士自身にもきちんとした力はいるだろう。
それを俺はおろそかにしてしまい、油断した結果があの捕食である。
そう思っていたところで、どうにかならないかということを、ノインたちも考えていたようで、今回全員で協力してその対策を練っていたらしい。
そのうちの一つが、この目の前にあるブーツ。
一見、ただのブーツに見えるが、どうも材料からして色々とんでもないものを利用しているらしい。
「拙者の尻尾の皮を使ったでござるし」
「わたくしの樹木をベースにしてますし」
「あとは儂の魔法も少々かけて」
「グゲゲゲ」
「そして私の技術をつぎ込み、作ったのデス」
「‥‥‥リリスの部分だけ何を言っているのか分かりにくかったけど、とりあえずとんでもない代物だって言うのだけは分かった気がする」
このブーツの効果は、ちょっとまだ改良中とはいえ3分程度は飛行可能になるものらしい。
ノインの脚部のジェットエンジン機構には及ばないそうだが、それでもものすごい勢いで空気を噴射し、浮き上がれるそうだ。
とはいえ、まだテスト段階であり、実際の大空へ飛びあがるわけにもいかない。
そこで今回は、落ちても大丈夫そうなこのリリスの箱の空間内部で試着してみることにしたのである。
「履き心地は悪くないな。むしろ結構軽いというか、普通に着用できるやつだ」
ちょっと足を振り回してみたり、蹴りをいれてみると、普通の靴とは何ら変わりない。
軽くて何も履いていないように思える程度だが‥‥‥ちょっと指の先に何かを感じる。
「それが調節ボタンデス。ポチッと押せば空気が噴出され、後は頭からの思考を勝手に読み取り、最適な飛行を導き出してくれマス」
「どうやって読んでいるんだよ」
「そうやってデス」
回答になってねぇ!!
とにもかくにも、怪しげな感じもするが‥‥‥恐る恐るポチっと押してみた。
――――プシュッ
「‥‥‥あれ?」
「ン?」
なんか、空気が抜けるような音がしただけで、何も起きない。
話的には、物凄い勢いで空気が噴出するらしいが…‥‥
プシュッ
プシュッ
プシュゥ・・・・
「…‥‥全然起動しないんだけど」
「‥‥‥おかしいですネ?」
なんでだろうかと俺たちは首を傾げ、一旦ブーツを脱いだ。
底のほうに噴出孔があるらしいが、素人目で見ても原因は分からない。
「ちょっと貸してくだサイ」
「はい」
手渡し、ノインが腕を変形させ、色々な道具を取り出す。
しばしばバチバチっと火花が飛んだり、ぎっこんぎっこんと切断したり、じゅうじゅうと焼いたりした後に、どうやら原因が判明したようである。
「‥‥‥あー‥‥‥動力、入れ忘れてまシタ」
「‥‥‥そこからかよ!!」
まさかの動力源を抜いていたことが原因であった‥‥‥‥なお、この後試したところ、きちんと稼働できた。
ただ、空気の噴出速度が少々遅く、設定的にまだあっていないらしい。
「これですと、精々川の上を渡れる程度ですネ」
「それでも十分凄くないか?」
ルナティアは家族がいる様なので、王城の方で家族探しをするために残り、ディーたちは村で過ごしていた。
夏季休暇はまだ長いが、騒動で無駄にした部分もあったので勿体ない。
まぁ、これから遊べばいいやと思う一方で…‥‥
「‥‥‥ついでに実験というけど、これ本当に大丈夫なものだよな?」
「ええ、大丈夫なはずデス」
不安げにノインに問いかけると、彼女はそう答えた。
現在、俺たちがいるのは誰にも特に迷惑のかからなさそうな場所もとい、面積不明、そこはあるっぽいけどどこなのかと言えるような場所…‥‥リリスの箱の中。。
そこで、ノインからある物を俺は受け取り、テストしていた。
「『試作型ホバーブーツ』‥‥‥連続稼働時間は3分ほどですが、これを利用すれば、ご主人様もいざという時に空へ避難できるはずなのデス」
「空へか…‥」
‥‥‥ついこの間あった、ゲイザーによる捕食。
あの時に、もし自分が飛べていたら、何か守れる手段があれば、喰われることは無かったと思う時はあった。
結果として、内部でリリスを見つけたし、悪い事は特になかったとはいえ、ノインたちに心配させてしまったという申し訳なさがあったのだ。
召喚士は基本的に召喚獣を使役するが、召喚士自身にもきちんとした力はいるだろう。
それを俺はおろそかにしてしまい、油断した結果があの捕食である。
そう思っていたところで、どうにかならないかということを、ノインたちも考えていたようで、今回全員で協力してその対策を練っていたらしい。
そのうちの一つが、この目の前にあるブーツ。
一見、ただのブーツに見えるが、どうも材料からして色々とんでもないものを利用しているらしい。
「拙者の尻尾の皮を使ったでござるし」
「わたくしの樹木をベースにしてますし」
「あとは儂の魔法も少々かけて」
「グゲゲゲ」
「そして私の技術をつぎ込み、作ったのデス」
「‥‥‥リリスの部分だけ何を言っているのか分かりにくかったけど、とりあえずとんでもない代物だって言うのだけは分かった気がする」
このブーツの効果は、ちょっとまだ改良中とはいえ3分程度は飛行可能になるものらしい。
ノインの脚部のジェットエンジン機構には及ばないそうだが、それでもものすごい勢いで空気を噴射し、浮き上がれるそうだ。
とはいえ、まだテスト段階であり、実際の大空へ飛びあがるわけにもいかない。
そこで今回は、落ちても大丈夫そうなこのリリスの箱の空間内部で試着してみることにしたのである。
「履き心地は悪くないな。むしろ結構軽いというか、普通に着用できるやつだ」
ちょっと足を振り回してみたり、蹴りをいれてみると、普通の靴とは何ら変わりない。
軽くて何も履いていないように思える程度だが‥‥‥ちょっと指の先に何かを感じる。
「それが調節ボタンデス。ポチッと押せば空気が噴出され、後は頭からの思考を勝手に読み取り、最適な飛行を導き出してくれマス」
「どうやって読んでいるんだよ」
「そうやってデス」
回答になってねぇ!!
とにもかくにも、怪しげな感じもするが‥‥‥恐る恐るポチっと押してみた。
――――プシュッ
「‥‥‥あれ?」
「ン?」
なんか、空気が抜けるような音がしただけで、何も起きない。
話的には、物凄い勢いで空気が噴出するらしいが…‥‥
プシュッ
プシュッ
プシュゥ・・・・
「…‥‥全然起動しないんだけど」
「‥‥‥おかしいですネ?」
なんでだろうかと俺たちは首を傾げ、一旦ブーツを脱いだ。
底のほうに噴出孔があるらしいが、素人目で見ても原因は分からない。
「ちょっと貸してくだサイ」
「はい」
手渡し、ノインが腕を変形させ、色々な道具を取り出す。
しばしばバチバチっと火花が飛んだり、ぎっこんぎっこんと切断したり、じゅうじゅうと焼いたりした後に、どうやら原因が判明したようである。
「‥‥‥あー‥‥‥動力、入れ忘れてまシタ」
「‥‥‥そこからかよ!!」
まさかの動力源を抜いていたことが原因であった‥‥‥‥なお、この後試したところ、きちんと稼働できた。
ただ、空気の噴出速度が少々遅く、設定的にまだあっていないらしい。
「これですと、精々川の上を渡れる程度ですネ」
「それでも十分凄くないか?」
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