憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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127 何かと都合というものも

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「…‥気温低下、体調好調、快調♪」
「アナスタシア、結構機嫌良いな」
「雪女、冷えている方が都合良い。暖かい布団好きだけど、冷たい空気、これも好き」
「そういうものなのか」

 悪臭激臭怪物騒動から1週間以上が経過し、ちょっと急に気温が低下してきた今日この頃。

 ディーの召喚獣であるアナスタシアは、だんだんその影を見せ始めた冬に上機嫌となっており、布団から抜け出して、氷のような色合いの着物を着こなしながら舞うように動き、その一方で‥‥‥‥‥


「‥‥拙者たちにとっては、それなりに厳しい季節になりそうでござる」
「わっち、人型部分で衣服を着れるのが、これほどのものとは思わなかったでありんす」
「わたくしも、流石に葉っぱを茂らせないとちょっと厳しくなりそうですわ」

「ルビー、リザ、カトレア…‥‥お前らは寒いのが苦手か」
「「「苦手で(ござる)(ありんす)(すわ)」」」

 口をそろえて、その問いかけに彼女達は返答した。

「季節の変わり目に、こうも皆の動きが変動するのは面白くもありますネ」
「まぁ、寒いのが苦手なのは動植物モンスターですらも変わらないがのぅ。いや、死体の儂が言うのも何じゃがなぁ‥‥‥」
「グゲェ」

 一方で、特に関係ない組ノイン・ゼネ・リリスはそう語り合う。

 季節はそろそろ冬へ近づき、木々の葉っぱが色づき合い、その季節到来前の光景を見せようとしているのであった。








「…‥‥で、本日の授業は近付く冬への召喚獣たちへ施す対策だが、場合によっては火に近づくと不味い類もあり‥‥‥」

 授業が開始され、本日の講師でもあり、召喚士学科を受け持つデッボルバーネ先生の話を聞きながら、俺はその授業内容に耳を傾ける。

 先生の召喚獣のヘルールの姿が見えないなぁと思いつつ、その授業内容をしっかりと聞き取っていく。

 
 基本的に、召喚士が召喚する召喚獣たちは大抵どのような季節であろうとも、モンスターゆえにただの動植物にあらず、関係なく動くことが可能である。

 だが、蛇や亀のモンスターの例があるように、季節によっては、特に冷え込んでくる冬に対しては弱いモンスターもあり、そう言う類に気を遣わなければいけなくなってしまうことがあるのだ。

 俺の召喚獣の場合、アナスタシアは雪女だから良いとして、カトレア、ルビー、リザ辺りが該当するだろう。

 いや、カトレアは植物、リザは蛇でもあるし、そこはまぁ分かるのだが‥‥‥ルビーの場合、ヴイーヴルだし、ドラゴンの仲間だよな?ドラゴンが寒さに弱いってなんだそりゃ。

 一応、調べてみると、ドラゴンの中には寒さに弱くなるものもいるらしい。

 ルビーの場合は、寒い時期は苦手なだけっぽいが…‥‥うーん、まあ、俺の召喚獣たちってなんか変わっているところも多いし、おおむね仕方が無しというべきか。うん、そうと思わないといけないっぽい。

 何にしても、こういう冬対策の授業に関しては、非常にためになる。

 将来諜報を目指すとは言え、一介の学生の身としてはきちんとこの授業を受けて損もなく、対策も色々と聞ける。

 何処ぞの組織云々の話も色々と出てきたが、今は置いておくとして、今はしっかりと授業に専念するのであった‥‥‥‥


「~であるからして、召喚獣の寒さ対策としては衣服のような物を与えるか、もしくはお湯につけるか、あるいは直接肌で触れ合うなどして」
「ギョワァァァァ!!」
「なんか悲鳴が!?」
「せんせーい!!ヘルールが廊下で氷像になってます!!」
「なんだとぅ!?何があった!?」
「さっき、廊下をちらっと見たら、アナスタシアさんにちょっかいを出そうとしてました!!」

…‥‥ああ、自業自得なだけか。機嫌が良くなっているとはいえ、そこに水を差されるような真似をされれば、そりゃ苛烈な反撃をしてもおかしくないか。

 でも、何でヘルールがアナスタシアにちょっかいを?

「ついでにノインさんが嬉々としてかき氷機を運んできました!!」
「ディー!!召喚獣の暴走を止めさせなさい!!」
「あ、はい!」

‥‥‥そう言えば、ヘルールって俺の召喚獣たちと仲が悪かったんだっけか。そのうちの、今の時間単独でいたアナスタシアに狙いを定め、1対1ならばと思ったんだろうなぁ。最近そのそぶりを全然見なかったから忘れがちであったが、ヘルール印のかき氷は流石に俺も見たくはないな。

 というか、作ったところで誰が食べるんだ?それが一番気になるような。










…‥‥召喚士学科で、ヘルールがルビーの火炎放射で氷を溶かされつつ、焼き鳥化という新たな危機を迎えている丁度その頃。

 騎士学科の方では、ちょっとした問題が起きていた。

「うーん、これまた厄介な」
「騎士の大事な鎧が、所々喰われているとは、なんたることか」

 グラディと留学生のラン、その他生徒たちが目の前の状況を見て、顔をしかめていた。

 模擬戦を行い、互いの剣の腕前を確認しあう授業の予定であったのだが、そのために使われる練習用の鎧一式が、所々壊れていたのである。

 より正確に言うのであれば、何やら齧られたような跡があるのだが、練習用とは言え一応金属製。

「金属の鎧を齧るモンスターとか虫は聞くことがあるけど、学園内にいないはずだよね」
「神聖国の方でも、たまにカネクイムシという金属を食う虫が出たという話はあったが‥‥‥この齧られ方は、その類でもないな」

 その他の鎧を扱うようなタンクマン学科の方にも問い合わせて見ると、こちらでも同様の被害が出ていた。

「まぁ、あっちはドMの集団だし、むしろ受ける被害で喜びの悲鳴を上げているのが目に浮かぶが‥‥‥」
「浮かびたくないな。いや、神聖国の適正学園でも、度の過ぎたタンクマンを見たことがあったが‥‥‥何にしても、これでは模擬戦にならんな」

 いったん授業が中止され、軽く調べてみると、被害にあったのはどれもこれも金属製の防具などの類ばかり。

「最近噂の仮面の組織の仕業か?」
「にしては、先日の騒動からそれなりに経ってないが‥‥‥‥んー、これまた厄介そうだな。生徒会の場で、ちょっと意見を聞きたいが…‥‥」

 グラディとしては、こういう時こそディーたちの情報収集能力に期待したいところがある。

 が、それと同時に危険性も考慮すると、果たして頼んでいいものなのか、少し悩んでしまう。

「頼り過ぎるわけにもいかないからなぁ‥‥‥」
「頼るというと、こちらの学園の方で結構耳にする召喚士のことか?食堂で顔を合わせたり、たまに模擬戦に乱入してきている竜娘などを見ると、悩まずに頼んだ方が良いような気がするぞ」
「そういうものか?」
「そういうものだ」

 何にしても、修繕してまた被害が出ては意味がないので、元凶を叩くためにも早期に動いた方が良い。

 そう判断し、グラディは生徒会の時間にでも話そうと考えるのであった…‥‥

「ところで、生徒会の面子に勧誘しているけど、何で来ないの?」
「神聖国からの留学生な立場上、入るのはどうかと思ってな…‥‥いや、確かにある意味・・・・良いのかもしれないが…‥‥難しい事は、恥ずかしながらも苦手だからな」
「そっか、残念」

…‥‥ふと、気になったところもあったが、気にしないことにするグラディであった。
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