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128 やらかす場合、予告されることもある(対策できないけど)
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「‥‥ん?」
深夜、ベッドでぐっすりと寝ている中、ふと感じた感触で、ややまどろみつつも俺はその原因を探る。
普段であれば、ちょっとやそっとじゃ起きる気もないのだが…‥季節の変わり目、少し違うのかもしれない。
そう思いつつも、暗い室内ゆえに何があるのかよく見えなかったが、手に何かの感触を感じ取った。
ぷにゅん
「‥‥‥なんだ、これ?」
柔らかいというか、何と言うか…‥‥ちょっと硬さも感じるような‥‥‥
「わっちの鱗の間に、何で指が入るのでありんすか、ダーリン‥‥‥」
「‥‥‥リザ?」
暗闇ゆえに分かりにくいが、声で彼女だと俺は理解する。
「なんで、このベッドに‥‥?」
「ちょっとうすら寒くて、巻き付きに来たのでありんす。授業内でダーリンも聞いたでありんすよね、召喚獣は、自然とその温かさを求めて、くっつくこともあると」
「そうだっけか‥」
まだ眠く、時間も遅く、ちょっと頭が働ききらない。
なーんか少し、嫌な警鐘がなっている気もしなくはないのだが‥‥‥まぁ、眠い。
「ふふふ、大丈夫でありんす。特に何もするわけでもなく、ただ巻き付きに来ただけでありんすからね。ノインは既に不意のツボで寝ているでありんすし、ダーリンもゆっくりとお休みのツボを押してあげるでありんすよ‥‥‥」
耳元に口を寄せ、そう告げるリザ。
ぐいっと指の感触がしたかと思うと、眠気が一気になだれ込んでくる。
「あ、これ、意識が…‥‥」
「お休みでありんすよ、ダー‥‥‥」
最後まで聞こえずに、そのまま意識を落としそうになった…‥‥その瞬間である。
「抜け駆けさせないでござるよ。それっ」
「あひぃん!?」
聞こえてきたのは、ルビーの声と何かをされて声を上げるリザ。
少々ボコすかと音が聞こえた後、ずるずると引きずるような音とともに、ルビーがさっきのリザ同様に俺の耳元に口を寄せた。
「ふむ、主殿今のツボ押しでだいぶまどろみ、あと一押しで寝そうになっているでござるな‥‥‥抜け駆け防止と入ったでござるが、うむ、拙者が潜り込んでも文句はあるまい」
そう言いながら、ごそごそとベッドの中に彼女が入り込んできた。
「ふふふふ、これはこれでラッキーでござる。さて、あとは主従共にお楽しみを‥」
‥‥‥こちとら、リザのツボ押しと今のちょっとした騒ぎで眠気が上下している状態ではあったが、やや下降し始める中でルビーが何かしようとして来た‥‥‥その時である。
「こんばんわですわ、そして成敗ですわ」
「ぬ?その声はカトレ、アッー!?」
めごんす!!っと何かすごい音が聞こえ、ずるずるとルビーが布団から引きずり出され、今晩3人目の耳もとへカトレアが口を寄せて告げた。
「ちょっと妙な音がしたので起きて見れば、そろってマスターにやらかしかけましたわね‥‥‥まぁ、寒くなってきている今日この頃、ちょっとばかり種の本能的な物がでてもおかしくはありませんでしたが‥‥‥本当に何をやらかしているんだと言いたいですわね」
「しゅ、種の生存本能…?」
眠気が上下しつつも、辛うじて聞こえてきたその言葉に俺は問いかけた。
「ええ、モンスターの中には、寒い季節になる前に色々としこもうとする類もあるのですわ。この二人、おそらくそれが自然となっていたようですけれども‥‥‥マスターの年齢はまだ14歳。来年で15歳となっても、もうちょっとだけ体としては未熟とも言えますのに‥‥‥」
「…‥‥」
‥‥‥何が、と問いかけたいが、何となく言わない方が良いような気がしてきたので俺は黙る。
まぁ、うん、その手の知識はまだ浅い方なのだが、なんか聞かないほうが幸せな気がする。というか、さらっと未熟とか言われるのも解せぬ。‥‥‥まだ成長するからな?まだ背は伸びるからな?
「しかし、ノインが倒れて、リザが縛られ、ルビーが今ので麻痺ってしまいましたが…‥‥面白い状況ですわね」
くすりと笑うような声を上げ、そっと彼女もまた、俺のベッドの中に入り込んできた。
「ああ、安心してください、マスター。わたくしは元々こういう類などもしっかり知っておりますし、今の状況、何かするわけにもいきませんもの。ただ単純に、眠りを邪魔されたマスターの安眠に一役買うだけですわ‥‥‥」
そう言いながら、そっと俺の頭を持ち上げ、何かに乗せる。
ふんわりとして、それでいていい香りがしており、胸ともまた違う感触のこれは…‥‥
「快眠用、特性睡眠草の枕ですわ。本来、同族が獲物から安らかに血を抜くために使用するのですが、今回はマスターの快眠のためだけにしてますわ。どうぞ、ごゆっくりと‥‥‥」
「で、抜け駆けちゃっかりしてますネ」
「‥‥‥あら?ノイン、もう起き上りましたの?」
うつらうつらと眠りにいざなわれる中で、ノインの声が聞こえてきた。
「リザにツボを押されましたが、こういう時のために再起動しやすくしているのデス」
「あらあら、でもねぇ、今、わたくしはそこの倒れてる二人のように、やらかす気ではないのですわ。ただ単純に、マスターの安眠のために動いて何が悪いのかしらぁ?」
「ちゃっかりと布団に全裸で潜り込んでいる時点で、どの口が言いますカ?」
…‥‥なんかさらっと、トンデモ情報が聞こえてきたような気がするんだけど。
言われてみれば、暗闇で良く見えないけど、草木の音は擦れども布ずれとかそう言う音は彼女からしていなかったような…‥‥
「ま、でもマスターがこちらにいるのですし、そう動くこともできないはずで、」
「グゲェ!」
ガァンッ!!
「わっつ!?」
強烈な一撃が舌らしい音の後、ばたりとカトレアが倒れ込む。
そしてすでに今晩何度目かの引きずる音の後、今度はノインとリリスがそばにいた。
「良くやりましたリリス。天井に張り付き、上からの奇襲とはなかなかデス」
「グゲェ!」
ぱしぃんっと、ハイタッチをかわすような音が聞こえる。
なんか仲良いなこの二人。種族的に物に近いが故の、関係性だからか?
「とりあえずゼネ、貴女もそこにいますよネ?}
「うむ、儂、さっきから見ておったのじゃが‥‥‥まぁ、うん、本能3人組の事は見ていたのじゃが、なんか面白くも思えていたのじゃ」
「傍観者でいたという訳ですカ‥‥‥まぁ、別に良いでしょウ」
はぁっと、珍しくため息を吐いたらしいノイン。
「ここ数日の冷え込みで、本能が刺激されたようですし、いっその事しばらく寝てもらいましょウ。アナスタシアの冷凍室へ運び込みますので、手伝ってくだサイ」
「分かっておるのじゃ。まぁ、傍観しておったとはいえ、ちょっとずるくも思えてしまったしのぅ。室温、マイナス20度ぐらいにして置くかのぅ?」
「彼女の要望で、現在マイナス30度でしたが…‥‥マイナス40度にしておきましょウ。そこまですれば、当分冬眠決定デス」
「それが妥当じゃな」
「グゲェ」
「それではご主人様、今晩は失礼を致しまシタ」
そう告げ、ずるずると倒れたリザたちを引きずっていくらしいノインたち。
ばたんと扉が閉じた後、俺は改めて眠りにつくのであった…‥‥‥ああ、でもせめて氷漬けになるようなことはやめてあげて欲しいかな。永久冬眠とかはされたくないからな…‥‥
…‥‥ディーの寮室でそのようなやり取りがあった丁度その頃。
騎士学科の練習用の鎧などがある備品室には、グラディがゼノバースと共に見回りをしていた。
「本来なら、用務員とかに任せるけど…‥‥」
「こういう時は、生徒会が動くからな…‥‥」
できれば一員であるディーたちも今宵は起こして共に見回りをさせたいとも思っていたが、流石に頼り過ぎるのも良くはない。
一応、警戒して欲しいと言っておいたので後はあのメイドとかが勝手に対策を練るだろうと思いつつ、手に持った灯りで周囲を照らしていく。
「34番、45番鎧に異常なし‥‥‥となると、やっぱり仕掛けたトラップの方に喰いついたかな?」
「あっちに金属製のものをたっぷり詰め込んだやつか‥‥‥そっちかもな」
鎧などの金属備品が齧られる事件を受け、設置したトラップ。
単純明快に餌となる金属部品などを仕掛けたものであり、かかれば即座に脱出不可能な檻に入るようにしているのである。
なお、金属を齧る相手のようであるから、金属の檻ではなく、耐久性も考えて木製ではなく錬金術師学科の方で作られた謎物質で構成されているので、問題は無いはずであろう。
「さてさて、トラップの方は~っと」
意気揚々と仕掛けたトラップを見るために向かった二人。
そして数分後、彼らが目にしたのは…‥‥‥
「‥‥‥あっれぇ?」
「‥‥‥どういうことだ?」
そこにあったのは、無傷のトラップ。
いや、正確に言えば中に設置してあった金属部品などは齧られており、仕掛けもしっかり作動した形跡もある。
だがしかし、どういう訳かその内部には肝心要な獲物が全くおらず、食べるだけ食べて馬鹿にしたような状態だったのだ。
「いや本当に、どうなって‥‥‥」
ガシャーン!!
「しまった!!」
聞こえてきたのは、窓ガラスが割れるような音。
その音を耳にして、グラディたちは自分たちの失態に気が付く。
慌ててその場へ出向いて見れば、時すでに遅し。
「やられた‥‥‥!!トラップは既に抜け、こちらが確認しに向かう時を狙っていたのか!!」
「うわぁ、ひっどい状態になっているじゃん!!」
その備品室の内部は荒らされており、置かれていた物は全て床に散乱していた。
そしてどれもこれもが金属製品ばかりが華麗に齧られまくっており、被害は甚大な様子。
短時間で素早く成しとげ、トラップからもどうやってか抜け出し、王子たちを出し抜く頭。
「…‥‥これは本格的にしなければいけないな」
「修繕費などもただじゃないし、しっかりと対策を取らないといけないか…‥‥」
とにもかくにも、まずは被害に遭った品々の確認をしなければいけないのであった…‥‥
「これ、また仮面の奴らの仕業かな?」
「流石に騒動から日にちもそこまでもないし、こんな微妙にかさむ嫌がらせ行為は無いような気がするのだが‥‥‥怪物を生み出しているし、その副産物の可能性も捨てきれないな」
「何にしても、これ酷いね…‥‥はぁ、ディー君の方に頼んで、召喚獣たちでどうにかできないか聞かないとなぁ‥‥‥」
深夜、ベッドでぐっすりと寝ている中、ふと感じた感触で、ややまどろみつつも俺はその原因を探る。
普段であれば、ちょっとやそっとじゃ起きる気もないのだが…‥季節の変わり目、少し違うのかもしれない。
そう思いつつも、暗い室内ゆえに何があるのかよく見えなかったが、手に何かの感触を感じ取った。
ぷにゅん
「‥‥‥なんだ、これ?」
柔らかいというか、何と言うか…‥‥ちょっと硬さも感じるような‥‥‥
「わっちの鱗の間に、何で指が入るのでありんすか、ダーリン‥‥‥」
「‥‥‥リザ?」
暗闇ゆえに分かりにくいが、声で彼女だと俺は理解する。
「なんで、このベッドに‥‥?」
「ちょっとうすら寒くて、巻き付きに来たのでありんす。授業内でダーリンも聞いたでありんすよね、召喚獣は、自然とその温かさを求めて、くっつくこともあると」
「そうだっけか‥」
まだ眠く、時間も遅く、ちょっと頭が働ききらない。
なーんか少し、嫌な警鐘がなっている気もしなくはないのだが‥‥‥まぁ、眠い。
「ふふふ、大丈夫でありんす。特に何もするわけでもなく、ただ巻き付きに来ただけでありんすからね。ノインは既に不意のツボで寝ているでありんすし、ダーリンもゆっくりとお休みのツボを押してあげるでありんすよ‥‥‥」
耳元に口を寄せ、そう告げるリザ。
ぐいっと指の感触がしたかと思うと、眠気が一気になだれ込んでくる。
「あ、これ、意識が…‥‥」
「お休みでありんすよ、ダー‥‥‥」
最後まで聞こえずに、そのまま意識を落としそうになった…‥‥その瞬間である。
「抜け駆けさせないでござるよ。それっ」
「あひぃん!?」
聞こえてきたのは、ルビーの声と何かをされて声を上げるリザ。
少々ボコすかと音が聞こえた後、ずるずると引きずるような音とともに、ルビーがさっきのリザ同様に俺の耳元に口を寄せた。
「ふむ、主殿今のツボ押しでだいぶまどろみ、あと一押しで寝そうになっているでござるな‥‥‥抜け駆け防止と入ったでござるが、うむ、拙者が潜り込んでも文句はあるまい」
そう言いながら、ごそごそとベッドの中に彼女が入り込んできた。
「ふふふふ、これはこれでラッキーでござる。さて、あとは主従共にお楽しみを‥」
‥‥‥こちとら、リザのツボ押しと今のちょっとした騒ぎで眠気が上下している状態ではあったが、やや下降し始める中でルビーが何かしようとして来た‥‥‥その時である。
「こんばんわですわ、そして成敗ですわ」
「ぬ?その声はカトレ、アッー!?」
めごんす!!っと何かすごい音が聞こえ、ずるずるとルビーが布団から引きずり出され、今晩3人目の耳もとへカトレアが口を寄せて告げた。
「ちょっと妙な音がしたので起きて見れば、そろってマスターにやらかしかけましたわね‥‥‥まぁ、寒くなってきている今日この頃、ちょっとばかり種の本能的な物がでてもおかしくはありませんでしたが‥‥‥本当に何をやらかしているんだと言いたいですわね」
「しゅ、種の生存本能…?」
眠気が上下しつつも、辛うじて聞こえてきたその言葉に俺は問いかけた。
「ええ、モンスターの中には、寒い季節になる前に色々としこもうとする類もあるのですわ。この二人、おそらくそれが自然となっていたようですけれども‥‥‥マスターの年齢はまだ14歳。来年で15歳となっても、もうちょっとだけ体としては未熟とも言えますのに‥‥‥」
「…‥‥」
‥‥‥何が、と問いかけたいが、何となく言わない方が良いような気がしてきたので俺は黙る。
まぁ、うん、その手の知識はまだ浅い方なのだが、なんか聞かないほうが幸せな気がする。というか、さらっと未熟とか言われるのも解せぬ。‥‥‥まだ成長するからな?まだ背は伸びるからな?
「しかし、ノインが倒れて、リザが縛られ、ルビーが今ので麻痺ってしまいましたが…‥‥面白い状況ですわね」
くすりと笑うような声を上げ、そっと彼女もまた、俺のベッドの中に入り込んできた。
「ああ、安心してください、マスター。わたくしは元々こういう類などもしっかり知っておりますし、今の状況、何かするわけにもいきませんもの。ただ単純に、眠りを邪魔されたマスターの安眠に一役買うだけですわ‥‥‥」
そう言いながら、そっと俺の頭を持ち上げ、何かに乗せる。
ふんわりとして、それでいていい香りがしており、胸ともまた違う感触のこれは…‥‥
「快眠用、特性睡眠草の枕ですわ。本来、同族が獲物から安らかに血を抜くために使用するのですが、今回はマスターの快眠のためだけにしてますわ。どうぞ、ごゆっくりと‥‥‥」
「で、抜け駆けちゃっかりしてますネ」
「‥‥‥あら?ノイン、もう起き上りましたの?」
うつらうつらと眠りにいざなわれる中で、ノインの声が聞こえてきた。
「リザにツボを押されましたが、こういう時のために再起動しやすくしているのデス」
「あらあら、でもねぇ、今、わたくしはそこの倒れてる二人のように、やらかす気ではないのですわ。ただ単純に、マスターの安眠のために動いて何が悪いのかしらぁ?」
「ちゃっかりと布団に全裸で潜り込んでいる時点で、どの口が言いますカ?」
…‥‥なんかさらっと、トンデモ情報が聞こえてきたような気がするんだけど。
言われてみれば、暗闇で良く見えないけど、草木の音は擦れども布ずれとかそう言う音は彼女からしていなかったような…‥‥
「ま、でもマスターがこちらにいるのですし、そう動くこともできないはずで、」
「グゲェ!」
ガァンッ!!
「わっつ!?」
強烈な一撃が舌らしい音の後、ばたりとカトレアが倒れ込む。
そしてすでに今晩何度目かの引きずる音の後、今度はノインとリリスがそばにいた。
「良くやりましたリリス。天井に張り付き、上からの奇襲とはなかなかデス」
「グゲェ!」
ぱしぃんっと、ハイタッチをかわすような音が聞こえる。
なんか仲良いなこの二人。種族的に物に近いが故の、関係性だからか?
「とりあえずゼネ、貴女もそこにいますよネ?}
「うむ、儂、さっきから見ておったのじゃが‥‥‥まぁ、うん、本能3人組の事は見ていたのじゃが、なんか面白くも思えていたのじゃ」
「傍観者でいたという訳ですカ‥‥‥まぁ、別に良いでしょウ」
はぁっと、珍しくため息を吐いたらしいノイン。
「ここ数日の冷え込みで、本能が刺激されたようですし、いっその事しばらく寝てもらいましょウ。アナスタシアの冷凍室へ運び込みますので、手伝ってくだサイ」
「分かっておるのじゃ。まぁ、傍観しておったとはいえ、ちょっとずるくも思えてしまったしのぅ。室温、マイナス20度ぐらいにして置くかのぅ?」
「彼女の要望で、現在マイナス30度でしたが…‥‥マイナス40度にしておきましょウ。そこまですれば、当分冬眠決定デス」
「それが妥当じゃな」
「グゲェ」
「それではご主人様、今晩は失礼を致しまシタ」
そう告げ、ずるずると倒れたリザたちを引きずっていくらしいノインたち。
ばたんと扉が閉じた後、俺は改めて眠りにつくのであった…‥‥‥ああ、でもせめて氷漬けになるようなことはやめてあげて欲しいかな。永久冬眠とかはされたくないからな…‥‥
…‥‥ディーの寮室でそのようなやり取りがあった丁度その頃。
騎士学科の練習用の鎧などがある備品室には、グラディがゼノバースと共に見回りをしていた。
「本来なら、用務員とかに任せるけど…‥‥」
「こういう時は、生徒会が動くからな…‥‥」
できれば一員であるディーたちも今宵は起こして共に見回りをさせたいとも思っていたが、流石に頼り過ぎるのも良くはない。
一応、警戒して欲しいと言っておいたので後はあのメイドとかが勝手に対策を練るだろうと思いつつ、手に持った灯りで周囲を照らしていく。
「34番、45番鎧に異常なし‥‥‥となると、やっぱり仕掛けたトラップの方に喰いついたかな?」
「あっちに金属製のものをたっぷり詰め込んだやつか‥‥‥そっちかもな」
鎧などの金属備品が齧られる事件を受け、設置したトラップ。
単純明快に餌となる金属部品などを仕掛けたものであり、かかれば即座に脱出不可能な檻に入るようにしているのである。
なお、金属を齧る相手のようであるから、金属の檻ではなく、耐久性も考えて木製ではなく錬金術師学科の方で作られた謎物質で構成されているので、問題は無いはずであろう。
「さてさて、トラップの方は~っと」
意気揚々と仕掛けたトラップを見るために向かった二人。
そして数分後、彼らが目にしたのは…‥‥‥
「‥‥‥あっれぇ?」
「‥‥‥どういうことだ?」
そこにあったのは、無傷のトラップ。
いや、正確に言えば中に設置してあった金属部品などは齧られており、仕掛けもしっかり作動した形跡もある。
だがしかし、どういう訳かその内部には肝心要な獲物が全くおらず、食べるだけ食べて馬鹿にしたような状態だったのだ。
「いや本当に、どうなって‥‥‥」
ガシャーン!!
「しまった!!」
聞こえてきたのは、窓ガラスが割れるような音。
その音を耳にして、グラディたちは自分たちの失態に気が付く。
慌ててその場へ出向いて見れば、時すでに遅し。
「やられた‥‥‥!!トラップは既に抜け、こちらが確認しに向かう時を狙っていたのか!!」
「うわぁ、ひっどい状態になっているじゃん!!」
その備品室の内部は荒らされており、置かれていた物は全て床に散乱していた。
そしてどれもこれもが金属製品ばかりが華麗に齧られまくっており、被害は甚大な様子。
短時間で素早く成しとげ、トラップからもどうやってか抜け出し、王子たちを出し抜く頭。
「…‥‥これは本格的にしなければいけないな」
「修繕費などもただじゃないし、しっかりと対策を取らないといけないか…‥‥」
とにもかくにも、まずは被害に遭った品々の確認をしなければいけないのであった…‥‥
「これ、また仮面の奴らの仕業かな?」
「流石に騒動から日にちもそこまでもないし、こんな微妙にかさむ嫌がらせ行為は無いような気がするのだが‥‥‥怪物を生み出しているし、その副産物の可能性も捨てきれないな」
「何にしても、これ酷いね…‥‥はぁ、ディー君の方に頼んで、召喚獣たちでどうにかできないか聞かないとなぁ‥‥‥」
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