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149 どこかで今日も建築中
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‥‥‥色々と何か失いつつも翌日、事後処理にディーたちは頭を悩ませた。
何しろ、相手はゼネの妹とそのオマケとはいえ、身元を調べると神聖国のトップに就いている者たち。
国内身分偽り不法侵入、惨殺未遂、襲撃未遂、その他諸々述べるだけでも多くの罪状があり、下手に明るみに出せばそれこそ友好国同士の関係にひびが入りかねない。相手がほぼ悪いが。
かと言って放置できるわけでもないのは分かるし、厳重処分しようにもどうも彼女達は神聖国の方で様々な功績をあげ、良からぬ輩共も処分しているのに、ここで失わせては戻ってきて大腐敗時代に戻る可能性もある。
そう考えると、どうしたものかと頭を悩ませることになり、一介の学生であるこの身には重すぎる。
「‥‥‥という理由が書かれた貼り紙と共に、簀巻き状態で神聖国のトップ及びその配下が挙げられた議題に関して、良い意見が出せる者は手を挙げよ」
王城内、議会室。
国王の出したその言葉に対して、全員が頭を抱えるのであった…‥‥
「で、あっちに全部投げ捨てたけど、これで大丈夫なのだろうか?」
「何かあれば、国外逃亡すればいいだけの話デス」
学園祭2日目、王城内の方で思いっきり重いムードが漂っているという予想がある中、俺たちは純粋に祭りを楽しんでいた。
何しろ狙っていた面倒な一派およびゼネの妹という問題が一時的に解決され、考え込む必要はない。
仮面の組織の方の心配事はあるが、あの一夜のせいで今なら別にどうでも良すぎると思えてしまうからだ。
‥‥‥数日経ったらきちんとした脅威として改めて警戒するだろうけれども、今はあの一夜を生き延びれたことに純粋に喜べばいいだろう。
ただ、あの後の事を何故か記憶にないのだが…‥‥何があったのか分からず、皆も黙り込むし、ゼネに至っては自室に引き籠ったし、真相が不明である。
気にしない方が良いのかもしれないな‥‥。
そう思いつつも、今日も各学科の店は開店しており、初日に比べて少しは落ち着いたモノの、それでも人が多いのは変わりない。
そして本日の召喚士学科は、召喚獣たちを魅せるというのは変わらないのだが‥‥‥
「『さぁさぁさぁ!!きたれよきたよ!!』」
「‥‥‥今日は、詠唱文全部唱えて、召喚を実際に魅せるのがメインかぁ」
「すでに呼ばれている方々で、改めてやっているのが多いのでありんすな」
魅せ方としては、確かに召喚獣の召喚光景もあるだろう。
召喚文を唱えている間にどこかからともなく魔法陣が浮き上がり、発光し、唱え終わると同時に召喚獣たちが呼び出される一連の流れ。
一度呼びだせば後は簡易的な召喚で済むとはいえ、それでもきちんとした詠唱で召喚する光景は何処かワクワクさせるのである。
「まぁ、そもそも召喚士一人で、一体が基本的だからなぁ‥‥‥他が契約とかが多いし、改めて召喚して新しい召喚獣を呼ぶこと自体がほとんどないか」
「ご主人様が、思いっきりその例外に当てはまりますけどネ」
そう言われるけど、分かっていることである。
何しろこの面子、半分が普通に詠唱で呼び寄せた召喚獣、もう半分がこの世界で契約した召喚獣だからなぁ…‥‥。
ノイン、カトレア、ルビー、アナスタシアが前者で、ゼネ、リリス、リザが後者だしね。
そう考えると割とバランスが良いというか、なんというか‥‥‥どっちにしても無茶苦茶な召喚獣たちであることには変わりないだろう。
ただ、当初はカッコイイ系のものを呼びたかったはずなのに‥‥‥なぜ美女ばかりになったのかが一番の疑問だ。前者はまだ良いとして、後者の方は召喚して契約した際に種族ごと全部変わるってどういう事だろうか。
原因としては「異界の召喚士」というのがあるのだろうが、未だによく分からないからなぁ。
…‥‥皆美女なのは100歩譲って良いだろう。
だがしかし、やらかすことや様々な事で色々とツッコミが足りず、ストレスがたまるのである。
ああ、ツッコミに優れた召喚獣がいたら、今なら絶対に求めるだろうなぁ…‥‥昔はかっこいいドラゴンとかを呼びたかったのに、そう思うようになった自分の思考に悲しみを覚えなくもない。
何にしても、こうやって他人の召喚風景を見ると、自分のやる類とはそれぞれ違うのが良く分かる。
召喚時に頭の中に浮かんだのを読むのだが、各々で何かと違う。
こいこいこいっと強く言ったり、きてね~きてね~っと軽く言ったり、きませいきませいとなにか違う者を呼びそうな気がするものだったりと、色々異なっている。
「でも、召喚するための詠唱であることには変わらないし‥‥‥なんでこうなるのかが不思議だよなぁ」
授業中でも召喚の際の詠唱に関してのものもあったが、異なるのは個人差という程度。
文章の中で混じっているものによって呼び出される召喚獣の傾向も変わるらしいが、それも運次第なところが多い。
そもそも、頭の中にその文が浮かぶのかが問題とも言えるだろうし、比較したくともそうそうできるわけでもない。
「私たち全員の詠唱で比較できるのではないでしょうカ?」
「あー‥‥‥その手もあるか?」
ただそれはあくまでも俺が召喚する際に使用する詠唱文であり、他人と比較はしにくい。
けれども、文章のどこかで彼女達にする決め手があるのは間違いないだろう。
「基本的に4文構成なんだよなぁ。最初が目当ての者の大まかな部分、2文目でどのような力を持つのか、3文目でほぼ決定、そして4文目で名付けなんだよね」
まぁ、大抵その3文目に物騒な物が多いが。
ゼネの時は「敵となりし者たちへ滅亡を絶望を」、リザの時が「癒し砕き祝福し滅亡させよ」とか、何かと滅びる関係が多いというか‥‥‥まぁ、彼女達によって撃沈したやつも多いから間違ってもないか。
1文目で安心させておいて、その2、3文目でやらかしたのはリリスで、何かと間違っているのはルビーの時だったし…‥‥考えてみると、召喚文は何かと謎が多い。
「そう考えると、色々あるのですわね」
「ダーリン、召喚の詠唱のときよく噛まないのが不思議でもありんすよ」
言われてみればその通りである。
長ったらしいというか、舌を噛みそうというか‥‥‥それでも言い切れるからなぁ。
「とはいえ、これ以上増やす気も特にないが‥‥‥というか、増えるのかな?」
ゼネは今引き籠り中で不在とは言え、今の俺の召喚獣たちはそれなりの人数。いや、人でもないから人数と言って良いのかわからんが、数はそれなりに入るだろう。
普通の召喚士が1体ぐらいの使役だが、こちらは多いからなぁ。
「試してみるのはどうでしょうカ?新しい詠唱文を浮かべたら、詠唱して見るのがよろしいカト」
「いや、それで召喚できちゃったらまたなんかやらかされそうな気がするんだよなぁ…‥‥」
経験上、まともに召喚してまともな奴が呼べた記憶はない。
契約での召喚である面子は良いとして、普通に召喚した召喚獣の面子の方で、無茶苦茶なのが多いせいである。
ノインはメイドゴーレムでメイドだけど、それ以上の重火器搭載、装備開発などができているし、カトレアは木々を増やしたりするし、そもそも彼女を呼んだのは群れに襲われた時で一網打尽にしたことがあった。
ルビーはドラゴンを呼ぼうとしてその仲間として出てきて、ちょっとポンコツ気味でもあるがドラゴンの仲間に恥じない怪力やブレスもあるし、アナスタシアに至っては完全凍結とか色々氷の技能が凄まじい。
そう考えると、まともな召喚をしたところでまともな奴が出てくることが絶対無いだろう。
というか、考えれば考えるほどなんか悲しくなってくるのは気のせいだろうか‥‥‥あと胃が痛くなりそう。
…‥‥とは言え、一度興味を持ってしまったのもあるし、流石に召喚文が頭の中に浮かんでも、この人数だと召喚限界とかありそうだし、流石に呼べることはないような気もする。
「ちょっとだけ、やってみるか?」
人とは学習する生き物で、色々と前科を積み重ねたのであれば、もうやらないことはあるだろう。
けれども、今度こそまともな奴というか、ツッコミ要員を呼びたいような気持ちもあるのだ。
そう考えると、また過ちを犯しかねないが…‥‥それでも希望を抱いてしまうのは人のさがなのかもしれない。
ついでに言うのであれば、流石に人数が多いので、卒業後に移動する際に結構大変そうなのがあるからな。できれば今度こそ大人数を運べるような大型のドラゴンか、もしくはそれ相応のモンスターを召喚したいところではある。リリスの箱でも皆入って移動できるけど、ちょっとこれじゃない感もあるからね。
そう思い、その場をいったん離れて、学園最中とは言え空いている個所がある校庭の一角へ赴いた。
狙うは大型の召喚獣であり、でかすぎて内部から学園を破壊するとかだったらシャレにならないからな…‥今までの例を考えると、異界の召喚士という職業柄、絶対に滅茶苦茶な奴を呼びかねない部分もある。
あとついでに今回望むのであれば、異界の召喚士という名の職業があるのに、噂で俺に対して「美女製造機」だの「強制女性変換機」とか、そういうものを払しょくしたい目的もある。
「一応試してみるけど‥‥‥まぁ、万が一呼べても大丈夫だよな?」
「問題ないかと思われマス。昨晩、皆様と色々話してますシ」
「何か出てきても、マスターのやらかすことですからと納得してますわ」
「グゲェ」
「主殿は確実にやらかすのが目に見えているでござるが、拙者たちでフォローできるはずでござる」
「ゼネがいないけれども、彼女も同意見のはずでありんすよ」
「後輩、できたら、ちょっと楽」
…‥‥なんかちょっと辛らつ気味なのが気になる。あと、アナスタシア、先輩後輩ってのは召喚獣にあるのだろうか‥‥‥いや、あるか?
何にしても、興味も持ったし、やってみたいと言うか、諦めの悪い挑戦心ゆえに試してみる。
まぁ、流石にもう何回も召喚を行っているし、頭の中に浮かぶ詠唱文の選択ぐらい、慣れたものだ。
(‥‥‥『甘きもの』はリリスと被る‥‥‥『腐食させ』は危険な香り‥‥‥『湧き出すもの』は何か洪水とか連想するし、ありがとうございます。あれもあれでちょっとトラウマだし…‥‥)
選択しつつ、微妙な類とかも外し、確実に狙い通りに行きそうなものを絞り込んでいく。
「よし、これなら大丈夫か?」
ある程度検討をつけ、その召喚文を選択することにした。
まぁ、ここまでの人数がいるし、呼べない可能性も無きにしも非ずだが、この文章であればノインたちのような美女の可能性もないはずだ。
「『来たれ、破滅と、混沌の者よ』」
最初から結構物騒な気もするが、このぐらいインパクトのある奴であれば、おそらくそれなりに大物になりそうな予感。癒しとかもなく、とことん堕ちているというか、滅茶苦茶具合が中々のもの。
「『汝は常に、我が元へ、全てを薙ぎ払い、制圧するものでもある』」
薙ぎ払うのは尻尾や手などもあるだろうし、制圧するには武力とかもあるだろうし、今回は良いものを引けた可能性がデカい。
「『我が命を受け、覇道を見せ忠誠を誓え、さすれば汝に名を与えん』」
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はレイア!!我が元へ来たまえ!!』」
‥‥‥‥流石に物騒過ぎる文が多めで、ここまでくれば何が出てきてもノインたちのようなのはないだろう。
というかそもそも、召喚できるのかどうかという問題もあったが‥‥‥どうやら召喚限界とかはまだないようだ。
何故ならば魔法陣が浮き上がり、発光したのだから。
「‥‥‥なるほど、某を呼んだでありますな?」
煙が噴き出し、晴れたところへその姿を現す。
カツンっと足踏みをして、地面の感触を確かめるように何度も行い、こちらへ向き直る。
筋肉質な馬脚でありつつ、早さも備え、力強さも兼ね備えているかのような姿。
そして、全身を守るためか分厚い騎士の鎧のような物を着こなしつつ、ぶぉんっと軽く手に持った槍を‥‥‥槍?
「某、『レイア』と承った。この槍を捧げ、召喚主殿へ忠誠を誓う事をここに宣言させてもらおう!!」
びしっと敬礼し、騎士の鎧を着こなした馬‥‥‥もとい、リザのように半身が人間のモンスターがそう堂々と宣言する。
「種族は誇り高き『グランドケンタウロス』!!その力を持って、マイロードを支えよう!!」
びしっと槍を天高く掲げ、その召喚獣はそう吠える。
…‥‥何と言うか、うん、確かに輸送とかには色々とできそうな気もするが…‥‥今度は変な奴を呼んでしまったような気がする。
というか、全身鎧を着こなし、兜をかぶって声もくぐもって男なのか女なのかもわからん。
どうもまた、へんてこな召喚獣を俺は呼んでしまったようなのであった‥‥‥‥
「えっと…‥‥先ずその兜とか、外してもらえないかな?」
「否!!これぞ某の戦闘服でもあり、外すのは湯あみの時ぐらいである!」
何しろ、相手はゼネの妹とそのオマケとはいえ、身元を調べると神聖国のトップに就いている者たち。
国内身分偽り不法侵入、惨殺未遂、襲撃未遂、その他諸々述べるだけでも多くの罪状があり、下手に明るみに出せばそれこそ友好国同士の関係にひびが入りかねない。相手がほぼ悪いが。
かと言って放置できるわけでもないのは分かるし、厳重処分しようにもどうも彼女達は神聖国の方で様々な功績をあげ、良からぬ輩共も処分しているのに、ここで失わせては戻ってきて大腐敗時代に戻る可能性もある。
そう考えると、どうしたものかと頭を悩ませることになり、一介の学生であるこの身には重すぎる。
「‥‥‥という理由が書かれた貼り紙と共に、簀巻き状態で神聖国のトップ及びその配下が挙げられた議題に関して、良い意見が出せる者は手を挙げよ」
王城内、議会室。
国王の出したその言葉に対して、全員が頭を抱えるのであった…‥‥
「で、あっちに全部投げ捨てたけど、これで大丈夫なのだろうか?」
「何かあれば、国外逃亡すればいいだけの話デス」
学園祭2日目、王城内の方で思いっきり重いムードが漂っているという予想がある中、俺たちは純粋に祭りを楽しんでいた。
何しろ狙っていた面倒な一派およびゼネの妹という問題が一時的に解決され、考え込む必要はない。
仮面の組織の方の心配事はあるが、あの一夜のせいで今なら別にどうでも良すぎると思えてしまうからだ。
‥‥‥数日経ったらきちんとした脅威として改めて警戒するだろうけれども、今はあの一夜を生き延びれたことに純粋に喜べばいいだろう。
ただ、あの後の事を何故か記憶にないのだが…‥‥何があったのか分からず、皆も黙り込むし、ゼネに至っては自室に引き籠ったし、真相が不明である。
気にしない方が良いのかもしれないな‥‥。
そう思いつつも、今日も各学科の店は開店しており、初日に比べて少しは落ち着いたモノの、それでも人が多いのは変わりない。
そして本日の召喚士学科は、召喚獣たちを魅せるというのは変わらないのだが‥‥‥
「『さぁさぁさぁ!!きたれよきたよ!!』」
「‥‥‥今日は、詠唱文全部唱えて、召喚を実際に魅せるのがメインかぁ」
「すでに呼ばれている方々で、改めてやっているのが多いのでありんすな」
魅せ方としては、確かに召喚獣の召喚光景もあるだろう。
召喚文を唱えている間にどこかからともなく魔法陣が浮き上がり、発光し、唱え終わると同時に召喚獣たちが呼び出される一連の流れ。
一度呼びだせば後は簡易的な召喚で済むとはいえ、それでもきちんとした詠唱で召喚する光景は何処かワクワクさせるのである。
「まぁ、そもそも召喚士一人で、一体が基本的だからなぁ‥‥‥他が契約とかが多いし、改めて召喚して新しい召喚獣を呼ぶこと自体がほとんどないか」
「ご主人様が、思いっきりその例外に当てはまりますけどネ」
そう言われるけど、分かっていることである。
何しろこの面子、半分が普通に詠唱で呼び寄せた召喚獣、もう半分がこの世界で契約した召喚獣だからなぁ…‥‥。
ノイン、カトレア、ルビー、アナスタシアが前者で、ゼネ、リリス、リザが後者だしね。
そう考えると割とバランスが良いというか、なんというか‥‥‥どっちにしても無茶苦茶な召喚獣たちであることには変わりないだろう。
ただ、当初はカッコイイ系のものを呼びたかったはずなのに‥‥‥なぜ美女ばかりになったのかが一番の疑問だ。前者はまだ良いとして、後者の方は召喚して契約した際に種族ごと全部変わるってどういう事だろうか。
原因としては「異界の召喚士」というのがあるのだろうが、未だによく分からないからなぁ。
…‥‥皆美女なのは100歩譲って良いだろう。
だがしかし、やらかすことや様々な事で色々とツッコミが足りず、ストレスがたまるのである。
ああ、ツッコミに優れた召喚獣がいたら、今なら絶対に求めるだろうなぁ…‥‥昔はかっこいいドラゴンとかを呼びたかったのに、そう思うようになった自分の思考に悲しみを覚えなくもない。
何にしても、こうやって他人の召喚風景を見ると、自分のやる類とはそれぞれ違うのが良く分かる。
召喚時に頭の中に浮かんだのを読むのだが、各々で何かと違う。
こいこいこいっと強く言ったり、きてね~きてね~っと軽く言ったり、きませいきませいとなにか違う者を呼びそうな気がするものだったりと、色々異なっている。
「でも、召喚するための詠唱であることには変わらないし‥‥‥なんでこうなるのかが不思議だよなぁ」
授業中でも召喚の際の詠唱に関してのものもあったが、異なるのは個人差という程度。
文章の中で混じっているものによって呼び出される召喚獣の傾向も変わるらしいが、それも運次第なところが多い。
そもそも、頭の中にその文が浮かぶのかが問題とも言えるだろうし、比較したくともそうそうできるわけでもない。
「私たち全員の詠唱で比較できるのではないでしょうカ?」
「あー‥‥‥その手もあるか?」
ただそれはあくまでも俺が召喚する際に使用する詠唱文であり、他人と比較はしにくい。
けれども、文章のどこかで彼女達にする決め手があるのは間違いないだろう。
「基本的に4文構成なんだよなぁ。最初が目当ての者の大まかな部分、2文目でどのような力を持つのか、3文目でほぼ決定、そして4文目で名付けなんだよね」
まぁ、大抵その3文目に物騒な物が多いが。
ゼネの時は「敵となりし者たちへ滅亡を絶望を」、リザの時が「癒し砕き祝福し滅亡させよ」とか、何かと滅びる関係が多いというか‥‥‥まぁ、彼女達によって撃沈したやつも多いから間違ってもないか。
1文目で安心させておいて、その2、3文目でやらかしたのはリリスで、何かと間違っているのはルビーの時だったし…‥‥考えてみると、召喚文は何かと謎が多い。
「そう考えると、色々あるのですわね」
「ダーリン、召喚の詠唱のときよく噛まないのが不思議でもありんすよ」
言われてみればその通りである。
長ったらしいというか、舌を噛みそうというか‥‥‥それでも言い切れるからなぁ。
「とはいえ、これ以上増やす気も特にないが‥‥‥というか、増えるのかな?」
ゼネは今引き籠り中で不在とは言え、今の俺の召喚獣たちはそれなりの人数。いや、人でもないから人数と言って良いのかわからんが、数はそれなりに入るだろう。
普通の召喚士が1体ぐらいの使役だが、こちらは多いからなぁ。
「試してみるのはどうでしょうカ?新しい詠唱文を浮かべたら、詠唱して見るのがよろしいカト」
「いや、それで召喚できちゃったらまたなんかやらかされそうな気がするんだよなぁ…‥‥」
経験上、まともに召喚してまともな奴が呼べた記憶はない。
契約での召喚である面子は良いとして、普通に召喚した召喚獣の面子の方で、無茶苦茶なのが多いせいである。
ノインはメイドゴーレムでメイドだけど、それ以上の重火器搭載、装備開発などができているし、カトレアは木々を増やしたりするし、そもそも彼女を呼んだのは群れに襲われた時で一網打尽にしたことがあった。
ルビーはドラゴンを呼ぼうとしてその仲間として出てきて、ちょっとポンコツ気味でもあるがドラゴンの仲間に恥じない怪力やブレスもあるし、アナスタシアに至っては完全凍結とか色々氷の技能が凄まじい。
そう考えると、まともな召喚をしたところでまともな奴が出てくることが絶対無いだろう。
というか、考えれば考えるほどなんか悲しくなってくるのは気のせいだろうか‥‥‥あと胃が痛くなりそう。
…‥‥とは言え、一度興味を持ってしまったのもあるし、流石に召喚文が頭の中に浮かんでも、この人数だと召喚限界とかありそうだし、流石に呼べることはないような気もする。
「ちょっとだけ、やってみるか?」
人とは学習する生き物で、色々と前科を積み重ねたのであれば、もうやらないことはあるだろう。
けれども、今度こそまともな奴というか、ツッコミ要員を呼びたいような気持ちもあるのだ。
そう考えると、また過ちを犯しかねないが…‥‥それでも希望を抱いてしまうのは人のさがなのかもしれない。
ついでに言うのであれば、流石に人数が多いので、卒業後に移動する際に結構大変そうなのがあるからな。できれば今度こそ大人数を運べるような大型のドラゴンか、もしくはそれ相応のモンスターを召喚したいところではある。リリスの箱でも皆入って移動できるけど、ちょっとこれじゃない感もあるからね。
そう思い、その場をいったん離れて、学園最中とは言え空いている個所がある校庭の一角へ赴いた。
狙うは大型の召喚獣であり、でかすぎて内部から学園を破壊するとかだったらシャレにならないからな…‥今までの例を考えると、異界の召喚士という職業柄、絶対に滅茶苦茶な奴を呼びかねない部分もある。
あとついでに今回望むのであれば、異界の召喚士という名の職業があるのに、噂で俺に対して「美女製造機」だの「強制女性変換機」とか、そういうものを払しょくしたい目的もある。
「一応試してみるけど‥‥‥まぁ、万が一呼べても大丈夫だよな?」
「問題ないかと思われマス。昨晩、皆様と色々話してますシ」
「何か出てきても、マスターのやらかすことですからと納得してますわ」
「グゲェ」
「主殿は確実にやらかすのが目に見えているでござるが、拙者たちでフォローできるはずでござる」
「ゼネがいないけれども、彼女も同意見のはずでありんすよ」
「後輩、できたら、ちょっと楽」
…‥‥なんかちょっと辛らつ気味なのが気になる。あと、アナスタシア、先輩後輩ってのは召喚獣にあるのだろうか‥‥‥いや、あるか?
何にしても、興味も持ったし、やってみたいと言うか、諦めの悪い挑戦心ゆえに試してみる。
まぁ、流石にもう何回も召喚を行っているし、頭の中に浮かぶ詠唱文の選択ぐらい、慣れたものだ。
(‥‥‥『甘きもの』はリリスと被る‥‥‥『腐食させ』は危険な香り‥‥‥『湧き出すもの』は何か洪水とか連想するし、ありがとうございます。あれもあれでちょっとトラウマだし…‥‥)
選択しつつ、微妙な類とかも外し、確実に狙い通りに行きそうなものを絞り込んでいく。
「よし、これなら大丈夫か?」
ある程度検討をつけ、その召喚文を選択することにした。
まぁ、ここまでの人数がいるし、呼べない可能性も無きにしも非ずだが、この文章であればノインたちのような美女の可能性もないはずだ。
「『来たれ、破滅と、混沌の者よ』」
最初から結構物騒な気もするが、このぐらいインパクトのある奴であれば、おそらくそれなりに大物になりそうな予感。癒しとかもなく、とことん堕ちているというか、滅茶苦茶具合が中々のもの。
「『汝は常に、我が元へ、全てを薙ぎ払い、制圧するものでもある』」
薙ぎ払うのは尻尾や手などもあるだろうし、制圧するには武力とかもあるだろうし、今回は良いものを引けた可能性がデカい。
「『我が命を受け、覇道を見せ忠誠を誓え、さすれば汝に名を与えん』」
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はレイア!!我が元へ来たまえ!!』」
‥‥‥‥流石に物騒過ぎる文が多めで、ここまでくれば何が出てきてもノインたちのようなのはないだろう。
というかそもそも、召喚できるのかどうかという問題もあったが‥‥‥どうやら召喚限界とかはまだないようだ。
何故ならば魔法陣が浮き上がり、発光したのだから。
「‥‥‥なるほど、某を呼んだでありますな?」
煙が噴き出し、晴れたところへその姿を現す。
カツンっと足踏みをして、地面の感触を確かめるように何度も行い、こちらへ向き直る。
筋肉質な馬脚でありつつ、早さも備え、力強さも兼ね備えているかのような姿。
そして、全身を守るためか分厚い騎士の鎧のような物を着こなしつつ、ぶぉんっと軽く手に持った槍を‥‥‥槍?
「某、『レイア』と承った。この槍を捧げ、召喚主殿へ忠誠を誓う事をここに宣言させてもらおう!!」
びしっと敬礼し、騎士の鎧を着こなした馬‥‥‥もとい、リザのように半身が人間のモンスターがそう堂々と宣言する。
「種族は誇り高き『グランドケンタウロス』!!その力を持って、マイロードを支えよう!!」
びしっと槍を天高く掲げ、その召喚獣はそう吠える。
…‥‥何と言うか、うん、確かに輸送とかには色々とできそうな気もするが…‥‥今度は変な奴を呼んでしまったような気がする。
というか、全身鎧を着こなし、兜をかぶって声もくぐもって男なのか女なのかもわからん。
どうもまた、へんてこな召喚獣を俺は呼んでしまったようなのであった‥‥‥‥
「えっと…‥‥先ずその兜とか、外してもらえないかな?」
「否!!これぞ某の戦闘服でもあり、外すのは湯あみの時ぐらいである!」
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彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
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