憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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175 寒さに震え始めつつ、対策をしつつ

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「雪、雪、雪ぃ!!」

 普段引き籠りがちというか、大人しいはずのアナスタシアが珍しくテンションを上げて駆けまわっている。

 それも無理はないだろう。何故ならば今、雪が降っているのだから。




 季節的には徐々に寒くなって来たが、本日遂に雪が降り始めた。

 まだまだ本格的なものではなく、時間が経てば雨になりそうだが…‥‥雪女でもある彼女にとっては、テンションが上がることらしい。

「で、対照的にこっちが布団に潜るのか」
「寒さ対策はしているでありんすが‥‥‥見たら本能的に温かい所に潜ってしまったでありんすよ」

 アナスタシアが学園の校庭で駆けまわる一方で、リザの方は元が蛇なせいなのか、布団にくるまって引き籠っていた。

‥‥‥一応、寒さ対策でノインが全員の衣服に保温用の仕掛けを施しているはずなんだけどなぁ。

「時期的には、そろそろ冬休み前の期末テストがありますけどネ」
「それもそうだった」

 本格的な雪が降る前に始まるとされる期末テスト。

 雪の時期は流石にどこもかしこも人手不足になったりすることがあり、生徒たちは冬休みに実家へ戻る。

 夏の時とは違うのは、交通事情も考えてやや早めに休みが来るのだが…‥‥テストも早めに来るのだ。

 なので今、学園中はテスト前の勉強空気一色。

 一年間の集大成を見せるためにも全員必死になって、前学期の中間期末、後学期の中間でのテストの結果が良くなかった者は、場合によってはこのテストによって留年してしまう恐れがある。

 まぁ、留年自体はそもそもそこまでもないのだが…‥‥それでもヤヴァイ人たちにとってはほぼ死に物狂いで勉強をしている人も見えるし、諦めた者は何処か虚空を見つめていたりする。

 ちょっと狂気じみた闇を垣間見るが‥‥‥‥俺たちには関係ないだろう。


「普段から勉強も真面目にしているし、普通にやれば良いだけなんだけどな…‥‥」
「何か、心配事でもあるのかのぅ?」
「テスト後の、冬休みの実家帰りに関してだ。手紙でもう知らせたが…‥‥この姿に、家族が驚かないかなって」
「ふむ‥‥‥そう言えばそうじゃったな」

 俺の言葉を理解したのか、ゼネがこちらを見る。


‥‥何もなければよかったのだが、生憎学園で色々あり過ぎた。

 そしてその色々あり過ぎた中であったのは、仮面の組織による薬剤投与‥‥それを受け、治療を施され、リハビリも終えて日常生活に支障はないのだが、ディーの体は変わっていた。

 薬剤投与のストレスや、治療の過多で容姿が変貌し、髪は真っ白に、瞳は真っ赤に。

 しかも治療したとはいえ、完全にすべてが元通りでもなく、人間部分が80%ほどって言うからな‥‥‥流石にこの惨状は、実家に伝えがたかった。

 母さんならまぁまぁっと豪胆さを見せてなんともなく受け入れそうだが、妹の方はどうなんだろうか…‥‥何だろう、「悪い女に騙されてそうなったの!?」とか言われそうな予感しかしない。

 流石に無いが、後は召喚獣が増えた件などもあるからなぁ…‥‥




「‥‥‥物凄く、実家に顔を出しにくい」
「それは仕方が無い事だと思うんだが」
「何とも言えないのニャ」

 そんなわけで今、昼食時に学園の食堂で、共に食べているバルンとルナティアにその心境を話すと、二人とも苦笑いを浮かべていた。
 

「お前と同じ村の出身だから言えるが、多分あそこなら何ともないとは思うけどな。まぁ、村長がかつて学園の生徒だった時に大馬鹿をやらかして、村になんか起こしたとか言う話もあるけれども、普通にいるって言うからなぁ」
「そう言えば、そう言う話もあったなぁ」
「何かって何なのニャ?ディーの村でその村長何をやらかしたんだニャ?」

 うん、色々とやらかしたらしけれども、当時を知る大人たちに聞いても話してくれなかったことから、とんでもなくてなおかつ口外できないような類であるとは推測できる。大人の事情ってやつか。

「それもあるけど、やっぱり帰りにくいんだよなぁ。室内に関してはノインが夏の時に改造したから全員泊まれるけど、召喚獣が増えた話もあるからな」
「まぁ、気にしないでいいんじゃねぇか?あの村でいちいちに気にすることもないだろうし、夏の時に大したことが無かったからそこまで思う事もないだろう?」
「それもそうか」
「個人的には、その改造の方が気になるんだけどニャ‥‥‥いやまぁ、それでも別に大丈夫かもニャ?」

 首傾げつつ、そう口にするルナティア。

 忘れがちだが、森林国の騒動前に村で保護した時もあったし、彼女も村の事を知ったから一応大丈夫そうには思えるのかもしれない。

「まぁ、ディーのそう言う話は、むしろ村の男たちで色々言っていたからなぁ。村から出て学びに入ったやつが、なんで女どもを大量に連れてきているんだとか、村の外には美女が多いのかと問われたりとか、挙句の果てにはお前が何か騙しまくって連れ込んだとか言う話があったからなぁ」
「ん?」

‥‥そんな話、耳にしていないのだが。え、俺村でどう言われてしまっているのか気になるんだけど。

 ただでさえ、美女な召喚獣が多すぎる事から美女製造機とか天然インキュバスとか美女召喚士とか色々と言われていることも耳にすることがあるのに、そんな風に言われていたのかよ!!

「うーん、その話しに関しては女子の方でも色々言っているニャよ?」
「え?なんだそれ?」
「女子は女子で、男子たちの方で色々噂をすることが多いんだけど…‥‥ディーの事は女子の方でも色々言っているニャ」

 ルナティアいわく、男子陣の方で俺の噂があるように、女性陣の方でも割と上がっているらしい。

 というのも、美女が多い召喚獣たちとも言うが、その召喚獣の中にはゼネが…‥‥元聖女でもあり、生前から男性よりも女性にモテていた彼女のファンが女性陣の中に構築されており、そっちの方で嫉妬に狂ったかのような噂もあったらしい。

「まぁ、そっちの方がよりえげつないからニャァ…‥‥ディーが耳にしない方が良いニャ」
「なんか怖いんだけど」
「それだけ、女性の嫉妬の方が怖ろしいという事もあるのニャ。一つだけ、まともな方で上げるならば『(禁止用語)』かニャ」
「…‥‥うわぁ」
「‥‥‥流石にそれは、同情するよ」

 その言葉に俺は思いっきり落ち込みつつ、同情するバルンにポンッと手を肩に置かれるのであった…‥‥


「…‥‥まぁ、そんな人ではないのは、あたしも良く知っているから大丈夫ニャ。あ、でもバルンの方はもっとヤバかったりするニャ」
「なんだと!?」
「この間まで、別の女性性と付き合いつつ、フラれたという話は聞いているけれど、こっちはこっちでその一件から『(口にも出せないような禁止用語)』って言われているニャねぇ。どうもディーと仲いい分、その召喚獣のゼネに近づきやすく見えるようで、そこから逆恨みというか、見当違いの嫉妬を向けられた結果ニャ」
「「‥‥‥」」

‥‥‥ルナティアから聞いたその事実に、俺たちはこの世で怖いものは何なのか理解し、胸に刻んだのであった。

 というか、バルンの方がより酷く言われてないかなそれ?

「ディーの場合は、それだけ召喚獣がいるのに手を出していないという点で、紳士的かつ女性にきちんと思う部分がある評価があるのニャ。でもバルンにはそれがないのニャ」








 とにもかくにも、ディーたちが互いの噂話の酷さに嘆き悲しんでいた丁度その頃。

 王城の方では、とある会議が行われていた。


「会議室内、静かすぎるというか、怖いぐらいなのだが…‥‥」
「それもそうだろうよ。今日は秘密裏に会議が行われているからな」

 王城内、特別会議室の前の扉横にて、警備を担当している騎士たちがひそひそと語り合う。

「秘密ってどういう事でしょうか、先輩」
「ああ、どうもな、今この会議室内には重鎮というか、客というか…‥‥それぞれの国から代表が来て話し合っているんだとさ」
「国際会議ってことか?」
「と言っても、話す内容が内容だけに、秘密らしいが‥‥‥集まっているのは我が国の国王に、フルー森林国の副議長、デオドラント神聖国の大神官、ゼオライト帝国の女帝らしいからな…‥‥」
「‥‥‥前者2国はまだ友好国なのは良いが、帝国の方は前に戦争起きかけていたよな?」
「まぁ、色々あったようだ。なので今は国交も取りつつも…‥‥何かに関して審議をしているらしいんだよなぁ」

 うーんと考えこむような先輩騎士に対して、後輩騎士も首をかしげる。

 それぞれの国の重要そうな面子が集まりつつ、秘密に行う会議とは何なのか。

 その内容が気になりつつも、残念ながら彼らは蚊帳の外であり、内容を聞くことはできない。

「というか、女帝ってそんな気軽に来て良いものなのか?他2国は代表が来ただけにしか思えないのだが」
「どうもあの国はまだごたついていたりするらしいからな…‥‥忙しい政務の合間にも、なんとか期間を設けてわざわざ来られたらしい」

 何にしても、どの様な会議なのかは彼らには理解できない。

 というか、国交のある国の代表などが集まっているというが、足りない国もあるのだ。

「何にしても、どこが来ていてどこが来ていないとか、誰がいて誰がいないとか、我々が知る必要はないだろう。我々はただ、ここで何もないように警備を念入りに行い、万が一に備えていればいいだけど」
「それもそうですね」

 先輩騎士の言葉に、自分たちの仕事を務めれば良いだけかと後輩騎士は納得する。

 各国の代表がわざわざ集まるような内容が気にならないわけでもなかったが、大掛かりなものであれば発表もそのうちにされるだろうと思いつつ、警備に集中するのであった。


「ああ、そう言えばそろそろ交代の時間でしたね。先輩、終わったら飯を食いに行きましょう」
「あ、それはパスする。今日の午後からは逃せないイベントがあるからな」
「ん?」
「いやまぁ、ついこの間OBとして休みの合間に学園を見ていたんだが‥‥‥そこではまる物があってな。その会員に登録しつつ、冬季前の特別イベントが秘密裏に行われるらしくて、それに参加するのだ。貯蔵は十分だが…‥‥果たして、冬季を乗り切るだけの貯金を残せるだろうか…‥‥」
「先輩、なんかすっごい鬼気迫る顔になっているんですが、何をする気ですか?」
「教えん。ライバルが増えると、競争率が高くなるからな‥‥‥‥一部だと悪用された例もあったようだが、真のファンであるならば保存すべきだろう」
「本当に何する気ですか先輩?」


‥‥しいて言うのであれば、ちょっと犯罪になりかねないものに参加するという事。

 それも非常に厳重に秘密にされていることであり、バレたら最後、天罰が下るかもしれない祭事。

 けれども、それでも参加するだけの価値はあると先輩騎士は語りつつ、後輩騎士が来てしまったことで得られるものが減ってしまわないように釘を刺すのであった‥‥‥‥まぁ、結局後輩騎士がこっそりついてきて、結果的に嵌って、先輩騎士よりも利益などを得てしまうのは、また別のお話‥‥‥‥
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