憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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176 対策済みでも常人の場合

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「‥‥‥‥今回は、真っ白になってしまいましたネ」
「うーん、期末の方は余計に試験内容がなぁ…‥‥」

 灰となって燃え尽きた教員たちを見て、俺たちはそう口にしあう。

 後学期の期末テスト、それは一年の集大成。

 ゆえに、教師たちはそのテストに対してこれまで以上に力を注ぎこみ、強烈に燃えて行うのだが‥‥‥一応、負担の原因の一つと自覚しているので、ノインたちにサポートを行わせて教員の負担を減らしたつもりが、どうも不足してしまったらしい。

 分かりやすく説明するために数値を使うのであれば、教員の体力のMAXが10として、普段の中間テストで7も使い、ノインたちのサポートで6に抑えられるところを、今回はそのMAXを越えた20ぐらい‥‥限界突破した状態でやらかされたので、サポートして負担を減らしても意味が無かったのである。

 いや、念のために情報を集めると、後学期期末テストではすでに毎年恒例のようなので、そこはもう気にしないで良いらしい。

 
「‥‥‥教師って、大変なんだな」
「それでも、希望する人は多いらしいですわね」

 熱意をもって、そして死力を尽くしてやってくれる姿に感銘を覚える人も多く、顕現している職業をいかに活かして教師になろうかと模索する人もそれなりにはいるらしい。

 学園の教師たちはそれなりに熱望を持たれるような、憧れにもなっているようであった。





 とにもかくにも、期末も終え、後は数日後に結果が貼りだされるのみである。

 ただでさえ、テストの用意だけで灰になっている教師たちが持つのかどうかという疑問もあるが‥‥‥そこは教師たちの生命力を信じるしかあるまい。

「座学はいつも通りかな」
「あたしも大丈夫かニャ」
「こっちはちょーっとやばいかな…‥‥」

 昼食時、食堂に集まる中でルナティアやバルンと話し合って見たが、結果の予想としてはいつも通りな感じはあるようだ。
 
 ただしバルンに関しては、一つの教科分がやばそうで…‥‥うん、補習とかあるかもしれないが、留年は流石に無いようだ。

「あとは結果が出て、実家に帰ってか‥‥‥」
「村に帰ったら、それはそれで冬支度とかで大変だろうけれどな」



‥‥‥正直言って、もうこの時になると、家に帰る決心はついている。

 髪や瞳の色が変わった件などで行きにくくもあったが、それでも時間の流れで気にしなくなった。まぁ、なんか最近噂だと美女召喚士から白い悪魔とか言われ始めたが…‥‥それ、もう召喚士関係ないような。


「あたしの方は、一旦森林国に帰ることになるからニャ。ちょっと行き来が面倒ニャ」
「そう言えば、ルナティアは留学生だったもんな」

 後学期中いたから忘れがちであったが、考えて見れば彼女はもともと森林国の適正学園の学生。

 留学の名目でここにいただけであって、故郷はこの国じゃないんだった。

「そう言えば森林国の方は冬はどうなんだ?こっちはそれなりに雪も積もるはずだ」
「ああ、それなら大丈夫ニャ。寒さに強い人も多く、そこまで不便もないのニャ」

 獣人の中には、寒さに非常に強い種族も結構多く、むしろ雪が降ればそれこそ祭りのように騒ぎ人もいるようだ。

 森林国内は他にもエルフやドワーフなどの亜人種族もいるが、それぞれで対応も変わっているらしい。

「まぁ、苦手な種族もいるけれども、冬の間はお祭り騒ぎの方が多いかニャァ?氷像づくりに氷の生け花、スケートにソリマラソンなど面白い事も多いのニャ」
「ソリマラソンって?」
「チームで滅茶苦茶重いものをソリに載せて走るマラソンだニャ。その重いものの重さも得点になりつつ、容姿やチーム力、コーナリングなどのテクニックなども評価されるんだニャ」

 なんというか、冬ならではの面白そうな祭りも多いようだ。

「それいいですね、凍らせて氷像、魅せまくりたい!!」
「うわっ!?び、びっくりしたニャ」

 っと、その言葉を聞きつけてか、アナスタシアがぐっとこぶしを握り締めながら話に入って来た。

「雪、冬、凍り、それこそ本領発揮の場!!やってみたい、やってみたい!!」
「テンション高いなぁ…‥‥あ、でも今年はまだ無理だからな?」

 雪が降り始めてからか、雪女故かテンションが高いアナスタシア。

 とはいえ、まだ降り始めなのもあってそこまで雪があるわけでもないし、今回は村の方に帰郷するので向かう事もないのだ。

 というか、雪が積もったら移動も大変になるからな‥‥‥‥リリスの箱をルビーに持ってもらっての移動や、レイアに馬車でも引いてもらっての移動もあるが、吹雪の中や雪道は厳しいものがあるのだ。

‥‥その移動手段に関してノインが色々と新規開拓、発明中だったりするが…‥‥それはそれで、想像すると疲れそうなのでやめておこう。

「んー、残念!!」
「‥‥‥なぁ、ディー。彼女ってここまでテンション高かったか?」
「雪女だからなぁ‥‥‥この時期は本能的に高ぶるようだ。ただ、それとは正反対にだが‥‥‥気が付かないか?」
「ん?」
「何がニャ?‥‥‥あ、そういえば数が二人ほどいないのニャ」

 俺に問われて、首を傾げつつも、バルンよりも先にルナティアが気が付いた。

「正解。この時期だと本能的に大人しくなってしまうようなんだよな…‥‥まぁ、片方は本能じゃなくて自爆だが」

 この場に今いないのは、リザにルビー。

 リザに関しては元が蛇なせいか、防寒対策をとっていても大人しくなってしまったようで、室内に籠り始めた。

 が、ルビーに関しては…‥‥

「…‥‥テンション上がったアナスタシアが、思わず吹雪をやらかして、それに直撃したんだよな」

 真正面からまともに喰らったようで、現在彼女の部屋の溶岩風呂にて暖を取り中。

 季のテンション向上に加えて力を増していたらしい吹雪だったせいで、体の芯から冷えてしまったようなのである。

「2,3日で復活できるらしいけれどな。もちろん、やらかした罰はきちんとやった」
「何をしたのかニャ?」
「頭ぐりぐり。こめかみあたりをね」

 躾とかやり過ぎると体罰扱いになりかねないが、そこは調整している。

 精神的な方法も考えたが、そっちはノインが思いついたえげつないものだったので却下済み。

‥‥‥ああ、でも今度、もし犯罪者とか捕らえる機会があったらちょっと実験台になってもらおう。どの程度なのか、気にならないわけでもないからな。まぁ、そう捕らえる機会はないだろうが…‥‥


 とにもかくにも、軽く終わったような気がしなくもない期末テストではあったが、成績発表の時まで待つのであった。
 
「あ、そう言えば中間時に『盛大なやらかし力』ってあったけど、期末にもあるのかニャ」
「またお前がトップを取りそうな気がするんだが」
「それは嫌だなぁ…‥‥できれば誰かがトップの座についてほしいよ…‥‥」

 はぁっと溜息を吐くディーではあったが、ルナティアとバルン、その他食堂で会話を聞いていた生徒たちは心の中で「また絶対に取るだろうなぁ‥‥‥」っと思い、憐れむ目を向けるのであった…‥‥‥
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