憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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202 前例がいるせいで期待があるも

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「ではこれより、適性検査を行う!!」

‥‥‥あの声を聞くと、去年のことを思い出すなぁと考えながら、ディーはその光景を見ていた。


 雪解けし、冬季休暇も終え、学園が再び活動する今、新入生が入ってくる時期となった。

 新入生たちはもちろん、入学前に適性検査を行い、自身にそれぞれあった職業を顕現させていく。

 そこから学園の各学科へ入り込み、それぞれ学んでいくのだが‥‥‥‥


「よっしゃぁぁぁぁ!!騎士だぁぁぁぁあ!!」
「うおおおおおお!!武闘家だぁぁぁ!!」
「医師!?なんでこれなんだぁぁぁぁ!!」
「おぅっふタンクマン!?ドMの自覚はないんだが!?」


「‥‥‥混沌というか、去年以上の熱狂だな」
「色々と悲喜こもごも、起きているようデス」

 適性検査の中で、たまにやらかす人がいるらしく、その鎮圧要因に生徒会として俺たちは来ていたが‥‥‥何と言うか、去年以上の大盛況。

 入学生の数としては、実は去年よりも2~3割ほど少ない年ではあるそうなのだが、それでもこの熱狂ぶりは流石に覚えがない。

「まぁ、それもそうだろうねぇ。今年の場合、自分の職業に熱狂的に期待する人が多い傾向のようだもの」
「どういうことだよ?」
「んー、ディー君とその召喚獣たちが原因だと思うよ?」

 呆れたように肩をすくめつつ、副生徒会長グラディが予想を述べる。


 

‥‥‥今年、ここまで熱狂する原因を辿っていくと、どうやら俺に当たるらしい。

 何しろ、ただの召喚士ではなく異界の召喚士というものを顕現させたうえで、どんどん新しい召喚獣たちを手に入れていった。

 その様子を見ている人たちからしてみれば、自分ももしかしたらあのような珍しい職業になれる可能性があり、期待を余地膨らませていった結果、今の熱狂具合になったらしい。

 まぁ、召喚士と言っても初召喚の召喚獣とかは思い通りにいかないのは十分わかっているのだが‥‥‥俺のような例がある事を見ると、他の人達も自分が珍しい職業に慣れるかもしれないと思い、相当期待を高めているようだ。

 
「召喚士になったら、あの人のように美女に囲まれたいとか、なれなくとも実力次第で同等のモテ具合になれるかもしれないとか、ちらほら聞こえてくるよ」
「うわぁ‥‥‥そんな理由で熱狂していたのか…‥‥」

 なんというか、そこまで期待を高められても、世の中そううまくいかないことも多いので落ち込む人が出そうな心配もある。

 とはいえ、大抵の人の気質に合った職業が顕現するし、そこまで文句のあるようなことはないとは思うが‥‥‥


「うぉぉぉぉ!!召喚できたけどなんかちっさぁぁあ!?」
「こっちはタコなんだが!?足再生するなら料理に仕えそうなんだが!?」
「なんかすごい巨大羊が出たぁぁ!?埋もれるぅぅぅ!!」

‥‥‥どうやら期待していた者が呼べなくとも、熱狂する空気に流されてなのか、ハイテンションで喜ぶ人が多いようである。

 というか、変なのもちょっと多いような‥‥‥‥


「『ミニスパイダー』、『キングオクトパウゥス』、『シーブロッコリー』、『ライトニングバード』‥‥‥ふむ、結構珍しい召喚獣が多く出ているようデス」
「なんというか、こうやって我が君以外の人が召喚獣を呼ぶ光景ってのも、面白く思うぜ」

 図鑑などがあるので、大体の召喚獣の把握はできるが、今年はちょっと個性的なモノが多いようである。

「珍しい職業の顕現とかは?」
「まだ報告されて無いようデス」
「上空から見たでござるが、熱狂具合ゆえにちょっと熱かったでござるよ」

 今のところは変な職業も出ておらず、悲喜こもごもありながらも最終的には喜ぶ結果になっているらしい適性検査。

 まぁ、職業顕現後に直ぐに調子に乗ってやらかす人は、まだ出てない感じが‥‥‥



「きゃああああ!?なんか暴れ出しましたわぁ!!」
「うわああああ!!あいついきなりボッコボコにしてきたんだが!!」

‥‥‥思っている合間に、平穏がぶち破られた。

 どうやら、職業顕現後に力を試そうとして喧嘩を売り始めた馬鹿が出たらしい。

 このまま何事もなかったらよかったのにと思っていたのに、出てきてしまったそのやらかし人に対して、俺たちはすぐに鎮圧へ向かうのであった。

「なんでこうもすぐに出るのかなぁ?」
「力を得ると、暴れたくなる馬鹿はいますからネ」









‥‥‥ディーたちがやらかした輩たちを成敗している丁度その頃。

 都市からちょっと離れた場所にある森の中のダンジョン…‥‥学園が授業などで扱うその最深部にて、ゼネは一人別行動をとっていた。

「ふむ、一応メンテナンスも兼ねて来たのじゃが‥‥‥今のところ組織の手が入っていないようじゃな」

 ダンジョンコアを操作しつつ、内部の状態を確認し、彼女はそうつぶやく。

 ここはかつて普通にダンジョンが産まれ、ゼネがダンジョンマスターとして強制労働させられていた場所だが、今では彼女が全部手中に収め、コントロールできている場所。

 とはいえ、先日の組織の騒動にて、ダンジョンを掌握して施設を建造していたことがあったので、このダンジョンも狙われていた可能性もあったが…‥‥どうやらその類は入り込んでいないらしい。

 一応今は、ゼネがここのダンジョンコアを掌握しているので、実質的に彼女の持ち物でもあるし、色々と特殊なトラップなども仕掛けているので、そう簡単にここに人が入るようにしていない結果ともいえよう。


「あとは、学園での健康診断用の場所の確保と‥‥‥生み出すモンスターや資源の調整じゃな」

 杖でぐりぐりとダンジョンコアを弄り、その調整を彼女は行う。

 ナイトメア・ワイトとしての強力な幻術なども併用しており、いろいろと操作はできるが‥‥‥まぁ、微妙な調整が仕切れないのがちょっと残念ではあろう。

「っと、出現率と排除されるバランスを見ると‥‥‥この辺はノインに相談かのぅ」

 難しい計算が必要な個所もあり、ゼネ自身はけっこう賢い方なのだが、流石に数学系だとノインには負けるので、ここは相談しようとメモをしつつ、今の状態を確認していた‥‥‥‥その時であった。


「む?」

 ふと、ダンジョン内部の拡張工事などに関しても調整を行っている中、彼女は妙な反応を確認した。

「ふむ、何やら反発というか、違う場所にあるのぅ…‥‥まだ産まれぬが、数日中に出てくる類かのぅ?」

 このダンジョンとは違う、別のダンジョンの発生の可能性が出てきたようで、ゼネは慎重に探っていく。

 ダンジョンコアを動かしつつ、その産まれそうなダンジョンについて調べて‥‥‥渋い顔をした。

「‥‥‥むぅ、またモンスター・パレードの気配かのぅ。産まれる前にどうにかできればいいのじゃが、管轄外じゃと無理か」

 もどかしいというか、何と言うか。偶然発見できたというのに、阻止することが不可能なようで、彼女はちょっと残念に思う。

 とはいえ、新しいダンジョンが学園のある都市の近くにできるのであれば、そちらも利用できればいいのかもしれない。

 ダンジョン自体、うまく付き合うことができれば、実戦を想定した訓練や、資源の採掘場所になるのだから。


…‥最悪の場合、大災害を引き起こす危険物でもあるが…‥‥現状はまだ小さな規模のようなので、去年のこのダンジョン誕生時にあったものよりもマシなはずである。

「しかし‥‥‥離れておるとは言え、近場に新しいダンジョンができるのは良いのかもしれぬ。先に手が入る前に、さっさと制覇したほうがいいと、進言しに向かうかのぅ」

 そうつぶやきつつ、彼女はダンジョンから出て、ディーの元へ戻るのであった‥‥‥‥
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