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216 手に入れたものを活用し

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‥‥‥仮面の組織の者たちのを大量に捕縛し終え、作戦は終了した。

 一応、相手側からのやり返しなどもきちんと警戒し、情報漏れを防ぐための暗殺や自殺などに対してもしっかり防衛策を練りつつ、続々と護送されていく。

 用意してきた護送用の馬車に乗せられる分は乗せていき、人数が想定より少し多かったので一部は徒歩。

 とはいえ、暴れられると困る者たちは鎖などで厳重に拘束されているようではあったが‥‥‥



「一度化け物になっていた奴らだからなぁ…‥‥急にまた化け物になっても困るか」
「この薬もまだ試作段階ですし、完全ではないですものネ」

 そう言いつつ、ノインは巨大な注射針に補填していた溶液を計測している。

 今回の作戦において、仮面の組織が繰り出してくる可能性があった化け物対策に用意してきたのは良いのだが‥‥‥まだまだ改善の余地があるようだ。

「今までのデータを元に、ある程度の細胞活性化抑制及び異常遺伝子強制排出などの効果を入れてましたが‥‥‥それでも、後遺症も大きいようですし、まだまだデス」

 はぁっと溜息を吐くようにしつつ、ノインは注射器をしまい込む。

 どうやら彼女にとっては納得いくような代物ではないようだ。

「いやいや、それでもディー君の召喚獣たちの活躍もすごかったし、いいことづくめだったんじゃないかな?」
「あ、グラディ第2王子

 っと、ちょうどそこで、今回の作戦に参加していたらしく、捕縛作業を終えて後の事後処理・報告などを受けていたようであるグラディが俺たちのところへ来た。

 なお、ゼノバース第1王子もいるはずだが、そちらはそちらで、別の場所で処理を行っているらしい。


「しかしまぁ、怪物を良くもあんな早く人に戻せるとは…‥」
「とはいえ、完全じゃないですけれどね」
「確かに、ぶたっぱなになっていたでござるしなぁ‥‥‥」

 人を化け物にする薬への対抗策に関しては、これでちょっとはどうにかできたと思いたい。

 だがしかし、今はいなくとも、無理やり人が怪物にされる可能性などもあるし、できればそのあたりもどうにかしたい。

 今はとりあえず、多少の効果があるものが出来たという点を素直に喜ぶべきであり‥‥‥‥

「ついでに、褒賞とかも増えるねえ~。ディー君の召喚獣たちの活躍ぶりが他の人達に見られているもんね」
「そこまで活躍したというか」
「基本的に補助をしていたのじゃ」

…‥‥功績を他の人にばっちり押し付ける用意もしていた。

 基本的にきちんと逃さないように動いていたが、他の人が捕縛する活動にもしっかりと補助を行っているのである。

 自分達だけでも大量捕縛は出来たかもしれないが…‥‥今は功績の押し付けのために、他の補助へ回る。
 
 主体的に捕まえるよりも、あえて補助に回ることによって捕縛人数を他者へ回せるし‥‥‥‥ある程度操作もしやすいのだ。

 あとはまぁ、今回の戻す薬の分の功績に関しては押し付けようが無かったが、それよりも誰々が多く捕まえたという話題を増やすことによって、俺たち自身の影を薄くするのである。

 怪物が下手に暴れたからこその押さえつけなら功績も大きいが、動く前に潰すようにしたからな‥‥‥何にしても、これである程度の押し付ける相手ができたのも良い。

「何にしても、後は捕縛したやつらから組織の情報引き出しかぁ‥‥‥先はまだ長そうだな」
「引き出しても、肝心の根幹部分に近づけるかどうかってところが重要だからね」

 一応、ゼネの魂引っこ抜き強制情報搾取方法なら全部取る事もできるが、肝心な部分がない可能性もある。

 まぁ、それでも組織に関する情報が手に入るのであれば無駄でもないし…‥‥さっさと潰したいな。

「ひとまずは、この事後処理が済んだ後に褒賞渡しなどがあるからそれは覚えて欲しい」
「褒賞かぁ…‥‥一応聞くけど、今回は何が配られる可能性がある?」

 国王のやらかしぐあいも、ノインたちに負けず劣らずだからな…‥‥城伯の地位とかの件もあったし、油断できない。

 ならば、その肉親に当たる王子グラディならその内容を知っているかと思ったが‥‥‥


「‥‥‥まぁ、僕の方も父上の頭の中は分からないからね。多分、まともな報奨金とか‥‥‥だと良いなぁ」
「報奨金だけなら、それが一番いいよなぁ‥‥‥」

 グラディのその遠い目をしながらつぶやいた言葉に、この王子は王子で親に苦労していそうだと俺は同情するのであった…‥‥‥この捕縛だけならたいしたことはないかもしれないけど、前に貰った時からまた功績積み重ねちゃったらしいからな‥‥‥‥ああ、できれば何事も無いような物が良い。

「あとはまぁ、今回の組織の奴らから押収できた類もあり合えるかもよ?呪具とか使い道があるのか分からないけどね」
「流石にそれはないと思いたい」
「解呪は可能じゃが、絶対にヤヴァイ類しかないじゃろうなぁ」


 とはいえ、国王の頭の中は本人のみぞが知るのであった‥‥‥‥不安しかないなぁ‥‥‥‥
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