憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
253 / 373

245 ごきっとしつつも

しおりを挟む
‥‥‥少々事故があれども、何とかディーの息は吹き返し、改めて状況整理を行う。

「…‥‥というか、何故ルナティアとアリスの二人もここに落とされたのだろうか?」
「それはあたしの方が聞きたいニャ。話だと、ゼネさんの妹の大暴走が原因らしいけれども‥‥‥」
「こちらが巻き込まれる理由の見当がつきませんよ」

 治療されたとはいえ、ちょっと首が痛むので他の面子も召喚し直しつつ、全員そろって周囲の状況を確認するも、今一つ状況が呑み込めない。

 というのも、あの空間の穴の先にゼネの妹たちが待ち受けているのかと思いきや、その姿は見かけない。

 この空間自体も、何処かの建物の中とかでもないようで…‥‥


「‥‥‥計測しましたが、位置情報が把握できまセン。作られた何処か、別の空間のようなものの中に閉じ込められていると推測できマス」
「どういうことだ?」
「つまり、何かの箱詰めに近い状態…‥と言ったところでしょうカ。わかりやすい例で言えば、私が作る部屋のようなものでしょウ」

 要は、ノインのいつも皆に作っている私室のような状態に近いらしい。

 ただし、この空間そのものの造りがノインのやり方とは異なっており、把握し切るのは難しいのだとか。

「というか、不気味な空間じゃよなぁ‥‥‥空気の感じが、何と言うか纏わりつく感じじゃ」
「根っことかも入り込めませんし‥‥‥硬いようで、はじき返すような弾力性など、不気味すぎますわ」
「グゲェグ」
「胃の中みたいな感じか‥‥‥誰かの腹の中みたいな感じともいえるってか」

 そちらの方が例えとしては適切だろう。

 何にしても、この正体不明の空間に長居したくないという意見で全員一致。

 とはいえ、どう抜けだすかが問題だが‥‥‥‥



「こういうのは、仕掛けた人をふっ飛ばすか、あるいは力づくで抜ける必要がありますガ‥‥‥力づくでは無理そうですネ。対策がされているようデス」
「対策?」
「防火、防水、防爆、防光線、防氷…‥‥私たちの攻撃手段に対して調べ上げているのか徹底的に処理が施されていマス」

 驚異的というか、何と言うか。ノインの分析によれば組織のものがやるような類よりも、独創的かつ効率的、徹底的に行われているようだ。

‥‥‥そう聞くと、ゼネの妹たちの脅威の方が、組織フェイスマスクよりもヤヴァイ感じに聞こえてくるのは気のせいだろうか?いや、絶対に気のせいではないだろう。

「こうなると、あとはこの空間をどうにか進んで、抜け穴を捜す‥‥‥と言ったぐらいしかありませんネ」

 少なくとも、非道な罠の類は周囲には仕掛けられておらず、広そうな空間とは言えそれなりに質量などを感じさせるところから考えると、ある程度の部屋や道が用意されているようだ。

 ただ、この場に無いだけであり、移動したら別の場所で罠などが仕掛けられている可能性があるよだが‥‥‥そこはもう、出くわしてみないと分からない。

「手分けして探すよりも、まとまった方が良いかもな…‥‥」
「本当に、何で巻き込まれたのかニャ?」
「分かれば苦労しませんよ」

 ルナティアとアリスも巻き込まれた理由は不明だが、今はこの空間を脱出することだけを考えた方が良いだろう。

 そう思いつつ、俺たちはこの不気味な空間から抜け出すためにも、その場から動き始めるのであった…‥


「というか、どことなく部屋とか廊下を認識できるのは不思議なんだが。どこも似たような不気味さしかないのになぁ」
「ある程度の質量も持たせているようですが…‥‥組成材料などわかりませんネ」










「…‥‥よし、この段階はクリアできましたね」

‥‥‥ディーたちが動き始めたのを確認し、ゼネの妹たちはそうつぶやいた。

 そう、今回の彼女達の動きは、ただ襲撃をかけたわけではない。

 というかそもそも、各国から色々と目を付けられているディーたちに対して、攻撃を行うことは不利益になる事だと彼女達はしっかりと理解しているのだ。

 なので、この襲撃自体は攻撃ではなく…‥‥この空間へ誘い込むことが、当初からの目的であった。


「ふふふふ、予定通りお姉様も入りましたし、その他召喚獣、獣人、王女も入っているのも想定内」
「きちんと計算し尽くし、怪我をさせないようにしていますものね」
「まぁ、落下地点のミスがありましたが…‥‥それは大丈夫でしょう」

 ここでディーを亡き者にしても良かったが、そんなことをすれば彼女達の慕うお姉様事ゼネが悲しむのは間違いないだろうし、下手をすれば国際問題になりかねないことぐらいは理解している。

 なので、息を吹き返したことに安堵の息を吐きつつも…‥‥彼女達は予定通りに事を進めていく。

「では、これより次の段階へ進めましょう。我らがお姉様の幸せのために」
「ええ、別れないように警戒してまとまっているので、よりやりやすくなっている今が十分チャンスです」
「ああ、でもお姉様が我らの手の届きそうなところにいるのに、直ぐに触れ合えないのは悲しいですが‥‥‥それでも、乗り越えなければいけません」
「これが、お姉様からの私たちへの試練として受け止め、乗り切りましょう…‥‥」


…‥‥ひそひそと話し合いつつ、ゼネの妹たちは蠢いていく。

「それと回収班、お姉様の通った道のわずかなお姉様成分を確実に回収してください」
「わかっていますわ。こちらとしても、貴重なお姉様成分の濃厚な物を入手できる機会ですからね」

 今はまだ予定通りとはいえ、先がどう転ぶかはわからない。

 不測の事態に備え、せめてもの利益を得るために徹底して策を練りつつ、実行していくのであった‥‥‥‥

「それはそうと、例の薬や道具の効果は?」
「あのメイドが作った品々のせいで、耐性が極限まで上げられており‥‥‥通常では無理かと。身ぐるみ全てをどこかで剥がさなければ意味はないでしょう」
「そう、お姉様も例外なくしなければ…‥‥ああ、お姉様の裸体が裸体が‥‥‥裸体!?」
ぶっばぁぁぁん!!
「治療班!!急いできてください!想像して鼻血が出たようで、この出血量では空間の維持が難しくなってしまいます!!」
「了解!!」

…‥‥やや先行きが、不安であった。
しおりを挟む
感想 771

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

処理中です...