憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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263 自ら首を突っ込まずとも相手から突っ込み

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‥‥‥臨海合宿も、残すところあと2日ほど。

 最終日には遊ぶ日が待ち受けており、その日のために本日の合宿内での学び舎鍛練の時間には、生徒たちの気の入りようが凄まじい。

 遊べる時間を存分に楽しむためにかつ、その時までに徹底的に自信を研鑽しようという向上心・意欲が溢れているのもあるだろう。

 なので、ディーたちもまた気合いを入れて励むのだが‥‥‥‥


「‥‥‥ノイン、滅茶苦茶小さいけど何があった?」
「色々とデス。色々と減ったので、このミニボディで今日は過ごしますので、心配なさらないでくだサイ」

…‥‥どういうわけか、ノインのサイズが小さくなっていた。

 いや、普通にこういう風に小さくなることは、彼女の技術力で可能であると以前に証明されている。

 けれどもこれは、そのままのサイズを小さくしたのではなく、何と言うか手に持てるほどの大きさにしつつ全体的にゆるくデフォルメしたかのような姿になっているのだ。

「一晩で何があったんだよ…‥‥誰か、原因知っているやつはいないか?」

 そう問いかけて見たら、他の召喚獣はそろって目を横にそむけた。

 うん、全員絶対に知っているんだろうけれども、話す気が無い奴だこれ。

 まぁ、無理に聞くような意味も無いし、時間が経てばいつものノインに戻るそうなので心配もさほどしなくていいのだろうけれども‥‥‥寝ている間に本当に何があったのだろうか?

 ちょっと疑問に思ったが、何となく勘で聞かないほうが良いという気がしたので、俺は考えるのを辞めるのであった。





 とにもかくにも、ノインがミニボディ状態‥‥‥略してミニノインとなったのは放置するとして、問題は朝になって彼女達から知らされたとある報告。

 臨海合宿での学びが始まる前に、王子たちにちょっと報告しに向かったが…‥‥双眼鏡をノインから手渡され、見やすい場所へ移して改めて自分の目で見る。

「‥‥‥本当に、海洋王国の船っぽいような…‥‥あの船の紋章が、王家のものになるんだったか?」
「そのはずデス。国によって王家の紋章は異なり、偽造自体も罪になるので偽物を付けるはずもなく、あの船が海洋王国の王家が乗った船だということが推測されマス」
「うわぁ、本当に船だけど‥‥‥動きが無いのを見ると不気味だな」
「何しろ、漂流船を沈めた報告はもらったからな…‥‥」
「何が目的ですかね?」

 グラディ第2王子ゼノバース第1王子ミウ第1王女が共に予備の双眼鏡を手渡されて確認しつつ、船から別の方向に目を向ける。

 そこではエルディム第3王子とハルモニアが甘い光景を作り上げていたが…‥関係ないわけではない。


「昨晩、念のために気が付かれない程度に上空からルビーと共に確認しましたが、どうやら第8王女が乗っている船で間違いなさそうデス」
「けれどもでござるな、どうやら王女以外の王家の輩もいるようなのでござるよ」
「そうでありんすねぇ。こっそり気配を消して潜り込み、盗み聞きしたのでありんすが‥‥‥」
「どうやら、海洋王国の国王も乗っているようなんだぜ」

 昨晩、俺が熟睡している間に彼女達は密かに動いて確認していたようだが、あの船には第8王女と国王と見られるものが乗っているらしい。


「国王ねぇ‥‥‥救助した船員たちから聞いた情報だと、数カ月ほど前に国王になった人物だったか?」
「ヴィステルダム王国とも海洋王国モルゼは国交があるが‥‥‥いかんせん、情報が少ないな」
「何しろ国交があっても親しいわけでもないですものね」

 王子たちや王女からすれば、相手がどの様な者なのかまだわからないようだ。

 とはいえ、情報によれば最悪の一言で表せるような人らしい。

 オッドアイではない王家の血を持つものを処分していたという話とかもあるし‥‥‥そんな人物が、わざわざ沖合に出てくるのは変な話だ。


「ハルモニアを処分する目的があったし、もしかして生存に気が付いて自ら消すために来たとか?」
「そうだとしても、国王が自ら来る意味はあるのでしょうカ?」

 あるとすれば、自分の目で確かめないと気が済まないたちだったとかだろうが…‥‥でも、それだったら最初から全部自分の手だけを汚してやって来いと言えるような気がする。

 それなのにわざわざ来る意味が分からないのだが‥‥‥一応、船内にこっそり潜入してかき集めた程度で分かったことは‥‥‥


「どうも、この浜辺に来ることを国王が狙っているようでありんすよねぇ」
「ここにか?」
「来る意味があるのかな?」

 船にこっそりと潜り込み、盗み聞きをしたところ、どうやら海洋王国の国王の目的はこの浜辺。

 だがしかし、何故ここを目指すのかという事は、船員たちや王女の方でも分からないようで、首をかしげているらしい。

「んー、でもここに何かあったっけなぁ‥?精々、ここには他国が臨海合宿場として利用する程度の価値しかないとは思うのだが…‥‥」
「海洋王国でも臨海合宿を‥‥‥それは無いか。あの国自体が海に囲まれているし、出張してやって来る意味が分からん」

 何にしても、ここに何がすごいお宝とか、ヤヴァイ情報とかがあるという話は聞いたこともないし、そのような物を求めてここへ来るという訳でもなさそうだ。

 であれば、何を狙ってここへ来ようとしているのかが疑問ではあるが‥‥‥

「んー、この浜辺の利用目的は臨海合宿程度ですし‥‥‥ん?臨海合宿程度‥‥‥もしかして?」
「どうした?」
「いえ、ふと思ったのですが…‥‥」

 腕を組んで悩んでいたところで、ふとミウが何か思いついたようだ。


「もしかしてだけれども、ディーさんたちの情報を聞いたとかではないでしょうか?」
「ディー君たちの情報‥‥‥ああ、その可能性もあるか」




‥‥‥この浜辺、臨海合宿場として他国も利用するのだが、どこの国がどの様に利用したのか、という情報はそれなりにあったりする。

 というのも、他国の臨海合宿でのものを、自国で利用できそうであれば利用しようと考えている国もあり、それなりに情報を得ようと動いているそうなのだ。

 それに去年は、ゲイザーが出現した事件も相まってそれなりにここがどの様な処なのかという情報が出ていたようだが…‥‥その情報の中で、俺たちのことが海洋王国の国王の耳に入った可能性があるのだ。


「まぁ、この時期に合宿場として使うのはこの国ぐらいだし…‥‥ディー君たちを目当てにするのであれば、時期を狙ってやってきてもおかしくは無いか」
「とはいえ、そう都合よく日付に合わせてこれるはずもなさそうなのだが…‥‥そもそも国交もあるとは言え、互にそこまで情報はやり取りしているわけでもないはずだ」

 臨海合宿の情報を得たとしても、そもそも情報が伝わるまでに時間がかかりそうである。

 海洋王国だと臨海合宿の重要性自体が底まであるわけでもないだろうし、耳にするような機会もなさそうな物なのだが…‥‥

「とはいえ、可能性としてはないわけでもないが…‥‥俺たちを目当てにするとか、そんなことはありえるのか?」
「「「あり得ると思う」」」

 王子・王女たちの声が見事にそろった。

「そもそもお前は、コチラ以外にも森林国や帝国、などにも色々やっているし」
「ディー君の召喚獣たちの容姿の方も、それなりに噂にはなるだろうし」
「隠そうと思っても、いろいろやらかされるせいで隠しきれずに漏れ出ているというのもありますよ」

‥‥‥何も言い返せないというか、何と言うか。

 うん、それなりに噂になっていてもそれはそれでおかしくは無いか…‥‥そう考えると、なんかやらかしてきたなぁっという実感がわいて悲しくなるような気がするのだが、どうしてだろうか。


「まぁ何にしても、相手の目的が定かではない以上、迂闊に出ない方が良いだろう」
「それに、弟の相手になっているハルモニアという子の方を狙って来た可能性も否定できないし‥‥‥一旦、ここから離れた方が良いんじゃないかな?」
「というか、そうした方が良いと思うのだけれども‥‥‥場合によっては国際問題になりかねませんものね」

 それもそうである。

 臨海合宿の場とは言え、森林国や別の国の者なども色々混ざっているし、ここで下手に騒ぎを起こされては後々面倒なことになるのが目に見えている。

 なので、アレが去るまでちょっと隠れていたほうが良さそうかと思っていたところで‥‥‥沖合の方に動きがあったようだ。

「報告するぜ我が君!!あの船から小舟が出航!!どうやらこっちに向かい始めたようだぜ!!」

 海から勢いよく飛び出し、浜辺をバク転して宙を舞って今回は綺麗な着地を決めながら、ティアが報告してきた。

 夜とかに行動を起こすならともかく、昼間に堂々と行動してきた点に不信感は感じるが‥‥‥ここは一旦隠れた方が良いのかもしれない。

「とはいえ、何処かに隠れるようなことができる場所ってあるか?」
「大丈夫デス。小屋や宿舎の方に逃げるのも手ですが…‥‥先ほどからしている会話の間に、速攻で避難所を作りまシタ」

 小さい状態ながらも、ノインがそう口を出してきた。

 見れば、いつの間にか地下へ続く階段が出来上がっていた。


「…‥‥え、いつの間に地下室を作ったんだ?」
「さっきも言いましたが、今の会話の間にデス。ミニボディ状態ですが、作った道具はそのまま使えますからネ。マジックミラーの砂浜版も取りいれ、地中から地表を覗くことも可能にしていマス」

…‥‥こんな技術力を持っていたら、目を付けられる可能性も否定できない。

 何にしても、相手がどう動くのかもわからないので、一旦ディーたちはそちらの方に避難をして、バレないように蓋をしつつ地中から動きを見ることにしたのであった。


「というか、結構短い間だったとはいえ、しっかりした造りだな…‥‥」
「メイドたるもの、ご主人様のために必要とあらばどこにでも部屋を作れるようにしますからネ。流石に空の上に城を作るとかそう言う事はまだできませんが、この程度は造作もないのデス」
「まだって部分に、将来の怖さが見えるのだが…‥‥」
「ああ、言い間違えました。今の私・・・には無理という事でシタ。アップデート情報によれば、姉妹機が既に成しとげているようですしネ」


「‥‥‥ディー君のメイドって姉妹がいるの?それはそれで、なんかトンデモナイ集団にしか聞こえないんだけど」
「そう言われても、把握し切ってないんだよなぁ…‥‥」

‥‥‥ノインの姉妹たちって、今はまだ会う事もないと思う。

 でも、仮に会えたとしてもどう考えてもさらに無茶苦茶なような気しかしないのだが‥‥‥‥どうなんだろうか。
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