憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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273 本人の口よりも別のところからの方が早い

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…‥‥ノインの姉妹機らしい、ワゼというメイド。

 圧倒されたようで、慌ててアポトーシスは逃亡したようだが、ここは奴の拠点の中。

 つまり、逃げたとしてもここのどこかに戻っただけなのだが…‥‥

「ひとまずは一時的な安全確保が出来たという事か…‥‥」
「そう言うことになりマス。そして…‥‥わざわざ呼んでしまい、申し訳ございません、姉さん母さん
「いえ、謝ることではないのデス。自身の作った姉妹機の危機に駆け付けないはいませんからネ」

 ノインの言葉に対して、箒を何処かに戻しながらそう返答するワゼ。

 見た目だけならノインに似ているのだが、細かい点で結構違うようだ。

「それと‥‥‥こちらが、今の貴方のご主人様となる方ですカ。初めまして‥‥‥と言いたいところですが、私の方ですでにデータを受け取っていマス」
「え?」
「以前、09が倒れた際にサブシステムとしてコピーされた私が確認していますからネ。そのデータがあるので、大体把握しているのデス」
「サブシステム…‥‥あ!!」

 言われてみれば、思い出した。

 どこかで見たことがあるような既視感があったのだが…‥‥考えて見れば以前、ノインが倒れた際に彼女の体内で出会ったサブシステム。

 そのオリジナルが、彼女だと言われれば、確かに同じ人物だった。

…‥‥あの体内での出来事をどうやって彼女の元へ送ったのかが疑問だが‥‥‥うん、メイドゴーレムたちなりの連絡手段があるのだろう。

「それでも自己紹介を改めて行っておきましょう。09ノイン製作者でもあり、姉妹機でもあるメイド、機体番号は01、名は『ワゼ』デス。彼女の姉と母の立場を持ってますが、姉妹機であるという程度の認識で大丈夫デス」

 そう言いながら、挨拶をしてくるワゼ。

 なんというか、ノインに似ているようで、違う雰囲気というか…‥‥彼女がもうちょっと熟練のメイドになったらこうなるのかというような気品さを持っているようだ。

「今回は、アップデートで追加しておいた、緊急時空転送装置による時間制限ありきの顕現ですので、そこまで長居しませんが‥‥‥話すのもなんですし、先ほど逃げなさった方への対応などもあるようですので、先にこちらの用事を済まさせてもらいマス」
「用事?」
「ハイ。ノインの修理デス。スキャンしましたが、自己修復作業を行っても完全ではないようですしネ」

…‥‥そう言えばノイン、まだ完全じゃないんだったか。動力炉が壊されて外部動力を確保した状態らしいが‥‥‥それを直すためという目的で、ワゼは来たらしい。さっきの窮地を救う目的もあるようだが、こちらがメインのようだ。

 何にしても、アポトーシスの後をすぐにでも追いかけたいところだが、ひとまずは彼女の用事を済まさせてもらうことにするのであった。

「というか、修理している暇があるのか?直ぐに反撃に来られそうな気がするのだが…‥」
「それは大丈夫デス。修理に必要な施設は持ってきていますし、ちょっと時の神に脅は、コホン、色々な人脈を築いているので、直ぐにできマス」
 
 何か今、物騒な言葉をごまかさなかったか?

「というか、施設を持って来た?」
「ハイ。こちらはこちらで、色々と道具を取り揃えているのデス。詳しい説明を聞きたそうですが、時間もそこまであるわけではないですし、同時に組み込んでおきますので、後でノインに聞いてくだサイ」

 なんというか、ノインの姉妹機なだけあって、そのとんでもない技術力は変わらないようであった。

「それと同時に、並行作業でここの情報も取っておきますかネ。共有したほうがそちらにも有益ですし、後の参考にできそうデス」

…‥‥情報か。そう言えば、ノインを取り戻すことに精一杯過ぎたが、ここの情報が不足したままだ。

 海洋王国を要塞に作り替え、地下も同様に作り上げたのだろうけれども…‥‥短期間でここまでやるにはちょっと無理があるし、何か謎があると思う。

 その謎を解明できればいいが……








‥‥‥ワゼがノインの修理を行い始めた頃。

 要塞の地下の一室に、アポトーシスは戻っていた。

「はぁっ、はぁっ‥‥‥あ、あれは確実にやばい奴ではないか…‥‥」

 息を切らし、命からがらあの場から逃れることが出来たことに関して幸運を感じつつも、対峙したその時のことを思い出すと、背筋が凍るような寒気を覚える。

 見た目的にはノインよりも胸部部分が怖ろしく無さすぎるワゼと名乗るメイドではあったが、向かい合って見ればその纏う雰囲気がただ者ではない。

 歴戦のメイド…‥‥というのはおかしいが、少なくとも正面から勝てる相手ではない。

 それに、アポトーシスは分かってしまう。自分でもまだ理解し切れない技術をノインは持っていたのに、あのメイドはそれを軽々と上回るものを持っているということを。

 解析できれば、より優れた復元に役立てるだろうが‥‥‥‥出来ないだろうし、そもそも隙も見当たらない。

 あの場からは逃げたとはいえ、まだまだこの地下室内に留まったままであり、いずれ発見されるだろう。

 そして今度こそ、この世からの消滅をさせられるかもしれないという恐怖を感じると、落ち着けないのだ。


「‥‥‥まぁ良い、今はまだあの区画にいるだろうし…‥‥奴らがここをかぎつけるよりも先に、さっさとこの地を動かすのが先だ」

 壊された部分が多いとはいえ、それは一応想定内。

 いや、自分の体までバラバラにされかけたのは想定外ではあったが、これでもまだどうにかなるレベルなので、問題はない。

「とにもかくにも、復元作業を先に進めねばな…‥‥奴らと戦闘をする前に、準備を整えねば」

 移動して仕掛けを作動させ、床からせりあがって来たパネルに手をかざすアポトーシス。

 そうすることで、壁に様々な映像が投影され始め、この地下全体の映像が映し出されていく。

「破壊されたブロックは、このまま海中へ捨てる作業へ。どうせ、長い年月を経た・・・・・・・せいで、復元に手間がかかるうえに価値が少ない区画だ。今必要なのは必用区画の保存と‥‥‥この投機作業ついでに奴らも海中に投げ出せないか‥‥‥区画を3つほど余分に捨てるが、これで良いか」

 そうつぶやきながら作業し、カタカタっと操作をしていく。

「いらない部分を排除し終えれば、後は重要区画のみ‥‥‥メインエンジンの復元率は65%と微妙だが、それでもどうにかなるだろう。地表に余分な建物が残されているが…‥‥どうせ、後から積み上げただけに過ぎない、表皮の一枚・・・・・だから、気にせずに剥がすか」



 作業していくと、次第に地下全体に振動が響き渡り、大きな動きが起きていることを実感させられる。

 今でこそ、海洋王国としての島国の形をしている国だが…‥‥本来は、このような物ではなかった。

 だからこそ、アポトーシスはその事象を知る者として今、ここを本来の姿に戻そうと動き始めたのである。

「あとは、王族と名乗らせていた者どものクローン培養にかけていたエネルギーを他へ回し…‥‥残ったやつらはエネルギーを取り出すために、分解室へ移動‥‥‥ん?」

 っと、そこで映し出されていた映像の中で、アポトーシスはふと見つけた。

 この場所にいるのはどうやらディーたちだけではなく…‥‥第8王女が船員たちと共に動いている映像を見つけたのだ。

「…‥‥ここへ奴らが来れた理由の、船にいたやつらか。しぶとく生きているようだったが…‥‥今となっては、むしろ都合が良いかもしれん。思ったよりも使えないかもしれんと思って破棄を考えていたが…‥‥むしろ、今なら好都合だ」

 にやりと笑みを浮かべ、アポトーシスがパネルを操作すると、第8王女グレイたちのいる部分の映像が拡大される。

 ぽちっとパネルの一つを押せば、第8王女の真下に穴が出来上がり、彼女がそこに落下した。

「さてと、これであとは捕らえて、生体部品として組み込む作業へ移らせよう。ああ、その間にこの国の真実を教え込むのもありか‥‥‥‥いや、あの恐ろしいメイドがいつこちらへ迫って来るかもわからぬし、時間が足りぬから教える間もなく終わらせるか」

 余裕をもって慢心を抱けば、痛い目を見る。

 その事をこの短時間でよく学ばされたので、無駄に動かずに行こうとアポトーシスは心に刻み込むのであった‥‥

「それに、アレにさえ組み込んでしまえば、こちらの方が奴らより力を持てるだろう。区画ごと海中に捨てるが、万が一に備えておいた方が良いか‥‥‥‥備えがあれば色々と対応できるというのを改めて学んだからな」

…‥‥ある意味、敵に学ばせてはいけないことを、しっかりと学ばせてしまったようであった。
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