憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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287 偶然とは色々とある

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…‥‥思いのほか、資源方法なダンジョンではある。

 そう思いつつ、ディーたちは先へ進んでおり、階層式のダンジョンだったので次の階層へ移ったのだが‥‥‥そこは、先ほどまでの密林から景色が変わっていた。


―――ビュォォォォォォ!!
「「「「「寒っ!?」」」」」
「何ココ、楽園?」

 約一名、雪女故に寒さに思いっきり強かったのだが、全員そうではない。

 先ほどまでは高温湿潤な密林だったのに‥‥‥

「何でいきなり雪景色に変わるんだよ!?しかも階段にはこんな冷え込んだ空気もなかったのに、何でこんなに猛吹雪が吹き荒れているんだ!!」
「ひとまずは防寒具を着ましょウ」

 思わずというか、久しぶりにツッコミを入れたような気がしなくもないが、叫んでいる場合ではない。

 かなり気温が低くなっていたようで、さっさと俺たちはノインが用意した防寒具に着替えていく。

「ううっ、先ほどまでの密林が楽園のようじゃったかもしれぬ…‥‥骨身に染みるのぅ」
「急激な気温の変化はやめてほしいですわね…‥‥しかも吹雪とは最悪ですわ」
「あれ?リザはどこ行ったんだぜ?」
「グゲェ、グゲゲゲ」
「あ、リリスの箱の中に速攻で逃げていたぞ。まぁ、無理もないか‥‥‥」

 何にしても、密林地帯とは思いっきり景色が切り替わったが、ダンジョンでは珍しくないようだ。

 世界にはまだこういう突然切り替わるダンジョンが存在しているようで、砂漠地帯だと思ったら火口の中のようになって更に熱くさせられたり、ほのぼのとした野原のような光景から雷雨になっていたり…‥‥一変することなんぞ、割とあるらしい。

「でも、これはこれで、うまく出来ているな。濡れたままの体だったら、一気に体温が奪われるところだった」
「乾かしながら進んでいて良かったぜ‥‥‥」

 とにもかくにも、猛吹雪の中ゆえに視界が悪く、一名引っ込んだが問題があるという訳ではない。

「しかし、本当にダンジョンって不思議だな‥‥‥これだけ雪が降り続けばいつかは全部埋まりそうなのに、全然貯まる気配も無い」
「それがダンジョンというものだと受け入れましょウ」

 謎が謎を呼ぶ場所だと思うが、いちいち気にしていてもキリがない。

 なので、寒い場所ならばさっさと突っ切って、気色の切り替わりを狙うのであった…‥‥

「雪、猛吹雪、極寒、ここは結構良いダンジョン!!」
「‥‥‥アナスタシアが、冬の時みたいにテンションが上がっているなぁ」
「雪女じゃし、儂らよりもこの環境に適応しているのじゃろう。というか、あやつが喜ぶとなんか周囲に影響でて、より吹雪が酷くなっているようなのじゃが」






‥‥‥そのまま極寒地帯を突き進みながらも、全員防寒具で割と平気そうだ。

 リザだけは、いくら防寒具があっても元々蛇ゆえに寒い所は苦手で、リリスの中に潜ってしまったが‥‥‥それでも、進めないわけでもない。

 というかむしろ、極寒地帯ゆえにアナスタシアの力が向上しているようで、先ほどから雪に紛れてやってくるモンスターを見事に返り討ちにしている。

「それそれそれぇぇ!!全部凍って、仲良く、氷像化!」
「うわぁ、すっごい毛皮で覆われたスノーベアーを一瞬で凍らせちゃった‥‥‥」
「寒さに耐性があるモンスターのはずですが、その耐性を凌駕しているようデス」

 ノインいわく、元々氷結する温度などは炎での熱量に比べて上限があるらしい。

 絶対零度というべき部分があるそうなのだが…‥‥どうもこの場所で、アナスタシアはそれ以上の極寒を生み出しているようなのだ。

「科学的に見るとありえないと言えますが、モンスターの能力は時としてその壁を粉砕しますからね‥‥‥まぁ、新しい冷凍兵器などの参考にできるので良いでしょウ」
「なんかさらっと、新作でも作ろうとしているのが聞こえるんだが」

 全員の役に立つだろうが…‥‥彼女が作る物だと考えると常識を壊すような代物になりかねない。

 だけど、それを止めることもできないし、無理にやめさせる必要性もない。

「にしても、ここの極寒は中々デス。防寒具でも、防ぎきれないかもしれませんが、大丈夫でしょうカ?」
「今のところ大丈夫だな」

 物凄いモコモコとしているわけでもないのに、何故か温かい防寒具。

 しいていうのであれば、雪道のせいでやや足が取られて進みにくいぐらいだろうか。

「ぐぅ、こうも進みにくいのは冬時以来じゃな。じゃけど、この程度雪山で妹たちに襲われかけた時に比べればまだマシかのぅ‥‥‥」
「なんでそんな状況になったのかしら?」
「いや、単純に聖女として雪国へ仕事をするために赴いて、吹雪に見舞われてのぅ…‥‥一晩、猛吹雪の中で山小屋を逃げ回る羽目になったのも、本当にしんどかった思い出じゃな…‥‥」

…‥‥吹雪いていく中で、さらっとなにやら重そうな話も出てきた。

 ゼネの生前の聖女時代の話って、ほとんど妹たちによるトラウマエピソードが多いけど、この状況で、何でそれを選択したのだと言いたい。

 いやまぁ、確かに今猛吹雪だけど、そのエピソード内容を想像すると悪寒がするのだが。

 トラウマがどの様に生成されるのか十分に味わっているし、かなりシャレにならなかったんだろうなぁと全員思う。

「っと、もうすぐ次の階層の階段のようデス。雪に埋もれていないようですが、どうやら景色が切り替わる類だと思われマス」
「おや?案外あっけなく進めたな」

 このまま猛吹雪の中を進んでいく羽目になるかと思ったが、どうやら思いのほか早く、新しい階層へ移れそうだ。

 この様子だと次は猛吹雪の光景ではなさそうだが…‥‥階段の傍まで来たところで、ふと嫌な音が聞こえてきた。


「もうすぐで、次の‥‥‥ん?なんの音だ?」

 なにやら聞こえてきた音に、思わず俺たちは足を止める。

 そしてそっと、耳を澄ませてみれば吹雪に交じって、次の階層からのものだと思われる音が聞こえてきたのだが‥‥‥

――――ビュゴオオ!!
―――カサカサカサカサ!!

「…‥‥なんか、どう聞いても嫌な想像しかできない音なのは気のせいか?」
「気のせいじゃと思いたいのじゃけど…‥‥」

 吹雪に交じる、何かがうごめく音。

 軽い物体というか、多くの足がうごめいているというか、何かこう嫌な生物を連想させるかのような音に、俺たちは冷や汗をかく。


「い、一旦ダンジョンの入り口までに引き返すか。今日はこのまま進んでいても先が分からないし、準備をもうちょっと万端にしたほうが良さそうだからな」
「ご主人様がそう判断するのであれば、従いましょウ」

 先に進みたくないような音がしてきたが、このダンジョンを放置するわけにもいかない。

 なので、その先の方に予測できるヤヴァイ類に対応できるだけの準備を改めて行うために、俺たちは一旦ダンジョンの外へ向けて引き返し始めるのであった‥‥‥‥

「というか、この道のりを軽く突破できないかな?確か入口へ戻れるようなトラップなんかも、ダンジョンにはあるはずだけど…‥」
「あ、それ見つけたぜ!!あれが多分そうじゃないか?」















「…‥‥はぁっ、はぁっ!!ははははっ!!どうだ追いついて、みやが、れぇぇぇ!!」
「ギャギャゲェェ!!」

‥‥‥バルンは息が切れてきたが、それでも後方を確認しながら、カマキリのようなモンスターが追いかけてきているのを目にしていた。

 相手の方が素早いからこそ、できるだけ木々の合間をくぐってどうにかしようと、当初は考えていたのだが、その方法は意味をなさなかった。

 というのも、どれだけずばずば切っても切れ味を落とさない鎌のせいで、道なき道があるのならば切り裂いて進んでしまえと言わんばかりに動かれてしまい、距離を詰められたからだ。

 だからこそ、今度は出来るだけ広くなる道を選び、相手の急加速などを見逃さないように神経を集中させ、その瞬間が来たら素早く判断してかわすという事をして、何とか生き延びていたのだが‥‥‥そろそろ限界が近い。

 心臓がバクバクと動き、息苦しいのだが、止まってはいけないと頭の中で理解する。

 相手の目的を察すると、流石に命を直ぐにこの場で奪う事はしないようだが…‥‥恐怖を出来る限り与えてから意識を落そうとしている目論見が見え、立ち止まることが許されない。


 そのため、なんとか無我夢中で適切な道を選択し、最後の力を振り絞っていたのだが‥‥‥それでもついに、体力の限界と極度の集中からの反動で、その時が来てしまった。

ガッ!!
「いっ!?」

 足元にも気を付けていたのだが、何かに躓き、そのまま転倒してしまう。

 とはいえ走っていた勢いのせいで止まることはなく、地面を数回ほど転がった。


 そして、なんとか起き上ろうとしたのだが、今の転倒のせいで保っていた体に限界が来たのか、動かない。

「ギャギゲェェェェ!!」
「ぐっ‥‥‥!!」

 この時を好機と見たのか、瞬時に迫りくるカマキリのモンスター。

 素早く傍まで急接近し、一旦立ち止まって動けないバルンを見下ろすかのように顔を向け、4つの鎌を持ち上げ、狙いを定める。

 どうやらここで、手足を切り落とそうという気なのか、楽にさせてくれないようだ。

「ギャギャゲェェ!!」

 その鎌が振り下ろされ、万事休すかとバルンが痛みに覚悟した‥‥‥‥その時だった。


ギィィィン!!


…‥‥金属音が聞こえ、何事かとバルンは思った。

 見れば、振り下ろされていたはずの4つの鎌が全て…‥‥何か違う刃物で受け止められていた。

「ティア、ルン、そのままはじき返せ!!」
「了解/ふっとばす」
「鎌ならこっちの鎖鎌が十分相手になるぜ!!」

 声が聞こえると、その刃物たち…‥‥剣と鎖鎌が押し返し、カマキリのモンスターをふっ飛ばす。

 宙を回転し、一旦距離を取ったようなのでバルンが周囲をなんとか見れば…‥‥そこには、ちょうどいいタイミングでというか、今さら気が付いたのだが洞穴のような場所からディーが出ており、彼の召喚獣たちが身構えていた。

 どうやら今の刃物は、彼の召喚獣たちのようだ。

 剣の方は剣精霊、鎖鎌の方は遠くの方から鎖でコントロールしている少女の姿が見える。

「バルン、大丈夫か!!というか、何があった!!」
「よ、よぉ、ディー…な、ナイスタイミング…‥‥」

 何とか返答したかったのだが、疲れ切った身体ではまともに答えられない。

 とりあえず今は、奇跡的なタイミングでダンジョンから引き返してきたらしい友人の姿を見て、自身の幸運に思わず感謝するのであった…‥‥‥


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