憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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289 ‥‥‥切れる時はこういう時も

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「‥‥‥ノイン、セラの状態はどうだ?」
「今のところ、気絶中デス。緊急用の道具を用意していたので、心の状態としてはご主人様に助けられて安心しているようデス」
「そうか」

…‥‥万が一の可能性を考え、大急ぎで村に帰還しようとしたところでの突然の転移。
 
 以前、ノインが彼女の姉妹機を呼んだのと同じ道具を今回の帰郷ついでにセラに渡していたのだが、それが発動したという事は、その可能性が当たってしまったということになる。

 なので、何があるのかは理解していたが…‥‥こうも目の前で起きていることを見せ付けられれば、瞬時に怒りが沸き上がった。

 家族に対する危害に抱く、強い怒り。

 ノインの時とはちょっと違うが、まぁ妹に対するモノならばこのような物なのだろう。



 だが、それでもヴァイオレンスマンティス共が超えてはいけない部分を越えようとしたということは間違いない。

「‥‥‥全員、奴らを潰せ」
「「「「「了解」」」」」

 自分でも驚くほど冷たい声が出たが、この判断は間違ってないだろう。

 奴らの習性や今の行動を考えると近辺にまだまだ潜んでいる可能性がある。

 俺の住まう故郷に対して牙を、いや、鎌を向けるのであれば…‥消すまでだ。


 普段はそこまで振るわず、諜報としての将来を考えるとあまり使わない力。

 けれどもこういう時には、過剰すぎるほどの力を振るってもいいのかもしれない‥‥‥‥











「ギャギャギャゲゲェ?」

…‥‥村から少し離れたところに作られていたのは、ヴァイオレンスマンティスの巣。

 そこには、貢物をするためにオスがいなくなっており、巨大なメスのヴァイオレンスマンティスが鎮座していた。

 ぱんぱんに膨らんでいるその腹は、喰らいまくった獲物の血肉によるものか、はたまたは満足いく物を用意できなかった奴の体か。

 何にしても、今は貢物を捜しに行ったオスを待ちつつ、次は何が来るのか待っていた。

 自分で狩りをせずに、美味しい物を貪り食えるだけ貪り食う。

 満足いくような者でなければ相手を喰らえば良いし、数が減ったのであれば自分で生み出して補填すればいいだけの話。

 そう思いながらヴァイオレンスマンティスのメスは巣にいたのだが…‥‥ふと、妙な事に気が付いた。

 数多く存在しているオスたちの動きは、実はある程度把握できている。

 小さなオスがほかのオスを連れて、何やら大規模な狩りをしようとしていたことなども把握しており、その結果で得られるものは大量の獲物であると判断して黙認していたのだが…‥‥どういう訳なのか、そのオスたちの気配が急に捕らえられなくなったのだ。

「キュギギュキッユッグェェェェェェ!!」

 嫌な予感がしてきたので、単体で狩りに出向いているオスたちを叫んで呼び寄せようとするのだが、どういう訳かその者たちの気配もない。

 いや、違う。あることはあったのだが…‥‥次々に消し飛ばされているようなのだ。


 不味い事をやらかした気がしてきて、冷や汗が流れ始める。

 凶暴・凶悪なヴァイオレンスマンティスではあるが、自身の命の危機にメスは敏感であり、生き延びるために逃げようと画策した。

 数時間ほど前に他のオスたちが持ち運んで来た新しい獲物たちを、まだ生きているが保存食として運んでしまおうと考える。

 だが、それはもはや遅かった。



―――キュイイイイイイイイイイン!!
「ギュグゲェェ?」

 何やら妙な音が聞こえてきたかと思えば…‥‥次の瞬間、地面が爆ぜた。

ドッバァァァン!!
「ギュグェェェェェェ!?」

 何事かと見れば、そこからズンっと金属質の何かが付き出しており、出来上がった穴から何者かがはい出してきた。


「‥‥‥ふむ、地中ソナーを装備して正解でしたネ。地表ではなく、地下に巣を作っていたようですが‥‥‥っと、傷だらけながらも村の人達も確認できまシタ」

 出てきたのは、片腕を回転させている謎の人影。

 いや、匂いから人ならざる存在だとは理解できる。


「ギュッグゲゲゲ!!」

 地中から飛び出てきたのは驚いたのだが、サイズ的に自分の方が圧倒的であり、これならば負けるはずがない。

 そう思い、自身の保存食である者どもを奪われないように、鎌を向けて一気に襲い掛かった。


「ん?オスに比べると力は強いようですが‥‥‥‥相手との力を把握できない傲慢さをこちらは持っていたようデス」

 相手がそうつぶやくと、自身の鎌そのままいともたやすく受け止めた。

 片腕が変形し、巨大な鎌を取り出してきて、こちらに向けてくる。

「ティアの鎖鎌とは違い、ただの大鎌ですが…‥‥まぁ、切断力は同じですので、安心して逝ってください」

 何を言っているのかと思ったが、そう考えている時間は無かった。

 つぶやきながら、瞬時に振るわれ、気が付けば自身の首が宙を舞っていた。

 ヴァイオレンスマンティス自身ががあの鎌で斬られたことに気が付いたのは、意識が消えようとしたその瞬間であった‥‥‥‥


「…‥‥これで、大本の殲滅は完了デス。あとは、まだ残っている残党狩りですが…‥‥ひとまず、こちらにリリスを回してもらいましょウ。しかし、これ村の人達だけかと思ってましたが…‥‥違うのもいますし、なかなか面倒そうですネ」
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