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336 密かに流れるその噂

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‥‥‥実家を摩訶不思議な豪邸に変えてしまったが、後悔しても仕方がない。

 家主であった母の許可も貰っていたし、ここまで魔改造してしまったとはいえ、便利にはなったはずである。

「けれども、動く廊下とかできるのは、やり過ぎたと思うなぁ…‥‥」
「何を動力にしているのかが、謎なのじゃが」
「一応、試験的に導入しただけですので、まだ改善の余地はありますけれどネ」

 うみょーんっと動く、動く廊下。

 外観よりも内部は広く作られているようで、移動しやすいようにという配慮で設置されているようだが、その動力は不明である。

 ノインいわく、光学迷彩塗装とやらで見えなくした風力発電機を稼働させ、なおかつ屋根にも太陽光による‥‥‥とりあえず、色々と隠している発電装置とやらで稼働できるらしい。

 見えなくするのは景観保護のためだというが、滅茶苦茶な技術を投入されていると思えば良いのか。

‥‥‥下手をすると、技術的に結構ぶっとんでいるのではないだろうか?

 そう考えると、秘匿したほうが良いのかもしれない。


 より便利になったと考えれば、気にしなくていいか。

 そう思いつ、本日は‥‥‥‥


「雪のドーム自体は雪解けまでは無事だけど、補修作業は必要か…‥‥」
「細かい部分で、強度を上げておくのデス。一応、計算上は大丈夫なのですが、やっておく必要がありマス」
「そうなる、でも、この時期なら楽々」

 ノインのお手製ジェットブーツで久しぶりに飛びながら、雪のドームの補修作業を行っていた。

 先日の猛吹雪の際に、アナスタシアが創り上げた雪のドーム。

 強度自体はかなり優れており、何かと壊れにくいそうだが、それでも材料は雪であり、気温が上がれば溶けるもの。

 気温が上がり始めれば自然と溶解し、被害なく消え去るそうだが、それでも万が一を考えると、不安な個所は修正したほうが良いらしい。

 そのため現在、冷気を吹きつけて氷で補強させつつ、一部をノイン御手製人工降雪機で補強していた。


「ピャァァ、この降雪機そこそこ重いかも!」
「本当は自然の雪を使えばいいかもしれませんが、質を考えるとこちらを利用したほうが良いのデス。降雪機の方への水は‥‥‥」
「そっちは大丈夫だぜ!水ならまだまだ、ドバドバ出し放題だ!」

 ティアが水魔法を使用して、水を供給して人工降雪機の停止はない様子。

 と言うか普段は、ナイフや鎖鎌を扱う彼女が魔法を使う光景って不思議なものがあるような‥‥‥いやまぁ、できると言えばできるか。

「ついでに儂も、冷気用の魔法を使っているのじゃけれども…‥‥少量で済むのは負担が無くて良いのぅ」
「まだまだドバドバ行くぜぇ!!」

 人工降雪機の原料タンクへ向かって、魔法を放つティアにゼネ。

 彼女達のおかげで、補修作業はストップせずに進められそうであった。








スパァァン!!
「っと/一本/切断完了」
「オーライオーライ、よし、確保!」
「ふむ、これだけあれば十分可能」

 ディーたちが作業しているその頃、村で利用している伐採現場では今、ルンたちが木々を切断し、まとめていた。

「よいしょっと、これだけやれば、切断した分はまた回復しますわね」

 切断され、根っこごと掘り返された場所にカトレアが新しい苗木を植樹し、きちんと後のことを考えての作業。

 リアカーに丸太を載せてレイアが運んだり、スルーズが巨大な狐の姿に戻って横に括り付けて輸送するなど、手段は様々。

「にしても、これだけ運んで良い物なのか?使い道が無いように思えるのだが…‥‥」
「ノインいわく、主都の方の屋敷改装に利用するそうなのだ」

 何にしても、利用できそうなものがあれば、運んでおくに越したことは無い。

 本当はここにリリスがいたほうが、彼女に投入して輸送の手間を省けるのだが…‥‥生憎彼女は彼女で、現在仕事中である。

「大量に入っていた、資材をぶちまけたらしいからな…‥‥滑って転んで、勢いで全部出るとはな」
「彼女らしからぬミスだが、あると言えばあるのだろうな」

 珍しいミスによる後始末のようで、寒い外には出たくないリザも手伝っており、整理整頓作業中の様子。

 なので、作業を終えた後には運び終えた資材も整理しながら投入する予定である。

「だが…‥‥出した資材の量が多かったが、あそこまであったか?覚えがないのだが…‥‥」
「ノインがリリスに頼んで、蓄えていたらしいのだ。なにかと企んでいたようだが…‥‥まぁ、悪い事をするわけでもあるまい」

 色々と気になりはするものの、どう扱うかまで把握することもない。

 自分たいの主のためになるのならば文句もないし…‥‥いちいち気にしていたらきりがないというのもあるのだろう。

 
 主従はどこか似たというか、メイドのやらかす内容にツッコミを皆放棄したというべきか…‥‥それは慣れと言うべきなのかもしれないが、誰もノインに向かって問いかける気はないのであった…‥‥

「ところでふと思ったが、この冬季休暇も明ければまた学園だが‥‥‥‥学ぶ内容、今さらながらあるのだろうか?」
「濃い一年を送っているようなのだ…‥‥まだまだ面子の中で新米だが、その学園で学ぶようなことは無いような気がするのだ…‥‥」

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