憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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354 やらかされる前に埋めてしまう事も

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…‥‥ヴィステルダム王国の王座が変わる日。

 国王が退任し、王子たちのどちらかが国王の座に就くのだが、国の指導者が変わるという事で国内は今、お祭り騒ぎとなっていた。

 今の王の治世はそれなりに良いのだが、やっぱり新しい指導者が誰になるのかは気になるようで、あちらこちらでどちらの王子が国王になるのかという賭け事もあったりする。

 その他にも変わる事で色々と付き合い方も考えようという事で、他国からの客人も大勢訪れてきているようだ。

「まぁ、気になる人が多くなるのも無理はないけど‥‥‥‥その隙をついて、やらかすような輩も潜りこもうとしているのかな?」
「その分、警備などが厳重化されているようですし、そう容易く馬鹿は出てこないでしょウ」

 上空から見まわりつつ、下の方で怪しい動きが無いのか確認しながら俺たちはそう話し合う。


 本日のこの祭り騒ぎの中で、犯罪者が出てこられると困るもの。

 そのため、出来るだけ取り締まれるように衛兵たちが動く中で、俺たちも協力して上から見まわることにしたのだ。

 空から見渡せる点が、こういう監視が必要な場で強いからね。

「とは言え、流石に建物の中までは無理だが…‥‥そっちはどうだー?」
『大丈夫でありんす、潜入して気が付かれていないでありんす』
『グゲェグゲェ】

 ノイン御手製遠隔通信機を介して連絡を取り合って見たが、異常はないようだ。

 気配を消して忍び込めるリザに、物にまぎれて箱のまま見回っているリリス。

 その他にも各自、各々が自然と紛れ込める形で見回っているが、こういう通信機器が出来たことで色々とやりやすくなっていることを実感させられる。

「というか、これを用意できるほどの技術力で、国王からゼノバースかグラディのどちらを次の国王にするのかってことがわからないのかな?」
「無理ですネ。自白は容易いですが、それでも目立ってやるわけにもいきませんし、そもそもメイドたるものあらゆる物事に想定して動けるようにという嗜みはあるのですが…‥‥‥あそこまで自由奔放理解不能な方ですと、読むのが難しいのデス」

 ノインでさえも理解できないと言わせるとは‥‥‥‥国王陛下、恐るべし。

 いや、本日の退任式で国王を辞めるのであれば元国王陛下恐るべしというべきなのか。

「‥‥‥‥ふと気が付いたけど、そう言えば国王陛下のフルネームとかって聞いたことが無いのじゃが」
「言われてみれば、確かにそうかも」
「あまり耳にしない。そもそも国王陛下、陛下、国王、トラブルメーカ王などという名称は聞くけど、名前まで出てないかも」
「考えると、本名は何だったのでござろうかな‥‥‥?」

 一応、こちらももう間もなく王になる身とはいえ、一応この国の国民であるのだが‥‥‥‥この国の王の名前って、本当に何だったのか。

 あだ名ばかりで呼んでいたらその名前を忘れてしまう現象が、まさかの国王陛下にも当てはまってしまったようで、小一時間ほど悩まされるのであった‥‥‥‥

「なーんで最後の最後まで、国王陛下に関して悩まされなきゃいけないのだろうか…‥‥」
「国王とばかり言われてましたしね‥‥‥‥記録を見返してみましょうカ」





‥‥‥ディーたちが国王の名前に関して何だったのか、ということに悩んでいた丁度その頃。

 王城の方では、ゼノバースとグラディは正装に着替え終え、退任・就任式に備えていた。

「…‥‥今日でようやく決まるとは言え、どちらが王になるのかはまだわからない、か」
「父上の黙秘主義というか、いたずらをかけるために黙り続けるだけの主義というようなものには、最後まで振り回されるんだろうなぁ…‥‥」

 はぁぁぁっと溜息を吐きつつも、彼らは緊張をしていた。

 本日までの間に、互に王位継承争いをしていたが‥‥‥終止符が打たれると分かっても、どちらが王になるのかがわからない。

 もしかするとゼノバースの方かもしれないし、あるいはグラディ…‥‥斜め上の発想を考えるのであれば、まさかまさかのミウやエルディムとでもいうかもしれない。

「いや、それはないと思いたいですね…‥‥抜けていくのに、何故巻き添えにされなきゃいけないのよ」
「まぁ、妹が巻き添えにされるのは避けたいな‥‥‥」
「ああ、若しもやってきたらこちらの課題のこなしが無駄と言うのに等しいからね。そんなことを言った暁には、父上をボッコボコにしようか」
「賛成だ。どっちが殴るかでもめそうだが、やらかした瞬間にフルボッコは決定する」

…‥‥国の内外から興味を持って来た者や祝いのために来た者など、大勢のお客がいる前で盛大にやらかされるのは避けたいところ。

 次期王としてのイメージのためにも色々しなければならないのだが、その前に面倒ごとを引き起こされては元も子もないためだ。

 そのため、何かやらかされた時には盛大にフルボッコすることを約束し合いつつ、もう間もなく式の時間が近づいてくる。

「‥‥‥さてと、どっちが王になるのかはわからないが…‥‥泣いても笑ってもこれが最後だ。決まっても、恨むことは無く、支え合っていくことを誓っておこう」
「ああ、そうだね。どちらがなっても、互に実力は見せ合い、支え合おう。持ち上げてやらかす輩が出たりする可能性はあるけど‥‥‥‥それをきっかけにして滅びた国の例があったりするからね」

 ゼノバースの言葉にグラディが答えつつ、式の時間となって歩み始める。

 果たしてどちらがこの国の王になるのかはわからないが‥‥‥‥それでも、今日までやってきたことは多くあり、そのすべてが無駄になるようなことは無いと思いたい。

「あとは、お父様次第ってところなのよね…‥‥心配だけれども、最後まで見るしかないわね」

 二人の歩みを見ながら、ミウはそうつぶやく。

 自分達の父である国王のこれまでのやらかしようから、最後の最後まで油断できないことを理解しつつ、心配し‥‥‥絶対に油断できないと心の底から思えてしまう。

 なんというか、ようやく退任して隠居してくれるのあれば、今後はちょっと安心ができそうなのだが…‥‥そこに至るまでに気が抜けない事実に、彼女も溜息を吐くのであった‥‥‥‥
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