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2章 吹く風既に、台風の目に
2-31 その時は近付きつつ、悟られぬように
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「‥‥‥そうか、青く光ったか」
真夜中、生徒たちが宿泊している建物の一室では、密偵たちと語り合う一人の生徒の姿があった。
「はっ、確かに青く輝き、しっかりと色が付いていました」
「本来は浮気調査にしか使わないものだったけれども…‥‥こういう時につかえてしまうとはね」
そうつぶやきながら持つのは、小さな小箱。
そしてその内部には、昼間にフィーが拾った透明な宝石が入っており、それを彼が手に取ると今度は紫色に輝いていた。
「しかし、青となるとやはり青薔薇姫の子という可能性がほぼ確定になるのか。彼の家のものでは、青色にしか輝かなかったと聞くからね」
「そうなると、この後どう動きましょうか?情報を得るために交換留学の手段を取りましたが、判明した以上、直ぐにこの結果に関しては広まる可能性は高く、放置できないでしょう」
「いや、急ぐことはないだろう。むしろ、慌てた動きを取ればその分できる隙を狙ってくる輩が出るからね。となると、現状は少々距離を置きつつ、どうするべきか父上や彼の家の現当主にも話を聞くしかない。‥‥果たしてこれは、知っている人たちにとっては朗報なのか、悲報なのか分かりにくいけれどね」
家によっては、今は失われたものが出てくることは嬉しい事でもある。
だがしかし、また別の家にとっては過去の悪夢を思い出すようなところも多く、本人ではなくその子の可能性が非常に高いとはいえ、思い出させられるのは苦になる者もいることは間違いないだろう。
そしてこの結果はこの場に置いての秘匿だけではなく、各所に伝わる可能性も大きく、情報を完全に防ぐことはできないだろうと彼は読む。
「ひとまず、細工をしてうまい事確認できたのは良かったけれども、ミルガンド帝国としてはどうするべきか悩むところだよねぇ」
そうつぶやきながら、窓の外に輝く星明かりを見るのは、二年の方に留学しているカイゼル。
帝国からの交換留学生だが、その身分は皇子であり、どういう事情なのかしっかりと理解しているからこそ、後々どういう問題が起きるのか予想が付き、動くことはできるだろう。
けれども、流石に読めない部分もあるのはまだ未熟であると自覚しているせいかもしれない‥‥‥
「…‥‥あと気になるけど、自分は良く知らないけれども、知っている人ほど何で青薔薇姫に関しての話題になると、何故全力でさけようとするのだろうか」
「本当に色々あったんですよ。悪人も善人も凡人も天才も等しく、あの人を前にすればただの等しい民たちにしかならなかったのです‥‥‥」
「あれはもう歩く天災、厄災、災害、災いなどなど言い尽くせないほどの言葉があり、本当に人なのか疑いたいお方でしたからね‥‥‥」
‥‥‥そんな会話が行われていることもつゆ知らず、フィーの方はまだ床についていなかった。
「むぅ…‥‥昼間痛いものを踏んづけたせいか、目が嫌に冴えて寝にくいな」
「しっかりと治療しましたが、まだ痛いのでしょうカ?」
「いや、痛み自体は消えているんだけれどな」
まぁ、寝にくい夜と言うのはあるものだ。別に悩んでいるわけでもなく、何も理由もなく寝つきが悪いということで、眠気が来るまで時間を潰すことになる。
一応、明日には学力でのテストも待ち伏せているので、しっかり睡眠をとっておきたいのだが‥‥‥ちょっと寝にくいのは困りものだろう。かと言って、勉強をしても一夜漬けのようなもので余計に考えにくくなるのが目に見えている。
「いっそ、眠くなるまで何か本でも読むか?いや、手持ちに無いし…‥‥ゼナ、何か面白い話が無いだろうか?」
「そうですね、面白い話としては‥‥‥ちょっと仕入れた、とある国の方の話でもしましょうカ」
「とある国?」
「ハイ。色々と職業柄様々な人と交流を持ち、話を聞くことがあるのですが、その中でちょっと面白いかなと思うのは『青薔薇姫』という方の話デス。まぁ、内容を聞く限り少々ぶっとび過ぎているというか、私が言うのもなんですが人らしくなさすぎる話も聞くのですが…‥‥他の人の都合が悪くないように、少々気を利かせての話をいたしましょウ」
―――
それはそれは、今からほんの少し前のお話。
とある国の貴族家に、青薔薇姫と呼ばれる方が存在しておりました。
でも、姫と付くからと言って別に王族でも皇族でもありません。血は引いているのですが、それでも彼女は自称「普通の少女」と言ってました。
けれども、自称と付くだけあって彼女は普通ではない人でもありました。
‥‥‥一歩でも街へ繰り出せば、路地裏で密売の取引を暴き出し、怪しい組織を叩き潰し、磨り潰しました。
二歩だけ国外に出向けば、国同士の争いごとの火種になる事を見つけ、取り成すどころか粉砕し、大きな戦争を引き起こさない代わりに少々の犠牲を生み出し、肉体的なものではなく精神的なものが失われました。
そして三歩で誰も知らぬ世界へ飛び出せば、神話などの物語に出るような異形の者たちと出くわし、仲良くなったり暴れまわったりすることで、あちこちが滅茶苦茶になりました。
悪人にとっては悪事がやりにくいどころか、盛大な身の破滅を呼び、善人にとっては悪を成敗してくれるとは言え、その過程までに何人、いえ、何十何千もの胃が破滅を招いたそうです。
けれども、そんな青薔薇姫の話は、ある時を境に、ふと消え去ります。
ある人の話では、婚約者がいたけれどもそのおてんばでは言い切れないようなありように耐え切れず、婚約破棄を言い渡されたことでショックを受けて自殺したと言います。
またある人の話は、そんなことにはめげずに、盛大に婚約者を(放送禁止表現)のようにして、新たな恋路を得るための旅に出たとも言います。
そしてまたある人の話では、彼女のありように惹かれた者たちがどこかへ連れ去ったとも言われているそうです。
けれども、そのすべてに共通しているのは、誰もが彼女は普通では無かったようで‥‥‥いなくなって感謝する悪人もいたそうですが、姿が見えなくなったからこそ、いつどこからともなくぼわっと出てくるのか分からず、恐怖のあまりに眠れなくなった方も出たそうです…‥‥
―――――
「‥‥と、このような方がいたというお話でシタ。私としては、出会って話をしてみたいと強く思えた方ですネ」
「ゼナが気になる時点で、普通じゃない人ということがよく理解できてしまった」
そんな人がいたのかと思うが、ふと気になるのはそこまでやら化した人がいるというのに、耳にしたことも無い気がする。
「なんで今だとあまり聞かないんだ?そんな人なら、ずっと語り継がれていてもおかしくないだろう?」
「話によれば、噂をすれば影が差すという言葉があるからこそ、あまり口にしたくないと思う方が多いのが原因のようデス。メイドの道を歩めば、それこそ滅多に届かない頂に容易く到達しそうな分、いなくなっているのが惜しいデス」
今の時点でメイドとは何なのかと悩んでいることがあるのに、その頂ってどんなんだよとツッコミを入れたくなる。
でもツッコミを入れたら、今度はゼナからメイドとは何かという話を延々と受けそうで、深淵を除く羽目になりそうなことが怖ろしいのでやめておく。感じる危険な香りは、避けるほうが良い。
「まぁ、聞いている分には面白そうな人だったけれどね‥‥‥魔剣士だったら、凄い人だったんだろうなぁ」
「それが意外にも、魔剣を得ていない人だったそうデス。とは言え、波の魔獣程度ならば絶命させれずとも、物理的に千切って投げたという話もあるので、強さとしてもただものではなかったのかもしれまセン」
‥‥‥いや本当に、どんな人だよ青薔薇姫。しかも話を聞く限り婚約者がいたという話が合ったっぽいけど、その人の夫の座に収まれるような人がいたのかどうかすら疑わしく思えて来た。
でも、そんなぶっ飛んだ話に少々呆れたり面白みを感じたせいか、ようやく眠気がじわりじわりとやって来たらしい。
「ふわぁ‥‥‥ツッコミとかも諦めていたらなんか眠くなったな。ゼナ、部屋の明かりを消してくれ。もう寝るし‥‥‥ゼナは寝ないだろうし、海から魔獣が来ないか警戒してくれ」
「了解デス。命じられずとも、毎晩しっかりと警戒してますからネ」
少々おかしなものが聞こえた気がしなくもないが、眠気が波のように襲ってきたので気にしないで夢の中へと移ってゆく。
しかし、青薔薇姫か…‥‥名前を聞く感じ、何か青かった特徴があったのだろうか?俺みたいな青い髪をしていたのかもなぁ。
「案外、その人が俺の母親だったりして…‥‥いや、無いか。なんかどこかでぴんぴんして生きていそうな人だし、不死の可能性もなくはない感じがするからな‥‥‥」
あり得無さそうな可能性に少々苦笑しつつ、俺はそっと眠気に襲われながらも手に持っていた母の形見とされるネックレスを握り締める。
そんな人が母親だったら、魔獣に襲われても死なないで、無茶苦茶ぶりに呆れながらも一緒に過ごせていた可能性があるからな…‥‥うん、ありえない話だ。
けれども、もしも母がそのぐらいぶっ飛んだ人であれば、もしかすると普通の家族のように過ごせる日々があったのかもしれない。
そう思いつつも、押し寄せる眠気に俺は流され、寝付くのであった‥‥‥‥
「‥‥‥ありえない、という話程、案外傍にあったりするものデス。そしてその可能性にたどり着いた輩がどう動くかは構うことも無いのですが…‥‥」
フィーが寝息を立てはじめたころ、ゼナは外に出て海から出てくる魔獣たちを狩り始めながら、つぶやく。
「もしも、ご主人様に害を成そうとする輩が出てくるのであれば…‥‥私としては、青薔薇姫のように、片付けてみたいものデス」
‥‥‥いや、今も十分とんでもないレベルでの片づけをしていると、裏社会に潜む者たちはツッコミを入れたかったのだが、誰もツッコミを入れる勇気は無かったのだった。
真夜中、生徒たちが宿泊している建物の一室では、密偵たちと語り合う一人の生徒の姿があった。
「はっ、確かに青く輝き、しっかりと色が付いていました」
「本来は浮気調査にしか使わないものだったけれども…‥‥こういう時につかえてしまうとはね」
そうつぶやきながら持つのは、小さな小箱。
そしてその内部には、昼間にフィーが拾った透明な宝石が入っており、それを彼が手に取ると今度は紫色に輝いていた。
「しかし、青となるとやはり青薔薇姫の子という可能性がほぼ確定になるのか。彼の家のものでは、青色にしか輝かなかったと聞くからね」
「そうなると、この後どう動きましょうか?情報を得るために交換留学の手段を取りましたが、判明した以上、直ぐにこの結果に関しては広まる可能性は高く、放置できないでしょう」
「いや、急ぐことはないだろう。むしろ、慌てた動きを取ればその分できる隙を狙ってくる輩が出るからね。となると、現状は少々距離を置きつつ、どうするべきか父上や彼の家の現当主にも話を聞くしかない。‥‥果たしてこれは、知っている人たちにとっては朗報なのか、悲報なのか分かりにくいけれどね」
家によっては、今は失われたものが出てくることは嬉しい事でもある。
だがしかし、また別の家にとっては過去の悪夢を思い出すようなところも多く、本人ではなくその子の可能性が非常に高いとはいえ、思い出させられるのは苦になる者もいることは間違いないだろう。
そしてこの結果はこの場に置いての秘匿だけではなく、各所に伝わる可能性も大きく、情報を完全に防ぐことはできないだろうと彼は読む。
「ひとまず、細工をしてうまい事確認できたのは良かったけれども、ミルガンド帝国としてはどうするべきか悩むところだよねぇ」
そうつぶやきながら、窓の外に輝く星明かりを見るのは、二年の方に留学しているカイゼル。
帝国からの交換留学生だが、その身分は皇子であり、どういう事情なのかしっかりと理解しているからこそ、後々どういう問題が起きるのか予想が付き、動くことはできるだろう。
けれども、流石に読めない部分もあるのはまだ未熟であると自覚しているせいかもしれない‥‥‥
「…‥‥あと気になるけど、自分は良く知らないけれども、知っている人ほど何で青薔薇姫に関しての話題になると、何故全力でさけようとするのだろうか」
「本当に色々あったんですよ。悪人も善人も凡人も天才も等しく、あの人を前にすればただの等しい民たちにしかならなかったのです‥‥‥」
「あれはもう歩く天災、厄災、災害、災いなどなど言い尽くせないほどの言葉があり、本当に人なのか疑いたいお方でしたからね‥‥‥」
‥‥‥そんな会話が行われていることもつゆ知らず、フィーの方はまだ床についていなかった。
「むぅ…‥‥昼間痛いものを踏んづけたせいか、目が嫌に冴えて寝にくいな」
「しっかりと治療しましたが、まだ痛いのでしょうカ?」
「いや、痛み自体は消えているんだけれどな」
まぁ、寝にくい夜と言うのはあるものだ。別に悩んでいるわけでもなく、何も理由もなく寝つきが悪いということで、眠気が来るまで時間を潰すことになる。
一応、明日には学力でのテストも待ち伏せているので、しっかり睡眠をとっておきたいのだが‥‥‥ちょっと寝にくいのは困りものだろう。かと言って、勉強をしても一夜漬けのようなもので余計に考えにくくなるのが目に見えている。
「いっそ、眠くなるまで何か本でも読むか?いや、手持ちに無いし…‥‥ゼナ、何か面白い話が無いだろうか?」
「そうですね、面白い話としては‥‥‥ちょっと仕入れた、とある国の方の話でもしましょうカ」
「とある国?」
「ハイ。色々と職業柄様々な人と交流を持ち、話を聞くことがあるのですが、その中でちょっと面白いかなと思うのは『青薔薇姫』という方の話デス。まぁ、内容を聞く限り少々ぶっとび過ぎているというか、私が言うのもなんですが人らしくなさすぎる話も聞くのですが…‥‥他の人の都合が悪くないように、少々気を利かせての話をいたしましょウ」
―――
それはそれは、今からほんの少し前のお話。
とある国の貴族家に、青薔薇姫と呼ばれる方が存在しておりました。
でも、姫と付くからと言って別に王族でも皇族でもありません。血は引いているのですが、それでも彼女は自称「普通の少女」と言ってました。
けれども、自称と付くだけあって彼女は普通ではない人でもありました。
‥‥‥一歩でも街へ繰り出せば、路地裏で密売の取引を暴き出し、怪しい組織を叩き潰し、磨り潰しました。
二歩だけ国外に出向けば、国同士の争いごとの火種になる事を見つけ、取り成すどころか粉砕し、大きな戦争を引き起こさない代わりに少々の犠牲を生み出し、肉体的なものではなく精神的なものが失われました。
そして三歩で誰も知らぬ世界へ飛び出せば、神話などの物語に出るような異形の者たちと出くわし、仲良くなったり暴れまわったりすることで、あちこちが滅茶苦茶になりました。
悪人にとっては悪事がやりにくいどころか、盛大な身の破滅を呼び、善人にとっては悪を成敗してくれるとは言え、その過程までに何人、いえ、何十何千もの胃が破滅を招いたそうです。
けれども、そんな青薔薇姫の話は、ある時を境に、ふと消え去ります。
ある人の話では、婚約者がいたけれどもそのおてんばでは言い切れないようなありように耐え切れず、婚約破棄を言い渡されたことでショックを受けて自殺したと言います。
またある人の話は、そんなことにはめげずに、盛大に婚約者を(放送禁止表現)のようにして、新たな恋路を得るための旅に出たとも言います。
そしてまたある人の話では、彼女のありように惹かれた者たちがどこかへ連れ去ったとも言われているそうです。
けれども、そのすべてに共通しているのは、誰もが彼女は普通では無かったようで‥‥‥いなくなって感謝する悪人もいたそうですが、姿が見えなくなったからこそ、いつどこからともなくぼわっと出てくるのか分からず、恐怖のあまりに眠れなくなった方も出たそうです…‥‥
―――――
「‥‥と、このような方がいたというお話でシタ。私としては、出会って話をしてみたいと強く思えた方ですネ」
「ゼナが気になる時点で、普通じゃない人ということがよく理解できてしまった」
そんな人がいたのかと思うが、ふと気になるのはそこまでやら化した人がいるというのに、耳にしたことも無い気がする。
「なんで今だとあまり聞かないんだ?そんな人なら、ずっと語り継がれていてもおかしくないだろう?」
「話によれば、噂をすれば影が差すという言葉があるからこそ、あまり口にしたくないと思う方が多いのが原因のようデス。メイドの道を歩めば、それこそ滅多に届かない頂に容易く到達しそうな分、いなくなっているのが惜しいデス」
今の時点でメイドとは何なのかと悩んでいることがあるのに、その頂ってどんなんだよとツッコミを入れたくなる。
でもツッコミを入れたら、今度はゼナからメイドとは何かという話を延々と受けそうで、深淵を除く羽目になりそうなことが怖ろしいのでやめておく。感じる危険な香りは、避けるほうが良い。
「まぁ、聞いている分には面白そうな人だったけれどね‥‥‥魔剣士だったら、凄い人だったんだろうなぁ」
「それが意外にも、魔剣を得ていない人だったそうデス。とは言え、波の魔獣程度ならば絶命させれずとも、物理的に千切って投げたという話もあるので、強さとしてもただものではなかったのかもしれまセン」
‥‥‥いや本当に、どんな人だよ青薔薇姫。しかも話を聞く限り婚約者がいたという話が合ったっぽいけど、その人の夫の座に収まれるような人がいたのかどうかすら疑わしく思えて来た。
でも、そんなぶっ飛んだ話に少々呆れたり面白みを感じたせいか、ようやく眠気がじわりじわりとやって来たらしい。
「ふわぁ‥‥‥ツッコミとかも諦めていたらなんか眠くなったな。ゼナ、部屋の明かりを消してくれ。もう寝るし‥‥‥ゼナは寝ないだろうし、海から魔獣が来ないか警戒してくれ」
「了解デス。命じられずとも、毎晩しっかりと警戒してますからネ」
少々おかしなものが聞こえた気がしなくもないが、眠気が波のように襲ってきたので気にしないで夢の中へと移ってゆく。
しかし、青薔薇姫か…‥‥名前を聞く感じ、何か青かった特徴があったのだろうか?俺みたいな青い髪をしていたのかもなぁ。
「案外、その人が俺の母親だったりして…‥‥いや、無いか。なんかどこかでぴんぴんして生きていそうな人だし、不死の可能性もなくはない感じがするからな‥‥‥」
あり得無さそうな可能性に少々苦笑しつつ、俺はそっと眠気に襲われながらも手に持っていた母の形見とされるネックレスを握り締める。
そんな人が母親だったら、魔獣に襲われても死なないで、無茶苦茶ぶりに呆れながらも一緒に過ごせていた可能性があるからな…‥‥うん、ありえない話だ。
けれども、もしも母がそのぐらいぶっ飛んだ人であれば、もしかすると普通の家族のように過ごせる日々があったのかもしれない。
そう思いつつも、押し寄せる眠気に俺は流され、寝付くのであった‥‥‥‥
「‥‥‥ありえない、という話程、案外傍にあったりするものデス。そしてその可能性にたどり着いた輩がどう動くかは構うことも無いのですが…‥‥」
フィーが寝息を立てはじめたころ、ゼナは外に出て海から出てくる魔獣たちを狩り始めながら、つぶやく。
「もしも、ご主人様に害を成そうとする輩が出てくるのであれば…‥‥私としては、青薔薇姫のように、片付けてみたいものデス」
‥‥‥いや、今も十分とんでもないレベルでの片づけをしていると、裏社会に潜む者たちはツッコミを入れたかったのだが、誰もツッコミを入れる勇気は無かったのだった。
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