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2章 吹く風既に、台風の目に
2-34 それは必ずしも、失われたと断言されたわけではない
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―――――かつて存在していたと言われていたものとはいえ、今では物語の中にしか存在していないように思われていたもの。
存在自体は強大なものではあったが、魔獣たちの生きとし生けるもの判定を受け、いくら討伐しても魔剣を用いない限り絶命しないその面倒な性質に嫌気がさし、この世界そのものから何処かへ消え去ったもの。
様々なことが言われているとはいえ‥‥‥その光景を目にして、浜辺にいた生徒たち及び沖合で事態を把握して集結しつつあった教師陣たちは、目の前の光景に度肝を抜かれていた。
「な、なんだ…‥‥あれは‥‥‥!!」
「巨大な魔獣の一部が、内側から食い破られるように吹き飛ばされたかと思えば‥‥‥!!」
「一気に巨大化して、海をすべて氷結させて足場にしたあれは…‥‥!!」
吹き飛んだ肉片や血しぶきが少々かかってしまう者もいたが、そんな事はこの光景を前にしてはどうでもいい。
ただ一つ言えるのであれば、相対する魔獣に負けず劣らずのサイズだが、不思議とそれは魔獣ではないと理解させられる…‥‥いや、そうであると言えてしまう事だろう。
「ぺ、ペルシャ生徒会長、あれは‥‥‥」
「どう見ても、当てはまる言葉が一つしかあるまい」
巨大な体に、氷結と化して足場となった地に降り立っていることでたたんでいるが、広げれば大きな翼となり、大きく長い尻尾がゆらりと揺れる。
背後からしか見れないが、大きな2つの角も生えているようで、金属とはまた違う不思議な光沢を放つ鱗を身に纏っている姿は、一つの種族を導き出す。
「かつていたと言われ、存在の証拠はいくつか残されているが、長らく人前に表すことの無かった幻の存在…‥‥ドラゴン、だ」
―――――
『ドラゴン』
ワイバーン、ファフニール、龍、竜など様々な名称が多いが、一口にまとめて言い表すのであればその一言しかない大いなる存在。
その力は強大なものであり、人では決して踏み入ることができない域にいると言われており、その力を狙って蠢く者たちが多かったが、その末路は全て悲惨なものを迎えていた。
だがしかし、悪意に対しての返答もあれば善意に対しての返答も存在しており、悪しき存在という事でもなく、国によっては神と同一視するほど神聖なる存在ともされている。
だがしかし、魔獣が出現した時からその姿は失われており、強大な力を持つものではあったがこの世界そのものから去る選択をしたのかもしれないという話もある。
―――――
「何でそんなものが、あんな魔獣の腹を突き破って出て来るんだよ!!」
「いやまて、まだ何かあるぞ!!」
ただドラゴンが降り立ったのかと思えば、どうやらここで驚愕を終わらせてはくれないらしい。
よく見ればその周囲にキラキラとした流体が纏わりつき、その体に合わせて張り付いたかと思えばその姿を更に変えた。
強靭なドラゴンの鱗を有するというのに、その鱗すらも守るような高貴な光沢をもつ鎧が全身を覆い、その手にはサイズに合わせた巨大な大剣が握られている。
黒を基調としつつ、白色の見事な装飾が施されており、一見すると大きな美術品とも思わされる。
だが、ただの剣でも鎧でもない。いや、この場に魔剣士たちが集うからこそ、あれもまた同じものだと理解させられる。
そう、ドラゴンが持ちうるはずもなかった武器‥‥‥彼らのよく知る、魔剣の類だと。
神秘的な姿となり、その大いなる姿は竜の魔剣士と呼べるだろう。
【ウボォォォォォォォン!!】
巨大な体に見合った武器をドラゴンが装備し構えると同時に、食い破られた箇所の再生が完了した巨大な魔獣が咆哮を上げる。
その姿は今自身を食い破って出て来た存在への怒りを含んでいるようだが、顕現したドラゴンに対しての警戒と恐怖も入り混じっているようだ。
おおきな口を上げ、この全てを消し飛ばさんとばかりに、先ほどまで乱射していたすべての赤黒い液体を瞬時に充填し、膨大な赤黒い水柱として放出される。
ドッバァァァン!!
真正面からドラゴンが受けるが、溶ける雨と同等の成分の可能性が大きいはずなのに、恐るべき効果を見せる様子はない。
その巨体が全てを受け止めつつも、弾け飛ばしているようで、いくら大規模な攻撃だとしても効いていないようだ…‥‥鎧そのものが守っているのか、ドラゴンの強靭さが受けとめているのかはともかく、この一撃で既に勝敗は決したようなものでもある。
【…‥‥オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!】
全てが放出され、出し切った後に纏わりつく液体を咆哮で吹き飛ばし、今度はドラゴンの方が攻撃に転じるようだ。
その巨大な剣を使うのかと思いきや空中にいくつもの魔法陣のようなものが出現し、輝く光線を発射し始める。
ドドドドドドドドドド!!
【ウボェェェェェェェン!?】
乱射され、巨大が見る見る間に削り取られていき、悲鳴を上げる巨大な魔獣。
だがしかし、逃げようにもその巨体があだとなって回避はできず、あっと言う間に細かくなっていく。
けれども、魔獣は魔剣でなくては絶命できず、いくら破片と化そうともドラゴンの攻撃のみでは消滅することはなく再生してしまうだろう。
いくら強大な力を持っていたとしても、永遠に終わらぬような戦いとなれば体が持たない。
‥‥‥でも、それはあくまでも、魔獣を滅する手段を持たない場合の話。
そして今、このドラゴンの身に、手に収められているのは魔獣を滅ぼすことが出来る魔剣。
【オオオオオオオオオォォォォォォン!!】
翼を羽ばたかせながら離れた場所にいる人々すら吹き飛ばしそうな暴風を吹き起こし、砕けていた魔獣の破片が一つとなって大海から吹き上げられ、宙へと舞う。
再生を果たす前に、全てに狙いを定め、ドラゴンは大きな大剣を握り構える。
見よ、その力がオーラのように沸き上がり、大きく掲げた魔剣へ吸収される様子を。
吸収し、ドラゴンの力をもって増幅されて魔剣の刃に輝きが産まれ、見る見る間に増していく光の柱を。
その威力たるや、絶大なものと察したのか、肉片と化した魔獣はその状態になっても逃げようと必死にもがく。
しかし、それは悪あがきであり‥‥‥‥一撃を持って、消し去られる。
一気に振り下ろされ、天まで貫くほどの光の柱が倒れ掛かり、魔獣の肉片をすべて呑み込んだ。
絶命すれば魔獣は消えゆくのだが、その消える手助けとも言わんばかりに、一片残らず溶かされて失せていく。
…‥‥全てが終わるも、その光景に周囲にいた人々は目を見開いて驚愕するものや、見逃すまいと見ていた者たちは動けなかった。
物語のような存在であったドラゴンが、魔剣を手にして巨大な魔獣を消し去った光景を前にして、直ぐに動けるはずもなかった。
少し経ち‥‥‥ようやく人々がはっと我に返った時には、その姿は失せていた。
違う、ガラスが割れるかのような音を立ててドラゴンの身体にひびが入り、砕け散った。
その内部からは、人の影のようなものが見えたが、砕けた欠片と共に海へと落下するのであった。
「って、見ている場合かぁぁ!!回収作業を急げぇぇ!!」
「魔獣と違って消えてないけれども、あれ全部ですか!?」
「人の姿も見えたから、人命救助を優先だ!!口を動かす前に、体を先に動かす!!」
ようやく我に返りつつ、目の前で起きていた出来事に対していまだに信じられないような気持でありつつも、周囲で固まっていた人々は動き出す。
ひとまず今は、ちらっと見えた人影を先に助け出すべきだということで、救助を急ぐのであった‥‥‥
存在自体は強大なものではあったが、魔獣たちの生きとし生けるもの判定を受け、いくら討伐しても魔剣を用いない限り絶命しないその面倒な性質に嫌気がさし、この世界そのものから何処かへ消え去ったもの。
様々なことが言われているとはいえ‥‥‥その光景を目にして、浜辺にいた生徒たち及び沖合で事態を把握して集結しつつあった教師陣たちは、目の前の光景に度肝を抜かれていた。
「な、なんだ…‥‥あれは‥‥‥!!」
「巨大な魔獣の一部が、内側から食い破られるように吹き飛ばされたかと思えば‥‥‥!!」
「一気に巨大化して、海をすべて氷結させて足場にしたあれは…‥‥!!」
吹き飛んだ肉片や血しぶきが少々かかってしまう者もいたが、そんな事はこの光景を前にしてはどうでもいい。
ただ一つ言えるのであれば、相対する魔獣に負けず劣らずのサイズだが、不思議とそれは魔獣ではないと理解させられる…‥‥いや、そうであると言えてしまう事だろう。
「ぺ、ペルシャ生徒会長、あれは‥‥‥」
「どう見ても、当てはまる言葉が一つしかあるまい」
巨大な体に、氷結と化して足場となった地に降り立っていることでたたんでいるが、広げれば大きな翼となり、大きく長い尻尾がゆらりと揺れる。
背後からしか見れないが、大きな2つの角も生えているようで、金属とはまた違う不思議な光沢を放つ鱗を身に纏っている姿は、一つの種族を導き出す。
「かつていたと言われ、存在の証拠はいくつか残されているが、長らく人前に表すことの無かった幻の存在…‥‥ドラゴン、だ」
―――――
『ドラゴン』
ワイバーン、ファフニール、龍、竜など様々な名称が多いが、一口にまとめて言い表すのであればその一言しかない大いなる存在。
その力は強大なものであり、人では決して踏み入ることができない域にいると言われており、その力を狙って蠢く者たちが多かったが、その末路は全て悲惨なものを迎えていた。
だがしかし、悪意に対しての返答もあれば善意に対しての返答も存在しており、悪しき存在という事でもなく、国によっては神と同一視するほど神聖なる存在ともされている。
だがしかし、魔獣が出現した時からその姿は失われており、強大な力を持つものではあったがこの世界そのものから去る選択をしたのかもしれないという話もある。
―――――
「何でそんなものが、あんな魔獣の腹を突き破って出て来るんだよ!!」
「いやまて、まだ何かあるぞ!!」
ただドラゴンが降り立ったのかと思えば、どうやらここで驚愕を終わらせてはくれないらしい。
よく見ればその周囲にキラキラとした流体が纏わりつき、その体に合わせて張り付いたかと思えばその姿を更に変えた。
強靭なドラゴンの鱗を有するというのに、その鱗すらも守るような高貴な光沢をもつ鎧が全身を覆い、その手にはサイズに合わせた巨大な大剣が握られている。
黒を基調としつつ、白色の見事な装飾が施されており、一見すると大きな美術品とも思わされる。
だが、ただの剣でも鎧でもない。いや、この場に魔剣士たちが集うからこそ、あれもまた同じものだと理解させられる。
そう、ドラゴンが持ちうるはずもなかった武器‥‥‥彼らのよく知る、魔剣の類だと。
神秘的な姿となり、その大いなる姿は竜の魔剣士と呼べるだろう。
【ウボォォォォォォォン!!】
巨大な体に見合った武器をドラゴンが装備し構えると同時に、食い破られた箇所の再生が完了した巨大な魔獣が咆哮を上げる。
その姿は今自身を食い破って出て来た存在への怒りを含んでいるようだが、顕現したドラゴンに対しての警戒と恐怖も入り混じっているようだ。
おおきな口を上げ、この全てを消し飛ばさんとばかりに、先ほどまで乱射していたすべての赤黒い液体を瞬時に充填し、膨大な赤黒い水柱として放出される。
ドッバァァァン!!
真正面からドラゴンが受けるが、溶ける雨と同等の成分の可能性が大きいはずなのに、恐るべき効果を見せる様子はない。
その巨体が全てを受け止めつつも、弾け飛ばしているようで、いくら大規模な攻撃だとしても効いていないようだ…‥‥鎧そのものが守っているのか、ドラゴンの強靭さが受けとめているのかはともかく、この一撃で既に勝敗は決したようなものでもある。
【…‥‥オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!】
全てが放出され、出し切った後に纏わりつく液体を咆哮で吹き飛ばし、今度はドラゴンの方が攻撃に転じるようだ。
その巨大な剣を使うのかと思いきや空中にいくつもの魔法陣のようなものが出現し、輝く光線を発射し始める。
ドドドドドドドドドド!!
【ウボェェェェェェェン!?】
乱射され、巨大が見る見る間に削り取られていき、悲鳴を上げる巨大な魔獣。
だがしかし、逃げようにもその巨体があだとなって回避はできず、あっと言う間に細かくなっていく。
けれども、魔獣は魔剣でなくては絶命できず、いくら破片と化そうともドラゴンの攻撃のみでは消滅することはなく再生してしまうだろう。
いくら強大な力を持っていたとしても、永遠に終わらぬような戦いとなれば体が持たない。
‥‥‥でも、それはあくまでも、魔獣を滅する手段を持たない場合の話。
そして今、このドラゴンの身に、手に収められているのは魔獣を滅ぼすことが出来る魔剣。
【オオオオオオオオオォォォォォォン!!】
翼を羽ばたかせながら離れた場所にいる人々すら吹き飛ばしそうな暴風を吹き起こし、砕けていた魔獣の破片が一つとなって大海から吹き上げられ、宙へと舞う。
再生を果たす前に、全てに狙いを定め、ドラゴンは大きな大剣を握り構える。
見よ、その力がオーラのように沸き上がり、大きく掲げた魔剣へ吸収される様子を。
吸収し、ドラゴンの力をもって増幅されて魔剣の刃に輝きが産まれ、見る見る間に増していく光の柱を。
その威力たるや、絶大なものと察したのか、肉片と化した魔獣はその状態になっても逃げようと必死にもがく。
しかし、それは悪あがきであり‥‥‥‥一撃を持って、消し去られる。
一気に振り下ろされ、天まで貫くほどの光の柱が倒れ掛かり、魔獣の肉片をすべて呑み込んだ。
絶命すれば魔獣は消えゆくのだが、その消える手助けとも言わんばかりに、一片残らず溶かされて失せていく。
…‥‥全てが終わるも、その光景に周囲にいた人々は目を見開いて驚愕するものや、見逃すまいと見ていた者たちは動けなかった。
物語のような存在であったドラゴンが、魔剣を手にして巨大な魔獣を消し去った光景を前にして、直ぐに動けるはずもなかった。
少し経ち‥‥‥ようやく人々がはっと我に返った時には、その姿は失せていた。
違う、ガラスが割れるかのような音を立ててドラゴンの身体にひびが入り、砕け散った。
その内部からは、人の影のようなものが見えたが、砕けた欠片と共に海へと落下するのであった。
「って、見ている場合かぁぁ!!回収作業を急げぇぇ!!」
「魔獣と違って消えてないけれども、あれ全部ですか!?」
「人の姿も見えたから、人命救助を優先だ!!口を動かす前に、体を先に動かす!!」
ようやく我に返りつつ、目の前で起きていた出来事に対していまだに信じられないような気持でありつつも、周囲で固まっていた人々は動き出す。
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