私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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4章 そして悪意の嵐は、吹き始める

4-13 巨大な戦艦でも、用意してほしかった

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‥‥‥巨大透明クラゲ機械魔獣スージェ。
 
 こうして名前を並べるだけでも、とんでもない魔獣だというのは分かるだろう。

ドンドンドンドンドン!!
「そして見えない触手が空気を貫く音がうるせぇぇぇぇ!!」
「これはなかなか厄介ですネ」

 全速力で周囲を飛び回っている中、見えない触手が空気を突き破る音が聞こえ、すぐ横を掠めていく。

 巨大な魔獣と言うだけあって、比例しているのかクラゲの触手自体もかなり極太にされているようで、迫力があるだろう。

 ただし、その姿が見えていればの話で、透明ゆえに見えない攻撃でもある。

「でも角で、何とか空気を感じ取れるのは大きいな‥‥‥ステルス性が高くても、空気の抵抗までは消しきれないのか」

 ドラゴンとしての特徴なのか、俺の頭に生えている角。

 一種の感覚器官でもあるようで、神経を集中して研ぎ澄ませてみれば、何とか攻撃をしてくる瞬間を感じとり、辛うじて回避が出来る。



 だがしかし、相手の触手攻撃が分かれども本体は捕らえづらい。触手よりもゆったりとした動きで漂うかのように動いているらしく、感じ取りにくいのだ。

「いっそ色でも付けれたらいいけど、何か方法ないか!!」
「うーん、無いデス。ガトリングでペイント弾をやろうと思えばできますが、相手が大きすぎるんですよネ」

 メデゥイアルが残した言葉によれば、スージェの全長は約700メートルほど。

 サイズとしてはかなり巨大なものであり、ちまちまと攻撃していても体格差的にあまり意味を成さないようだ。

 例えるならば、小さな羽虫が人に一匹で攻撃するようなものなのか…‥‥先ほどからガトリングやウイングでのエアカッター、ブレス+他のモードでの攻撃などを試しているのだが、どれもこれもあまり効いていない感じである。

 それどころか攻撃したところからすぐにダメージを回復してしまうようで、厄介な回復能力の高さも持っているようだ。

「ああもう、どうしろと!!」

 逃げる手段もあると言えばあるのだが、人工的な機械魔獣とは言えほぼ魔獣の本能を持っているらしく、放置していれば生きとし生けるものを消し飛ばすために動くのが目に見えている。

 更に、眼下の地面を見れば分かるが強力な猛毒を時々垂らしているようで、このまま適当に進ませてしまえば二度と使えない大地にされる可能性も大きく、既に終わっているこの地で終えさせなければ被害がどんどん拡大してしまうだろう。

「いっそ、ドラゴンになれば‥‥‥いや、それも不味いか」

 何かを欠落させることで、その力を発揮する魔剣ゼナ。

 前にドラゴンになれたのは「人間」という概念のようなものを欠落させたことで、ドラゴンの因子が強まって体に変化を起こせたからこそできたようなもの。

「ですが、二度目の欠落は何を引き起こすのかは私でも分かりまセン。そう都合よく引き起こせず、発動中のみにできるだけ抑えるようにしていますが、今のご主人様の半分竜化している状態を考えますと、完全にノーリスクにはならないのデス」

 何が欠落し、何が出るのかが分からない。

 開けてみるまで分からない危険性の高いびっくり箱のようなもので、リスクに見合った結果が出るとも限らない。


ドバブジャァァァ!!
「そんな事を考えていたら、毒液も噴き出しやがった!!クラゲとしてのプライドはないのか!!」
「クラゲとしてのプライドって、まず何でしょうカ?」

 流していた毒液を今度は狙って打ちだしてきたスージェにツッコミを入れつつ、どうにか反撃する手立てがないか模索する。

 けれども見つからず、時間ばかりが過ぎてきて体力もどんどん削られてくる。

「水分多いからブレスでの熱量の蒸発を考えても、火力不足。触手を切り裂いても、にゅるっと音を立てて再生。いっそ全部燃やし尽くす勢いで吐いても、耐えきられてしまう…‥‥どんな化け物だよ」

 魔獣の域を超えて、もう本当に化け物としか言いようがない。

 どれだけの攻撃を浴びせても耐えきり、再生し、反撃で色々やって来る。

 こうなってくると本当に奥の手として魔剣ゼナの力を解放させ、ドラゴンになれるように賭けたいが、その可能性もはっきりして大博打。



 でも、もう手はない。体力も限界に来ているし、そろそろ地面の毒に晒された部分も限界で、この大地そのものが崩れ去るだろう。

 そうなってしまえば、俺たちが力尽きて落ちた時に着地する地も無くなるだろうし、どうしようもなくなってしまう。

「リスクを取るか、いっそ他を犠牲にして逃げて反撃を考えるか…‥か」

 何も、一人で挑み続ける意味もない。ここから逃げて、他の魔剣士たちと力を合わせて討伐する手段もないわけじゃないのだ。

 けれどもそんなことをすれば、この魔獣が自由に動くことを許してしまい、より多くの犠牲が出てしまうだろう。

 犠牲を覚悟で逃げるか、それとも自身のリスクを賭けてしまうか…‥‥‥考えるまでもない。

「ゼナ、やるぞ。もうこうなったら本当になりふり構って居られないからな」
「やるつもりですカ?ご主人様が再びドラゴンの姿に転じられる確率は不明ですし、なったとしても相性的に勝利をつかめるかもわかりまセン」
「それでも、やるしかないんだよ!!犠牲が増えるならいっそ、俺たちが覚悟してやるしかない!!」
「‥‥‥分かりまシタ。では、やりましょウ」

 いつぞやかの巨大魔獣の時のように、ソードモードから刃を無理やり捻じ曲げるゼナ。

「私をご主人様の心臓に突き立て、力を解放しますが…‥‥、前と同じ結果がでるとは限りまセン。それに以前は制限時間を設けましたが、今回は私のほうもダメージが大きいので、制御できまセン。毒液を時々捌いていましたが、その分刃もだいぶボロボロになりましたからネ」
「ああ、分かっている。…‥‥それだと、俺を貫けるかな?」
「一点集中で、なんとかなると思いマス。それでは、覚悟はよろしいのでしょうカ」
「尋ねられなくても、刺すのは俺自身だ。それに、もうできている」

 ここでやらなければ、誰がやる。

 そもそもこんな化け物がいるのは、俺に興味を持ったらしいメデゥイアルとか言う大馬鹿野郎のせいで、そんな奴にこの化け物を使わせたのも俺自身だろう。

 ならば、その責任を取るしかない。もし生き残れたら、絶対にメデゥイアルを死よりも恐ろしい結末に連れ込んでやろう。

「それじゃ行くぞゼナ!!俺の心臓を貫いて、たっぷり力を解放しろ!!」
「了解デス!!」

 叫ぶと同時に刃を突き立て、俺の心臓をゼナが貫く。

 そして貫いた場所からどろりと血液が、いや、そうではない黒い液体が噴き出し始め、俺たちを包み込んで意識をゆっくりと闇の中へ沈めていく。

 また意識がない状態で動くのか、あるいは自我がある状態でいけるか、それは分からない。

 けれども絶対に、ここまでさせた相手を葬り去ろうと、心に誓うのであった‥‥‥‥


―――――――――
―――条件、達成。モード、チェンジ。

―――リスク発動。欠落『人間』申請、却下。『完全竜化』許可不能。
―――欠落…‥‥ン?誰デスカ・・・・?ココハ誰モ、イナイハズデスガ。


―――優先発動。欠落『魂の楔』‥‥‥エ?何デスカコレ。前ノ時ハナカッタハズデスガ。
―――ハイ?エ、エ、エ?ドウナッテイルノデス!?


―――『魂の楔』、一時的ナ消失。浮上…本当ニ待ッテクダサイ。何故、ゴ主人様ノ中ニ‥‥‥‥

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