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4章 そして悪意の嵐は、吹き始める
4-12 用意周到、万全といかずとも
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‥‥‥脱出したところで、素早くその場から俺たちは離れることにした。
流石に足場の確保も考えていたのか、溶解液では地面までは溶けていなかったようで着地し、すぐさま駆け抜け始める。
「と言うか、外って訳でもなさそうだな。地面が岩場だし、周囲は暗いし、何処かの洞窟の中か?」
「大型の魔獣のような何かだったようですが、地面の中に埋まっているタイプのようですネ。全容が見えないのは惜しいですが、逃げておいたほうが良いでしょウ」
研究所の外に出てみれば、そこは明るい太陽の下と言う訳ではなく、何処かの地下洞窟のような空間が広がっていた。
駆け抜けながら後方の降りてきた場所を見れば、天井に穴が開いている程度であり、その他の部分は全て埋まっているらしい。
どのような奴の中にいたのかは気になるが、この場に長居する意味もない。
それよりも早く逃げたほうが良いと思い、ようやくまともに動けるようになった足を動かし、ゼナと一緒に洞窟内を突き進む。
外が分かりにくいが…‥‥それでも、風の流れは感じている。
角で感じ取り、その微細な風の流れに沿って進むことで、次第に明るい出口が見え始める。
「ようやくか、どこに出るのかはわからないが、もうちょっとで外だ!!」
「入り組んでいたようですが、それでも抜けられそうですネ」
外の明かりが徐々に近づき、自然と足取りが一層軽くなる。
けれども、ふと何か嫌な予感を俺は抱いた。
‥‥‥そもそも、こんな簡単に逃げられていいものなのだろうか?俺たちを捕縛してみせたあのメデゥイアルが、黙ってこのまま逃してくれるのだろうか。
いや、そんな事はない。この短時間の行為だけで短絡的過ぎるような奴ではない事だけは理解できる。
電撃でしびれさせ、猛毒を撃ち、ガードマシンを仕向け‥‥‥それだけで済むようなことならば良いのだが、どう考えてもそれ以外のものも疑いたくなる。
それに今は、もうちょっとで外に出られそうなところだが、ああいう性格の奴を考えるのであれば、こういう希望が見えた時こそ、一気に絶望に叩きこんでくる可能性がある。
「ゼナ、一旦モードチェンジをしてくれ」
「了解デス」
なんとなく不安を感じ取ってくれたのか、直ぐにゼナは答えてくれた。
出口までもうちょっという距離だが、ここは物は試しに何かを仕掛けて確認してみる必要がある。
そこでまずは、手ごろなそこいらの岩を持ち、スクリューで風を吹き起こしてふっ飛ばしてみれば‥‥‥
バリバリバリィッツ!!
「‥‥‥案の定、出口寸前でトラップが仕掛けてあったか」
「不可視で、ステルス性能が優れた電撃トラップがあったようですネ。感知式のようで、張られていることに気が付きにくい仕掛けでシタ」
飛んでいった岩が、強烈な電撃を浴びてあっと言う間にボロボロになった。
常人なら致死量の猛毒を撃ってきたことから考え、こちらもおそらく常人ならショック死をするレベルの電撃を起こせるトラップであり、出口のこんなギリギリで仕掛けてくるあたり、相当性格が悪い奴だと理解させられる。
とは言え、風の流れを読む限りここしか出口が無いし、転移する道具を持っていたメデゥイアルの事を考えるとこの程度のトラップは問題がないのだろう。
「さて、こうなるとどうやって出るべきか…‥‥出口が目の前に見えているのに、出ようとしたら電撃が待ち受けているって酷い話だな」
「生憎、絶縁体のような電撃に対抗する手段は無いデスネ。それに地面を掘って越えようとしても地下深くまでやっている可能性が想定できマス」
出れそうなのに、出られない状況。これは中々もどかしい。
電撃に耐えて出ればいいかもしれないが、あの電撃具合からして耐えられるとは思えない。すでに電撃で気絶したことがある以上、耐性が出来ているわけでもないのでどうしようもない。
「いっそトラップごと吹き飛ばして…‥‥出口丸ごとやったら、今度は生き埋めになりそうだ」
「難しい問題‥‥‥ン?ご主人様、その辺の岩をもう一度あれに当ててみてくだサイ」
「ん?わかった」
考え込んでいると、ふとゼナが何かに気が付いた。
何事かと思って先ほどと同じようにして見れば‥‥‥
バリバリバリバリバリバリィッツ!!
「さっきよりも、近づいている!!」
「接近してくる仕掛けが発動したようデス!!」
ゆっくりと、それでいて確実に俺たちの方に電撃のトラップが迫ってきていた。
どうやら一度作動した後も念入りにやっているのか、あるいはここでトラップを見破って立ち往生することも想定されていたのか、どちらにしても電撃がこちらに迫りくる。
浴びたくないので後退するしかないが、結局元の木阿弥、いや、それ以上に洞窟の奥の奥まで逃げたとしても最終的には電撃を浴びせられる未来が確定してしまう。
前門の虎後門の狼という言葉があるらしいが、前門は電撃で後門の先はふさがれている状態。
「となると、もうなりふり構っているわけにもいかなさそうだな…‥‥ゼナ、あの電撃を突破したいが、生身で受けたらどうなる?」
「計算上、確実にまた気絶しますネ。しかも、捕縛時に使用された電撃よりも高電圧なものと計測。私は魔剣なので電撃を浴びても命にかかわることはそうないですが、ご主人様はだいぶ回復されてきたとはいえ、今の状態で浴びるのは命の危機に関わる可能性が高いデス」
「それなら可能性を低める方法は?」
「‥‥‥出口とトラップを両方とも吹き飛ばすよりも、守りを固めて突破するのがいいと思われマス。ソードウイングで刃の翼を作り、それで全身を守って高速で突撃・貫通をすることを提案しマス」
刃の翼で身を守り、自らを鋼の弾丸のごとく突撃させて強行突破。
かなりの力づくの行為だが、そうでもしなければ無事に出られないだろう。
「とは言え、電撃を通してしまうのは意味がないので、変形後に…‥‥こちらの防護布を翼に巻くことを推奨いたしマス。防電とまではいかないですが、短時間であればある程度耐えられるでしょウ」
「ならそれでいこう。時間がないからな」
あの電撃が一瞬で済むとは思えないし、迫ってきている以上元の位置からここまで更に電撃を浴びせるエリアが広がっている可能性がある。
そのためすぐに行動に移し、俺たちは突撃する覚悟を決める。
「それじゃ、いちにのさんで行くぞ」
「いち」
「にノ」
「「さん!!」」
同時に合図を行い、瞬時に加速して自ら突撃する。
バリバリバリバリィィィ!!
「ぐぅぅぅぅ!!」
案の定、最初の電撃のあともまだまだ続いており、まるで雷雲の中を雷に当たりながら進んでいるかのような感覚。
ある程度はゼナを通しつつ防護布とやらで減少しているが、軽減とは言えないほど重い電撃が体を貫いていく。
けれども立ち止まるわけにもいかず、電撃の中を突き進み、出口にようやくたどり着いて飛び出した。
「このまま一気に、急速上昇!!」
電撃を突破できたところで、また何かを仕掛けられる前にメデゥイアルがそう簡単に到達できる場所から離れなければいけない。
そう思い、上に向かって瞬時に飛び上がり、あっと言う間に雲の上にまでたどり着いた。
「ぶはぁっつ!!死ぬかと思った!!」
「なんとか抜けたようですネ」
翼を広げ、ぶすぶすと焦げ臭い匂いを漂わせたが、どうやら無事に突破できたようだ。
電撃でだいぶ焼かれたが、それでもまだ何とか回復できる範疇のようで、治療を行えば問題ない。
「さてと、後はここがどこなのか…‥‥いや、本当にどこだ、ここ?」
とりあえず今は、さっさと学園に戻ろうと思ったが、今の場所がどこなのか分かっていない。
そこで眼下に広がる光景から推測しようとしたのだが‥‥‥そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。
地面は見える。けれども洞窟内のものとは違い、非常に濃い紫色と言うべきか、物凄く毒々し色合いをしているだろう。
そして周囲には廃墟のようなものも見えており、あちこちにはちょっとゴミのような‥‥‥違う、あれは砕けたりしている人の骨だろう。真っ白ではなく、こちらも禍々しい色合いに変色しており、少なくとも半径5キロ圏内は確実にこの状況のようだ。
「何だ、この状況」
「まるで、何か非常に凶悪な実験が行われた場所のような…‥‥っ!!ご主人様、上デス!!」
ドシュン!!
「うおっ!?」
ゼナの言葉を聞いて素早く回避すれば、すぐ横を何かがすごい勢いで落下し、地面に着弾して更に毒々し色合いを広げた。
何が起きたのかと思い、見上げてみるも何も見えない。
‥‥‥違う。見えないだけで、何かがいる!!
ぐじゅぐじゅぐじゅ‥‥‥どばぶっしゃぁぁぁぁぁあ!!
「って、なんか凄い毒々しい液体が噴き出てきたぞ!?」
「ひとまず、吹き飛ばしマス!!」
滝のように毒色の液体が流れ落ちてきたので、ゼナが自らモードを切り替えて、スクリューの勢いで吹き飛ばす。
そしてその液体がかかった事で、ようやく相手の一部が見えたのだが…‥‥その大きさは、どうやら捉えきれないようだ。
「なんか凄い大きな透明のものが浮いているな」
「そして完全に敵対を確認しまシタ。純粋な魔獣ではなく…‥‥機械魔獣の一種ですネ」
『そのと~~り!!不意打ちが効くとは思えなかった予想を見事に当ててくれたようだけど、直ぐに見破れたようだねぇ!!』
「その声は!!」
「メデゥイアル!!」
『だいせいか~い!!とは言え、ここにはいないですねぇ。これはここに出てくるであろうと前もって予想しておいて、仕掛けておいた録音でございますぅ。なので問いかけても返答もしないので、先に予想している答えを言っておきましょうう!!』
『この魔獣は、透明性が高いクラゲに目を付けて作り上げた、飛行巨大機械魔獣「スカイポイズンジェリー」!!全長およそ700メートル越えの巨体を持ち、毒液や電撃をたっぷり精製して生み出すことのできる自信作なのさぁ!!』
『まぁ、ちょっとばかり大きすぎるせいで制御が効きづらいが、今回はその制御も解き放ち、生きとし生けるものを狙う魔獣の本能を盛大に開放!!この辺り一帯にいる生きとし生けるものは君たちしかいないから、狙われてしまうのは確定ぃ!!自分はこの録音が出された時点で逃亡完了!!』
『逃げることは不可能、出来たとしても大勢の生きとし生けるものを狙う殺戮マシーンが解き放たれるだけのこと!!正直言って君たちをここで失う可能性があるのは非常に惜しいが、生き延びたらそれはそれで捕縛しやすくなっているだろうし、結果オーライ!!』
『…‥‥ぜぇ、ぜぇ…‥‥地味に声を出すのは疲れた、服を着ているとやっぱり窮屈だし裸で録音すればよかった。とにもかくにも、以上説明終わり!!後はもう、やっちゃってスカイポイズン、いや、長いので略称『スージェ』、思うがままに暴れてしまえぇぇぇぇぇ!!』
【ジェリッシャァァァァァァァァァァァ!!】
説明が終わると同時に、解き放たれたのかスージェの咆哮が一気に響きわたる。
姿が見えない相手なうえに、かなり巨大な体…‥‥とんでもない置き土産をメデゥイアルは残しやがった。
「逃げにくい上に、逃げても魔獣そのものとしてくる…‥‥どう考えてもやばい奴を置いていくなぁぁぁぁ!!」
その叫び声もまた、周囲へ響き渡るのであった‥‥‥‥
流石に足場の確保も考えていたのか、溶解液では地面までは溶けていなかったようで着地し、すぐさま駆け抜け始める。
「と言うか、外って訳でもなさそうだな。地面が岩場だし、周囲は暗いし、何処かの洞窟の中か?」
「大型の魔獣のような何かだったようですが、地面の中に埋まっているタイプのようですネ。全容が見えないのは惜しいですが、逃げておいたほうが良いでしょウ」
研究所の外に出てみれば、そこは明るい太陽の下と言う訳ではなく、何処かの地下洞窟のような空間が広がっていた。
駆け抜けながら後方の降りてきた場所を見れば、天井に穴が開いている程度であり、その他の部分は全て埋まっているらしい。
どのような奴の中にいたのかは気になるが、この場に長居する意味もない。
それよりも早く逃げたほうが良いと思い、ようやくまともに動けるようになった足を動かし、ゼナと一緒に洞窟内を突き進む。
外が分かりにくいが…‥‥それでも、風の流れは感じている。
角で感じ取り、その微細な風の流れに沿って進むことで、次第に明るい出口が見え始める。
「ようやくか、どこに出るのかはわからないが、もうちょっとで外だ!!」
「入り組んでいたようですが、それでも抜けられそうですネ」
外の明かりが徐々に近づき、自然と足取りが一層軽くなる。
けれども、ふと何か嫌な予感を俺は抱いた。
‥‥‥そもそも、こんな簡単に逃げられていいものなのだろうか?俺たちを捕縛してみせたあのメデゥイアルが、黙ってこのまま逃してくれるのだろうか。
いや、そんな事はない。この短時間の行為だけで短絡的過ぎるような奴ではない事だけは理解できる。
電撃でしびれさせ、猛毒を撃ち、ガードマシンを仕向け‥‥‥それだけで済むようなことならば良いのだが、どう考えてもそれ以外のものも疑いたくなる。
それに今は、もうちょっとで外に出られそうなところだが、ああいう性格の奴を考えるのであれば、こういう希望が見えた時こそ、一気に絶望に叩きこんでくる可能性がある。
「ゼナ、一旦モードチェンジをしてくれ」
「了解デス」
なんとなく不安を感じ取ってくれたのか、直ぐにゼナは答えてくれた。
出口までもうちょっという距離だが、ここは物は試しに何かを仕掛けて確認してみる必要がある。
そこでまずは、手ごろなそこいらの岩を持ち、スクリューで風を吹き起こしてふっ飛ばしてみれば‥‥‥
バリバリバリィッツ!!
「‥‥‥案の定、出口寸前でトラップが仕掛けてあったか」
「不可視で、ステルス性能が優れた電撃トラップがあったようですネ。感知式のようで、張られていることに気が付きにくい仕掛けでシタ」
飛んでいった岩が、強烈な電撃を浴びてあっと言う間にボロボロになった。
常人なら致死量の猛毒を撃ってきたことから考え、こちらもおそらく常人ならショック死をするレベルの電撃を起こせるトラップであり、出口のこんなギリギリで仕掛けてくるあたり、相当性格が悪い奴だと理解させられる。
とは言え、風の流れを読む限りここしか出口が無いし、転移する道具を持っていたメデゥイアルの事を考えるとこの程度のトラップは問題がないのだろう。
「さて、こうなるとどうやって出るべきか…‥‥出口が目の前に見えているのに、出ようとしたら電撃が待ち受けているって酷い話だな」
「生憎、絶縁体のような電撃に対抗する手段は無いデスネ。それに地面を掘って越えようとしても地下深くまでやっている可能性が想定できマス」
出れそうなのに、出られない状況。これは中々もどかしい。
電撃に耐えて出ればいいかもしれないが、あの電撃具合からして耐えられるとは思えない。すでに電撃で気絶したことがある以上、耐性が出来ているわけでもないのでどうしようもない。
「いっそトラップごと吹き飛ばして…‥‥出口丸ごとやったら、今度は生き埋めになりそうだ」
「難しい問題‥‥‥ン?ご主人様、その辺の岩をもう一度あれに当ててみてくだサイ」
「ん?わかった」
考え込んでいると、ふとゼナが何かに気が付いた。
何事かと思って先ほどと同じようにして見れば‥‥‥
バリバリバリバリバリバリィッツ!!
「さっきよりも、近づいている!!」
「接近してくる仕掛けが発動したようデス!!」
ゆっくりと、それでいて確実に俺たちの方に電撃のトラップが迫ってきていた。
どうやら一度作動した後も念入りにやっているのか、あるいはここでトラップを見破って立ち往生することも想定されていたのか、どちらにしても電撃がこちらに迫りくる。
浴びたくないので後退するしかないが、結局元の木阿弥、いや、それ以上に洞窟の奥の奥まで逃げたとしても最終的には電撃を浴びせられる未来が確定してしまう。
前門の虎後門の狼という言葉があるらしいが、前門は電撃で後門の先はふさがれている状態。
「となると、もうなりふり構っているわけにもいかなさそうだな…‥‥ゼナ、あの電撃を突破したいが、生身で受けたらどうなる?」
「計算上、確実にまた気絶しますネ。しかも、捕縛時に使用された電撃よりも高電圧なものと計測。私は魔剣なので電撃を浴びても命にかかわることはそうないですが、ご主人様はだいぶ回復されてきたとはいえ、今の状態で浴びるのは命の危機に関わる可能性が高いデス」
「それなら可能性を低める方法は?」
「‥‥‥出口とトラップを両方とも吹き飛ばすよりも、守りを固めて突破するのがいいと思われマス。ソードウイングで刃の翼を作り、それで全身を守って高速で突撃・貫通をすることを提案しマス」
刃の翼で身を守り、自らを鋼の弾丸のごとく突撃させて強行突破。
かなりの力づくの行為だが、そうでもしなければ無事に出られないだろう。
「とは言え、電撃を通してしまうのは意味がないので、変形後に…‥‥こちらの防護布を翼に巻くことを推奨いたしマス。防電とまではいかないですが、短時間であればある程度耐えられるでしょウ」
「ならそれでいこう。時間がないからな」
あの電撃が一瞬で済むとは思えないし、迫ってきている以上元の位置からここまで更に電撃を浴びせるエリアが広がっている可能性がある。
そのためすぐに行動に移し、俺たちは突撃する覚悟を決める。
「それじゃ、いちにのさんで行くぞ」
「いち」
「にノ」
「「さん!!」」
同時に合図を行い、瞬時に加速して自ら突撃する。
バリバリバリバリィィィ!!
「ぐぅぅぅぅ!!」
案の定、最初の電撃のあともまだまだ続いており、まるで雷雲の中を雷に当たりながら進んでいるかのような感覚。
ある程度はゼナを通しつつ防護布とやらで減少しているが、軽減とは言えないほど重い電撃が体を貫いていく。
けれども立ち止まるわけにもいかず、電撃の中を突き進み、出口にようやくたどり着いて飛び出した。
「このまま一気に、急速上昇!!」
電撃を突破できたところで、また何かを仕掛けられる前にメデゥイアルがそう簡単に到達できる場所から離れなければいけない。
そう思い、上に向かって瞬時に飛び上がり、あっと言う間に雲の上にまでたどり着いた。
「ぶはぁっつ!!死ぬかと思った!!」
「なんとか抜けたようですネ」
翼を広げ、ぶすぶすと焦げ臭い匂いを漂わせたが、どうやら無事に突破できたようだ。
電撃でだいぶ焼かれたが、それでもまだ何とか回復できる範疇のようで、治療を行えば問題ない。
「さてと、後はここがどこなのか…‥‥いや、本当にどこだ、ここ?」
とりあえず今は、さっさと学園に戻ろうと思ったが、今の場所がどこなのか分かっていない。
そこで眼下に広がる光景から推測しようとしたのだが‥‥‥そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。
地面は見える。けれども洞窟内のものとは違い、非常に濃い紫色と言うべきか、物凄く毒々し色合いをしているだろう。
そして周囲には廃墟のようなものも見えており、あちこちにはちょっとゴミのような‥‥‥違う、あれは砕けたりしている人の骨だろう。真っ白ではなく、こちらも禍々しい色合いに変色しており、少なくとも半径5キロ圏内は確実にこの状況のようだ。
「何だ、この状況」
「まるで、何か非常に凶悪な実験が行われた場所のような…‥‥っ!!ご主人様、上デス!!」
ドシュン!!
「うおっ!?」
ゼナの言葉を聞いて素早く回避すれば、すぐ横を何かがすごい勢いで落下し、地面に着弾して更に毒々し色合いを広げた。
何が起きたのかと思い、見上げてみるも何も見えない。
‥‥‥違う。見えないだけで、何かがいる!!
ぐじゅぐじゅぐじゅ‥‥‥どばぶっしゃぁぁぁぁぁあ!!
「って、なんか凄い毒々しい液体が噴き出てきたぞ!?」
「ひとまず、吹き飛ばしマス!!」
滝のように毒色の液体が流れ落ちてきたので、ゼナが自らモードを切り替えて、スクリューの勢いで吹き飛ばす。
そしてその液体がかかった事で、ようやく相手の一部が見えたのだが…‥‥その大きさは、どうやら捉えきれないようだ。
「なんか凄い大きな透明のものが浮いているな」
「そして完全に敵対を確認しまシタ。純粋な魔獣ではなく…‥‥機械魔獣の一種ですネ」
『そのと~~り!!不意打ちが効くとは思えなかった予想を見事に当ててくれたようだけど、直ぐに見破れたようだねぇ!!』
「その声は!!」
「メデゥイアル!!」
『だいせいか~い!!とは言え、ここにはいないですねぇ。これはここに出てくるであろうと前もって予想しておいて、仕掛けておいた録音でございますぅ。なので問いかけても返答もしないので、先に予想している答えを言っておきましょうう!!』
『この魔獣は、透明性が高いクラゲに目を付けて作り上げた、飛行巨大機械魔獣「スカイポイズンジェリー」!!全長およそ700メートル越えの巨体を持ち、毒液や電撃をたっぷり精製して生み出すことのできる自信作なのさぁ!!』
『まぁ、ちょっとばかり大きすぎるせいで制御が効きづらいが、今回はその制御も解き放ち、生きとし生けるものを狙う魔獣の本能を盛大に開放!!この辺り一帯にいる生きとし生けるものは君たちしかいないから、狙われてしまうのは確定ぃ!!自分はこの録音が出された時点で逃亡完了!!』
『逃げることは不可能、出来たとしても大勢の生きとし生けるものを狙う殺戮マシーンが解き放たれるだけのこと!!正直言って君たちをここで失う可能性があるのは非常に惜しいが、生き延びたらそれはそれで捕縛しやすくなっているだろうし、結果オーライ!!』
『…‥‥ぜぇ、ぜぇ…‥‥地味に声を出すのは疲れた、服を着ているとやっぱり窮屈だし裸で録音すればよかった。とにもかくにも、以上説明終わり!!後はもう、やっちゃってスカイポイズン、いや、長いので略称『スージェ』、思うがままに暴れてしまえぇぇぇぇぇ!!』
【ジェリッシャァァァァァァァァァァァ!!】
説明が終わると同時に、解き放たれたのかスージェの咆哮が一気に響きわたる。
姿が見えない相手なうえに、かなり巨大な体…‥‥とんでもない置き土産をメデゥイアルは残しやがった。
「逃げにくい上に、逃げても魔獣そのものとしてくる…‥‥どう考えてもやばい奴を置いていくなぁぁぁぁ!!」
その叫び声もまた、周囲へ響き渡るのであった‥‥‥‥
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