71 / 204
4章 そして悪意の嵐は、吹き始める
4-11 どっちが悪なのか、分からない時も
しおりを挟む
【オゲェェェェェ!?無理無理無理無理無理ィィィ!!】
【諦メルナ78号!!奴ガ我々ヲ狩レル魔剣ナラバ所持者ノ生ヲ消、】
ザシュッ!!
【67号ォォォ!?】
【ナンテコッタイ!アイツハ化物カァ!?】
「いえ、私はただのメイド魔剣なだけデス」
【【【タダノメイド魔剣ガ普通イルカァァァァァ!!ソモソモメイドデ魔剣ッテナンダヨ!!】】】
‥‥‥その事に関しては、あのガードマシンたちの叫びに同意しよう。
目の前で起きている殺戮劇を見ながら、俺は心の中でそう思った。
無理もないだろう。俺を殺す気満々だった相手に対して、激怒しているゼナがガードマシンたちを狩っているのだから。
機械魔獣とは言え魔獣は魔獣。魔剣の彼女ならば確実に絶命させられるようだが、そうだとしても素手で貫かれたり切り飛ばされる目に遭いたくはない。あ、今度はどこからともなく取り出された箒で一機がふっ飛ばされたな。
「ふふふふ、ご主人様を散々傷つけていた方々ですので、本来は最低でも消滅なのですが…‥‥生憎、純正の魔獣ではないようですので、少々恐怖を与えることぐらいしかできないのは、残念ですがネ」
【ドコガ少々!?】
【基準ヲシッカリ見直シテコイヨ!?】
「黙ってくだサイ」
ズッバァァン!!
【34号、187号オォォォォォ!?】
【ヒッデェ横暴サダ!!】
ガシャンガシャっと機械の体のどこからか声を出しつつ、機械魔獣ガードマシンたちは狩られていく。
笑っているような彼女だが、その声のどこかにぞっとするような怒りを抱えているようで、よっぽど鬱憤が貯まっていたんだろうなと思える。
そして数分もしないうちに、捕縛・殺害のために集まってきていたガードマシンたちはいつの間にか来なくなり、後に残るのは機械の残骸のみの状態になっていた。
「‥‥‥魔獣は普通、命を失ったら全部消えるが、機械部分だけが綺麗に残ったな」
「そのようデス。機械と混ぜ合わせた魔獣のようでしたが、それでも分かれている分はあったようデスネ」
というか、機械と魔獣を混ぜた存在がこの研究所とやらにこれだけいるって‥‥‥メデゥイアルとか名乗っていた人物、どれだけ作っていたのだろうか。
「っと、まだ足元がふらつくな‥‥‥」
「ご主人様、まだ解毒と肉埋めをしただけですので、無理してはいけまセン」
ふらっとバランスを崩しそうになると、直ぐにゼナが駆け寄り、そっと体を支えてくれる。
先ほどまで胸元に穴が開いていたうえに猛毒に侵されていたが、戦闘の最中でゼナが治療してくれたので、一応体力の回復を待てば満足に動けるはずだろう。
‥‥‥あの大量のガードマシンを狩る中で、分身して治療するほど余裕があったもんな。そう考えると、ガードマシンたちに大量のゼナが襲い掛かるような悪夢が無かったことは、彼等にとって幸せだったのかもしれない。さらっと以前よりも増えていた気がしなくもないが、そこは技術が向上したのだろう。
でも解毒剤をどこからともなく薬箱を出して調合していたのはまだ良いけど、謎肉を穴に直接塗りつけないでほしかった。ふさがったと言えばふさがったけど、うねうねびくびくと蠢く謎の肉は恐怖しかなかったぞ。
とにもかくにも、追手のガードマシンたちも退けたところで、今はこの状況をどうすべきかが先になる。
魔獣の大本だとかこれだけのマシンを作るための魔獣をどこから得たのか、制御するにはどうしていたのかなどの謎も多く残されているが、こんなところに長居していたら状況が好転することはない。
「ゼナ、脱出ルートとかは探れるか?」
「今のところ無理ですネ。窓もないですし、狩りつくしていく中でガードマシンたちのデータを抜き取ってみたのですが、この研究所の全体像がつかめまセン。どうもあちこち、自在に動かしているようでして、廊下や部屋その物がかなり動きまくっているようですネ」
ゼナの分析によれば、廊下を辿って外に向かおうという手段などはまず使えないようだ。
この研究所その物が何かの生き物の中らしく、そこそこの速度で内装が変化しているらしい。
ならばその生き物の‥‥‥魔獣の一種らしいがその腹を食い破れば外に出られそうなものだが、如何せん肉厚すぎてまともに攻撃しようとも少々厳しいのだとか。
「とは言え、以前の超大型魔獣の時の経験がありますからネ。こんなこともあろうかと、用意しておいたのデス」
そう言いながら胸元から取り出したのは小さな小瓶。
ラベルには物凄く禍々しいドクロマークがデザインされており、どう考えてもかなりヤヴァイ危険物であると理解させられる。
「‥‥‥何それ」
「仕入れておいた、『超強力X式溶解液』デス。あまりにも強力すぎるので、この特殊な瓶の中に入れなければいけず‥‥‥ちょっと見たほうが早いデス」
キュポンッと蓋を開け、たらりとその液体を床に垂らせば‥‥‥
チュ、ジュボォォォォォォォゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!
‥‥‥ものすごい勢いで、液体がかかった個所が溶け、一気に下まで貫通したようである。
そのまま円状にぶちまければ綺麗にどんどん液が床を溶かし、大きな穴を作り上げたのであった。
「これで空っぽですネ。貴重品なので少なかったのですが、それでも十分だったようデス。一応、再生される可能性も考慮して、しっかり溶解後に固定する作用の薬の混ざっているので、ふさがる心配もないのデス」
「一生残る傷ってか…‥‥」
うん、まぁ、こういう方法で無理やり開けるのは手段として間違ってないかもしれない。
でもこれ、間違っても人にかけるような真似だけはしないでほしいと、心底思えてしまうのであった。
「これで後は、降りるだけデス」
ズゥゥン!!グラグラグラグラ!!
「っと、なんか凄い揺れ始めたけど!?」
このまま脱出できるかと思っていると、急に周囲が揺れ動き始めた。
かなり大きく揺れ動いているというか、何かこう悶えて‥‥‥いや、原因は明白すぎた。
「どう考えても、穴をあけたせいで痛がっているよなこれ!?」
「おかしいデスネ?溶かす対象が何かの生物という事も考えて、気が付かれにくいように痛み止めも配合されているはずですガ…‥‥あ」
空っぽになった瓶の成分表示を見直し、ゼナが何かに気が付いたように声を漏らした。
「あ、って何だ?」
「コレ、痛み止め配合タイプじゃないやつでシタ。攻撃用に感度倍増の薬品と間違えていたようデス」
「原因がひでぇぇぇぇぇ!!」
つまり、うっかり間違えたことによって、通常ではありえないほどの痛みがこの研究所を構成する生物に与えられているようで、おそらくすさまじく悶えているのだと考えられる。
痛み止めが配合されているならまだしも、倍増させるってどんな薬だよ。と言うか、攻撃用っているっている時点で誰かに使用される可能性がかなり高かったのか。
考えている間にも揺れはどんどん激しくなり、まともに立つことすらできなくなる。
「このままではまずいデスネ、さっさと脱出しましょウ」
「この状態で、まともに降りられるか?」
「私がご主人様を抱えマス」
いうが早いが、彼女はすぐに動き俺を背中に背負った。
落ちないように縛られつつ、ひょいっと穴の中に飛び込んでいく。
「良し、きちんと硬化剤の方は配合されてますネ。揺れに合わせて斜めになったりしてますので、滑って降りていきましょウ」
「滑るにしても速いんだけど!?」
ずざざざあぁぁぁっといきおいよく、俺たちは穴から外へ向けて、滑走し始めるのであった…‥‥
「しかし、ちょっと滑りにくいですし、ここはソードレッグモードを使用しましょウ。ご主人様に装備される方が一番良いですが、私の身体は私で制御できますので、問題ないデス」
「患部を更に痛めつける気かよ!?」
あのモード、氷上を滑ったりするのには非常に向いているが、足部分が刃である。
そんなモードでこの肉壁を滑っていく…‥‥いや、削り取っていくか切り刻んでいくか、ひどい傷になる未来しか見えない。
あのメデゥイアルの研究所だと考えると亡き者にしたほうが良いような気もするが、残酷すぎやしないかなコレ‥‥‥?
ガリガリガリィッっと軽快に音を立て、痛みに痛みを食わえている者たちがいる丁度その頃、メデゥイアルの方は揺れ動きの対処に追われていた。
「おおっとっと!?研究所が痛がっているけど、彼ら何をしたんだあ!?頑丈さが売りなのに、かなり悲痛な声が聞こえて来るぞ!!」
声は内部に反響しないが、揺れ動き方から嫌でも伝わってくるすさまじい傷みの訴え。
ガードマシンでどうにかできると思っていた部分もあったが、どうやらそう簡単にはいかなかったようである。
「うーん、毒で弱らせていたとは言え、考えが甘かったねぇ。まぁ、想定内と言えば想定内で文句もないかなぁ?」
そう、弱っている状態であっても逃げられる可能性に関しては考えてはいた。
魔剣を封じ込め、致死量を超えるほどの毒を注ぎ込み、自信のあった魔獣を組み込んだ機械魔獣を仕向けている状況だとしても、それらを乗り越えられる可能性は0ではない。
何かと様々な状況を考え、想定しておくのが良いと普段からメデゥイアルは考えているのだ。
‥‥‥それならば、フィーが目を覚ます前に色々やれることはやっておけばいいというツッコミが入りそうなものだが、そこは性分ゆえに仕方がない。
だからこそ、逃げられないように様々な対策を取っていたが…‥‥それでも、逃げてしまうようなことになれば、そこから先をどう対応するべきか考えればいいだけの話である。
「感覚からすると、研究所の第3エリアから直線で下にか‥‥‥‥痛みの具合からして、肉を削るか溶かすかの手段が使用されたなら、軌道はこうなるか」
カリカリと手元にあったメモに逃走経路を予想して描きつつ、計画を練っていく。
「うん、ならばここはこうして出るだろうしぃ、ちょうどいいかもねぇ。流石に研究所内で暴れられると危険だから、外でやると考えれば都合が良いねぇ!」
大体の経路の予想が付き、直ぐにメデゥイアルは動き出す。
「さてさて、そうなると誘導して彼らの前にあの子を出さないとねぇ。魔獣の研究の中で、大本から引きずり出す方法を色々と探る中で生まれた、現段階での最強最悪な子!さぁ、彼らを追って向かってちょーだいぃ!!」
ぽちぃっとボタンを押せば、ガシャンと何処かで何かが作動し、蠢く音が聞こえだす。
逃げることも考えて、用意は徹底的にしているようなのであった…‥‥
「しかし、この脱出をするとなると、ガードマシンたちが全滅したかもねぇ。んー、また作ればいい話しだけど、面倒だねぇ…‥‥」
【諦メルナ78号!!奴ガ我々ヲ狩レル魔剣ナラバ所持者ノ生ヲ消、】
ザシュッ!!
【67号ォォォ!?】
【ナンテコッタイ!アイツハ化物カァ!?】
「いえ、私はただのメイド魔剣なだけデス」
【【【タダノメイド魔剣ガ普通イルカァァァァァ!!ソモソモメイドデ魔剣ッテナンダヨ!!】】】
‥‥‥その事に関しては、あのガードマシンたちの叫びに同意しよう。
目の前で起きている殺戮劇を見ながら、俺は心の中でそう思った。
無理もないだろう。俺を殺す気満々だった相手に対して、激怒しているゼナがガードマシンたちを狩っているのだから。
機械魔獣とは言え魔獣は魔獣。魔剣の彼女ならば確実に絶命させられるようだが、そうだとしても素手で貫かれたり切り飛ばされる目に遭いたくはない。あ、今度はどこからともなく取り出された箒で一機がふっ飛ばされたな。
「ふふふふ、ご主人様を散々傷つけていた方々ですので、本来は最低でも消滅なのですが…‥‥生憎、純正の魔獣ではないようですので、少々恐怖を与えることぐらいしかできないのは、残念ですがネ」
【ドコガ少々!?】
【基準ヲシッカリ見直シテコイヨ!?】
「黙ってくだサイ」
ズッバァァン!!
【34号、187号オォォォォォ!?】
【ヒッデェ横暴サダ!!】
ガシャンガシャっと機械の体のどこからか声を出しつつ、機械魔獣ガードマシンたちは狩られていく。
笑っているような彼女だが、その声のどこかにぞっとするような怒りを抱えているようで、よっぽど鬱憤が貯まっていたんだろうなと思える。
そして数分もしないうちに、捕縛・殺害のために集まってきていたガードマシンたちはいつの間にか来なくなり、後に残るのは機械の残骸のみの状態になっていた。
「‥‥‥魔獣は普通、命を失ったら全部消えるが、機械部分だけが綺麗に残ったな」
「そのようデス。機械と混ぜ合わせた魔獣のようでしたが、それでも分かれている分はあったようデスネ」
というか、機械と魔獣を混ぜた存在がこの研究所とやらにこれだけいるって‥‥‥メデゥイアルとか名乗っていた人物、どれだけ作っていたのだろうか。
「っと、まだ足元がふらつくな‥‥‥」
「ご主人様、まだ解毒と肉埋めをしただけですので、無理してはいけまセン」
ふらっとバランスを崩しそうになると、直ぐにゼナが駆け寄り、そっと体を支えてくれる。
先ほどまで胸元に穴が開いていたうえに猛毒に侵されていたが、戦闘の最中でゼナが治療してくれたので、一応体力の回復を待てば満足に動けるはずだろう。
‥‥‥あの大量のガードマシンを狩る中で、分身して治療するほど余裕があったもんな。そう考えると、ガードマシンたちに大量のゼナが襲い掛かるような悪夢が無かったことは、彼等にとって幸せだったのかもしれない。さらっと以前よりも増えていた気がしなくもないが、そこは技術が向上したのだろう。
でも解毒剤をどこからともなく薬箱を出して調合していたのはまだ良いけど、謎肉を穴に直接塗りつけないでほしかった。ふさがったと言えばふさがったけど、うねうねびくびくと蠢く謎の肉は恐怖しかなかったぞ。
とにもかくにも、追手のガードマシンたちも退けたところで、今はこの状況をどうすべきかが先になる。
魔獣の大本だとかこれだけのマシンを作るための魔獣をどこから得たのか、制御するにはどうしていたのかなどの謎も多く残されているが、こんなところに長居していたら状況が好転することはない。
「ゼナ、脱出ルートとかは探れるか?」
「今のところ無理ですネ。窓もないですし、狩りつくしていく中でガードマシンたちのデータを抜き取ってみたのですが、この研究所の全体像がつかめまセン。どうもあちこち、自在に動かしているようでして、廊下や部屋その物がかなり動きまくっているようですネ」
ゼナの分析によれば、廊下を辿って外に向かおうという手段などはまず使えないようだ。
この研究所その物が何かの生き物の中らしく、そこそこの速度で内装が変化しているらしい。
ならばその生き物の‥‥‥魔獣の一種らしいがその腹を食い破れば外に出られそうなものだが、如何せん肉厚すぎてまともに攻撃しようとも少々厳しいのだとか。
「とは言え、以前の超大型魔獣の時の経験がありますからネ。こんなこともあろうかと、用意しておいたのデス」
そう言いながら胸元から取り出したのは小さな小瓶。
ラベルには物凄く禍々しいドクロマークがデザインされており、どう考えてもかなりヤヴァイ危険物であると理解させられる。
「‥‥‥何それ」
「仕入れておいた、『超強力X式溶解液』デス。あまりにも強力すぎるので、この特殊な瓶の中に入れなければいけず‥‥‥ちょっと見たほうが早いデス」
キュポンッと蓋を開け、たらりとその液体を床に垂らせば‥‥‥
チュ、ジュボォォォォォォォゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!
‥‥‥ものすごい勢いで、液体がかかった個所が溶け、一気に下まで貫通したようである。
そのまま円状にぶちまければ綺麗にどんどん液が床を溶かし、大きな穴を作り上げたのであった。
「これで空っぽですネ。貴重品なので少なかったのですが、それでも十分だったようデス。一応、再生される可能性も考慮して、しっかり溶解後に固定する作用の薬の混ざっているので、ふさがる心配もないのデス」
「一生残る傷ってか…‥‥」
うん、まぁ、こういう方法で無理やり開けるのは手段として間違ってないかもしれない。
でもこれ、間違っても人にかけるような真似だけはしないでほしいと、心底思えてしまうのであった。
「これで後は、降りるだけデス」
ズゥゥン!!グラグラグラグラ!!
「っと、なんか凄い揺れ始めたけど!?」
このまま脱出できるかと思っていると、急に周囲が揺れ動き始めた。
かなり大きく揺れ動いているというか、何かこう悶えて‥‥‥いや、原因は明白すぎた。
「どう考えても、穴をあけたせいで痛がっているよなこれ!?」
「おかしいデスネ?溶かす対象が何かの生物という事も考えて、気が付かれにくいように痛み止めも配合されているはずですガ…‥‥あ」
空っぽになった瓶の成分表示を見直し、ゼナが何かに気が付いたように声を漏らした。
「あ、って何だ?」
「コレ、痛み止め配合タイプじゃないやつでシタ。攻撃用に感度倍増の薬品と間違えていたようデス」
「原因がひでぇぇぇぇぇ!!」
つまり、うっかり間違えたことによって、通常ではありえないほどの痛みがこの研究所を構成する生物に与えられているようで、おそらくすさまじく悶えているのだと考えられる。
痛み止めが配合されているならまだしも、倍増させるってどんな薬だよ。と言うか、攻撃用っているっている時点で誰かに使用される可能性がかなり高かったのか。
考えている間にも揺れはどんどん激しくなり、まともに立つことすらできなくなる。
「このままではまずいデスネ、さっさと脱出しましょウ」
「この状態で、まともに降りられるか?」
「私がご主人様を抱えマス」
いうが早いが、彼女はすぐに動き俺を背中に背負った。
落ちないように縛られつつ、ひょいっと穴の中に飛び込んでいく。
「良し、きちんと硬化剤の方は配合されてますネ。揺れに合わせて斜めになったりしてますので、滑って降りていきましょウ」
「滑るにしても速いんだけど!?」
ずざざざあぁぁぁっといきおいよく、俺たちは穴から外へ向けて、滑走し始めるのであった…‥‥
「しかし、ちょっと滑りにくいですし、ここはソードレッグモードを使用しましょウ。ご主人様に装備される方が一番良いですが、私の身体は私で制御できますので、問題ないデス」
「患部を更に痛めつける気かよ!?」
あのモード、氷上を滑ったりするのには非常に向いているが、足部分が刃である。
そんなモードでこの肉壁を滑っていく…‥‥いや、削り取っていくか切り刻んでいくか、ひどい傷になる未来しか見えない。
あのメデゥイアルの研究所だと考えると亡き者にしたほうが良いような気もするが、残酷すぎやしないかなコレ‥‥‥?
ガリガリガリィッっと軽快に音を立て、痛みに痛みを食わえている者たちがいる丁度その頃、メデゥイアルの方は揺れ動きの対処に追われていた。
「おおっとっと!?研究所が痛がっているけど、彼ら何をしたんだあ!?頑丈さが売りなのに、かなり悲痛な声が聞こえて来るぞ!!」
声は内部に反響しないが、揺れ動き方から嫌でも伝わってくるすさまじい傷みの訴え。
ガードマシンでどうにかできると思っていた部分もあったが、どうやらそう簡単にはいかなかったようである。
「うーん、毒で弱らせていたとは言え、考えが甘かったねぇ。まぁ、想定内と言えば想定内で文句もないかなぁ?」
そう、弱っている状態であっても逃げられる可能性に関しては考えてはいた。
魔剣を封じ込め、致死量を超えるほどの毒を注ぎ込み、自信のあった魔獣を組み込んだ機械魔獣を仕向けている状況だとしても、それらを乗り越えられる可能性は0ではない。
何かと様々な状況を考え、想定しておくのが良いと普段からメデゥイアルは考えているのだ。
‥‥‥それならば、フィーが目を覚ます前に色々やれることはやっておけばいいというツッコミが入りそうなものだが、そこは性分ゆえに仕方がない。
だからこそ、逃げられないように様々な対策を取っていたが…‥‥それでも、逃げてしまうようなことになれば、そこから先をどう対応するべきか考えればいいだけの話である。
「感覚からすると、研究所の第3エリアから直線で下にか‥‥‥‥痛みの具合からして、肉を削るか溶かすかの手段が使用されたなら、軌道はこうなるか」
カリカリと手元にあったメモに逃走経路を予想して描きつつ、計画を練っていく。
「うん、ならばここはこうして出るだろうしぃ、ちょうどいいかもねぇ。流石に研究所内で暴れられると危険だから、外でやると考えれば都合が良いねぇ!」
大体の経路の予想が付き、直ぐにメデゥイアルは動き出す。
「さてさて、そうなると誘導して彼らの前にあの子を出さないとねぇ。魔獣の研究の中で、大本から引きずり出す方法を色々と探る中で生まれた、現段階での最強最悪な子!さぁ、彼らを追って向かってちょーだいぃ!!」
ぽちぃっとボタンを押せば、ガシャンと何処かで何かが作動し、蠢く音が聞こえだす。
逃げることも考えて、用意は徹底的にしているようなのであった…‥‥
「しかし、この脱出をするとなると、ガードマシンたちが全滅したかもねぇ。んー、また作ればいい話しだけど、面倒だねぇ…‥‥」
0
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる