私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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5章 復讐は我にあり

5-43 血の繋がりを、どことなく感じさせる

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‥‥‥本来、貴族の家に行くことに関してはそれなりの準備が必要となる。

 事前に手紙を送って予定を確認し、確定すればその日に向けての屋敷の掃除や出すお茶菓子、その場で話す情報のネタ探しやその他様々なものが必要になるのでそこそこ時間がかかるのだ。

 それは相手が誰であれ、大抵の場合はそうなるのだが‥‥‥一応、例外というのも存在している。


「…‥‥まだ公表はされていないですが、孫という立場でも大丈夫でしょうか」
「おお、大丈夫だ。相手が他人ではなく、血のつながった縁者ならばその過程を飛ばすことが出来るからのぅ」

 ほっほっほっと愉快そうに笑いながらそう答えてくれるお爺ちゃん‥‥‥もとい、アルガン公爵家当主のガンドール。

「ええ、まったく問題ないですわよ。娘の残した可愛い忘れ形見の孫ならばいつでも歓迎するわ」

 そしてその横でにこやかに微笑んでいるのは、青薔薇姫の母親こと、俺の祖母の位置にあたるミセスリアという女性。


 そう、俺たちは今、本日は休日という事を利用してアルガン公爵家の領内に来たのである。

 なお、こういう時に高位な貴族との相手に慣れて良そうなルルシアに関しては、何やら王城の方に用事があるので残念ながら一緒に来ることは叶わなかった。

 先日の学園内怪植物発生事件を経て、婚約者候補から婚約者へと立場が変わったので、公式に発表されていないとはいえ俺の血縁者にあたる公爵家への挨拶もしたかったそうだが、それはまた別の機会になるだろう。



 とにもかくにも、なぜ今さらというか、公爵家へ訪れたかに関しては理由があった。

「それで、えっと‥‥‥お爺ちゃん、青薔薇姫の部屋に呪具って保管してあるんだよね?」
「うむ、間違いない。あの子は持って生まれた力が色々と強すぎてなぁ、弱体化するいわくつきのものを集めることがあったのだよ」
「それでも中々、うまくいかなかったからそのまま置いてあるのがあるのよねぇ」


‥‥‥成長したことによって力加減が難しくなったので、あえて弱体化できる方法を捜していたが、どうやら母である青薔薇姫の実家に弱体化が可能な呪具が保管されているらしい。

 その事を知り、手紙で確認と訪問の相談をしたところ、すぐに快い返事が貰えたので飛んで来たのだが、改めてこうやって言われると本当に青薔薇姫もとい母は何をやっていたんだとツッコミをいれたくなった。


「公爵家内に、呪具を蓄えてよかったのだろうか‥‥‥」
「本来は駄目なのだがな。公爵家は帝国の中で力のある貴族家だが、怪しい動きは下手をすると国家転覆の企みの恐れありとみられかねない」
「でも、あの子がやっていたことだから‥‥‥むしろ弱体化してくれた方が良いという事で黙認された上にせっせと届けてくれるところが多くあったのよ」

 青薔薇姫は相当なものだったようで、弱体化を願う人が多かったらしい。

 ゆえに本来であれば怪しまれるような動きでもあったが、事情が事情だけに積極的に貢いでくれる人も出ていたのだとか。

 貢げるほど持ってきている時点でアウトな気がしなくもないのだが、もってきたものを一通り試しても意味がなかったようなので、むしろ怪しい動きをしていた家の方がどんどん減ったらしい。



 何にしても効果が今ひとつなかった話が多いので不安もあるが、青薔薇姫が異常すぎただけで、その子供である俺はまだ弱体化の余地があると思いたい。

 ここに来るまでにドラゴンの姿で飛んできたが、祖父母曰く「纏っている雰囲気は圧倒的だが、まだまだ青薔薇姫の全盛期に比べると届いていない」と言ったからね。むしろ母親がどれだけのものだったのか想像するのが怖すぎるだろう。

 なお、ゼナに関してはいつもならばそばにいるのだが‥‥‥今回の公爵家訪問に伴い、使用人室の方へ直ぐに向かって別行動となっていたりする。

 どうも彼女の姉に当たる人たちがいるようで、せっかくなので姉妹水入らずの状態で話せればいいんじゃないかと思い、別行動にしたのだ。

 まぁ、祖父母の家にいつの間にいたんだとツッコミをいれたいが、やると余計な藪蛇となりそうなのもあるからね‥‥‥面倒事が大量に出てきそうだから、先に逃げておいた方が得策なのだ。

 そう思いつつ、祖父母に案内されて、屋敷内の呪具がある部屋へ向かうのであった…‥‥







「…‥‥さて、ここに来たのは良いのですガ、流石に予想外の人数なのですガ」
「そもそも、ここに潜入したのは先日からなのですガ」
「思った以上に、ちょっと青薔薇姫とやらのやらかしがあり過ぎたのデス」

…‥‥フィーが祖父母と過ごしている丁度その頃、公爵家の屋敷の使用人室では、ゼナが姉妹たちと話していた。

 メイド魔剣である彼女ではあるが、姉妹と言える人たちも存在しており、公爵家に2~3人ほどが入り込んでいるという情報は事前に持っていた。

 だがしかし、連絡が少し遅れていたのか、既に古い情報だったらしい。

「ほぼ9割を占めているとは思いませんでシタ」
「まぁ、常人が務めにくいというカ」
「むしろ最後まで残る事こそが使命だとやる気を出す方もいましたからネ」
「どれだけのことをやらかしたのか考えたくないのですガ、私達が変わることでどうにか引退してもらっていたりするのデス」

 ここに努めて数十年の庭師を除き、公爵家の使用人たちがほぼ入れ替わっていたようである。

 そこまで大量に来るとは予想していなかったが、どうやら想像以上に青薔薇姫が亡きあとも残されていたものがあったようで、その対処のために派遣されてきたようだ。

「なんというか、妹の主の母がどういう人だったのか、生きている時に出会いたかったかもしれませんネ」
「ですが、下手に敵対するようなことになってなくて良かったデス」

‥‥‥ゼナの姉妹たちでさえも、青薔薇姫に対してそう口にするほど。

 一体何がどれだけあったのか、嫌な予感を彼女は抱かされるのであった…‥‥
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