私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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5章 復讐は我にあり

5-51 どさくさに紛れて、面白がって

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「はぁぁぁぁ!!」
【ギシャゲェェェェェ!?】

 ボッガァァァン!!と盛大な爆発音を立てつつ、魔獣が息絶えて消えていく。

「‥‥‥ふぅ、占星国が魔剣士を戦場に狩りだしたと聞いていたが、辺境のこの地でも増えてくるとはな」
「王女様、大丈夫でしょうか」
「大丈夫だ。それと今の私は王女ではないただの魔剣士だから、いい加減言わなくてもいいぞ」
「すみません、まだまだ慣れないものですので」

‥‥‥ドルマリア王国のとある辺境の地。

 ここでは今、元第3王女のペルシャが他の魔剣士たちと共に魔獣討伐に励んでいた。

 辺境の地とは言え、聞こえてくる他国の情報で戦争が起きたことを知っており、その最中で魔剣士が戦場に出されたことも耳にしている。

 そしてその代償というかのように魔獣が大量発生し始めたようだが、この辺境の地で彼女は魔剣ボンバードを使ってドッカンドッカン爆破を思う存分やりまくっていた。

 爆発という広範囲の攻撃に向いている魔剣だからこそ、この大量に魔獣が出現する状況においては、数の有利を覆しやすく、盛大に逆襲を仕掛けやすい。

 その為、彼女はこの地で活躍していたのだが、それでも魔獣の数が多かった。


「倒しても切りがなさそうだが、そこで諦めたら魔獣の被害が出るからな。そっちの方はどうだ?」
「こちらも数の増加を確認。ですが、まだ対応可能な範囲です」
「そうか。念のため交代しながら休憩をこまめに取れ。張り切るのも良いがいざという時に疲れ果ててはいけないからな。‥‥‥まぁ、そんなことを言う私が余り休憩を取らないのも示しがつかないがな」
「それもそうですね。少しの間休憩されては?ここしばらく、働きづめのようでしたしね」
「そうさせてもらおう」

 他の魔剣士たちに任せ、一旦彼女はこの地に置いての魔剣士たちの拠点へ帰還した。

 ずっと魔獣討伐をし続けていたが、それでも疲労は蓄積し続けるもの。

 ゆえに、この休憩も大事なものだとしっかり理解して、ゆっくり休む予定であった。



「‥‥‥それにしても、やはり数が多いな。魔剣士が戦場へ出るだけで、こうも増えるとは、早めに終えてもらってどうにか魔獣討伐の方へ各国協力して意識を向けて欲しいものだ」

 戦争をやるだけの気力があるのならば、魔獣の討伐をして欲しい。

 いっそのこと、出てくる魔獣をどれだけ討伐できるのかなどで競った方が、争って人の命を奪うよりもよっぽど有意義ではないかと思いつつも、今の立場でやれることはない。

 今の元第3王女は、ただの魔剣士に過ぎない。だからこそ、束縛されずに魔剣を振るい、生きとし生けるものたちの安寧を守るために戦う事が出来るのだ。

「ふぅ、だが、もっとどうにかしないといけないな‥‥‥」

 拠点内の個人用の風呂場にて、湯を沸かしてゆっくりと浸かっていた…‥‥その時だった。



ドガァァァァァァン!!
「っ!!何事だ!!」

 突然爆発音が鳴り響き、拠点内が揺れ動く。

 素早く肌身離さず持っていた魔剣を手にしつつ、バスタオルでさっと固定して風呂場を飛び出す。

 そんな姿を見たら誰かがさっさと服を着てくださいと叫んだかもしれないが…‥‥それは、この場にいる者たちには言えなくなっていた。

「なっ…‥‥何だこの状況は!!」

 相当ひどい爆発が起きたのか、あちこちが破壊され、辛うじて残っている一部の壁などもひび割れて砕け散っている。

 そして倒れているのはここで同じく休憩をしていた同僚の魔剣士たちであり、そんな彼らの側にはどういう訳か全身を一つのシーツで覆ったような、恐ろしく手抜きのお化けの仮装をしているかのような集団が立っていた。


「何者だ!!」
「…‥‥それを答える必要はない」
「我々はただ、貴女を迎えに来ただけですよ。ペルシャ・アイアス・グラン・ドルマリア様、いえ、今は王籍を抜けているのでこのフルネームは正しくないでしょうが‥‥‥まぁ、そんな些細なことはどうでもいい」
「さて、大人しく捕まってもらいましょう」

「ふざけるな!!その格好のことに対しても言えるが、仲間たちを傷つけるとはその罪万死に値する!!ココでまとめて吹き飛べ!!」

 下手な爆発を起こせば倒れている他の魔剣士たちも巻き添えになりかねないが、爆発させる場所のコントロールに彼女は自信を持っており、今ここにいる不審者たちだけを爆破することは可能である。

 そう思いながら魔剣ボンバードを握り締め、爆発を引き起こそうとしたその瞬間。


ドスッ
「‥‥‥‥がっ!?」
「はい、これで動けなくなります。今はごゆるりと眠ってください」

 いつのまにか背後を取られていたようで、ナイフで刺されたらしい。

 しかも、何か変な薬でも混ぜていたようで、体の力が抜け始め、意識が一気に混濁して落ちていく。

「安心してください、王女様。貴女を辱める様なことまではいたしませんので」
「そうです。別に人質に取ってドルマリア王国を良いように利用することも興味がありません」
「我々の目的としては、あなたを餌におびきよせ‥‥‥」

 じわりじわりと近づいてくるのが見えるが、声がだんだん聞こえなくなる。

 視界もぼやけ、意識が崖に辛うじてしがみついている状態だ。

(このままでは…‥‥しかし、体が思うように動かん…‥‥)

 捕まったら非常に不味い事態になるのが目に見えている状況。

 どうやらこいつらは自身を餌に何かを狙うようだが、どう考えてもろくでもない事しかしでかさないのが目に見えている。

 ならばここからすぐにでも逃げなければいけなさそうだが、体が言う事をきかない。

‥‥‥でも、手が無いわけではない。

「ぐっ‥‥‥‥魔剣ボンバード、最大火力、方向設定!!」
「まて!!王女はまだ動けるようだ!!すぐに魔剣を奪、」
「『ロケットボンバァァァァァァァァァァァァァァァ!!』」

 最後の力を振り絞って、自身の魔剣を思いっきり地面に突き刺し、爆発を引き起こす。

 周囲の倒れた他の魔剣士に被害が及ばないように、自分の方にだけ集中させた指向性の持った大爆発。


ドッガァァァァァアアアアアアアアアアン!!

 強烈な爆発で体が引きちぎれそうなほど痛みを感じるはずだが、幸い彼らが仕込んだ薬のおかげか、痛みを感じることはない。

 そのまま爆発と反動の両方の相乗効果によって一気に空に飛びだし、天高く星になる勢いで何処かへふっとばされていく。


(いざという時の、強制的な移動方法だが…‥‥どうやらうまくいったようだな…‥‥)


 本来ならば、どうしても間に合わなさそうな場所に駆け付けるために、無理やり使う移動手段。

 だが今回は脱出用に使用し、謎の奴らに今すぐ捕らわれる事を避けられたようだ。

 けれども、もはや意識を手放すしかなく、大空をふっ飛ばされながら闇へ沈んでいく。

 これだけの高さに速度で飛ばされているのに、意識を失った状態で地面にたたきつけられたらただでは済まないだろう。

 仮に助かったとしても、今の爆発によって魔剣は辛うじて手放さずとも、衣服を身に纏ってないので落下地点で誰かに辱められる危険性もある。いや、この状態で落下したらスプラッタなー状況になるので、よっぽどの特殊な性癖でもない限り無理だろう。

 それに、飛んだ方向から落下地点を予測され、あのものたちに捕まる可能性も否定できなくもないのだが‥‥‥自分のせいで、誰かに大迷惑を被るような、それどころかさらなるろくでもないことに利用されかねないのは嫌な話だ。

(ああ、体がいう事を聞かないが‥‥‥こんな終わりも悪くはないかもしれない。でもせめて、ちょっとは‥‥‥うん、花嫁とかそういうのも憧れていたかもな…‥‥)

 学園では生徒会長という立場でふるまい、魔剣士として律していたペルシャでもちょっとは女の子らしい願いもある。

 それが叶えられないかもしれないと思いもしたのだが、今はもう、考える事すらできずに、そのまま彼女は意識を失ってしまうのであった‥‥‥‥









「くそう!!まさか王女があんな手で脱出するとは!!」
「急いで飛んだ方向へ馬を走らせろ!!ただし、そう時間もかけられぬから、3日も経ったら即座に打ち切るぞ!!」
「餌はまだ手があり、今回は結構上物を狙ったが代替えが無いわけじゃない!!諦めも時には肝心だ!!」

…‥‥そして彼女が飛んでいったあと、拠点跡地では攫おうとしていた者たちが叫び、素早く動いていた。

 彼らは流石にこの状況を予想し切れていなかったようだが、それでも執拗にし続ける意味はないと期限を設ける。

 その一方で、彼等から離れた場所では、その様子を目撃している者がいたのだが‥‥‥‥その事に、誰も気が付くことはなかった。

「…‥‥あらら、魔剣士たちの魔剣を見たくて来たのに、何この状況。こりゃ相当厄介なことになっているというか、企み事が進んでいるようだし‥‥‥良し、ここは兄さんに投げてみよう☆。絶対に面白い事になるぞぉ☆」

 くるりと身をひるがえし、ふぁさっと金色に輝き、姿を消し去る。

 なにやら一つの厄介事が、更に面倒な方向性へ向かおうとしているようであった‥‥‥‥



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