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5章 復讐は我にあり
5-72 名がないわけでは、ありません
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ダーインスレイヴ学園、夏季休暇前の『魔獣討伐試験:極重山の部』。
しばらく泊まり込みでの特殊な山での試験という事で、事前準備をしておく生徒たちは、これでかなり万全に対応できると思うだろう。
だがしかし、実際に体験しないと分からないこともあり、想像だけでは難しい所もあるのだ。
「そしてこういう試験において、重さが来るのであれば軽装で挑めばいいという生徒も毎年数人は見るのだが、やはり甘くないと思い知らされる光景も毎年あるものだ」
「魔獣もここでは重さに関係なく動くから、余計に厄介さを増すが‥‥‥慣れないうちは、魔獣よりもこの重さの方が脅威になるだろう」
引率の教員たちはそう話しつつ、生徒たちの様子をしっかりと確認していく。
今はまだふもとの方で、2倍の程度の重さしかない。
だが登っていくにつれて、その重さはどんどん増加していく特性がある極重山は更に厳しさを増していくのだ。
2合目で4倍、3合目で9倍‥‥‥今回の試験は5~6合目での1週間の寝泊まりになるが、25~36倍ほどの増加となる場所でもある。
ゆえに、この程度でへたばっていたらどんどんきつくなってしまうのだが、案の定というべきか大半の生とはこのふもとの時点でぐぅの音を上げてしまう。
だからこそ、教員たちが無理に運ぶ必要もあるので引率として普段以上に狩りだされるのだが‥‥‥今年は少々、楽が出来ることがあった。
「…‥‥先生、全員運びましょうか?」
「ああ、助かるのだが‥‥‥新しい姿になってないか?」
ドルマリア王国からの留学生である生徒、ドラゴンの力を持つ者にして帝国でもまだ名が知れている畏怖の対象の青薔薇姫の子、フィー。
彼も今回の試験に参加しているようだが、そのいでたちはいつもと様相が違っていた。
「これですか?ああ、ゼナの新しいモード…‥‥『グラビティマシンソードモード』です」
巨大なドラゴンの姿とか、角や羽が生えている人の姿に関してはもう見慣れた者ではある。
だが、本日の姿は変わっており、先日使っていた鎧などとは異なる姿になっていた。
真っ赤に燃えるような色合いは、以前ゼナが開発したという深紅竜の鎧とやらとは変わらない。
けれどもあの鎧は全身に着こむタイプだったはずだがいくつかの防具が消えており、手足に装甲があるだけのかなり削減されてシンプルなものになっているようだ。
ただ、防御力を削ったかのような姿になっている反面、腕の装甲部分は全体を覆うようなガントレットに近いものに変わっており、鋭い刃のようなものが装飾のように飾られていた。
また、全身鎧だった時とは違って頭の方の装甲も消えており、その代わりに耳のほうに鋭くとがった防具のようなものが装着されていた。
「ガントレット、スクリュー、レッグを統合し直し、深紅竜の鎧も元に作り上げた形態ですね。廃止されたのでそのモードは消えましたが、削減した姿の分を力に回したので、全員をより運びやすくなってますよ」
「そ、そうか」
重さが倍増する場所だけに、ドラゴンの姿になりにくい場所だからこそ選択したというのはまだわかる。
だが、それでも少ない装甲もそこそこの重量がありそうなものなのだが…‥‥重さを感じていないかのようにふるまっている様子に、教師たちは驚かされる。
「…‥‥青薔薇伝説やドラゴンの姿での様々なものを知っていたが、それでも生徒がたった一人で、他の生徒たちを軽々と持っていく光景は凄まじいな」
「というかあれ、持っているのだろうか。なんか変な光る球体を出して、全員丁寧に包んで浮かべているんだが」
「理解するのをやめておこう。あれはああいう者だと、青薔薇姫様の時に学んだものもいるはずだ」
「いるのかなぁ、この試験…‥‥」
そうつぶやいた教師の言葉に、他の同僚たちも同意して頷くのであった。
「…‥‥防御する部分がって、手足と耳ぐらいになっているようだけど、かなりパワーアップしてないか、コレ?」
「出力も3倍ぐらい倍増しましたからね。今までは片腕もしくは両足程度が限界でしたが、こうやって他の場所を守りつつ強化する形態をえられてよかったのデス」
シャボン玉のような重量玉とよばれるものを出す方法を体を動かされながら学びつつ、そう俺がつぶやくと彼女は自信があるように返答した。
深紅竜の鎧も使われているというが、それでもこのモードはモードでかなり強そうだと、まだ戦闘も行っていない状態で俺はそう感じていた。
というか、レッグやガントレットを統合したようだが、その力が失われたわけではなく、むしろ強化して増設されたかのような感覚に近いものがある。
腕の方は刃が装飾されているが、戦闘時には鋭く飛び出して切り裂くことが可能になり、足の方も同様の仕掛けが施されており、蹴り飛ばす際に刃が出る仕掛けがある。
しかも、ただ刃が出るだけではなく、刃の形状や位置も変更することが可能であり、スクリューのような暴風を吹き起こすことが可能になっているのだ。
各種モードの利点ばかりを終結させたかのような、グラビティマシンソードモード。欠点を上げるならば他のモードよりも名称が長いぐらいだが、そんなものは問題にならない。
「出来れば早めにどういう戦闘方法が可能か、感覚を完全につかみたいが…‥‥この重力玉とやらも操作を変えれば、鉄球のように扱えるんだっけか」
「そうですネ。今は対象を浮かせて運ぶだけにしていますが、これは先日下見で得たここのデータを元にして、作ったものデス。相手を引き寄せたり放したり、あるいは周囲に引っ張り上げたり逆に押し縮めたりと、発想次第では更に凶悪さも増すことが可能でショウ」
「さらっと凶悪さって言っているけど、このモードもしかしてかなりヤバいのか?」
「…‥‥正直言って、やり過ぎたかなと思う部分もありマス」
おい、メイド。本音を言うのは良いけど、自重を知ってほしかったぞ。
なお、元が深紅竜の鎧だっただけに、当時の飛行能力に使用されていたブースターが各所に改めて設置され直し、動く際の加速器に早変わりしているようだ。
後は気になるのが、この耳あてのようになっている装甲部分だが‥‥‥ここは何か意味があるのだろうか。
「なぁ、ゼナ。俺の場合角も感覚器になるから、耳当てよりも角の防御に回したほうが良かったんじゃないか?」
「大丈夫デス。ただの耳当てにしているわけではありません。こちらに関してはまた後程使用する機会があると思いたいですが、ただの防具ではないのデス」
まだ色々仕掛けが施されているようだが、知るには魔獣に出てきてもらう必要があるだろう。
だがしかし、こういう時に限ってまだこの山に魔獣は発生していないようで、威力を目にするにはまだ時間がかかりそうだ。
何にしても新しい形態が出たのは俺自身のパワーアップに繋がるので文句はないのだが…‥‥「正直言ってやり過ぎた」と馬鹿正直に言うゼナが珍しいので、より凄まじいやらかしがあるのではないかと疑うのであった…‥‥
「しかし、レッグが無くなったのは残念だ。冬場の凍った池などで活躍しそうだったのにな」
「完全に消えていませんヨ。刃を変形させて覆えば似たようなものになりますし、回転する刃にもなりますので活かしてしまえば回転刃蹴りも可能になります」
「えげつない光景になりそうだなぁ‥‥‥」
他に何か、やばいもん仕込んでないよな?早く魔獣よ、出てきてくれ。確かめないと不味い気がするから、実験台都として生贄になってほしいなぁ。
しばらく泊まり込みでの特殊な山での試験という事で、事前準備をしておく生徒たちは、これでかなり万全に対応できると思うだろう。
だがしかし、実際に体験しないと分からないこともあり、想像だけでは難しい所もあるのだ。
「そしてこういう試験において、重さが来るのであれば軽装で挑めばいいという生徒も毎年数人は見るのだが、やはり甘くないと思い知らされる光景も毎年あるものだ」
「魔獣もここでは重さに関係なく動くから、余計に厄介さを増すが‥‥‥慣れないうちは、魔獣よりもこの重さの方が脅威になるだろう」
引率の教員たちはそう話しつつ、生徒たちの様子をしっかりと確認していく。
今はまだふもとの方で、2倍の程度の重さしかない。
だが登っていくにつれて、その重さはどんどん増加していく特性がある極重山は更に厳しさを増していくのだ。
2合目で4倍、3合目で9倍‥‥‥今回の試験は5~6合目での1週間の寝泊まりになるが、25~36倍ほどの増加となる場所でもある。
ゆえに、この程度でへたばっていたらどんどんきつくなってしまうのだが、案の定というべきか大半の生とはこのふもとの時点でぐぅの音を上げてしまう。
だからこそ、教員たちが無理に運ぶ必要もあるので引率として普段以上に狩りだされるのだが‥‥‥今年は少々、楽が出来ることがあった。
「…‥‥先生、全員運びましょうか?」
「ああ、助かるのだが‥‥‥新しい姿になってないか?」
ドルマリア王国からの留学生である生徒、ドラゴンの力を持つ者にして帝国でもまだ名が知れている畏怖の対象の青薔薇姫の子、フィー。
彼も今回の試験に参加しているようだが、そのいでたちはいつもと様相が違っていた。
「これですか?ああ、ゼナの新しいモード…‥‥『グラビティマシンソードモード』です」
巨大なドラゴンの姿とか、角や羽が生えている人の姿に関してはもう見慣れた者ではある。
だが、本日の姿は変わっており、先日使っていた鎧などとは異なる姿になっていた。
真っ赤に燃えるような色合いは、以前ゼナが開発したという深紅竜の鎧とやらとは変わらない。
けれどもあの鎧は全身に着こむタイプだったはずだがいくつかの防具が消えており、手足に装甲があるだけのかなり削減されてシンプルなものになっているようだ。
ただ、防御力を削ったかのような姿になっている反面、腕の装甲部分は全体を覆うようなガントレットに近いものに変わっており、鋭い刃のようなものが装飾のように飾られていた。
また、全身鎧だった時とは違って頭の方の装甲も消えており、その代わりに耳のほうに鋭くとがった防具のようなものが装着されていた。
「ガントレット、スクリュー、レッグを統合し直し、深紅竜の鎧も元に作り上げた形態ですね。廃止されたのでそのモードは消えましたが、削減した姿の分を力に回したので、全員をより運びやすくなってますよ」
「そ、そうか」
重さが倍増する場所だけに、ドラゴンの姿になりにくい場所だからこそ選択したというのはまだわかる。
だが、それでも少ない装甲もそこそこの重量がありそうなものなのだが…‥‥重さを感じていないかのようにふるまっている様子に、教師たちは驚かされる。
「…‥‥青薔薇伝説やドラゴンの姿での様々なものを知っていたが、それでも生徒がたった一人で、他の生徒たちを軽々と持っていく光景は凄まじいな」
「というかあれ、持っているのだろうか。なんか変な光る球体を出して、全員丁寧に包んで浮かべているんだが」
「理解するのをやめておこう。あれはああいう者だと、青薔薇姫様の時に学んだものもいるはずだ」
「いるのかなぁ、この試験…‥‥」
そうつぶやいた教師の言葉に、他の同僚たちも同意して頷くのであった。
「…‥‥防御する部分がって、手足と耳ぐらいになっているようだけど、かなりパワーアップしてないか、コレ?」
「出力も3倍ぐらい倍増しましたからね。今までは片腕もしくは両足程度が限界でしたが、こうやって他の場所を守りつつ強化する形態をえられてよかったのデス」
シャボン玉のような重量玉とよばれるものを出す方法を体を動かされながら学びつつ、そう俺がつぶやくと彼女は自信があるように返答した。
深紅竜の鎧も使われているというが、それでもこのモードはモードでかなり強そうだと、まだ戦闘も行っていない状態で俺はそう感じていた。
というか、レッグやガントレットを統合したようだが、その力が失われたわけではなく、むしろ強化して増設されたかのような感覚に近いものがある。
腕の方は刃が装飾されているが、戦闘時には鋭く飛び出して切り裂くことが可能になり、足の方も同様の仕掛けが施されており、蹴り飛ばす際に刃が出る仕掛けがある。
しかも、ただ刃が出るだけではなく、刃の形状や位置も変更することが可能であり、スクリューのような暴風を吹き起こすことが可能になっているのだ。
各種モードの利点ばかりを終結させたかのような、グラビティマシンソードモード。欠点を上げるならば他のモードよりも名称が長いぐらいだが、そんなものは問題にならない。
「出来れば早めにどういう戦闘方法が可能か、感覚を完全につかみたいが…‥‥この重力玉とやらも操作を変えれば、鉄球のように扱えるんだっけか」
「そうですネ。今は対象を浮かせて運ぶだけにしていますが、これは先日下見で得たここのデータを元にして、作ったものデス。相手を引き寄せたり放したり、あるいは周囲に引っ張り上げたり逆に押し縮めたりと、発想次第では更に凶悪さも増すことが可能でショウ」
「さらっと凶悪さって言っているけど、このモードもしかしてかなりヤバいのか?」
「…‥‥正直言って、やり過ぎたかなと思う部分もありマス」
おい、メイド。本音を言うのは良いけど、自重を知ってほしかったぞ。
なお、元が深紅竜の鎧だっただけに、当時の飛行能力に使用されていたブースターが各所に改めて設置され直し、動く際の加速器に早変わりしているようだ。
後は気になるのが、この耳あてのようになっている装甲部分だが‥‥‥ここは何か意味があるのだろうか。
「なぁ、ゼナ。俺の場合角も感覚器になるから、耳当てよりも角の防御に回したほうが良かったんじゃないか?」
「大丈夫デス。ただの耳当てにしているわけではありません。こちらに関してはまた後程使用する機会があると思いたいですが、ただの防具ではないのデス」
まだ色々仕掛けが施されているようだが、知るには魔獣に出てきてもらう必要があるだろう。
だがしかし、こういう時に限ってまだこの山に魔獣は発生していないようで、威力を目にするにはまだ時間がかかりそうだ。
何にしても新しい形態が出たのは俺自身のパワーアップに繋がるので文句はないのだが…‥‥「正直言ってやり過ぎた」と馬鹿正直に言うゼナが珍しいので、より凄まじいやらかしがあるのではないかと疑うのであった…‥‥
「しかし、レッグが無くなったのは残念だ。冬場の凍った池などで活躍しそうだったのにな」
「完全に消えていませんヨ。刃を変形させて覆えば似たようなものになりますし、回転する刃にもなりますので活かしてしまえば回転刃蹴りも可能になります」
「えげつない光景になりそうだなぁ‥‥‥」
他に何か、やばいもん仕込んでないよな?早く魔獣よ、出てきてくれ。確かめないと不味い気がするから、実験台都として生贄になってほしいなぁ。
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