私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
154 / 204
5章 復讐は我にあり

5-77 竜と竜-1

しおりを挟む
『アアアアアアアア!!』

 ぼうっと再び全身を燃やし、真っ赤な炎の塊となって突っ込んでくる少女の竜。

 名称がないとやりづらいのもあるので、見た目そのままな仮称『火炎竜』としつつ、正面からぶつからないように回避を行う。

「とは言え、避けてばっかりいられないな。ゼナ、どうにかできないか?」
「ご主人様と一致する遺伝子のため、センサー混乱状態ゆえに正常動作不可能。対策としてご主人さまの神経に直接接続を行い、反射行動の補佐を行う方へ回らせていただきマス」

 さらっと何かこうヤバそうな回答が出たが、まともにやりにくい相手であれば仕方がない事だろう。
 
 反射神経で言えばゼナの方が良いし、火炎竜のあの攻撃力は馬鹿力と言って良いほど強いので、回避できるようになるのであれば出来るだけやる方が無難なところだ。

「その場合、攻撃の主体をご主人様自身にお願いすることになりマス。大丈夫でしょうか」
「問題ない‥‥‥と断定できないけど、やるっきゃないよな」

 相手が同じ遺伝子だかなんだか使っているようで、違うものも混じっているせいなのか力は負けているだろう。

 だが、勝機がないわけでもない。パワーに振られた分、大振りな攻撃が目立つのようだからこそスピードや技術で対応してやれば良い話だ。

「それじゃいくぞ!!回避や受け流しは任せた!!」
「了解デス!!疑似神経接続開始、センサーシャットダウンから補佐作業へ!!」

 ぶすりっと何か嫌なものが刺さった感触を味わいつつ、回避行動に移りやすいように素早くモードを切り替える。

「グラビティマシンソードモードから変更!!ウイング改め『エンジェリングソードモード』に切り替えマス!!」

 かつては刃の翼であったソードウイングモード。ドラゴンの翼が生えてからは防御や投擲武器などにしていたが、それでは彼女の性能が今一つ活かされないことが問題だった。

 そこでいくつかのモードの統合などに伴い、新しい形態へと変更して一気に性能を桁違いに引き上げることに成功したのである。

 刃の翼は失えども、新たに頭上と背中の方にそれぞれ金色と銀色の色合いの異なる刃のリングが出現し、この重くなる環境にあった身にふわっと浮遊感を感じ取らせる。

 ゼナ曰く、天使のわっかとやらを参考にして作り上げた形態のようで、頭上のわっかが全身に特殊な浮力を帯びさせるようだが、この環境では重さによる制限を撤廃するのに役立つだろう。

「それと背中の方のわっかも武器になるんだ!!『リングブーメラン』!!」

 背中に浮いていた刃のわっかを手に取って投げれば、火炎竜はその危険性に気が付いたのか回避した。

 だが、その後方にあった山の突き出している岩などは避けることもできず、すぱっと綺麗に切り飛ばされていった。

「チャクラムとも言う武器を参考に造りましたが、もう少し命中率が欲しいデス」
「ところでこれ、戻ってきた奴はどうやって受け取るんだ?」
「自動的に頭上に戻りますので、問題ないデス」

 いうが早いが、遠くまで行っていたはずの刃のわっかはいつの間にか頭の上に戻っており、次の投擲を舞っていた。

 頭のものよりも結構大きめに作られているので受け取る時が不安ではあったが、そのあたりが考えられている武器で助かっただろう。

『アアアアアア、アアア‥‥‥ア!!』

 全身の発火を一旦とめ、小さなブレスを口から火炎竜は出し、纏わせる。

『ア、ア、ア、ア、ア、ア!!』

 拳を次々に前に出したかと思えば、拳の炎が細かく飛ばされてきた。

 どうやら口からのブレスから、手や足で纏い放つことでより攻撃範囲を広げる方法を思いついたようで、かなり細かい攻撃を素早く放つようである。

「ついでに炎の威力も強いようだが、このぐらいなら全部撃ち落とす!!『ホーンサンダー』!!」

 バチバチィッと紫電を作り、俺は自分の角から放電を起こして向かってくる炎の拳を防いだ。

 ブレスの性質を変える攻撃も可能だが、やる気になればこの手段も可能で、ちょっとした電撃の防壁となるのだ。

 まあ、ルルシアの魔剣での電撃と比べると汎用性はやや少ないが、それでもこういう多数の遠距離攻撃相手には中々良い防御手段にも転用できる。

「ついでにこれでも喰らえ!!雷撃をリングに集めて方向を定めて『サンダーバズーカー』!!」

 放電していた電撃を再び刃の輪に集中させ、その縁の中心から極太の雷撃と化させて放出する。

 ブレスを電撃に変えての攻撃に比べると、少々威力は低くなるのだが‥‥‥これはあくまでもわっかの方だけの場合だ。

「ブレスも追加!!雷撃性質転換『サンダーブレス』!!」

 そう、わっかのほうと口からで、それぞれ撃ちだせるのが強みとなる。

 二つの攻撃が時間差で交わり、更に極太な電撃となって火炎竜に襲い掛かった。


ズバァァァァァァン!!
『ア”ア”ア”ア”ア”!?』

 直撃した電撃が凄まじい勢いで火炎竜を飲み尽くし、膨大な電撃が襲い掛かる。

 常人であれば確実にやられるのだが、ドラゴンとしてのタフさゆえにギリギリ耐えきった様だ。

『グガア、アア、ア、ア・・・』

 ぶすぶすと黒煙を上げ、ボロボロの状態になる火炎竜。

 元々衣服なんぞ着ていないようなものであり、全身所々黒く焦げたようだ。

『アァァァァァァ!!』

 ぐったりした様子になったかと思えば突然叫び、瞬時にその体の焦げた部分が消えて元の皮膚に戻っていく。

 いや、急激な再生を行ったというよりもこれは…‥‥

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「鱗が生え、一気にドラゴンになりやがった!!完全竜化か!!」
「前の狂竜戦士なら暴走してましたが、こちらは使いこなしたようですネ。崩壊した様子がないのデス」
「ドラゴンの姿で勝負と来るなら、目には目を歯には歯を、ドラゴンにはドラゴンで答えてやるよ!!『完全竜化』‥‥‥いや、流石にパワータイプと同条件ではやっぱり断る!!完全竜化改め『人竜変化』!!」

 完全なドラゴン同士の対決であれば、力が幾分か上回っている相手と真正面からやりあうと、体を大きくするだけではいい的になってしまう。

 ならばどうすればいいのかと考え、狂竜戦士の経験もあって特訓し、完全に竜化しなくてもドラゴンの力をより強固に使う手段を俺は編み出していた。

 手と足が人のものからドラゴンのものへと変貌し、翼と角が強靭なものへ、尻尾が生えてくる。

 だが、その変化は大型化しておらず、人のサイズに圧縮した状態で、単純に今のドラゴンが混じった姿をより色濃くしただけのような姿へ変貌させる。

「無理やり完全竜化の力を人の身に詰め込みまくっただけだが‥‥それでも大きくなるよりも小回りが利くのが良いんだよな!!魔剣のモードもそのままで扱えるこの状態で相手をしてやるよ!!」
『アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 ぶわっとドラゴンとしての力が溢れるようで、気を抜けば爆発するような気がしなくもない方法。

 だが、この戦闘において抜ける時があるのだろうか?いや、一つの油断が本気でヤバくなる戦いなので、抜くことはない。

 お互いに気合いを入れ直し、よりドラゴン同士としてのまともな戦いへと切り替えるのであった‥‥‥

「本当にミスったら自爆になるけどな!!」
「シャレにならないので、そうならないように調整を助けマス!!」
しおりを挟む
感想 610

あなたにおすすめの小説

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」 Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。 しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。 彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。 それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。 無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。 【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。 一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。 なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。 これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...