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5章 復讐は我にあり
5-80 どこか別の星に、勝手に逝くことはない
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‥‥‥大騒ぎとなっていた合宿ではあったが、いつの間にか夜が明けていた。
目の前では山が崩壊し終えて、新しくがれきの山‥‥‥いや、何か別のがれきの山になっており、今後の私権の地としては役に立たなくなっただろう。
まぁ、それはまだ問題はない。鍛える地として最適だとされていたのだが、出てくる魔獣に対応する難しさを考慮すると、失われても特に危険はないのだ。
しいて言えば、あの超重くなっていく山ががれきと化したことで中から何かががれきに交じって出てきており‥‥さらに言えば、目の前で教員の方々が全員とある人物の前で、全力の命乞いをする態勢をしていることに驚くべきだろうか。
『‥‥‥そこまで、やらなくてもいいわよ?別に今の私は、何かできるようなものでもないもの』
「で、ですが空から落ちてきたかと思えば、魔剣と生徒と誰かを同時に抱えつつ、落下地点を盛大にふっ飛ばしたのに無事でいる貴女様を見ると」
「その、全然何もできないとかいうような言葉が信じられないのです」
「伝説の一つに、軽く溜息を吐いただけで、問題になっていた他国の侵略者を吹きとばす巨大竜巻を起こしたと言われるようなこともあるので・・・」
『そんなことやった覚えもないのだけれども?』
教員の方々が全力で怯えているその先にいるのは、フィーに似た女性の人。
ゆらゆらと幻のように揺れ動くような姿をしているのに、何故か感じ取れる気配は圧倒的な強者のものであり、誰もが従うしかないと思わせるようなものを纏っている。
そしてその足元には、先ほど上へ飛んでいったフィーとメイド魔剣、後は彼に似ているようなそうでないような赤髪の少女が転がっているのだ。
『それにしても、ここをこんなにしちゃうなんて、我が息子ながらちょっとアホかもと思ってしまうわね。夫の力をガンガン使っている分、何処かでちょっと慢心していたのかしらね』
ふふふと笑いつつ、崩壊した山の様子を見てそう彼女は口にする。
「えっと‥‥‥質問、良いでしょうか?」
『あら、別に良いわよ。んーっと、息子の婚約者の一人、ルルシアちゃんだったわね』
「そこまで把握されているの‥‥いえ、そこではなく、息子って‥‥‥フィーのお母さん、帝国の青薔薇姫で良いのでしょうか?昔、死んでしまったとか聞いているのだけれども‥」
『ええ、正解よ。確かに私は正真正銘、この子の母親、帝国の青薔薇姫と呼ばれたことのある者よ。今はもう、死んでいるから幽霊みたいなものかしらね?』
「‥‥‥‥」
その回答を聞き、次の言葉が出てこない。
姿を現したとかそういううわさ話を聞いているとはいえ、こうして目の当たりにして実際に見聞きしてしまうと、信じがたいと思えてしまうのだ。
だが、残念なことにこれは現実のようで、嘘でも何もない。
『それにしてもいいわね~。前までは息子の身体をちょっと借りてだったけど、成長した分普段使ってない分の力をちょっと借りて溜めるようになったら、こうしてお手軽に出てこれるようになるのは良かったわ』
そう聞くと、何をどうやってなのかと言いたくなったが‥‥‥少しばかり冷静になって考えたら、別に不思議なことでもないのかもしれないと納得する自分がいた。
よく考えたら、何かと色々作り出すゼナや、神話に出るような物語の中の存在としか思えないようなドラゴンが実在した証明となる人がいる時点で、今更幽霊の一人や二人、出てきてもおかしくはないのかもしれない。
…あれ?これわたくしも何か毒されていないかしら?
そう思いつつも、どうやらフィーのお母様こと青薔薇姫は今すぐにどうこうするようなことはないそうだ。
なんでも今、出てきたのは空高く飛び過ぎた彼らを回収するために、わざわざ出てきたようである。
「できれば出て欲しくなかったですけれどネ」
『あらあら、せっかく助けてあげたのに酷い事を言うわねぇ』
フィーの身体に纏われていたゼナがメイドの姿に戻り、物凄く苦々しそうな顔でそう口にすると、青薔薇姫は軽く笑いながら答える。
普段何かと冷静でそんな苦手なものがなさそうなメイドなのに、青薔薇姫に関しては何か嫌なものでも感じてしまうのだろうか。
『でも、話すにはちょっと人が多いわねぇ‥えい☆』
ぱちんっと青薔薇姫が指を鳴らした次の瞬間、周囲に起きていた人たちが倒れた。
「え!?え!?何をしたのですの!?」
『安心して頂戴。私たち以外、眠らせただけよ』
「広範囲識別式音響催眠…何でその技術、貴女が扱えているのでしょうカ」
『見て覚えただけよ』
話しを聞く感じ、青薔薇姫はゼナの技を見て覚えたらしい。
そんなもの見たことがないのにどうやってなのか不思議だが、とりあえずとんでもない人にとんでも技術が色々と取られている不味い事態なのは間違いなさそうだ。
『それにしても、こうやって出ても長く出られらないのが残念ねぇ。あと15分程度で消えるのだから、隙にさせてもらって良いじゃない』
「だったらすぐに、消えて欲しいのですガ」
『ふふふ、それは無理ネ。貴女としては色々と知られたくないことがあるから、消えて欲しいのだけれどもそんな事私が叶えるわけないじゃない。そうね、例えば』
―――ギイィィィィィィィイィィィィィィ!!
「言わせませんヨ!!全力で止めさせてもらいますからネ!!」
口にされる前に、めちゃくちゃ焦ってどこからか音を出すゼナ。
彼女が必死になって止めさせる光景を見ると、何を言おうとしたのか気になるところもあるだろう。
『まぁまぁ、大丈夫大丈夫秘密にしてあげるわ。それはそうと、もう時間も少ないけど‥‥‥ちょっと、貴女も手伝ってくれないかしら?』
「へ?」
やり取りを見ている中で、突然こちらに声を掛けられて驚かされる。
『貴女も、息子の婚約者なのでしょう?だったら少し、片付けるのに手伝ってくれないかしら』
「えっと、片付けるって何を‥」
『この、娘を新しく作ってしまったところへの殴り込みよ?この中で実力があるのも分かっているし、やってほしいのよねぇ』
「‥‥‥ええええぇ?」
…流石フィーの母親というべきか、いきなりとんでもない事をやらかそうとするのは、どうやら彼女譲りだったらしい。
詳しく説明をしてもらいつつ、強制的に加わる羽目になるのであった‥‥‥
「私の方は、まだ完全につかめていないのに何故理解ヲ」
『簡単なことよ。私が息子の母であり、その関係事項を把握していないとでも?』
目の前では山が崩壊し終えて、新しくがれきの山‥‥‥いや、何か別のがれきの山になっており、今後の私権の地としては役に立たなくなっただろう。
まぁ、それはまだ問題はない。鍛える地として最適だとされていたのだが、出てくる魔獣に対応する難しさを考慮すると、失われても特に危険はないのだ。
しいて言えば、あの超重くなっていく山ががれきと化したことで中から何かががれきに交じって出てきており‥‥さらに言えば、目の前で教員の方々が全員とある人物の前で、全力の命乞いをする態勢をしていることに驚くべきだろうか。
『‥‥‥そこまで、やらなくてもいいわよ?別に今の私は、何かできるようなものでもないもの』
「で、ですが空から落ちてきたかと思えば、魔剣と生徒と誰かを同時に抱えつつ、落下地点を盛大にふっ飛ばしたのに無事でいる貴女様を見ると」
「その、全然何もできないとかいうような言葉が信じられないのです」
「伝説の一つに、軽く溜息を吐いただけで、問題になっていた他国の侵略者を吹きとばす巨大竜巻を起こしたと言われるようなこともあるので・・・」
『そんなことやった覚えもないのだけれども?』
教員の方々が全力で怯えているその先にいるのは、フィーに似た女性の人。
ゆらゆらと幻のように揺れ動くような姿をしているのに、何故か感じ取れる気配は圧倒的な強者のものであり、誰もが従うしかないと思わせるようなものを纏っている。
そしてその足元には、先ほど上へ飛んでいったフィーとメイド魔剣、後は彼に似ているようなそうでないような赤髪の少女が転がっているのだ。
『それにしても、ここをこんなにしちゃうなんて、我が息子ながらちょっとアホかもと思ってしまうわね。夫の力をガンガン使っている分、何処かでちょっと慢心していたのかしらね』
ふふふと笑いつつ、崩壊した山の様子を見てそう彼女は口にする。
「えっと‥‥‥質問、良いでしょうか?」
『あら、別に良いわよ。んーっと、息子の婚約者の一人、ルルシアちゃんだったわね』
「そこまで把握されているの‥‥いえ、そこではなく、息子って‥‥‥フィーのお母さん、帝国の青薔薇姫で良いのでしょうか?昔、死んでしまったとか聞いているのだけれども‥」
『ええ、正解よ。確かに私は正真正銘、この子の母親、帝国の青薔薇姫と呼ばれたことのある者よ。今はもう、死んでいるから幽霊みたいなものかしらね?』
「‥‥‥‥」
その回答を聞き、次の言葉が出てこない。
姿を現したとかそういううわさ話を聞いているとはいえ、こうして目の当たりにして実際に見聞きしてしまうと、信じがたいと思えてしまうのだ。
だが、残念なことにこれは現実のようで、嘘でも何もない。
『それにしてもいいわね~。前までは息子の身体をちょっと借りてだったけど、成長した分普段使ってない分の力をちょっと借りて溜めるようになったら、こうしてお手軽に出てこれるようになるのは良かったわ』
そう聞くと、何をどうやってなのかと言いたくなったが‥‥‥少しばかり冷静になって考えたら、別に不思議なことでもないのかもしれないと納得する自分がいた。
よく考えたら、何かと色々作り出すゼナや、神話に出るような物語の中の存在としか思えないようなドラゴンが実在した証明となる人がいる時点で、今更幽霊の一人や二人、出てきてもおかしくはないのかもしれない。
…あれ?これわたくしも何か毒されていないかしら?
そう思いつつも、どうやらフィーのお母様こと青薔薇姫は今すぐにどうこうするようなことはないそうだ。
なんでも今、出てきたのは空高く飛び過ぎた彼らを回収するために、わざわざ出てきたようである。
「できれば出て欲しくなかったですけれどネ」
『あらあら、せっかく助けてあげたのに酷い事を言うわねぇ』
フィーの身体に纏われていたゼナがメイドの姿に戻り、物凄く苦々しそうな顔でそう口にすると、青薔薇姫は軽く笑いながら答える。
普段何かと冷静でそんな苦手なものがなさそうなメイドなのに、青薔薇姫に関しては何か嫌なものでも感じてしまうのだろうか。
『でも、話すにはちょっと人が多いわねぇ‥えい☆』
ぱちんっと青薔薇姫が指を鳴らした次の瞬間、周囲に起きていた人たちが倒れた。
「え!?え!?何をしたのですの!?」
『安心して頂戴。私たち以外、眠らせただけよ』
「広範囲識別式音響催眠…何でその技術、貴女が扱えているのでしょうカ」
『見て覚えただけよ』
話しを聞く感じ、青薔薇姫はゼナの技を見て覚えたらしい。
そんなもの見たことがないのにどうやってなのか不思議だが、とりあえずとんでもない人にとんでも技術が色々と取られている不味い事態なのは間違いなさそうだ。
『それにしても、こうやって出ても長く出られらないのが残念ねぇ。あと15分程度で消えるのだから、隙にさせてもらって良いじゃない』
「だったらすぐに、消えて欲しいのですガ」
『ふふふ、それは無理ネ。貴女としては色々と知られたくないことがあるから、消えて欲しいのだけれどもそんな事私が叶えるわけないじゃない。そうね、例えば』
―――ギイィィィィィィィイィィィィィィ!!
「言わせませんヨ!!全力で止めさせてもらいますからネ!!」
口にされる前に、めちゃくちゃ焦ってどこからか音を出すゼナ。
彼女が必死になって止めさせる光景を見ると、何を言おうとしたのか気になるところもあるだろう。
『まぁまぁ、大丈夫大丈夫秘密にしてあげるわ。それはそうと、もう時間も少ないけど‥‥‥ちょっと、貴女も手伝ってくれないかしら?』
「へ?」
やり取りを見ている中で、突然こちらに声を掛けられて驚かされる。
『貴女も、息子の婚約者なのでしょう?だったら少し、片付けるのに手伝ってくれないかしら』
「えっと、片付けるって何を‥」
『この、娘を新しく作ってしまったところへの殴り込みよ?この中で実力があるのも分かっているし、やってほしいのよねぇ』
「‥‥‥ええええぇ?」
…流石フィーの母親というべきか、いきなりとんでもない事をやらかそうとするのは、どうやら彼女譲りだったらしい。
詳しく説明をしてもらいつつ、強制的に加わる羽目になるのであった‥‥‥
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