私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
177 / 204
6章 悪意と善意、トラブルメーカーと苦労人

6-7 利用出来るならば、適度に使って

しおりを挟む
‥‥‥ファルン神聖国。
 その国に関しては、未だに深い交流を持っている国があるわけではない。

 別に宗教が厳しいとか、他国と仲が悪くなるような要素はないのだが‥‥ここ数年、実は少しづつ変化が起きていたことに、気が付く者は未だに居なかった。

「…とはいえそろそろ、討伐数などに関して、勘づく輩も出てくるだろう。ここいらで、潮時か」

 国の中にいくつかある神殿の内、とある大型の神殿の地下に密かに作られた一室にて、そうつぶやく者がいた。

 そこそこ長い間隠し通してきたところはあるが、人の口に戸は立てられぬという言葉や、好奇心で色々と調べる輩が出てくる可能性を考えると、これ以上無理に隠して進めることは不可能だと判断する。

「だが、それでも十分な魔獣が集まったのは良かったか。足りなければ不味かったが…どこかの国同士で魔剣士を戦場に送り出すという愚策をしてくれたところがあったおかげか」

 まぁ、その裏工作にはとある組織も関わっている中、その組織にさらにその人物が密かに手を回していたことに気が付く者はいないだろう。

 いくつかある組織の内、とある組織の指導者が何かへの復讐を胸に秘めて行っていた様子もあったが、それすらも利用していたことに、気が付くことはない。

 復讐は何も生まないという訳ではないが、果たすために手段を択ばなくなってくるからこそ、少しづつ都合の良い様に動かしていたことに関して勘づくことはないと思えるのだ。




「さて、たまりにたまった数多くの魔獣…その全てを利用したが、どれひとつとして形は残らなかったとはいえ、結果は残してくれたか」

 少しづつ、それでもそこそこの量を横流しし、魔獣を利用させてもらった。

 どこかの国では魔獣の操作や兵器化が出来ないかと研究するところもあるようだが、悪しき魂の集合体から漏れ出るような塊に、そんな事が出来るだけもないだろう。

 けれども、逆に言えば物凄く真っ黒なエネルギーの塊で構成されているとも受け取ることができ、そこに目を付けて研究を進めてきたが…数多くの検体を利用し、実験し、裏付けを取って進めることが出来た。


 そのままその人物は部屋の中にさらに隠されていた隠し扉を開け、その先に用意されていた会談でさらに地下深くへと入り込み、そこで出されている結果を目にして満足そうにうなずく。


「‥‥‥驚くは、人の欲望と大差ないような悪しきものだとしても、魔獣として屠ろうとしてくるからこそ、それ相応のエネルギーを秘めていたというべきか。計算上、もっとかかるとは思っていたが‥まぁ、良いだろう」

 ドクン、ドクンっと心音が聞こえてきたが、まだそこに命は顕現していない。

 様々な組織の技術を利用し、奪い‥‥作り上げただけの、ただの大きな肉塊がそこに眠っているだけなのだ。

 
 そこにいくつもの管が付けられて、万が一に備えて頑丈な鎖で撒きつけ、動けないようにしているが、それでもこのサイズと迫力を見ると、これでも完全に不安を拭い去ることはできない。

 でも、それでも良いのだ。仮に暴走したところで、それはそれで目的が果たされるのであるから。


「後は、神聖国の建国に携わった人々にも感謝をささげるべきか…使い物にならず、あくまでも記念品の扱いで残されていた死骸だったとはいえ、技術を詰め込みここまで復元を行えたからな」

 可能であれば、何処かの組織から逃亡した竜の魂なども欲しかったところだが、贅沢はこれ以上おう必要もあるまい。

 素手に動かすだけのものは整っており、後はいつ行動を起こせばいいのか、計画通りに進んでいるのか確認を行うだけだ。

「惜しむらくは、情報で得た星の竜に関しての肉体などが手に入らなかったことぐらいだが‥‥それに近しい、いや、それ以上におぞましいものに成り果てている亡竜を得られただけでも十分か。命を注ぐから、亡き者の言葉は失われるだろうが‥‥それでも、十分すぎるほどだ」


 交流のまだある国の中には、ドラゴンの魔剣士がいると聞く。

 まだ直接目にすることはなかったが、それでも交流を利用して、手の者の中でまだ何もわからぬ少女を利用して、情報を収集させてもらっていたが、それでもこの目の前に広がる巨体に対して、大した障害になることはないだろう。命を注ぎ直すとは言え、既に命を失っている強大な存在から、更にどうやって奪えという事である。


「‥‥‥計画がここまでうまくいっているのは正直怖いが、最後まで油断せぬようにしないとな‥‥どのみち、失敗しようが成功しようが、この国が亡びる代償を考えると大したことでもない」

 今いる国はいらぬ。自分がこれから先、作り上げようとするものだけでいいのだ。

 何も余計なものはいらない。例え、抵抗する輩が出てきたとしても、これで潰していけばいいだけの話だ。

「恐ろしいのは、情報収集能力が高いメイド魔剣だが‥通常とは異なるような者と聞くが、魔剣であればやりようはいくらでもある」

 ゆえに、最後まで気を抜くことはできないが、成功確率だけは既に高い状態。

 にやりと口角をその人物は‥‥神聖国のトップの立場にあるイストロ教皇はそうつぶやき、計画の最終段階へ入ったことで最後まで行くように念入りに準備を進めるのであった…‥‥






しおりを挟む
感想 610

あなたにおすすめの小説

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」 Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。 しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。 彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。 それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。 無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。 【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。 一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。 なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。 これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...