私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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7章 終わりまで、ずっと

7-6 逃げられないように、一つ一つ

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「ば、馬鹿な…我々の切り札が、こうもあっさりと…!?」

…自分たちの作り出した、最終決戦用に用意していた切り札『神化竜薬』。
 
 使用された材料によって予想されていた効果は、神々すらも打ち倒せるような強大な力を持つ存在になることであったはずだが、それは今、目の前で見事に神々ですらないものたちによって葬られてしまった。

 いや、違う。ギリギリ命を奪われてはいないのだが、先ほどまで巨大な竜の化け物に近い姿だったはずのものが、あっという間に全身針だらけの人肉へと成り果てた程度だ、

 それでも、自分たちにとっての切り札がすぐに葬られてしまった光景を見て、破神布組織の幹部の一人であったゲドゥンは驚愕する。


 どうするか、このままここにいたところで、残るのは身の破滅のみしかないだろう。
 神々を打ち倒し、その座を得るために集った組織の幹部であるが、この状況がいかに自分たちにとって不利なのか嫌なほどわからされる。

 そもそもの話、他にも用意していた数々のものも、攻められてすぐに動かそうとしたらいつの間にか対策されていたのかどれもこれも役にたつことはなく、どうしようもない状況なのはわかるだろう。


 そして今、目の前で倒された切り札を前にして、やれることは一つだけだった。
 
 この状況で、やることがない?そんなことはない。
 
 この状況になったとしても、どうにかこうにか助かる手段はあるのだ。

 それはどこの世界でも共通というか、可能性がかなり乏しくもあるが0ではない方法が一つだけ、存在しているのである。

 
 ちゃくちゃくと切り札が倒れた後に起きた土煙も晴れ、その中をゆったりと進んでくる竜の存在に対して、この手は聞くかどうかも怪しいが…もう、これしかないのだ。


 ほかの者たちが狼狽える中、ゲドゥンは一歩また一歩と踏み出し、駆け出し始める。

 何かやる手立てがあるのかと、その行動に気が付いたものたちが目を輝かせ、細い希望にすがり始める。

 そのままなりふり構わず駆け抜け、この襲撃をしてきた竜の姿が見えたところで…最後の手を、ゲドゥンはとった。

 急停止し、ぶつかることがない様に適切な距離を取り、その場で飛び跳ねて地面に着地する前に体制を変え、自身の膝と手のひらと額が地面にこれでもかというほど擦りつくような姿勢になり、そのままびたんっと音が鳴りつつも変えることなく姿を見せる。

「ほかの奴らの命や重要機密など全部吐き出しますから、どうにか命だけはおたすけぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「「「…」」」

 完璧に整えた姿とともに出てきた言葉に、周囲は一瞬何をやっているのかとあっけにとられる。

 敵味方関係なく、ゲドゥンが繰り出した姿が予想だにできなかったというか、この状況になってまでもやったのかよというツッコミも入れられるだろう。

 そう、その最後にやれる手段とは……見事な土下座で、全力で命乞いをすることであった。

「「「自分だけ助かるために土下座とか、本気の馬鹿かあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」











「…ダイナミック土下座をしてくるとは、さすがに予想外だったんだけど」
 
 攻撃を一旦停止させ、生き残りを確認するために前に出てきたのだが、目の前で起きたダイナミックジャンピング土下座の様にフィーは驚かされていた。
 
 まさか、こんな組織の中にいた人で、明らかにどう考えても助かりそうにもない状況において、こんな土下座をしてくるような奴がいるとはだれが予想できただろうか。

 攻められて、窮地に追い詰められたが故の命乞いであるのでまだ理解は示せるのだが…本気でやってくる奴がいると思わなかったのである。

 というか、基本的に倫理感がぶっ飛んだ研究が多かった組織相手だから、常識がぶっ飛んだ相手がいてもおかしくはないのかもしれない。

 しかし、敵の総大将ともいうべきような相手の目の前で、こんな躍動感あふれまくる自己中心的な土下座を繰り出してくるとは、これはこれで勇気ある行動なのかもしれない。

 まぁ、やり方としては愚策としか言いようがない。そもそもこの状況で他を盛大に裏切り、自分だけ助かろうという魂胆をここまで出しまくるのもダメな奴だろう。




「というわけで、適当に見つけた別の幹部、ドルバルだったか。君に聞きたいけどいいかな?」
「あの、なぜ名前を…」
「攻めるところは事前に調べておく必要があったからな。誰がどういう人物なのか既に分かっているんだよ」

 正直言って、数多くいた構成員を一人一人覚えるのはきつかったので、組織の情報をしっかりと持っていそうな幹部を狙って覚えることにしていた。
 
 その中で、土下座男の後方でツッコミを入れていた者たちの中に、この幹部がいたのが目に見えたので、選んで話してもらおうと思ったのである。

 ダイナミック土下座男の処遇?…ひとまず、盛大に降伏してきた相手だったが、身辺調査で既にどうしようもない人だというのはわかっているので、他の必要ない人たちと一旦同じ場所に拘束することにしたよ。
 
 ただ、その空間は俺の許可がなければ出られない場所だから、何か道具を持っていないか調べたうえで、何人かは手足が少々自由にしたからなぁ…放置している間に、仲間を売って助かろうとしていたものの末路がどうなるのかわかりやすいものだろう。

 なお、この目の前の選んだ幹部のものは、まだ多少大丈夫な類でもある。
 やっていることは完全にアウトだが…幹部の座の中でもまともな方面にいただけあって、しっかりと組織を作り上げたものに関しての情報を持っていた。

 事前に調査をしても、なかなか得にくかった組織の創始者。

 神々を打ち倒しその座に就くとかいうたいそうな野望を抱いている組織を作り上げた黒幕だが、そんなことをしでかそうとしている割には、やっていることがどうにも小物くさい印象があったのに、なぜか情報が得にくかったけれども…これで、正誤性が取れればいいところか。

 嘘を吐かないように気を付けつつ、吐かせてみれば…ある程度、はっきりした。

「神々を打ち倒すとか言っておきながら…組織の創始者自身が、それに連なる者だったか。違うな、末端で神というのも怪しいようなものなのに、そこからさらに堕ちた存在だったか」

 大層すぎる野望というか、明らかなオーバーテクノロジーというようなものからも怪しいとは思っていたが、神に該当していたものであればおかしくはないだろう。

 ただ、その格は神にはあらず、そこから何らかの理由で堕ちたもの…堕神というべきか、神でないならば単純にこの組織を作り上げた大愚者とでもいうべきだろうか。

 ようやくつかめたその情報から、黒幕の居場所に関しても一緒に引き上げることができていくのであった…




「これだけ攻めて、姿が見えないのは気になっていたが…逃亡を先に行おうとしていたか」

…まぁ、逃げられないようにしているが、神のような力を持つ相手ならば万能ではない。
 しかし、そんな可能性も考慮して…こっちも相手がヤバい神とかそういうのに対してのちょうどいい対策を練っていなかったわけじゃないんだよなぁ…
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