私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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7章 終わりまで、ずっと

7-7 それは呼べるようなものではない

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…生きていくうえで、逃げるという選択は大事なものである。
 無理に戦うようなことをして、勝ち目のない争いをするよりも、勝ち目のある戦いのある時だけでいいので、それ以外は自分の安全が第一で良い。

 ゆえに今、破神布組織の創始者は全速力でこの場から逃亡を図っていた。
 

「何よりも大事なのは、自分の命だけだぁぁぁぁぁ!!」

 それはある意味、生き物としては正しい選択なのかもしれない。
 生存競争の中で、逃げて逃げて逃げ延びまくって生き残るのも一つの手なのだから。

 だが、残念ながらそのものは生き物というには少々残念で…身を超えた欲望を出してしまったからこそ、今の絶望的な状況に入ったのは、自業自得としか言いようがない。


「うぉぉぉお!!空間固定とか悪魔死神魔神鬼神女神とか色々とやり過ぎだろうがあの星の竜の若造めぇぇっ!!あれだけの伝手があるならばその全ての力を食らい、肉体をよこせばよりうまく使ってやるものぉぉぉぉぉ!!」

 全力疾走で早口だと舌を噛みそうな文句を同時に言いながら走るさまは滑稽だが、本人からすればたまったものではない状況。
 空間が固定されているがゆえに、逃げ場のない状況でもあったのだが、それでも何とか逃げ道を模索して、最善の手を見つけだす。

「だが呼び寄せたこと自体が馬鹿めと言ってやれるな!!空間を固定して逃げ道をなくそうが、そいつらの通ってきた道が開いているならば、それをもとにして逃げ込むのはたやすいことだ!!」

 様々な助っ人を相手に用意されたようだが、それを逆に利用してやろうと思いつく。
 逃げ道を封じたつもりだろうが、ここを攻めるための戦力を用意しているせいで、それぞれを呼び寄せた経路があることを見つけだし、そこから逃げればいいと思ったのである。

 普通の人間ならばできないことだろうが、こんな組織を作って様々な研究を行っていて、なおかつそもそも普通の人間ではない身だからこそ、選択することができたのだ。

「はははは!!ここから逃げ出して潜伏し、寿命が尽きていなくなったころ合いで再起を図ってやる!!いくらやばいやつらのつながりがあったとしても、所詮は生物!!寿命に逆らって生き延びることなんぞできぬだろうからなぁ!!」

 素早く構築し、作り上げることができた逃走用の穴に入り込み、かけながら心の声を駄々洩れにする創始者。
 これで逃げ延びて隠れればいいだけだということで、少しだけ余裕ができたようだが…元々が残念過ぎるがゆえに、気が付かなかった。

 こんな単純な逃走経路を想定していないなんて可能性を。
 むしろ、たやすく逃げられそうな道を用意しておいて、どの程度の器なのか図られていることなんてことを。
 そして今、盛大にあきらめることがない心の欲望を、あっさりと吐いていたその事実に関して、おかしいと思わなかっただろうか?

「よし、出口だ!!」

 必死に逃げ延びて、ようやく見えてきた目の前の光。
 あそこを飛び出せばどこに出るのかまでは把握できていないが、それでも現在壊滅させられている組織の惨状から逃げ出す先としては十分すぎるほどだ。
 これでようやく、大丈夫だと思っていた…が、運命の神が微笑むようなことはなかったらしい。


バリン!
「…は?」

 ガラスが砕け散るような音が聞こえた次の瞬間、周囲の光景がぼろぼろと崩れ落ち、切り替わっていた。
 見れば、大小様々だが恐ろしい雰囲気を纏った者たちしかおらず、平穏の地とは程遠い場所になっていることに気が付く、

 そして目の前のほうに意識を向ければ…今、この瞬間絶対に遭遇したくないものが存在していた。

 そこにいたのは、巨大な竜の姿…自分が利用しようとしていた神造の魔剣の持ち主にして、神の座に届くであろう星の竜の子の存在。

「どうも、初めまして破神布の創始者さん☆」
「え?え、え、あ、あ…あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 逃げきれたと思った時、一気に絶望のどん底へ叩き落されて、創始者の精神はマイナスを振り切り過ぎて、べぎっと嫌な音を立てて崩壊するのであった……




「軽く挨拶をしただけで、精神崩壊起こされたんだが」
「そりゃ、希望を目の前にして絶望に切り替わればな…器が大きな奴ならまだしも、この程度の小物なら壊れておかしくないだろ」

…崩壊しても、すぐに精神がつなぎなおされて、滅茶苦茶な状態でありながらも意識を失わないようにされるが。
 むしろ、その状態をより酷くさせられるだろうが…末路が決まっているのであれば、その程度の治療は何の慰めにもならないだろう…
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