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エピローグ
エピローグ どう見ても違うよね?…なら、その答えは何でしょうカ?
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かつて、世界には魔獣と呼ばれる存在があった。
生きとし生けるもの、その全ての命を奪っていく、恐るべきもの。
それに対抗するための魔剣は、人々へ授けられ、
そしてある時、大いなる竜が現れてすべての魔獣を消し去った。
同時に、魔剣も消失していき…今は、その話は遥かな過去のことして語り継がれるだけである。
「…本当にそんなものが存在していたのかな。火を噴き雷を操り凍てつかせるような、様々な能力があったという魔剣と、魔獣という恐ろしい怪物が」
「うーん、昔から言われていることで眉唾物だったんじゃないかなという話もあるよね」
「でもなぁ、実際に痕跡とか遺跡とかはあって…今日だって実際に、社会科見学でドラゴンがいたという都市の遺跡に来ているから、本当なのかわからないところだよ」
とある学校の児童たちが集められて、開かれているのは歴史を学ぶ社会見学の授業。
現地だからこそ得られる知見もあるということで、わざわざここまで皆やってきたわけだが、それでも本当にあったのか疑わしい話ではある。
あらゆる事象を引き起こし、人としては過ぎたる力を持たせる、魔獣への対抗手段として存在していたという魔剣は、少年心をくすぐるようなものなのだが、実物がないのは残念なところ。
全ての魔剣士の死とともに、魔剣は失われたという話もあるのだが…物質が簡単に失せるとは思えず、後世まで残されていないのだから信じにくいのは仕方がない話だろう。
「それに、その魔獣を消し去った終焉のドラゴンや竜王なんて呼ばれるような、そんなバカでかいドラゴンなんて存在していたのかな?」
「その辺のイノシシとかでも十分大きいし、もしかすると巨大なトカゲだった可能性もあるよな」
「それに何よりも、その魔剣が人の姿をしていたとか、どういうやつだよって言いたくなるよねぇ」
昔のことで確かめるすべもないし、その情報量も多くはない。
人が残せる情報というのは不確かなもので、保存していても失われていくものは多い。
ゆえに、本当にあったことなのだとしても…その信憑性は失われており、眉唾物の話に成り下がってしまうのであった。
平和になったのは良いのだが、大昔にあった出来事は人々の中から風化していく。
けれども、それは構わない。
誰もが魔獣に脅かされることのない、平和な世界になったのなら…
…そして、どこかの国の地下施設にあった研究所内では今、大掃除が行われていた。
掃除機やモップを使うようなものではなく…悪しきものの排除の意味合いでの掃除が。
バァァン!!
ダァァァン!!
「ぎゃああああ!?」
「な、なぜこの研究施設を襲うのだ!!我々はただ、世界を制するために大昔にいたという魔獣を再現しようと…」
「それがすでに、アウトなんだよ」
「なぜだ、なぜそれが分からんのだ!!魔獣と呼ばれていたものを出せば、人々はそれに恐怖し、ずっと一致団結し続ける!魔獣の制御を完璧にできれば、恐れることなどもな、」
「完璧な制御ねぇ…いや、それは絶対ないな」
お前たちは知っているだろうか。かつて、魔獣が生きていた時代を。
魔剣というものがあってこそ討伐もできていたが、それでも間に合わずに散ってしまった命が数多くあることを。
「完璧に…は無いな。できていたのであれば、失われる命もなかった。それに今、この世界に魔獣は必要はないのだ」
ようやく得た、魔獣のいない世界。
世界平和に利用しようという志はわからなくもないのだが…その自信は虚構に過ぎない。
知らないのだろう、制御できない怪物のことを。
わからないのだろう、例え平和のためにというものを出していても、人の悪意で容易に変えられることを。
「まぁ、安心してほしい。命を奪うことはしない。奪うのはそうだな…この世界を脅かす、危険なものだけかな?」
「はぁ、遺跡見学もやっぱりつまらないなぁ」
「ほんとほんと、遊び場所が欲しいぜ!!」
「だからと言って抜け出して、絶賛迷子中なんだよね…」
社会見学中の場をこっそり抜け出したのは良いのだが、土地勘がないので見事に迷子になってしまった生徒三人組。
見知らぬ地でこのまま帰れなくなるんじゃないかなと、不安に思っていた…その時だった。
「おや、そこの子供たち、迷子でしょうカ?」
「「「!?」」」
突然後ろから声をかけられ、彼らが振り向けばそこにはなぜか、絵本や漫画にいるような、冥土のような服装をした女性が立っていた。
「え、コスプレのお姉さんがいるの!?」
「なんでメイドのコスプレ!?」
「いや、このあたりの民族衣装とか風習とか…それでもメイドなのおかしくないか!?」
「…今の世の中でそう言われると、ちょっと来るものがありますネ」
生徒たちの言葉に対して、メイドの女性はどこか残念そうにそう口にする。
「でもまぁ、怪しいものではありませんよ。今日は私は、ご主人様こほん、夫の仕事のために、わざわざここへ久しぶりに帰ってきたものですからネ。要は地元民ですが…あなた方は、このあたりの人ではないようですネ。観光客ですカ?」
「それだったらどんなにいいのか」
「観光どころじゃなくて…」
怪しいメイドのお姉さんだが、悪い人ではなさそうである。
そう思い、どうしてここにいるのか、迷子になったことを彼らは話した。
「なるほどなるほど…自業自得ですネ。勝手に抜け出して、土地勘のない場所で動いたらそうなりますヨ」
「うぐっ…」
「ですが、ご安心ヲ。夫が来るまでちょっと時間がありますので、皆様を引率されていた先生と呼ばれる人の場所まで、連れて行ってあげますヨ。大体どのあたりにいるのか、もう把握できましたからネ」
「本当!?」
「人さらいとか騙しているわけじゃないなら、お願いいたします!!」
どうやら彼女はこのあたりのことを知っているようで、少し話しただけで、どこに誰がいるのかもう大体の見当がついているらしい。
「それじゃ、ついてきてくださいネ。でも、ちょっと場所が離れてますので、時間かかりますし、何か話でもしながら歩きましょうカ」
「ん-、お話?地元の方に聞くとしても何がいいのか…」
「そうだよなー。大体、魔剣とかドラゴンとか、そんな空想の産物のようなもの話がある地元の話も、なんか爺ちゃん婆ちゃんが話すような昔話ぽいしね」
「…ええ、本当に昔話ですネ。けれどね、空想でもなんでもなく…本当にあったことですヨ」
「本当なの?」
「ハイ…そうですね、せっかくですし、見せながらも話しましょうカ」
そう言いながらメイドの女性は彼らに自身の右手を見せ…次の瞬間にその手が刃に変わった。
「「「!?」」」
「これは、本当にあったお話…それこそ、昔話と言える本当の魔剣のお話デス」
…その日、彼らは理解させられた。
昔話というのものは、何らかの意味を持っていたのだということを。
後世にまで伝わる話は空想でもなんでもなく…本当に、存在していたことなのだと。
「私の正体は、大事な人の魔剣。いえ、あの人がいうのであれば、魔剣じゃなくて…これはどう見ても聞いても、一人のメイドとドラゴンのお話というでしょうネ」
―――【完】―――
生きとし生けるもの、その全ての命を奪っていく、恐るべきもの。
それに対抗するための魔剣は、人々へ授けられ、
そしてある時、大いなる竜が現れてすべての魔獣を消し去った。
同時に、魔剣も消失していき…今は、その話は遥かな過去のことして語り継がれるだけである。
「…本当にそんなものが存在していたのかな。火を噴き雷を操り凍てつかせるような、様々な能力があったという魔剣と、魔獣という恐ろしい怪物が」
「うーん、昔から言われていることで眉唾物だったんじゃないかなという話もあるよね」
「でもなぁ、実際に痕跡とか遺跡とかはあって…今日だって実際に、社会科見学でドラゴンがいたという都市の遺跡に来ているから、本当なのかわからないところだよ」
とある学校の児童たちが集められて、開かれているのは歴史を学ぶ社会見学の授業。
現地だからこそ得られる知見もあるということで、わざわざここまで皆やってきたわけだが、それでも本当にあったのか疑わしい話ではある。
あらゆる事象を引き起こし、人としては過ぎたる力を持たせる、魔獣への対抗手段として存在していたという魔剣は、少年心をくすぐるようなものなのだが、実物がないのは残念なところ。
全ての魔剣士の死とともに、魔剣は失われたという話もあるのだが…物質が簡単に失せるとは思えず、後世まで残されていないのだから信じにくいのは仕方がない話だろう。
「それに、その魔獣を消し去った終焉のドラゴンや竜王なんて呼ばれるような、そんなバカでかいドラゴンなんて存在していたのかな?」
「その辺のイノシシとかでも十分大きいし、もしかすると巨大なトカゲだった可能性もあるよな」
「それに何よりも、その魔剣が人の姿をしていたとか、どういうやつだよって言いたくなるよねぇ」
昔のことで確かめるすべもないし、その情報量も多くはない。
人が残せる情報というのは不確かなもので、保存していても失われていくものは多い。
ゆえに、本当にあったことなのだとしても…その信憑性は失われており、眉唾物の話に成り下がってしまうのであった。
平和になったのは良いのだが、大昔にあった出来事は人々の中から風化していく。
けれども、それは構わない。
誰もが魔獣に脅かされることのない、平和な世界になったのなら…
…そして、どこかの国の地下施設にあった研究所内では今、大掃除が行われていた。
掃除機やモップを使うようなものではなく…悪しきものの排除の意味合いでの掃除が。
バァァン!!
ダァァァン!!
「ぎゃああああ!?」
「な、なぜこの研究施設を襲うのだ!!我々はただ、世界を制するために大昔にいたという魔獣を再現しようと…」
「それがすでに、アウトなんだよ」
「なぜだ、なぜそれが分からんのだ!!魔獣と呼ばれていたものを出せば、人々はそれに恐怖し、ずっと一致団結し続ける!魔獣の制御を完璧にできれば、恐れることなどもな、」
「完璧な制御ねぇ…いや、それは絶対ないな」
お前たちは知っているだろうか。かつて、魔獣が生きていた時代を。
魔剣というものがあってこそ討伐もできていたが、それでも間に合わずに散ってしまった命が数多くあることを。
「完璧に…は無いな。できていたのであれば、失われる命もなかった。それに今、この世界に魔獣は必要はないのだ」
ようやく得た、魔獣のいない世界。
世界平和に利用しようという志はわからなくもないのだが…その自信は虚構に過ぎない。
知らないのだろう、制御できない怪物のことを。
わからないのだろう、例え平和のためにというものを出していても、人の悪意で容易に変えられることを。
「まぁ、安心してほしい。命を奪うことはしない。奪うのはそうだな…この世界を脅かす、危険なものだけかな?」
「はぁ、遺跡見学もやっぱりつまらないなぁ」
「ほんとほんと、遊び場所が欲しいぜ!!」
「だからと言って抜け出して、絶賛迷子中なんだよね…」
社会見学中の場をこっそり抜け出したのは良いのだが、土地勘がないので見事に迷子になってしまった生徒三人組。
見知らぬ地でこのまま帰れなくなるんじゃないかなと、不安に思っていた…その時だった。
「おや、そこの子供たち、迷子でしょうカ?」
「「「!?」」」
突然後ろから声をかけられ、彼らが振り向けばそこにはなぜか、絵本や漫画にいるような、冥土のような服装をした女性が立っていた。
「え、コスプレのお姉さんがいるの!?」
「なんでメイドのコスプレ!?」
「いや、このあたりの民族衣装とか風習とか…それでもメイドなのおかしくないか!?」
「…今の世の中でそう言われると、ちょっと来るものがありますネ」
生徒たちの言葉に対して、メイドの女性はどこか残念そうにそう口にする。
「でもまぁ、怪しいものではありませんよ。今日は私は、ご主人様こほん、夫の仕事のために、わざわざここへ久しぶりに帰ってきたものですからネ。要は地元民ですが…あなた方は、このあたりの人ではないようですネ。観光客ですカ?」
「それだったらどんなにいいのか」
「観光どころじゃなくて…」
怪しいメイドのお姉さんだが、悪い人ではなさそうである。
そう思い、どうしてここにいるのか、迷子になったことを彼らは話した。
「なるほどなるほど…自業自得ですネ。勝手に抜け出して、土地勘のない場所で動いたらそうなりますヨ」
「うぐっ…」
「ですが、ご安心ヲ。夫が来るまでちょっと時間がありますので、皆様を引率されていた先生と呼ばれる人の場所まで、連れて行ってあげますヨ。大体どのあたりにいるのか、もう把握できましたからネ」
「本当!?」
「人さらいとか騙しているわけじゃないなら、お願いいたします!!」
どうやら彼女はこのあたりのことを知っているようで、少し話しただけで、どこに誰がいるのかもう大体の見当がついているらしい。
「それじゃ、ついてきてくださいネ。でも、ちょっと場所が離れてますので、時間かかりますし、何か話でもしながら歩きましょうカ」
「ん-、お話?地元の方に聞くとしても何がいいのか…」
「そうだよなー。大体、魔剣とかドラゴンとか、そんな空想の産物のようなもの話がある地元の話も、なんか爺ちゃん婆ちゃんが話すような昔話ぽいしね」
「…ええ、本当に昔話ですネ。けれどね、空想でもなんでもなく…本当にあったことですヨ」
「本当なの?」
「ハイ…そうですね、せっかくですし、見せながらも話しましょうカ」
そう言いながらメイドの女性は彼らに自身の右手を見せ…次の瞬間にその手が刃に変わった。
「「「!?」」」
「これは、本当にあったお話…それこそ、昔話と言える本当の魔剣のお話デス」
…その日、彼らは理解させられた。
昔話というのものは、何らかの意味を持っていたのだということを。
後世にまで伝わる話は空想でもなんでもなく…本当に、存在していたことなのだと。
「私の正体は、大事な人の魔剣。いえ、あの人がいうのであれば、魔剣じゃなくて…これはどう見ても聞いても、一人のメイドとドラゴンのお話というでしょうネ」
―――【完】―――
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