私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
203 / 204
7章 終わりまで、ずっと

7-10 月日は早く流れていき

しおりを挟む
―――組織もつぶし、平和を得るために色々と努力し、魔竜王国ドラグニアの技術力をもってして、世界はあっという間に発展していった。
 今まで時間がかかっていたものがすぐになるようになり、魔獣がいなくなってからは気にするのは盗賊やら野生動物程度に収まってきたことで、交通量が増加し、それに伴って人の流れが活発化したのも、その発展の後押しになっただろう。
 ただ、魔獣がいなくなってくれば、それに抑えられていた部分が出てくるのは当然のことで、やらかされる前に事前に潰したりすることも送った。





「そんなことがありつつも、ずっと平穏な人生を過ごしてきたが…ずっと王の立場にいるわけにもいかないから隠居して、300年ほど長めの旅に出て帰ってくれば、国が無くなっているってどういうことだよ」
「人の移り変わりは激しいですからね…一応、技術などは悪用されないように、異界へ転送されるシステムにしてましたが、世界の裏側まで行ってめぐっていた中で、しっかり滅ぼされてましたネ」

…がやがやと人混みがある中、角と翼を竜魔法で隠しつつ、その辺の食事処でもしゃもしゃと食べながらフィーがそうつぶやけば、ゼナが呆れたように回答する、

 ドラゴンとしての血もあるせいか、20代を過ぎてから年を取らなくなっており、流石に人の世にそのまま居つくのは厳しいかと思うところもあって、旅に出たのは良いだろう、
 だが、まさかそこそこ長めの旅路に出て、久しぶりに帰郷も兼ねて国があったところへ帰ってきてみれば、まさかの別の国に成り代わっているとはだれが予想できたことだろうか。

「ですが、ご主人様…あなたの孫やひ孫、その子孫に至っては大丈夫のようデス。国がなくなっても、しっかりと生き延びてそれぞれ自由に過ごしているようデス」
「建国した国が無くなったのは悲しいが…まぁ、子孫が無事ならばいいか」

 なお、どうして国が消えたかに関して調べてみたところ、単純に諸外国がドラゴンがいなくなったことを200年ほど過ぎたあたりでようやく気が付いたようで、攻め時だと思って戦争を吹っかけてきたことにあるらしい。
 だが、子孫は子孫でしっかりと教育をしていたゆえか、それとも王位などの立場を面倒だと思ったのか…民の安全を確保しつつ、国そのものを解体し、戦火が舞い散る前に攻められる国そのものをなくしたようだ。

 そのせいで、攻めてきた相手側は攻める場所が何もなくなっていることに驚愕し、さらにそのほかの国々も同じようなことを企んでいたのでぶつかり合ってしまったそうだ。
 お互いに攻めたかった場所が失われ、手に入れようとしても他国との衝突が確実…これでかなり欲深くあればかまわず戦争を激化させただろうが、目的地の消失に士気も下がり、無駄な血が流れることをお互いに嫌いあったことで、結局この地は各国で共同に管理する特例の場所として成り立つことになったようだ。

 そこからさらに数十年ほど過ぎれば、自然と自治を与えられて…今の魔竜王国とは違う別の国へと変貌したようであった。

 ただし、解体時に世界全体から何をやってか同時に失われてしまった技術も数多く、世界水準の技術レベルは低下し、魔獣が出ていたころ合いにまで下がったのはこちらも驚くところ。
 まぁ、気が付かないうちに国に依存していた部分があったようで…そこは、自立を促しきれていなかったところに責任があるかもしれない。

「何にしても、国が無くなっても平和なら良いかな…子孫たちもたくましく生きているようだしな」
「中には私やルルシア、ペルシャの血を濃く継いだ子孫もいますからネ。確認したところ、全身刃で騎士道を志すようなものもいるようですし、国なくても無事につながっているのは喜ばしいのデス」
「どういう血のつながりだよ…」

 全身刃って、どういう人間になってんのそれ。
 そもそも魔剣のほうの子孫となると、その子らがどうなっているのやら…深く考えるのはやめよう。小さいゼナがいくつも量産されただけだと考えればいい話だ。







 そう思いつつも、滅びた国ということもあって、今の地からはもともとあった痕跡が失われているらしい。
 いや、それでも流石に残されたものはあったようだ。


「…まぁ、流石にお墓まで荒らすような奴もいなかったか」
「国が変わっても、亡き人を思う気持ちは同じようですからネ」

…変わった新しい国の中で、ずっと残り続けている場所。
 そこは、亡き人が弔われる墓場…青薔薇姫のお墓も作られていたこともあって、あの人の数多くのやらかしもとい功績のせいで荒らされることは避けられていたようで、ずっときれいなまま残っていたのだ。
 というか、墓があってもその中に遺体を全て収めているわけでもないしなぁ…肝心の青薔薇姫自身に関しては、実は建国して数十年ぐらいしたあたりで、神々のいる世界へ帰っているので、その残留思念とかはないだろう。
 それでも、やらかしたことの数々は、どれほどの歳月が経とうが色あせることはなかったようで…良い墓荒らし避けになったけど、複雑な思いもある。

「それでも、ここで変わらずに寝ているか…まだまだ、そっちへ逝くには時間がかかるよ、ルルシア、ペルシャ…その他子供たちよ」

 わかっている分だけのお墓に、街中で購入した花を供えつつ、丁寧に弔いの思いを込めて祈りを捧げる。

 長い、長い、ドラゴンの血があるゆえに定められていたこの長寿の中で、過ぎていった大事な命、
 その全ては覚えており、別れの時も見ていた。


「…というか、お墓の数が多いなぁ!?」
「旅に出たのは300年ほどでしたが、建国して1000年はいましたからね。それだけいれば、普通に子孫も断絶したりしつつも、残って増えているところもあるので、数が多いのは当たり前デス」
 
 しんみりしたい雰囲気がありそうだが、残念ながらそうはいかず。
 けれども、こうやって苦笑できそうなほどいるというのも、それはそれであの世のほうで皆爆笑していそうで、こっちのほうが良いのかなと思うのであった…


「そもそも、最後のほうで困るのはたぶん、あなたですよ」
「え?」
「私、長い間連れ添ってますが、魔剣ですからネ…命が尽きたら、それと一緒に消滅するのが確定なので、下手な死に場所だと相当不味いことになりますヨ」

…この長い月日で、魔獣が失われたことで魔剣士もいなくなったが、同時に魔剣も消滅する光景を何度か見る機会があった。
 そう考えると、確かに自分の死に場所次第では、滅茶苦茶厄介なことを引き起こしかねないのでは…

「千年以上生きて、今更その大きな問題に気が付いたんだが…!?」
「でも、大丈夫デス。そんなこともあろうかと、ずっと昔に用意しておいた棺桶がこの国の地下に埋まっているはずなので、今から掘り起こして持っていきましょウ」
「持っていけるなら、最初から持参すればよかったんじゃ?」
「…ここに帰ってきて、そのことに今、私も気が付いたのデス」

 お互いに、抜けていたところがあったのだった。



 
しおりを挟む
感想 610

あなたにおすすめの小説

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」 Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。 しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。 彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。 それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。 無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。 【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。 一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。 なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。 これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...